利用者様のお宅に伺い、サービスを提供する訪問介護員。
ホームヘルパー等とも呼ばれる、自宅での介護を支えるスタッフです。
今回は、訪問介護員の仕事内容をご説明します。
「基本的な業務」から「訪問サービスによる違い」など、詳しく解説します。
訪問介護員になる前に知っておきたい情報をまとめました。
訪問介護員の仕事内容とは?
訪問介護とは、訪問介護員が利用者様のお宅に訪問し、介護サービスを提供するものです。
ホームヘルプサービス等とも呼ばれ、要介護者や要支援者が対象の介護保険サービスですね。
介護が必要な状態でも、住み慣れた家での生活が続ける事が出来ます。
利用者宅で介護サービスを提供
訪問介護員は、自宅で暮らす方向けに介護サービスを提供するスタッフですね。
ホームヘルパー等とも呼ばれます。
訪問介護員の仕事内容は、大きく分け「身体介護」と「生活援助」の2種類。
「生活援助」とは、調理や買い物などのしたい介護以外の日常生活のサポートです。
また介護施設職員と比べると、下記の点が特徴的です。
- 日中のみ等、サービス提供時間が決まってる事が多い
※夜間対応の事業所もある - 介護サービスの提供スケジュールが決まってる
- 利用者宅でマンツーマンのサービス提供をする
訪問介護では、入居施設と違い、「サービス提供時間」が決まってます。
職場によりますが、定期的なシフトで働ける傾向が強いのがメリットですね。
また「〇時にAさん宅に訪問し、30分サービス提供」など…、
仕事スケジュールも細かく決まってるのが特徴ですね。
業務内容を1つずつ確認してみましょう。
「身体介護(オムツ交換や食事介助)」の内容
身体介護とは、食事や入浴、排泄介助など、利用者の身体に触れる介助サービスです。
寝返りが出来ない方の体位交換、服薬介助なども身体介護に含まれます。
介護施設も含め、介護士として働く以上、どこでも行う仕事ですね。
訪問介護では、通院のための車の乗降介助も行います。
車で利用者様のお宅へ向かい、車の乗車中、乗り降りの介助をします。
これは「見守り的援助」と呼ばれ、やってあげるのではなく「共に行う支援」です。
見守り的援助とは?
見守り的援助は、利用者と共に行う自立支援・重度化防止の為のサービス。
声掛けや促しを行いつつ、必要な時には介助に入れるよう見守りをします。
- 利用者に声掛けや手助けをしつつ、調理する
- 洗濯ものを一緒に行う
- 移動時に側に付き添う(必要な時に介助に入る)
利用者が出来る事を大切にし、安全に上手く行えるよう側で付き添うサービスですね。
「生活援助(調理や買い物等)」の内容
生活援助とは、本人や家族が家事を行う事が困難な場合に提供されるサービス。
家事等の日常生活援助の他、買い物や薬の受け取りなども対象です。
- 掃除や洗濯、衣類の整理
- 食事の調理(配膳・下膳含む)
- ベッドメイク
- 買い物や薬の受け取り
訪問介護員ができない生活援助
本人の援助や日常生活の援助に当たらない行為は、介護保険では利用できません。
例えば下記の様な行為は、訪問介護員は行えません。
生活援助と混合しやすいので注意しましょう。
- 利用者以外の洗濯・調理
- 来客対応
- 草むしりや洗車
- ペットの世話
介護職員、利用者様、共に知っておくべき内容なので確認しておきましょう。
訪問介護員には「初任者研修」の資格が必須
無資格者は、訪問介護員として従事する事は出来ません。
これが訪問と介護施設の決定的な違いですね。
訪問介護員になるには、初任者研修という資格が必要です。
これが無いと、身体介護に関わる事が出来ません。
そのため、介護員には確かな介護技術が求められます。
その技術証明が「初任者研修」になるので、就業前に取得が必要となります。

