実務者研修は、旧ホームヘルパー1級相当の資格です。
介護福祉士の取得に必須という事もあり、主に受験資格を得るため受講されてます。
しかし実務者研修には、それ以外にも取得メリットが沢山あります。
当記事では、「実務者研修の取得方法と学習方法」をメインに総合的に解説。
記事の内容
- 実務者研修の概要
- 実務者研修の取り方と勉強方法
- 取得で出来る事
「実務者研修とは何?」という所から、取得方法や研修内容までを説明します。
実務者研修とは
実務者研修は、正式には介護福祉士実務者研修と呼びます。
介護資格のキャリアパスにおいては、初任者研修から一歩進んだ資格です。
介護スクールなどで「実務者研修講座」を受講し、修了する事で取得出来ます。
実務者研修の内容と目的
実務者研修は、主に「講義(一部通信学習可)」と「実技」形式で進められます。
学習内容は「基本的な介護技術を、幅広く適切に行う事」を目標に行います。
基本的な介護知識・技術の確認を中心に、少し応用的な内容も学習します。
厚生労働省では、下記のように到達目標を設定しています。
実務者研修の到達目標
- 幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力の修得
※ 介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準- 今後の制度改正や新たな課題・技術・知見を自ら把握できる能力の獲得を期待
引用:厚生労働省 (制度改正の概要)より
受講資格は無く誰でも取れる
実務者研修は、主要介護資格の中では「応用編・中級者」といった位置づけです。
しかし受講条件は無く、誰でも取得できます。
取得条件が加わるのは、そのうえの介護福祉士からですね。
主な介護資格の取得条件をご紹介します。
実務者研修までは誰でも取得可能ですが、介護福祉士からは受験条件があります。
介護の実務経験3年に加え、実務者研修を修了しなくてはなりません。
当資格は、介護福祉士に必要な能力を得る研修という事ですね。
介護福祉士を取り、さらに実務を積むことで別資格も取得可能になります。
※ケアマネージャー、実務者研修の介護講師など。
初任者研修との違いや関係性
初任者研修も、実務者研修も誰でも受講可能です。
ただ初任者研修の目標が「基本となる知識・技術の修得」であるのに対し、実務者研修は、「幅広い方への対応できる介護能力」を得る事が目的です。
学習内容も取得までの時間も長くなるのでご注意ください。
初任者研修取得で内容と費用の免除がある
初任者研修を修了してからの受講だと、内容や費用面での免除があります。
詳しくは後述しますが、100時間分以上の科目免除を受けられます。
初任者研修を先に受講しても、無駄はありませんのでご安心ください。
初任者研修取得後、介護士として勤務。
その後、介護福祉士受験前に実務者を受講というのが定番の流れです。
個人的にも上記のステップアップ方法がオススメです。
どちらを先に受けるべきか悩んでしまいますが、個人的には初任者研修を勧めます。
実務者研修の取得で出来る事
実務者研修を受けるメリットは、介護福祉士受験だけではありません。
痰吸引等の医療ケア、サービス提供責任者など、業務の幅も広がります。
待遇でも、初任者と区別している職場もあります。
- 介護福祉士の受験
- 実地研修修了で、「経管栄養」と「喀痰吸引」が可能になる
- サービス提供責任者になれる
それぞれ確認していきましょう。
介護福祉士試験を受験できる
繰り返しですが、介護福祉士になれるのが1番のメリットです。
…というのも、介護福祉士は、数ある介護資格の中で給料アップ効果が1番高いからです。
他資格にも繋がるし、国家資格だけあってメリットの塊みたいな資格です。
試験に合格する為にも、研修と同時に勉強も進めておきましょう。
介護福祉士目的で受講する人が多い為、スクールでも試験対策講座を開講してます。
研修と試験対策がセットになった講座もあります。
また自分と同程度の経験を持つ介護士に出会えるのもメリット。
色んな職場の話を聞く事で、視野が広がります。
実地研修を受ければ「痰吸引」と「経管栄養」が可能
実務や研修のカリキュラムには、「たん吸引」や「経管栄養」の医療ケアが含まれます。
これは喀痰吸引等研修における基本研修にあたり、修了でそれが免除になります。
後は「実地研修」を受ける事で、医療行為である「喀痰吸引」と「経管栄養」が可能となります。
逆に「喀痰吸引等研修」を先に修了している場合、医療ケアは免除されます。
詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
サービス提供責任者になれる
実務者研修修了者は、訪問介護事業所のサービス提供責任者になる事が出来ます。
サービス提供責任者とは、「訪問介護計画書の作成」や「業務の連絡調整」などを行う役職者。
サービスの管理や職員指導などでも活躍する、訪問介護におけるリーダー的存在です。
また実務者研修と初任者研修で、資格手当を区別している施設も多くあります。
ただ額としては、あまり大きな差はないみたいですね。
介護福祉士になれば、大きく給料アップが期待できるので、後に繋がる資格と言えます。
実務者研修の取得方法と研修内容
実務者研修を取得するには、指定を受けた養成施設(民間スクール等)にて研修を受講します。
実務者研修の勉強方法
スクールの探し方の前に、まずは実務者研修の学習方法から簡単に説明します。
研修は、「通信(自宅学習)」と「通学(スクーリング)」を併用し進められます。
「通信」…テキストを読み、問題に答える形でレポートを提出。
「通学」…講師による講義の他、実技が行われます。
通信で学習できる範囲も限られており、実技も必須科目です。
通信のみで修了する事は出来ません。
