介護福祉士は、能力の高い介護士の証明となる国家資格。
ベテランとしての信頼、給料や評価アップに繋がる介護資格です。
介護福祉士の取得方法は様々あり、そこから取れる資格もあります。
メリットや取得方法、国家試験情報など、詳しく紹介しましょう。
長くなるので、目次から知りたい箇所をどうぞ。
介護福祉士とは
「介護福祉士」は、”社会福祉士及び介護福祉士法“により定められた、介護・福祉の国家資格。
専門知識と技術で、高齢者や障害者の日常生活をサポートする「介護のスペシャリスト」。
※社会福祉士と精神保健福祉士と合わせ、三福祉士と呼ばれる事も
ただし受験条件があり、介護の実務経験を積んだり、専門学校に通う事で、満たす事が出来ます。
介護福祉士は、介護サービスの利用者だけでなく、職員からも頼りにされる存在。
技術と知識を介護職員に伝え、指導する役割も持ちます。
介護経験や能力を証明する資格であり、スキルだけでなく給料待遇でも高い評価を受ける資格です。
他資格取得や給料アップのメリット
介護福祉士は、一定の介護知識や技術を習得しなくては取得できません。
よって保有者は、信頼のおける介護士とみなされます。
国家資格だけあり、他資格より高い評価を受けられる資格です。
- 転職活動で有利になる
- 給料や待遇アップ
- 他資格取得や別職種になれる
仕事での評価や収入だけでなく、働き方を広げる可能性も秘めています。
転職活動や給料で優遇
介護福祉士は、転職活動で採用を得やすくなり、給料面で優遇されます。
特に給料アップは、他資格より確実に実感できます。
- 資格手当や各種手当
- 処遇改善
- 基本給やボーナス
処遇改善は、介護福祉士を重視し、分配する職場が多いです。
近年では、全体的にも経験者を優遇する傾向が強くなっています。
⇒処遇改善加算とは
資格手当や基本給など、職場により形は違えど、確実に給料アップします。
それぐらい、他資格と明確に区別されてます。
⇒介護福祉士はどれぐらい給料が貰える?
就ける業務や目指せる資格が増える
介護福祉士として実務経験を積めば、以下の様なステップアップも可能。
- 介護支援専門員(ケアマネ)
- 介護講師
- リーダーや管理職
- 認定介護福祉士
介護福祉士の実務経験を5年積めば、介護支援専門員や介護講師にもなれます。
別に試験や講習等も必要ですが、介護士の枠を越えた仕事も可能になります。
またリーダー等の役職者になれる可能性も高くなり、職場内ステップアップに繋がります。
役職者としての採用も見込めます。
また生活相談員の資格要件とする自治体も多く、相談業務での活躍も可能です。
※生活相談員の資格要件は、自治体により異なる
認定介護福祉士は、最上位の介護士資格です。
取得者が少ない民間資格ですが、介護資格のさらなるステップアップも可能になりました。
介護士と介護福祉士の違い
厳密には、どちらも同じ介護士です。
介護士は職種、介護福祉士は資格名ですね。※他資格には、初任者研修等があります。
介護資格は、経験に応じたものが用意されています
実務経験を積みながら、順に取得しステップアップを図れる仕組みです。
介護福祉士はその中では上位に位置し、専門性が高い事を証明します。
介護福祉士の仕事と役割
介護福祉士の仕事は、介護士のそれと変わりません。
介護を必要とする方のケアプランに従い、介護サービスを提供します。
自立を促しつつ、自分らしく生活に向け、生活を支援するのが仕事です。
介護チームのリーダー的存在
介護福祉士は経験と知識の証明ですので、介護チームのリーダー的役割を期待されます。
- ケア・介助方法の改善を提案
- 後輩職員への指導
- 他職種との連携
- 役職やリーダーとして活躍
介護福祉士は、ケア方法や業務の改善等を提案したり、他職員への指導など…
介護チームのサービス力アップへの活躍が期待されます。
また適切な介護サービスが実施されるには、他職種との連携も不可欠。
