訪問介護事業所における役職に「サービス提供責任者」があります。
訪問介護サービスを総合的に管理する大変な仕事ですが、お給料も高めに設定されてます。
今回は「サービス提供責任者になる方法」を解説します。
業務や必要な資格要件だけでなく、能力や経験など現実的な面からもお話ししていきます。
サービス提供責任者とは
サービス提供責任者は、訪問介護事業所に配置が義務付けられている役職者です。
※略して「サ責」とも呼ばれます
ケアプランに基づき介護計画書を作成したり、訪問介護員への指導や業務管理等が仕事です。
文字通り、訪問介護事業所におけるサービス責任者ですね。
サービス提供責任者の「資格要件と取得方法」
サービス提供責任者になるには、下記の資格が必要です。
サービス提供責任者に必要な資格
- 介護福祉士
- 実務者研修
- 旧介護職員基礎研修課程
- 旧ホームヘルパー1級課程
※参考:「厚生労働省(平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について)」
この中で最も条件を満たしやすいのは、実務者研修ですね。
実務経験などは必要なく、誰でも取得できる資格です。
介護福祉士の受験にも必須であり、介護スクールで研修を受ける事で取得できます。
同行援護・行動援護を行う事業所の場合
同行・行動援護を行う事業所でサービス提供責任者になるには、さらに条件が加わります。
※これらは知的・精神障害や視覚障害のある方への支援の事。
「同行援護従事者養成研修」の修了が必要です。
研修は一般課程と応用課程があり、どちらも修了しなくてはなりません。
「行動援護従業者養成研修」の修了が必要です。
これらの研修については、下記記事でも触れています。
サービス提供責任者の仕事内容と役割
サービス提供責任者の仕事は、訪問介護計画書の作成や業務管理などです。
関連者との連絡調整や指導なども行い、適切なサービスを運営できるよう管理します。
訪問介護事業所におけるリーダー的役割を担う人ですね。
サービス提供責任者の仕事例
- 訪問介護計画書の作成
- 利用者の状態変化、サービスへの意向の把握
- サービス担当者会議出席
- 訪問介護員の業務管理、実施状況の把握
- 訪問介護員に対する研修、技術指導
訪問介護計画書はケアプランに基づきつつ、利用者の状態・意向等を確認しながら作成されます。
状態変化やニーズ応じ、適宜見直しも行います。
サービス担当者会議に出席し、計画の説明や状態・意向の把握等もしなくてはなりません。
それらについて職員への指示や指導、業務状況の把握や管理も行います。
利用者の状態把握、家族や関係者との連携。
業務の管理に職員の指示育成など、その役割は多岐にわたります。
訪問介護サービスを行うにあたっての核となる存在ですね。
サービス提供責任者として働ける職場
サービス提供責任者の職場は、既述の通り訪問介護事業所です。
また訪問介護事業所は、下記の様な介護施設内に併設される事もあります。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 有料老人ホーム
これらの職場では、施設内の利用者様に訪問介護サービスを提供してる事も。
訪問介護ステーションとはまた違った雰囲気になるかと思います。
サービス提供責任者の配置基準
サービス提供責任者は、「利用者の数40人に対し1人以上」を配置する必要があります。
また最低1名は常勤専従である必要があり、利用者数は前3カ月の平均値とします。
その場合、利用者数÷40を小数第一位に切上げた人数となります。
加え「下記条件」を満たす時は、利用者50人につき1人の配置が認められます。
下記全てを満たす場合、利用者50人に1人の配置も可
- 常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
- サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置
- サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合
※参考「東京都福祉保健局(訪問介護)」
都道府県などの自治体HPでも掲載がありますので、そちらも併せて確認下さい。
実際にサービス提供責任者になるには?
サービス提供責任者になるには、実務者研修や介護福祉士が必要とお話ししました。
このうち実務者研修は取得制限が無く、誰でも取れる資格です。
ただその役割業務は、利用者の把握やサービスの管理、職員への指導など多岐に渡ります。
これらを適切に行うには、相応の能力が求められます。
次は「サービス提供責任者になるには」という事を、現実的な観点から情報補足します。
サービス提供責任者の応募条件
実際の求人をみても、応募資格は実務者研修以上とするモノがほとんどです。
ただ下記の様な資格要件が加わる事もあります。
- 自動車免許
- 介護福祉士
- 実務経験
まず訪問介護という仕事柄、ほとんどの職場で自動車免許が求められています。
ただAT限定可など、車が運転できればOKとする職場が多め。
また「介護福祉士」を条件とする職場も一部で見受けられます。
経験者優遇という文言もよくあり、経験や資格があるほど選べる職場も増えていきます。
介護福祉士の取得には、基本的に実務経験が必要です。
介護職としての給料アップに繋がる資格ですし、介護福祉士があればベストです。
非常勤(パート)でも働ける?
