介護職員不足にある現在、介護派遣という働き方が注目を集めています。
介護派遣とは、派遣社員として介護施設などで一定期間働くという方法です。介護職員として色々な職場を経験でき、自分の希望条件を通せるのでプライベートな時間も確保できます。
介護職員の需要が高まっている為、多様な働き方が実現できます。
そこで今回は「介護派遣の働く方法とメリット・デメリット」をまとめました。
これらを解説しつつ、介護派遣で働く方法を解説します。
介護派遣と正社員の違いとは?
まずは介護派遣という働き方を確認してみましょう。
雇用主と雇用期間の有無が違う
派遣社員とは、派遣会社と雇用関係を結び、派遣先(職場)を紹介してもらうという働き方。
業務上の指示などは派遣先から受ける事になりますが、給料などは派遣会社から支払われます。
福利厚生などの待遇も、派遣会社に依存します。
また派遣社員には、3か月や6か月などの雇用期間があります。
契約した契約期間の終了までに、派遣社員と派遣先企業双方に契約更新の意思があれば、最大3年まで契約の延長が可能です。
派遣社員と正社員の違いは、雇用主の違いと雇用期間の有無になりますね。
派遣社員は、自分と派遣先(職場)の間に派遣会社が仲介に入っています。
実際に介護派遣を始めるには、派遣会社に登録する必要があります。
介護専門の求人・転職サイトが人材派遣サービスを担っている事が多いです。
介護における派遣社員と正社員の違い
派遣社員と正社員の違いを比較します。
介護に限らず、一般的な派遣社員にも共通する部分は多いです。
派遣社員 | 正社員 | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 勤務先(介護事業所) |
雇用期間 | 31日以上3年以内 | 基本無期雇用 |
給料やボーナスの支給 | 派遣会社より支給 ボーナスは基本無し |
勤務先(介護事業所)が支給 ボーナスは基本あり |
研修 | 派遣会社が実施 | 勤務先(介護事業所)が実施 |
ご覧の様に、介護派遣は基本的に派遣会社よりサポートを受ける事になります。
業務の指示などは、派遣先より受ける事になりますが、それ以外は派遣会社が対応します。
仕事でのトラブル相談なども、派遣会社が対応します。
派遣社員が派遣先で正規雇用される事もあり、それを前提とした紹介予定派遣という契約もあります。
また派遣社員には、基本的にボーナスは支給されません。
ただし介護派遣は、時給が高い傾向にあります。
正社員でも給料やボーナスの少ない職場もあるので、給料の良さはケースバイケースですね。
処遇改善手当は介護派遣でも貰える?
介護士の給料アップに欠かせない、処遇改善。
派遣社員も支給対象ですので、安心して下さいね。
処遇改善の支給対象は、「現場で介護業務を行っている職員」です。
雇用形態や保有資格は関係なく、支給されます。
いくらもらえるのかは、事業所次第という事ですね。
介護派遣のメリット
介護派遣と正社員の主な違いは、雇用期間がある事と多様な働き方を選べる事です。
それらを上手く活かすことで、介護派遣として働くメリットが生まれます。
不定期な勤務や職員不足にある介護業界において、マイペースに働けるのがメリットですね。
時間や期間を決め自分のペースで働ける
介護派遣では、事前に契約があるので、勤務時間や期間を決めて働けます。
自分のペースで働く事が出来るので、プライベートな時間を確保しやすいです。
- 数か月間だけ働きたい
- 1日6時間まで
- 週に○日出勤
自分で希望を出す事が出来るし、派遣会社が仲介に入り交渉してくれる為、希望を通しやすいです。
派遣先も、派遣会社が希望条件をもとに紹介してくれるので、職場探しの手間が省けます。希望条件も派遣会社に伝えればOKなので、直接伝えにくい事も言いやすいですね。
日中のみや夜勤専従などは、非正規ならではの働き方です。
特に短期集中で稼ぎたいという方には、派遣の夜勤専従はマッチすると思います。

雇用期間もメリットになり得る
「この期間だけ働きたい」と言う場合、雇用期間がある事がメリットになります。
また派遣先の「職場が合わない」と感じた時の逃げ道にもなります。
そうした時には、雇用期間がある事が助けとなります。
サービス残業が無い
派遣社員は時給が高い為、残業なども少なくて済む傾向にあるようです。
勤退も派遣会社が管理しているため、サービス残業もしなくてすみます。
直接雇用である内部職員の方が、残業を頼みやすいというのもあると思います。
その為にも、評価が高く信頼のおける派遣会社選びが重要ですね。
残業など仕事での悩みや相談をしっかりサポートしてくれる会社を選びたいものです。
職場とのミスマッチを防ぎやすい