他職種との関係を上手く取り持ち、広い視野を持ってサービス向上させる役割もあります。
介護福祉士の職場
介護福祉士の職場も、一般の介護士と同じです。
介護施設をはじめとした、介護事業所ですね。
- 有料老人ホーム等の入居施設
- デイサービス等の通所施設
- 訪問介護事業所
介護施設は、その形態により業務や目的に違います。
どの事業所でも介護福祉士の評価は高く、新しい環境に挑戦したい時にも有効です。
詳しくは、下記記事もご覧ください。
⇒介護士になるには?必要資格や職場、介護士になるまでを解説
介護福祉士の義務
介護福祉士の義務規定があるので、ご紹介しておきます。
基本的には、ここまで述べた役割と同じです。
相手の立場にたち業務し、介護福祉士の信用を傷つけてはならない。
より適切なサービスが提供できるよう、関係者と連携する。
その為に、知識と技能の向上に努力しようという事ですね。
仕事で知り得た個人情報を漏らすのもNGです。
介護福祉士の取得方法
介護福祉士を取るには、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
※社会福祉振興・試験センターが実施
但し国家試験を受けるには、要件を満たさなくてはなりません。
受験条件を満たす方法は、下記3ルートがあります。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
順番に解説します。
実務経験ルート
実務経験ルートは、介護士として実務経験を積み条件を満たす方法。
専門学校等に通わず、社会人から初めて介護に携わる方はこちら。
下記の2つを満たす事で、試験を受けられます。
- 実務経験(3年以上介護等の業務に従事)
- 実務者研修修了
このルートだと、最短3年で介護福祉士を取得出来ます。
実務者研修
基本的な介護技術を幅広い方に応用する為の研修で、民間スクール等で取得可能。
誰でも受講可能ですが、初任者研修保有で免除がある為、受験前に受けるのが一般的。
⇒実務者研修とは?
その代わり、実技試験が免除になります。
実務経験
必要な実務経験は、雇用形態や保有資格は問いません。
ただし「従業期間」と「従事日数」が具体的に定められています。
詳しくは、「介護福祉士取得に必要な実務経験とは」をご覧下さい。
養成施設ルート
養成施設ルートは、指定された学校または養成施設を卒業し、受験資格を得る方法です。
養成施設は、「専門学校」や「大学」等です。
このルートだと、実技試験は免除されます。
必要年数は条件により異なりますが…、
一般高校卒業者ですと、2年以上通う必要があります。
福祉系高校ルート
福士系高校ルートは、福祉系高校か福祉系特例高等学校を卒業し、受験資格を得る方法。
学生の方で介護福祉士を目指すのであれば、こちらがオススメ。
福祉系高校の場合
定められた教科目・単位数を修め、卒業した方が対象。
実技試験も免除になります。
福祉系特例高校の場合
定められた教科目・単位数を修め、卒業した方が対象。
加えて9か月以上の実務経験が必須、実技試験免除には「介護技術講習」を受けなくてはなりません。
介護福祉士国家試験の内容
介護福祉士国家試験は、筆記と実技に分かれています。
どちらも年1回実施されます。
介護福祉士国家試験の概要
試験方法 | 【筆記試験】 選択式マークシート(11科目125問、1問1点) 【実技試験】 介助実技 |
---|---|
合格基準 | 【筆記試験】 正答率60%程度、全ての科目で得点がある 【実技試験】 総得点60%程度 ※どちらも難易度による補正あり |
試験日 | 【筆記試験】 1月下旬ごろ 【実技試験】 3月上旬ごろ |
試験会場 | 全国的に対応、一部未対応の地域あり |
合格発表 | 3月末頃 |
筆記・実技共に、60%程正解出来れば合格できます。
※筆記は全科目で得点が必要