サービス提供責任者は、非常勤として勤務する事も可能です。
また事業所は、最低1名は常勤のサービス提供責任者を配置する必要があります。
さて実際の求人では、そのほとんどが正社員での募集となります。
パート求人は、常勤の半分以下とかなり少なめでした。
現実的には、パートでは働きにくいと考えるのが自然ですね。
⇒介護パートで働いた感想をお届け!
まずは「訪問介護員」として働く
サービス提供責任者の資格要件には、実務経験までの規定はありませんでした。
ただ最も取りやすい実務者研修も、資格では「応用」に位置する資格です。
つまり介護経験があり、介護福祉士の取得を目前とする人を想定した内容ですね。
実務経験の内容としては、訪問介護員は経験しておきたいですね。
ただ訪問介護は基本的にマンツーマンなので、未経験からだとキツイかもしれません。
他には、リーダー職の経験も役に立ちます。
介護技術や知識だけでなく、主体になり仕事を考えたり、人を動かす経験も活きる仕事です。
「介護の仕事」と「役職者の仕事」は別物なので、ぜひ経験しておきましょう。
介護福祉士を目指しつつ、この様な経験を意識して取りに行きたいですね
未経験からなら、介護施設で働くのもアリ
0から始める場合、個人的には施設介護から始める事をオススメしてます。
訪問介護を意識するなら、サービス付き高齢者住宅も良いかと思います。
介護の基本的な事に自信がついたら、訪問に挑戦してみてはどうでしょう?
サービス提供責任者の勉強に使える書籍
「もっとサービス提供責任者の仕事を知りたい」という方は、下記書籍が参考になります。
サービス提供責任者の為の実践的テキストです。
その役割や仕事について詳しく解説があります。
介護士として総合的に学習したい方は、下記記事もご覧下さい。
サービス提供責任者の給料と転職情報
ここからはサービス提供責任者の給料や求人など、転職情報の紹介になります。
平均給料や転職活動に使えるサービス等を紹介します。
サービス提供責任者の平均給料と賞与
サービス提供責任者給料については、月給や賞与等を調査したデータがあります。
サービス提供責任者の平均給料額(令和元年度)
職種 | 平均月給 | 平均賞与額 |
---|---|---|
サービス提供責任者 | 246,373円 | 599,029円 |
訪問介護員 | 212,281円 | 428,909円 |
介護職員 | 212,455円 | 541,988円 |
※参考:介護労働安定センター(令和元年度 介護労働実態調査結果について)より
サービス提供責任者は、他の介護職員と比べ給料は高めです。
業務内容や求められる能力が反映された形ですね。
ただし相応の業務も担当するという事なので、介護職としてのスキルアップは必要不可欠です。
サービス提供責任者に対応した転職サイト
サービス提供責任者は、管理者や介護員も兼ねる事があります。
転職活動の際は、待遇だけでなく業務内容もよく確認するようにして下さい。
求人は、他介護職と同じく介護系転職サイトに多くあります。
「こだわり条件」の項目にもあり、スムーズに検索できるでしょう。
使いやすい無難なサイトとしては、マイナビ介護職 をお勧めしてます。
サービス提供責任者の求人も、そこそこ多く扱ってますね。
絞り込み検索も出来ますし、エージェントからの求人紹介もありますよ。
まとめ
今回は「サービス提供責任者になる方法」をお話ししました。
記事の要点
- サービス提供責任者になるには「介護福祉士」や「実務者研修」の資格が必要
- 利用者様の把握や職員指導など、総合的なサービス管理を行う
- 介護職の実務経験、リーダー経験などで能力も養う必要がある
業務範囲が広く大変ですが、その分やりがいもある仕事です。
利用者様の介護以外にも色々な事に関われるので、そこに面白さを感じられれば魅力あるお仕事だと思いますよ。
コメント