介護現場の雇用改善が進んでいるとはいえ、介護士不足が続いています。
職員不足による過労、職場の人間関係・雰囲気など、求職者には不安が多いのが現状。残念ながら職員定着率の低い職場は存在し、すぐ辞めたくなる施設というのもあります。
介護現場の働きやすさは事前に知る事は難しく、実際に働いて初めて分かる事も多いのです。
正社員になってしまうと、すぐに辞める事が難しいケースもあるでしょう。
介護派遣で働けば、そうしたミスマッチを防げます。
リスクを抑え様々な可能性を残せる
紹介予定派遣など正規雇用に繋がる契約もあるし、派遣先から声を掛けられる可能性もあります。
職場でトラブルがあれば、派遣会社に相談して契約を終了する事も可能です。
有期雇用なので、いずれ職場を離れられるという安心感もあるでしょう。
介護は施設形態が多く、そこで暮らす利用者や利用目的も大きく異なります。色々な職場を経験出来るので、沢山の現場を知る事が出来ます。
それらの経験は、今後の職場選びや仕事に活かされるはずです。
介護派遣は高時給
介護派遣の時給相場は、直接雇用のパート職員より高い傾向があります。
地域や事業所により差はありますが、1,000円~1,500円程度が一般的です。
その理由としては、職場にとって都合よく人員確保できるそのシステムにあります。
- コストや時間をかけず人員確保できる
- 欠員が出たのでこの期間だけ人員確保したい
介護士不足という事もあり、派遣社員に頼らざるを得ない状況であるのも大きな理由でしょう。
また派遣会社によっては、賞与の支給や昇給などが見込めるところもあります。
介護派遣が高時給や福利充実を目指すには?
派遣社員の給料・福利厚生は、派遣会社によって違います。
よって、介護派遣で高時給で働いたり、福利厚生の充実を目指すには、派遣会社選びが重要です。
介護派遣も給料評価には、経験や資格が重要です。
収入アップを狙うなら「介護福祉士」の取得を目指しましょう。

介護派遣会社で、高待遇・福利充実の評判が良いのは「きらケア」ですね。

介護派遣のデメリット
介護派遣のデメリットは、やはり直接雇用でないという事に起因します。
短期的な働き方となるので、長期的な目線での評価が得にくいです。
契約期間がある事も、人によっては不安要素となります。
契約期間がある
メリットとしてもお伝えしましたが、契約期間があるという事はデメリットとも言えます。
どんなに職場が気に入っても、契約更新があるとは限りません。
契約更新したいと思ってもらえるよう、自分の働きでアピールする事も必要ですね。
また派遣社員は、原則同じ職場で3年を超えて働く事が出来ません。
雇用安定措置について
派遣元は同一組織に3年間派遣される見込みがある方に対し、派遣終了後の雇用を継続させる為の「雇用安定措置」を講じる義務があります。
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
- 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
- その他安定した雇用の継続を図るための措置
※1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務
参考:厚生労働省「派遣元事業主の皆さまへ」
派遣では、3年以上働くと法律上契約が打ち切られてしまいます。
その為に上記の様な支援が行われます。
どの措置を選ぶかは、基本的に派遣社員に決定権があります。
3年未満の方の措置は努力義務ですので、会社により異なります。
賞与やキャリアアップが期待できない
介護派遣は、雇用期間が定められている働き方です。
役職に就いたり、勤続年数などによる昇給など、長期的なキャリアップは期待できません。直接雇用に比べ、昇給などの機会は少ないでしょう。
介護派遣では、賞与が支給される会社も少ないです。
収入アップを狙うには、資格取得で高時給の仕事を選べる様にする努力も必要もですね。
自分を大切にした働き方が出来る分、正社員に比べ恩恵は少なくなります。
人間関係の構築に苦労する可能性
短期間で職場を変えるという事は、一緒に働く職員との関係も一新されます。
これをメリットとみるかデメリットとみるかは、意見の分かれる所でしょう。
合わない職員がいてもいずれ離れられるし、多くの出会いも経験できます。
いくら介護経験があっても、利用者様の情報なしに仕事は出来ません。
人間関係含め、仕事に慣れるまでが一番負担の大きい時期です。
慣れたと思ったら、また次の職場という事もあるでしょう。
人によって、合う合わない分かれる部分ではありますね。
ただ色々な職場を経験できる分、介護職としての成長速度には期待できます。
派遣社員は人間関係で苦労する?