また生活援助従事者研修を受ければ、生活援助業務が可能になります。
ただ研修の少なさや需要も考えると、初任者研修が必須というのが正直なところです。
訪問介護サービスの種類による仕事の違い
訪問介護は日中のみ対応を基本として、他にも色々な種類があります。
代表的なのが、下記の様なサービス。
- 訪問入浴介護
- 定期巡回・随時対応型
- 夜間対応型
訪問介護サービスの種類が違えば、仕事内容も違ってきます。
今度はその種類の違いに注目し、その内容を追ってみましょう。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、職員が移動入浴車で自宅訪問し、入浴介助を行うサービス。
下記の様な、自宅での入浴が難しい方に向けたサービスです。
- 自力や家族サポートでの入浴が困難
- 自宅の浴槽が狭く、入浴が難しい
- 持病等の為、看護師による状態観察が必要
訪問入浴介護では、看護師1名と介護士2名が1組になって利用者宅を訪問します。
看護師による体調チェックを行い、組み立て式の浴槽にお湯をため、入浴介助をします。
入浴が難しい場合、部分浴や洗髪などのシャワー対応、タオルで身体を拭く(清拭)等も行います。
業務の幅も決まっているので、仕事も覚えやすいと思います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間対応の訪問サービス。
日中・夜間共に、訪問介護・看護の両方が提供されます。
その為、自宅でも介護施設の様なサービスを受けられます。
定期訪問の仕事
定期訪問では、1日に複数回定期的に訪問しサービスを提供します。
仕事内容は、食事や排泄(トイレ介助・オムツ交換)などがメインになります。
体位交換なども行うので、身体介護が多い仕事ですね。
随時訪問の仕事
随時訪問は、オペレーターが利用者からの連絡を受け、その指示に従い支援を行う仕事です。
随時訪問の待機中は、記録作成をしたり、他職員の代わりに訪問介護の仕事をします。
定期・随時共に、初任者研修があれば介護サービスの実施が可能です。
※他資格では、看護師や社会福祉士、ケアマネなども可能
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護とは、夜間帯に訪問介護員が身体介護を行うサービス。
また8時から18時までの時間は、このサービスは提供できません。
こちらも「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスを行います。
※利用者はどちらのサービスも使用できる
定期巡回では、オムツ交換や体位交換などのサービス。
随時対応では、利用者の通報を受け、訪問介護員が駆け付けます。
随時対応は、利用者に緊急用のコールを持ってもらい、押すと巡回中の職員が訪問する仕組み。
転倒して動けない時、急な体調悪化で救急車を呼んで欲しい時などに使用できます。
サービス付き高齢者向け住宅での「訪問サービス」
サービス付き高齢者向け住宅では、訪問介護事業所が併設されている事もあります。
※デイサービスも併設されている事も
この場合は、利用者様のお部屋に訪問し、介護サービスを提供します。
サ高住の職員が兼務している事も多く、生活支援も同時に行います。

食事や飲み物の提供・介助、オムツ交換などが主な仕事です。
仕事スケジュールも、15~30分位の区切りで決まってます。
伝票作成等もあるし、施設で訪問介護員的な働き方をする形ですね。
居室内ではマンツーマンですが、他職員と仕事が出来る時間も多くあります。
訪問介護職員はどんな働き方ができる?
ひとことで訪問介護職員といっても、その働き方は様々。
常勤かパートかはもちろん、どんな訪問介護事業所を選ぶかでも違ってきます。
- 夜勤や土日を避ける
- 訪問介護入浴で複数人で働く
- 夜間対応のサービスで収入に期待する
入居施設と比べると、こんな感じで働き方の幅が広いのがメリットかと思います。
訪問介護は「介護派遣」や「パート」など、非常勤で働く人も多くいます。
働き方が選びやすい分、上手くやればワークライフバランスも実現しやすいのではないでしょうか。
また訪問介護ならではの要素に、「登録ヘルパー」と「サービス提供責任者」があります。
どんなモノかご説明しましょう。
「登録ヘルパー」とは
登録ヘルパーとは、訪問介護事業所に直接雇用されず、仕事を紹介してもらう働き方。
希望する曜日や時間を登録し、その時間に利用希望者がいれば仕事が紹介されます。
形としては、パート等の非常勤に近い扱いですね。
好きな時間を選び働けるので、忙しい主婦にも人気の働き方です。
普通の訪問介護だけでなく、随時訪問でも登録ヘルパーが活躍してます。
派遣で働く「派遣ヘルパー」という方法もあります。
「サービス提供責任者」とは
サービス提供責任者は、通称”サ責”と呼ばれる役職者。
訪問介護サービスの計画・運営を行う、訪問介護の責任者ですね。
ケアプランに基づき「訪問介護計画書」を作成し、サービスがしっかり提供される様管理します。
利用者様の状況を見て、サービス内容の変更をしたりもします。
また訪問介護員の指導、管理も仕事です。
利用者様との相性を見て職員を決めたり、相談・指導も行い、職員をまとめていきます。

