介護福祉士として実務経験を積むことで、介護講師(教員)として働く事が出来ます。
その為の条件は、養成校や研修講師などで違います。
特に需要が高まってるのが、介護福祉士取得に必須な「実務者研修の講師」。
その為には、「実務者研修教員講習会」参加が必要です。
実務者研修の講師を中心に、職場や研修別にその条件を解説します。
介護講師・教員になるには
介護士が介護教員・講師として働ける場所には、下記があります。
- 介護福祉士養成校
- 実務者研修の講師
- 初任者研修の講師
- 福祉学校
主に「実務者・初任者研修の講師」。
「介護福祉士養成校の教員」「福祉系高校の教員」の3つですね。
これらは介護福祉士の資格・実務経験を活かし、講師要件を満たせる職場。
介護士経験から講師を目指す場合、主に介護福祉士を利用する事になります。
介護福祉士で満たせる「介護系の講師要件」
介護士がこれらの教員・講師になるには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要です。
※各講師要件は、個別に後述します
加えて職場次第では、「介護教員講習会」や「実務者研修教員講習会」等の参加も必要にです。
注意点は、介護福祉士を取得してから5年の実務経験が必要という点。
実務経験で介護福祉士を取得するには、3年が必要です。
ゼロから働きながら介護講師を目指すには、合計8年必要という事ですね。
専任教員と一般教員の違い
また介護教員には、専任教員と一般教員があります。
多くの場合、実務経験や研修などの要件があるのは専任教員です。
一般教員になる条件は厳しくないですが、指導できる科目が限られる等の制約があります。
一般教員とは、非常勤の職員を言います。
養成施設などでは、学生数になど規定条件に応じた専任教員が必要です。
「実務者研修の介護講師」に必要な資格・研修
実務者研修は、介護福祉士の受験に必須となった資格です。
そのため受講者も増加しており、講師の需要も高まっています。
他と比べ、講師要件も満たしやすいのも特徴。
まずは、こちらを目指してみるのも良いですね。
専任教員と一般教員の資格要件
実務者研修の講師になるには、専任教員と一般教員で条件が異なります。
専任教員になるには、「実務者研修教員講習会」の参加が必須です。
一般教員の条件はなく、「相当の学識経験や実践的な能力を有する」と認められればなれます。
加え「医療ケア」を指導できるのは、実務経験を経た看護師等です。
教員種 | 講師要件・注意点 |
---|---|
専任教員 | 次の1・2のいずれかの要件を満たし、実務者研修教員講習会を修了している
<医療的ケア> |
一般教員 | 「介護過程Ⅲ(スクーリング)」と「医療的ケア」の担当教員には、下記要件が必要 (スクーリングを委託する 場合においても同様) <介護過程Ⅲ> ・ 専任教員要件の①又は②を満たし、実務者研修教員講習会、実習指導者講習会等を修了 <医療的ケア> ・ 実務5年以上の看護師等であって、医療的ケア教員講習会を修了していること等 |
参考:厚生労働省(実務者研修の指定基準について)より
要するに「介護過程Ⅲ」は、専任教員の条件を満たさないと指導できない、という事ですね。
医療的ケアは、看護師経験のある教員が指導します。
研修を受けた事のある方は、ここで講師が交代したのを覚えてるかと思います。
実務者研修教員講習会とは
実務者研修教員講習会は、介護に関わる内容の他、教育方法について学ぶ講習です。
実務者研修の構成や教育方法、評価など、講師に必要な内容を具体的に学びます。
内容は下記の3科目、合計50時間との講習となっています。
実務者研修教員講習会の内容
科目名 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
介護教育方法 | 教育方法の理論を基礎として、介護福祉教育における 具体的な教授・学習内容について理解する。 | 30時間 |
介護過程の展開方法 | 介護実践のためのアセスメント、計画立案、実施、 評価について、演習における具体的展開方法を学ぶ | 15時間 |
実務者研修の目的 評価方法 | 実務者研修の目的と、研修の構成・評価の在り方を理解し、 実務者研修の教育方法を学ぶ。 | 5時間 |
実施団体は、これらの科目を適切に行えると、地方厚生局に届け出、認められた法人や団体。
修了までの目安は、大体7日程度。
費用は約4万~7万程度ですね。
「実務者研修教員講習会」は、資格情報サイトなどで実施スクールを見つけられます。
「初任者研修の介護講師」に必要な資格・経験
初任者研修の講師要件も、比較的満たしやすいです。
また科目別に教員要件が定められてるのも特徴ですね。
教員要件も、その項目毎に細かく設定されています。
調べたところ、初任者研修の教員要件は、都道府県で少し異なります。
ただし「障害の理解」では、障害者福祉サービスでの実務が必要など…
科目によっては必要条件が加わる事もあるので、注意して下さい。
介護福祉士養成校の教員になるには