よく「派遣社員は人間関係で苦労する」という話があります。
しかし、別に派遣だからといって人間が悪くなる事はありません。
職場が変わるスパンが短いから、慣れるまで大変だという話です。最初が大変なのは、派遣も正社員も同じですよ。
現場に入れば、雇用形態なんかは些細な事です。
派遣だからと人間関係や仕事に支障があるなら、正社員で働いたとしても働きにくさは変わらないと思いますよ。
ただし「派遣だから知らない」ではなく、こちらからも協力姿勢を見せておきましょう。
派遣だからと苦労する事もないので、ご安心ください。
介護派遣社員の契約種類と働き方
介護派遣として働きだす前に、派遣社員の働き方の種類をもう少し理解しましょう。
多くの場合は、派遣先が決まった時のみ雇用関係を結ぶ「登録型派遣」というモノになります。
他にも、派遣先での雇用を前提とした「紹介予定派遣」。
派遣会社と無期雇用関係を結ぶ「常用型派遣」があります。
1つずつ確認してみましょう。
登録型派遣
派遣での働き方は、ほとんどがこの登録型派遣です。
紹介される仕事の種類も多く、スタンダードな方法ですね。
通常は登録だけしておき、派遣先で働いている期間のみ派遣会社と雇用関係を結びます。
常用型派遣
常用型派遣とは、派遣会社の正社員や契約社員となる方法です。
そうした雇用契約を結んだうえで、派遣先で働きます。
派遣先と長期の派遣契約ができるのも特徴で、正社員並みの待遇となる事も多いようです。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、派遣先で直接雇用される事を前提に、一定期間派遣社員として働く方法です。
派遣先と派遣社員の双方に合意があれば、派遣契約期間終了後に直接雇用に切り替わります。
紹介予定派遣として働ける期間は、最長で6カ月と決められています。
転職で失敗したくない、という方にオススメの方法です。
介護の派遣先はどんな職場?
介護事業所において、派遣を受け入れている職種は介護職員(63.7%)です。
これは入居施設や通所施設の介護士の事で、訪問介護となるともう少し割合が低くなります。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「平成29年度 介護労働実態調査結果について」より
当記事執筆にあたり、実際に介護派遣の求人を確認しました。
調べたところ、特養や有料老人ホーム、グループホームなど、入居施設の求人が多く見られますね。デイや訪問介護の求人も掲載されてますし、探せば見つかるので大丈夫です。
総求人数の関係で、入居施設が見つけやすい状態にあるみたいですね。
介護の派遣社員になるには
実際には介護派遣として働くには、まず派遣会社に登録する必要があります。
登派遣会社のサイト上や電話などで登録が可能です。
登録が済むと、派遣会社が希望の条件から求人を探してくれます。
そして派遣先と社員双方の同意があれば仕事が決定、仕事開始となります。
…と、これが大まかな介護派遣で働く流れになります。
まずは派遣会社を見つけ、登録をするところからですね。
介護派遣対応の転職サイト
介護派遣として働くには、介護に特化した専門の派遣会社を選びましょう。
介護専門の求人サイトや転職サイトに、介護派遣事業を行うサービスがあります。登録後は自分で求人を探すことも出来、介護派遣として働きつつ、正社員求人も探す事が出来ます。
介護派遣に対応した転職サイトをいくつか紹介します。

こちらは「未経験者向け求人」に強い転職サイト。
介護教室も運営しており、転職サイトでありながら資格取得サポートもしています。
受講開始時に派遣社員として就業していれば、資格取得費用0円になる制度があります。
未経験・無資格から介護派遣になりたい人には、ピッタリですね。
他記事で、転職サイトの使い方やオススメサイトを解説しています。
非公開求人や転職アドバイスなど、色々メリットがあるので良ければご覧下さい。
⇒おすすめ介護士向け転職サイト4選!使い方と非公開求人を解説
派遣社員に必要な資格は?
無資格や未経験でも、派遣を受け入れてくれる施設はあります。
また介護資格の取得サポートをしてくれる派遣会社もあります。
しかし、派遣社員に即戦力としての働きを期待している施設があるのも事実です。
介護経験や資格はあるほど有利というのは、正社員も派遣社員も同じですね。
介護派遣のまとめ
今回は、介護派遣で働く方法やそのメリット・デメリットについてまとめました。
最後に要点をまとめておきます。
- 派遣会社と雇用関係を結び、派遣先を紹介してもらう働き方
- 契約期間がある有期雇用
- 需要がある為、高時給
- 介護施設の介護士の受け入れが多い
自分の希望条件で短期間働く方法なので、メリットやデメリットもそこに起因します。
正規雇用に繋げる方法もあるので、慎重に転職活動したい人にもオススメです。
- プライベートな時間を確保して働きたい
- 色々な職場をみて自分の適性を確かめたい
- 職場とのミスマッチをなくしたい
こんな人は、ぜひ介護派遣で働く事も検討してみて下さいね。
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