また下記は、受講開始から取得までのスケジュール例です。
※1と2は前後する可能性も
- オリエンテーション(教材配布・研修の説明)
- 通信学習開始
- 通学(スクーリング)開始
- 修了試験合格で、資格取得
介護スクールで講座を受講する
実務者研修講座には、働きながら受講する人に向け、様々なコースが用意されてます。
通学日数や学習期間などが異なるので、自分のペースに合ったモノを選んで下さい。
夜間や土日などの時間指定もあるので、無理なく通えるコースを選びましょう。
- 通学の曜日や時間
- 通学ペースや通信学習期間
- 通学の必要日数
ちなみに短期間での取得を目指すと、通学日数が多くなる傾向があります。
介護福祉士試験に間に合う様、日程には余裕を持って受講して下さい。
下記からエリアでの講座検索や資料請求が可能です。
実務者研修講座の費用
受講費用については、スクールや保有資格による免除等でかなり違いが出ます。
一概には言えませんが、高くて10万円程度と見ておくと間違いないかと。
またスクールは費用だけでなく、通いやすさも考慮して決める事が大切です。
大手だと通いやすい分、価格が高い傾向があります。
- 全国対応の大手は、通いやすいが価格が高い
- 地域の教室は、通える範囲が限られるが価格が安い
講師や教室の雰囲気も大切ですので、色々と口コミなどチェックして比較しましょう。
学習カリキュラムと修了までの流れ
下記は実務者研修のカリキュラム。
これを講義・実技形式で学んでいきます。
※保有資格なしの場合の内容です。
- 人間の尊厳と自立 5時間
- 社会の理解Ⅰ 5時間
- 社会の理解Ⅱ 30時間
- 介護の基本Ⅰ 10時間
- 介護の基本Ⅱ 20時間
- コミュニケーション技術 20時間
- 生活支援技術Ⅰ 20時間
- 生活支援技術Ⅱ 30時間
- 発達と老化の理解Ⅰ 10時間
- 発達と老化の理解Ⅱ 20時間
- 認知症の理解Ⅰ 10時間
- 認知症の理解Ⅱ 20時間
- 障害の理解Ⅰ 10時間
- 障害の理解Ⅱ 20時間
- こころとからだのしくみⅠ 20時間
- こころとからだのしくみⅡ 60時間
- 介護過程Ⅰ 20時間
- 介護過程Ⅱ 25時間
- 介護過程Ⅲ 45時間
- 医療的ケア 50時間
合計450時間 ※これに医療ケアの演習が加わります。
上記は無資格の場合であり、持っている資格により科目免除され、費用が減額されます。
スクーリングの内容
実務者研修のスクーリング(通学)の内容は、「講義」と「実技」の2種類です。
初任者研修をお持ちの方は、ほぼ同じ様な流れだと思って構いません。
↑で紹介したカリキュラムに沿って、学習を行います。
全日制の教室だと、「午前にテキストを使った講義」。
「午後に介護技術の実技演習」を行うのが、一般的な流れです。
実技内容も一部ご紹介しましょう。
- 歩行介助(杖歩行や視覚障がい)
- 移乗介助
- シーツ交換
繰り返しですが、初任者研修の確認や応用ですね。
自分の仕事や技術の確認という感覚でOKです。
医療的ケアの講義・演習
実務者研修では、医療的ケアの内容も学習します。
中でも特徴的なのは、医療的ケアの演習ですね。
これは、人形を使い「経管栄養」や「喀痰吸引」を実技形式で学ぶというモノ。
前述の通り、この研修だけで現場での該当行為は出来ません。
実地研修も受ける必要があるので、注意しましょう。
修了試験について
実務者研修では、修了試験の義務はありません。
ただし、実際には試験が行われる事が大半です。
実技・筆記試験は共に実施されますが、合格率はかなり高いです。
確認の意味合いが強く、講義をしっかり聞いてもらう為に行うような感じですね。
⇒実務者研修の試験内容と難易度
もし不合格でも、再試験可能ですので大丈夫です。
スクールにより違うでしょうが、筆記はマークシート方式でした。
おすすめの実務者研修講座は?
おすすめの実務者研修講座は、無理なく通える範囲に教室がある所です。
働きながらの人が多いかと思いますので、
スクーリングの総数や曜日、日程の都合が良いスクールが1番です。
私はというと、実務者はニチイで受講しました。
かなり満足してますし全国対応ですので、選択肢の1つとしてお勧めしておきます。
⇒ニチイで実務者研修を受けた感想
介護福祉士対策も視野に入れるなら、ユーキャンも良いと思います。
介護福祉士講座に、実務者研修がセットになったものがあります。
スクーリング全国対応で6日と少なく、資格を取りながら介護福祉士の勉強も進められます。
実務者研修を働きながら取る時の注意点
実務者研修を受けるにあたり、ネックになるのはスクーリングではないでしょうか?
介護は休みが不定期な仕事ですし、働きながらは厳しいという方も多いでしょう。
シフト上「そんなに希望休が取れない」という悩みもあるはず。
資格取得を諦める前に、職場に「資格を取りたい」と相談して下さい。
もし躊躇しているなら、意外にOKなので安心して下さいね。
シフト作成者に曜日を伝えておけば、ちゃんと休みを調整してくれますよ。
将来的に「介護福祉士」が増える事は、施設にとってプラスなので協力してくれるはず。
まとめ
今回は、介護福祉士実務者研修について情報をお届けしました。
介護福祉士のおまけに見られがちですが、他にもメリットがある資格ですね。
最後にここまでの要点をまとめておきます。
- 基本的な介護能力を幅広い人に応用できる
- 介護福祉士取得に必須
- サービス提供責任者になれ、医療ケアも学べる
実務者研修は、医療ケアの学習も含まれます。
実地研修を受ければ、「痰吸引」や「経管栄養」など業務の幅が広がります。
多くの人の目的であろう、介護福祉士もかなり評価が高い資格です。
ここでの学習を活かし、ぜひ合格を目指してくださいね。
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