働きながら介護福祉士を取るには、実務経験が必要となります。
この方法は、「福祉学校等に通わず、実務経験で受験資格を満たす」という方法。
社会人から介護福祉士を目指すのであれば、最も一般的なルートです。
この「介護福祉士試験受験に必要な実務経験とは何か?」をテーマに解説します。
- 実務経験の対象となる仕事・職種
- 途中で転職した時の実務経験証明書はどうする?
- パートや非常勤、無資格も対象?
介護福祉士の受験に必要な実務経験は、パートや派遣も対象です。
初任者研修などが無く、無資格で勤務した期間もカウント可能。
細かな疑問に答えていくので、お好きなところからどうぞ。
働きながら介護福祉士を取る条件
まず実務経験ルートで介護福祉士を取る為の条件を再確認します。
資格を取るには国家試験に合格する必要があるので、正しくは受験資格を得る条件ですね。
以下が条件となります。
- 実務経験3年以上(介護等の業務に従事)
※従業期間3年(1095日以上)かつ従事日数540日以上 - 実務者研修修了
※参考「社会福祉振興・試験センター(介護福祉士国家試験 受験資格)」より
※その他受験ルートや資格の概要については、「介護福祉士とは」をご覧ください。
介護福祉士となるには、3年の実務経験が必要です。
実務経験とは、正しくは「従業期間と従事日数」の事で、この2つを満たさねばなりません。
「対象職種として3年在籍かつ、540日以上出勤」というのが条件ですね。
雇用形態の条件はなく、パートや派遣などの非常勤も対象です。
加え、その内容については、介護士など「主たる業務が介護等の業務」である必要があります。
次項からそれぞれ詳しく見ていきます。
・実務者研修とは
介護福祉士受験に必要な実務経験の範囲
介護福祉士受験の実務経験は、対象となる事業所・職種が決まってます。
主に「高齢者介護や障がい者」の分野で、「直接の介護業務を主とする職種」が対象。
相談員や事務員など、対象とならない職種もあるので注意。
実務経験の対象となる「職場・職種」
介護福祉士受験の対象となるのは、下記5つの分野です。
- 児童分野
- 施設:知的障害児施設、自閉症児施設、放課後等デイサービスなど
職種:保育士、介助員、看護補助者など - 障害者分野
- 施設:就労移行(継続)支援、グループホーム、障害者支援施設など
職種:介護職員、介助員、寮母など - 高齢者分野
- 施設:老人デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、指定訪問介護など
職種:介護職員、訪問介護職員など - その他分野
- 施設:救護施設、更生施設、病院、その他社会福祉施設等
職種:介護職員、看護助手など - 介護等の便宜を供与する事業
- 施設:地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業など
職種:介護職員、訪問介護職員など
上記の職場において、介護業務を行う職種で働いた期間が対象となります。
分かりやすいのは、「老人ホームの介護士」や「訪問介護の訪問介護員」。
「病院の看護助手」などになります。
実務経験とならない職種
介護福祉士受験の対象となる職種は、「主たる業務が介護等であること」と定められてます。
簡単に言うと「利用者と直接関わり介助を行う職種」が対象です。
下記の様な職種は、実務経験として認められません。
- 「人員配置基準」「運営要綱」等に示された、主たる業務が介護等と認められない職種
- 主たる業務が介護等の業務でないことが明確な職種
分かりやすい例は、「送迎の運転手」や「事務員」、「清掃員」などです。
他にも「生活相談員」や「福祉用具専門相談員」などの職種も対象外。
これらは介護に関わる仕事ですが、利用者の介助が主な業務でないのでNGです。
対象とならない職種を簡単にまとめると、下記になります。
- 生活相談員、介護支援専門員、職業指導員
- 医師や看護師
- 事務員、清掃員、警備員、運転手
- 理学療法士など機能訓練担当職員
- 栄養士、調理師
特定の条件下において、実務経験にならない事が明確にされてる職種もあるので注意。
不安であれば、ご自分の職種について「社会福祉振興・試験センター」で確認して下さい。
従業期間の計算もそこで出来ますよ。
職種を兼務している場合
「介護職員だけど、相談員も兼務している」、そんな時はどうなのでしょうか?