サービス提供責任者には、実務者研修以上の資格があればなる事が出来ます。
介護系職種の中では、収入が高い方なので目標としてみてはいかがでしょう?
訪問介護員の求人に強い転職サイト
訪問介護の求人は、介護系の転職サイトに掲載されています。
ただし、サービスによっては訪問の求人が少ないので注意。
また派遣で働きたいなら、派遣事業を行ってるサービスを選ぶ必要があります。
私が調べた限りだと、きらケアが訪問介護の求人が多いですね。
派遣にも対応してるので、使いやすいと思います。
訪問介護員にオススメの関連資格
最後におまけとして、「訪問介護員に関連する資格」をご紹介します。
初任者研修など既に述べた事も多いですが、他にも色々と便利な資格もあります。
学習資格も含まれますが、「資格と仕事の関係」の補足としてご覧ください。
「実務者研修」「介護福祉士」(可能業務を増やす)
少し触れましたが、「実務者研修」と「介護福祉士」も仕事の幅を広げます。
訪問介護では、下記の業務や職種に関わる事が可能になります。
- 『実務者研修』 ⇒ サービス提供責任者
- 『介護福祉士』 ⇒ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のオペレーター
この2つは初任者と合わせ、メインの介護資格です。
業務だけでなく、資格手当を中心とした待遇アップに繋がります。
介護士であれば積極的に取得したい資格ですね。
特に介護福祉士は国家資格で評価が高く、実務経験を積めば他職種の道もあります。
1つの最終目標となる資格です。
ガイドヘルパー(障がい者の移動支援)
ガイドヘルパーとは、障がい者の移動・外出を支援する資格です。
「視覚障がい」や「全身性障がい」のある方のサポートする為の資格ですね。
保有しておくと、ガイドヘルプサービスを行う訪問介護事業所で活かせます。
ガイドヘルパーの資格は3種類あり、対応できる障害内容が変わります。

介護食の資格(実用・学習)
調理業務もある事から、介護食関係の資格も有用です。
これは実用重視の学習資格なので、正直言うと給料評価には期待できません。
ただ高齢者相手の調理は、やってみるとかなり難しいです。
柔らかく食べやすい食事を作れるよう、調理技術やレシピを学ぶ事ができます。
資格には、「介護食アドバイザー」や「介護食コーディネーター」があります。
どちらも通信学習で取得出来ます。
学習内容は概ね似ていますが、対応スクールやレシピ等に違いがあります。
好みで決めて良いでしょう。
まとめ
今回は、訪問介護員の仕事内容をお話ししました。
長くなってしまいましたが、最後までお付き合い下さりありがとうございます。
訪問介護は、施設とはまた違った魅力がある仕事です。
施設と違い個人で動くことも多いですが、そのぶん自由度の高いお仕事ですね。
もし「時間の自由」を重視するのなら、派遣やパートで仕事を絞るのも手ですよ。
これなら介護施設で他職員と一緒に働く事も可能です。
訪問介護はその業務上、どちらかというと経験者向けのお仕事です。
「ちょっと難しそう」と思ったら、まずは介護施設で経験を積む事をオススメします。

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