試験の合格ラインは、「例年と比べ問題が難しかったか」も考慮し、補正されます。
筆記試験は午前・午後に分け行われ、試験時間はそれぞれ1時間50分。
受験票等だけでなく、昼食や飲料も用意していく事をオススメします。
筆記試験合格で、実技試験に進むことが出来ます。
受験申込方法
6月下旬頃より、社会福祉振興・試験センターで詳細情報が開示されていきます。
「受験の手引き」を取り寄せ、それに従い必要書類を提出して下さい。
受験料は「15,300円」、申込期間は「8月上旬~9月上旬頃」が目安です。
※センターの情報も必ずチェックして下さい
受験申込書をはじめ、提出書類は多く、個人で必要書類が異なるので注意。
特に実務経験証明書は、職場に発行依頼せねばならず、用意に時間がかかります。
受験申込が可能になったら、早めに準備を済ませましょう。
実務経験ルートの場合、申し込み時点で条件を満たせなくても大丈夫です。
試験当日までに要件を満たせば、見込みとして受験申込できます。
試験の出題範囲
国家試験の出題範囲は、下記。
介護福祉士国家試験の出題内容
筆記試験 |
|
---|---|
実技試験 | 介護等に関する専門的技能等 |
筆記試験の合格には、上記全11科目で得点が必要です。
実技試験は、問題の内容にそって介助を実演するというもの。
要介護者の状況や場面などを見て、正しく対応できるか試されます。
試験の合格率と対策勉強
介護福祉士国家試験の合格率は、およそ50~70%。
近年の合格率は、60~70%を推移してます。
しっかり試験勉強をすれば、合格を目指せる範囲ですね。
過去の合格率や受験者数
参考:厚生労働省(第31回介護福祉士国家試験合格発表)
合格率 | 受験者数 | 合格人数 | |
---|---|---|---|
第31回(H30年) | 73.7% | 94,610人 | 69,736人 |
第30回(H29年) | 70.8% | 92,654人 | 65,574人 |
第29回(H28年) | 72.1% | 76,323人 | 55,031人 |
試験対策には、「参考書での独学」か「試験対策講座」が一般的です。
介護福祉士対策講座を受ける場合、民間スクール等が対応してます。
講座によりスケジュールや内容が異なるので、自分に合ったモノを選びましょう。
独学での学習方法は、下記記事をご覧ください。
⇒介護福祉士に独学で受かるコツ
いずれにしても、早めに学習を始めておく事をオススメします。
合格後の資格登録手続き
国家試験に合格したら、資格登録手続きが必要です。
合格通知と共に「登録の手引き」が届くので、必要書類を提出します。
登録申請書や戸籍謄本、登録料の支払い等が必要になります。
- 登録免許税 9,000円(収入印紙を購入)
- 登録手数料 3,320円(郵便局等で支払い)
手続きが完了すると、1か月程で登録証が届きます。
登録証がありはじめて「介護福祉士」を証明をする事が出来ます。
職場で必要になる事もあるので、大切に保管して下さい。
紛失時は、再交付の申請をして下さい。
介護福祉士には、更新期限や手続きもありません。
更新忘れによる失効もないので、安心ください。
必要書類が多いので余裕をもって準備しよう
今回は、介護福祉士とはを総合的に解説しました。
最後に要点をまとめます。
- 介護福祉分野(介護士)の国家資格
- 国家試験を受けるには、実務経験や専門学校での学習が必要
- 給料や採用率アップに大きく貢献
- 実務を積めば、ケアマネや講師にもなれる
国家資格ではありますが、実務経験のみで受験する事も可能。
社会人からでも、働きつつ取得を目指せる資格ですよ。
※私も働きながら勉強してとりました
介護士が抱える収入の悩みを大幅にカバー出来るので、ぜひ取得しましょう。
他の介護資格はこちら。
⇒介護・福祉の資格一覧
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