公式では、以下の様に記載されています。
主たる業務が介護等の業務である職員が、介護等の業務以外の職種を兼務している事実が、辞令等によって明確な場合に限り対象となります。
引用:社会福祉振興・試験センター
つまり最低でも、職場に兼務している事実を認めてもらう必要があるという事。
加えて、介護業務を主とした働き方をしてる必要もあります。
冒頭の例を出すなら、”介護士の傍ら相談員もしている”というのが条件ですね。
「従業期間と従事日数」のカウント方法
繰り返しですが、介護福祉士となる為には、以下の実務経験日数が必要です。
- 従業期間3年(1095日以上)
- 従事日数540日以上
従業期間とは、対象となる施設・職種で在職した期間の事です。
産休、育休、病休などの休職期間も含まれます。
従事日数は、業務に従事した出勤日数の事です。
研修など、介護等の業務をしなかった日は含めません。
これらのカウント方法を具体的に見ていきます。
「介護派遣」「パート」「無資格」の期間も対象
介護福祉士受験の実務経験は、「職場」と「職種(業務)」が対象であればOKです。
下記条件で働いた期間も対象です。
- 介護派遣やパートなどの非常勤
- 無資格での勤務
非常勤など雇用形態は問わず、正社員でなくても対象です。
パート社員であっても、介護業務を行ってれば実務経験の対象となります。
ただし介護助手など、介助を行わず清掃等がメインの場合は非対象なので注意。
また無資格で働いた期間も、実務経験の対象となります。
「働きながら初任者研修を取った」という方もご安心下さい。
夜勤や短時間勤務の考え方
実務経験では、1日の勤務時間は問われません。
パートや派遣の短時間勤務でも「1日」でカウント可能。
よくある入浴のみの短時間パートも、きちんと対象になります。
月15日勤務の場合、3年でちょうど540日となるので参考までに。
夜勤の出勤日数は、就業先の規則に従って計算するとあります。
これは、「8時間勤務」の短い夜勤は1日。
「16時間勤務の夜勤」なら2日、と考えれば良いでしょう。
掛け持ちや転職をした場合の数え方
続いて、介護事業所を掛け持ちで働いた場合のカウント方法です。
結論から言うと、同じ日に複数の施設で働いても、「従業期間」と「従事日数」はどちらも1日。
掛け持ちで働いても、その分期間が短くなることはありません。
途中で転職や異動があった場合、対象となる事業・職種であれば合わせて数える事が出来ます。
転職した場合も、実務経験証明書はそれぞれの職場に記入を依頼しなければなりません。
- 同じ日に施設A・Bで勤務 ⇒ 1日
- 施設Aに2年、転職(異動)して施設Bに1年勤務 ⇒ 従業期間3年
受験申込時に日数が足りない時は「見込み受験」が可能
介護福祉士試験に必要な実務経験は、試験実施年度の3月31日までに満たす見込みがあれば受験可。
よって、受験申込時に日数がギリギリ足りずとも、「実務経験見込み受験」が可能です。
実務者研修についても同様。
その場合、実施スクールより「実務者研修修了見込証明書」を交付してもらう必要があります。
※後に「修了証明書」の提出が必要です。
「実務経験証明書」は早めに記入依頼を
ここまで確認して得た実務経験も、証明書が無ければ介護福祉士の受験が出来ません。
特に転職をしている場合、以前の職場に記入を依頼しなければなりません。
ここで結構時間を取られる事が多いので、受験の手引きを入手したら早めに行動しましょう。
以前の職場に依頼する場合は、まずは電話でその旨を伝えて下さい。
恐らくは、「郵送して下さい」という形で指示があると思います。
少なくとも事前連絡がないと、トラブルなどで上手く事が進まない場合もあります。
退職理由がどうあれ、連絡とお礼の言葉も忘れずに。
気持ちよくやり取り出来れば、向こうでもしっかりと対応してくれるはずです。
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