精神保健福祉士は、精神に障害を抱える人を相談援助によって支える専門家。
社会福祉士や介護福祉士と同じく、福祉における名称独占の国家資格です。
当記事では、「精神保健福祉士の受験資格」を中心に分かりやすく解説します。
独学テキストや仕事内容も紹介しますので、精神保健福祉士に興味がある方はぜひご覧ください。
精神保健福祉士とは
精神保健福祉士は、「精神科ソーシャルワーカー(PSW)」とも呼ばれる国家資格。
精神保健福祉士法に基づく、名称独占の資格です。
精神保健の向上、及び精神障害者の福祉の増進に寄与することを目的としています。
精神的な障がいを抱える方のサポート職
精神保健福祉士は、精神的な障がい、病気を抱えた人を支える相談援助の福祉資格です。
上記原因により、医療や施設を利用してる方等の社会復帰をサポート。
あるいは日常生活における援助や訓練、相談アドバイスなどを行います。
その為の専門的知識・技術があると認められた人に与えられる資格となってます。
「社会福祉士」「介護福祉士」との違い
福祉に関する国家資格には、社会福祉士と介護福祉士もあります。
精神保健福祉士とあわせ、「3福祉士」とも呼びますね。
これらとの違いにも触れておきます。
まず同じく相談援助を担う存在として、「社会福祉士」の国家資格があります。
精神保健福祉士との違いは、援助の対象が違います。
- 精神保健福祉士
- 精神に病気や障害を抱える人
- 社会福祉士
- 高齢者や子ども、低所得者など、社会的ハンデを抱える人全般
社会福祉士は、社会的ハンデを抱える幅広い対象を援助します。
対し精神保健福祉士は、精神に問題を抱える人に特化して相談援助をします。
同じ福祉の国家資格として「介護福祉士」もあります。
こちらは介護現場におけるスペシャリストです。
確かな介護技術や知識を持ち、適切なケア方法を要介護者の日常生活を助けます。
精神保健福祉士の仕事と職場
精神保健福祉士は、精神障害を持つ人やその家族からの相談を受け、日常生活を支えるのが仕事。
職場により、幅広く様々な仕事を行います。
- 医療や施設の利用
- 生活訓練
- 就労支援
上記のように、必要なサポートを受けられるようサポートを行います。
適切にサービスを受けられるよう、家族や関係機関と連絡・調整するのも仕事の1つです。
相談援助を基本としながら、職場によって詳細は違ってきます。
ただどの職場においても、精神に障がいを抱えた方に社会的なサポートをするのが役割です。
- 精神科のある病院
- 就労支援事業所、ハローワーク
- 精神保健福祉センター、保健所
例えば病院なら、入退院の相談を受けたり、社会復帰のサポートなど。
就労継続支援事業なら、仕事について定着できるよう支援したりなど、業務は多岐にわたります。
精神保健福祉士の受験資格
精神保健福祉士の国家試験を受けるには、まず受験資格を満たす必要があります。
精神保健福祉士の受験資格を得る条件は、簡単に言うと下記2つです。
- 相談援助の実務経験
- 精神保健福祉士の養成施設に通う
実務経験や学習の量は、「卒業した学校」や「仕事の経験内容」で異なります。
下記はその関係を示した受験ルート図です。
まず相談援助の実務経験は、学歴による免除があります。
4年制の大学であれば「必要なし」、2年制の短大なら「2年」といった具合です。
そして養成施設には、一般と短期があり学習期間が異なります。
福祉大学で指定科目を履修した方は「なし」、基礎科目を履修者や社会福祉士は「短期」。
それ以外は「一般」の養成施設に通います。
それぞれ詳しく説明していきましょう。
「相談援助の実務経験」を積む
精神保健福祉士受験における実務経験は、主に精神障害を抱える方の相談援助を対象とします。
例えば、下記の様な職種です。
- 障害福祉サービス事業の生活支援員
- 放課後等デイサービスの相談援助職員
- 精神科病院のソーシャルワーカー
対象となる職種は、施設種類により異なります。
具体的には、公益財団法人社会福祉振興・試験センターをご覧ください。
実務経験の必要年数は、「何年制の大学・短大を卒業したか」で決まります。
実務経験の必要年数 | 該当者 |
---|---|
必要なし |
|
1年 |
|
2年 |
|
4年 |
|
4年制大学の場合は、一般大学でも実務経験は必要ありません。
また社会福祉士も免除となります。
ただし相談援助の実務経験がない方は、後述の養成施設で現場実習が必要です。
いずれにせよ、現場での実務は必要だという事ですね。
精神保健福祉士の養成施設に通う
精神保健福祉士の養成施設とは、分かりやすく言うと専門学校での学習です。