介護福祉士養成校の専任教員になるには、下記いずれかの要件を満たす必要があります。
- 介護福祉士、医師、保健師、助産師、看護師又は社会福祉士の資格取得した後
5年以上の実務経験を有する者 - 大学院、大学、短期大学又は高等専門学校において、教授、准教授、助教又は講師として、
その担当する教育に関し教授する資格を有する者 - 専修学校の専門課程の教員として、その担当する教育に関し3年以上の経験を有する者
介護士の場合、「介護福祉士として5年の実務経験があれば良い」という事ですね。
一般教員の場合、介護福祉士養成校が認めればよく、複雑な要件はありません。
ただし「介護」「こころとからだのしくみ」領域の専任教員には、条件が加わります。
下記全ての条件を満たさねばなりません。
領域名 | 専任教員の条件 |
---|---|
介護 |
|
こころとからだのしくみ |
|
参考:厚生労働省(介護福祉士養成課程における 教育内容等の見直しについて)より
これらの専任教員となるには、「5年の実務経験」と「介護教員講習会への参加」が必須です。
※介護教員講習会の修了も必須
介護教員講習会とは
介護教員講習会とは、日本介護福祉士養成施設協会や、介護福祉士会が行う講習会。
※受講資格には、介護福祉士として5年の実務経験が必要
教務主任要件などに設定されてる講習ですね。
下記は、講習会のカリキュラムです。
介護講習会の内容
基礎分野 (合計60時間ほど) | ・社会福祉学(30時間) ・心理学(30時間) |
---|---|
専門基礎分野 (合計90時間ほど) | ・教育学(30時間) ・教育方法(15時間) ・教育心理(30時間) ・教育評価(15時間) |
専門分野 (合計150時間ほど) | ・介護福祉学(30時間) ・介護教育方法(30時間) ・学生指導、カウンセリング(15時間) ・実習指導方法(15時間) ・介護過程の展開方法(15時間) ・コミュニケーション技術(15時間) ・研究方法(30時間) |
講習の内容は合計すると、300時間にも及びます。
費用の目安は安く済んで20万弱、高くて40万円程。
時間も費用もかかる講習です。
現在はコロナの影響もあり、オンライン環境で行われている様子です。
福祉系高校で介護福祉士が必要な科目
福祉系高校の教員にも、介護福祉士が必要となる科目があります。
介護福祉基礎や介護実習を指導する教員のうち1人は、下記要件をいずれかを満たす必要があります。
※他には、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、介護総合演習が該当
- 介護福祉士の資格を有し、資格の取得後5年以上の実務経験を有する者
- 介護福祉士の資格を有し、※文部科学大臣及び厚生労働大臣が別に定める基準を満たす研修を修了したもの
※教員介護実習と教員介護知識技能講習を指す
その他これらに準ずるもの
参考:文部科学省(福祉系高等学校等の教員要件)より
教員として、介護福祉士の経験が求められる場面ですね。
介護講師・教員の求人は?
介護教員・講師の求人は、介護士と比べると少ないです。
介護職専門の求人サイト等で見つける事も難しいようです。
介護士とは違い、総合的な求人サイトを使った方が情報を見つけられるでしょう。
介護講師・教員講習会の条項要件には、「講師となる意志がある事」といった感じの文言が書かれている事もあります。講習先で、就職先を相談してみるのも良いでしょう。
また個人的には、下記の様な介護研修の講師が目指しやすいかと思います。
- 初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士試験対策講座
これらの大手スクールであれば、募集要項も公式HPで掲載されてます。
上記講座を開講してるスクールを調べ、採用情報を調べてみてはどうでしょう。
既にそういった所へお勤めの方は、講師となりたい旨を会社へ相談してみましょう。
また介護施設等へ赴く、外部講師として独立し活躍する方法もあります。
施設内研修として、講習や勉強会を行う形ですね。
こちらは特に決まった要件はなく、教える内容も自由です。
その分、語れる経験や知識、実績等が求められます。
また講義内容の構築、教材など、準備も全て自分で行わなくてはなりません。
さらには「研修を受けませんか?」と、積極的に営業を行う必要もあります。
その為、まずは実務者研修等の講師を目指してみるのが手堅いかと思います。
まとめ
当記事では、「介護士が介護講師(教員)になる方法」をまとめました。
場所によっては必要な講習もありますが…、
介護福祉士の実務経験5年、が全体を通してのキーワードでしたね。
自分が今後どう働きたいか考える、節目の年になりますね。
講師・教員から脱線しますが、「人に教える」という意味では、介護予防分野もあります。
高齢者向けに介護予防体操を教える「インストラクター」ですね。
もし興味があれば、下記資格等の説明もご覧になってみて下さい。
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