「専門校の精神保健福祉科を卒業する」という条件ですね。
養成施設には、「一般」と「短期」の2種類があります。
卒業まで”一般は1年以上”、”短期は6カ月以上”の学習期間が必要となります。
どちらに通う必要があるかは、下記表をご覧ください。
養成機関に通う必要がない |
|
---|---|
短期養成施設 |
|
一般養成施設 |
|
養成施設の学習内容は、福祉大学における「指定科目」「基礎科目」に該当します。
その為、福祉大学での科目履修者は「短期」や「免除」が可能となります。
社会福祉士も、取得の際に基礎科目を学習してる為に短期養成施設でOKとなります。
養成施設卒業までの内容
精神保健福祉士の養成施設は、「全日制」と「通信制」から選ぶことが出来ます。
さらに数は少ないですが、夜間対応の学校もあります。
⇒WAM NET(精神保健福祉士一般養成施設一覧)
通信制の学校であっても、スクーリングや現場実習があります。
一般の場合、スクーリングでは対面授業などを10日程度。
実習では210時間の現場による指導があり、日数にして30日程度です。
実習は、1年以上の実務経験があれば免除となります。
学習の進め方に関しては、社会福祉士の養成施設とも似ています。
下記記事で紹介してますので、参考にどうぞ。
精神保健福祉士の国家試験の内容
精神保健福祉士の国家試験は、年1回、2月の上旬頃に行われます。
内容は選択式の筆記試験であり、出題範囲は全16科目。
また社会福祉士の保有者は、科目の免除があります。
精神保健福祉士国家試験の「出題科目」と「合格基準」
下記は、精神保健福祉士の出題科目です。
- 【共通科目 11科目】
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 【専門科目 6科目】
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉・相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス
- 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム
- 総得点の60%程度を基準とし、難易度補正した点数以上を獲得
- 試験科目(16科目)全てにおいて得点がある事。
精神保健福祉士の試験科目は、「共通」と「専門」に分かれた計16科目。
これら全てで得点があり、正答率60%以上が基本的な合格条件です。
共通科目とは、社会福祉士試験との共通科目です。
社会福祉士の資格保有者は免除され、専門の6科目の試験となります。
試験の受験方法
受験には社会福祉振興・試験センターより、「受験の手引き」を取り寄せて下さい。
「ホームページ」か「郵便はがき」で請求することができます。
受験の申し込み期間前に、受験の手引きの配布が始まるので早めに入手しましょう。
※試験日:2月上旬、受験申込期間:9月初旬~10月初旬、手引き配布:7月下旬頃~
「実務経験証明書」など、各種必要書類を用意する必要もあります。
手間取っても大丈夫なよう、準備はお早めに。
試験の合格率
精神保健福祉士試験の合格率は、ほぼほぼ60%台を推移しています。
令和5年に行われた試験では、なんと合格率が70%を超えました。
受験者約7,000人に対し、合格者は約5,000人でした。
参考:厚生労働省(第25回精神保健福祉士国家試験合格結果)より
ちなみに社会福祉士の合格率は、約30%近くです。
ただ社会福祉士は毎年4万人を超える受験者がいます。
なので精神保健福祉士は簡単というより、本気の少数精鋭が受験してるという印象ですね。
しっかりとした試験対策が必要ですね。
精神保健福祉士試験の「独学テキスト・過去問」
精神保健福祉士は、国家試験だけあり学習教材も充実してます。
独学での勉強には、下記教材を目的別に使用しましょう。
- テキスト(参考書)
- 問題集
- 過去問
資格試験の独学では、まず「テキストと問題集で知識の基盤を作る」。
「過去問で腕試し、足りない知識を補う」という方法が効率よく勉強できます。
使用する書籍は、中央法規のモノがオススメ。
福祉試験対策の定番出版社であり、精神保健福祉士の内容も用意されてます。
私からのオススメは、下記の国試ナビです。
オールカラーの図解で分かりやすく、章末の問題で知識の定着が出来ます。
理解が捗り、効率よく知識を定着できる1冊ですね。
過去問についても、中央法規の物で問題ないでしょう。
解説付きで3年分を収録してます。
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