介護では転倒や転落、認知症による徘徊など、危険リスクが高い方がいます。
そんな方の安全の為に使用できる物の1つに、離床センサーがあります。
これはベッド周辺にセンサーを設置し、利用者の離床を介助者に伝える物。
ずっと付き添う事の出来ない介助者に代わり、要介護者の動き出しを教えてくれます。
当記事では、「介護用離床センサーの種類と選び方」を解説。
実際の介護経験も交え、お伝えしていきます。
介護における離床センサーとは
離床センサーとは、その名の通り「使用者がベッドから離床した事」を伝えるセンサーです。
※介護センサーとも
マットレス上や、ベッド側の床、ベッド柵等にセンサーを置き反応を検知。
受信機やナースコールを通し、介助者に使用者の動き出しを教えてくれます。
離床センサーが「必要な場面」と「使用目的」
介護用離床センサーは、ベッドからの離床を検知する目的で使用します。
介護を必要とする高齢者は、介護者に助けを呼べる方ばかりではありません。
歩行状態が悪かったり、認知症で自らの危険を理解できない方も沢山います。
または徘徊による危険リスクの回避目的で使います。
介護での具体的な使用シーンとしては、下記の様な物があります。
- 転倒リスクが高い方の歩行介助・付き添いする
- 体動が激しい方のベッド転落を防止する
- 徘徊がある方の様子を見に行く
介護で多いのは、転倒防止のために駆け付ける目的ですね。
他にはトイレで失敗してしまう方の介助に行く等の使われ方もします。
ナースコールの使用理解が難しい方等に代わり、危険を連絡。
介助者に知らせる事で、見守り・付き添いに駆け付ける事ができます。
離床センサーの使い方
具体的には後述しますが、離床センサーは種類で設置場所や検知方法が異なります。
介護用離床センサーの設置場所で、代表的なのは下記。
- ベッド近くの足元
- ベッドマットレス
- 枕や手すり
使用者がベッドから起き上がったり、ベッドから離れた時。
ベッド柵に触れた時、人感センサーによる検知など、様々な場所・方法が選べます。
離床センサーからの反応は受信機で検知し、介護者に知らせます。
専用の受信機がある離床センサーもある為、使用場所や好みに応じて使い分けましょう。
広く見ると、下記の様な「人感センサー」も離床センサーとして使用できます。
介護保険によるレンタルも可能
離床センサーは、福祉用具では「認知症老人徘徊感知機器」に分類。
介護保険の福祉用具貸与の対象品目となってます。
原則要介護2~5の方を対象とし、1割負担でのレンタルが可能です。
※一定の所得がある方は、その額に応じ2~3割負担
「意思伝達や記憶・理解に支障がある事」、両方に該当とする方が対象。
※参考「厚生労働省(介護保険における福祉用具の選定の判断基準改訂案)」
制度上では、「自分で動けるが、認知症で危険が伴う方」を想定した福祉用具ですね。
転倒防止よりは、「徘徊感知」を主目的にした商品です。
もし介護保険によるレンタルを希望する場合、詳しくはケアマネジャー等に相談下さい。
⇒福祉用具情報システム(認知症老人徘徊感知機器の検索結果ページ)
介護用離床センサーの種類と選び方
ここからは、離床センサーの各種類や特徴。
実際の選び方を解説します。
介護用離床センサーの種類と特徴
介護用離床センサーの種類を簡単にまとめました。
下記図は、「種類毎のベッド設置場所」。
表は「センサー名と使い方」の説明となります。
離床センサーの種類 | 使い方や検知方法 |
---|---|
①ベッドセンサー | ベッドマットレス上にセンサーパッドを設置し、離床を検知 覚醒状況や呼吸状態などが分かるモデルもある |
②センサーマット (フットセンサー) | ベッド脇の足元に設置するマット型センサー マットを踏むと反応を検知 |
③ピローセンサー | 枕の下に敷くタイプのセンサー 頭が離れると検知する |
④タッチセンサー | ベッド柵や介助バーに設置するセンサー 触れたり握ると検知する |
⑤ベッドサイドセンサー | ベッドの端のマットレス上に設置する細長いセンサーパッド ベッドから降りる際、ベッド端に体重が乗ると検知 |
⑥クリップセンサー | 利用者の衣類に「紐付きクリップ」を取り付けるセンサー 紐とクリップが離れた時に検知する。 |
⑦超音波・赤外線センサー (人感センサー) | 超音波や赤外線で人の動きを検知する ワイヤレス人感センサーなど、購入しやすいモデルもある |
離床センサーには色々種類がありますが、マットレス上に設置する種類が多めです。
導入の際は、「入眠・身体状況を確認する介護機器」の機能の1つに考えると良いでしょう。
超音波・赤外線センサーは、主にフットボード等に取り付ける商品です。
ただこれは、福祉用具として販売されている商品の特徴。
実際には、ホームセンターで売られてる様な人感センサーも多く使用されます。
介護施設などで使われてる種類は、ベッドセンサーとフットセンサーが多め。
それに加え、人感センサーも使う感じですね。
ベッドセンサーで離床前の「起き上がり」を検知。
あるいは靴を履く動作中にフットセンサーで検知、といった使い方がポピュラーです。
離床センサーの選び方と注意点
離床センサー使用時の注意点として、体動が多い方だと誤報も多くなる点。
特にベッド上に設置するタイプのセンサーは、誤報が発生しやすいです。
現場での使用経験では、寝返り動作による離床検知もたびたび見られました。
あるいは「誤って触れてタッチセンサーが反応」、といった例が多いです。
誤報も問題ですが、センサーを選ぶ時は確実に検知する事も重要です。
例えばタッチセンサーを使うなら、本人が離床時にベッド柵を持つ事を確認したいです。
Wi-Fi等を使用する商品は、ネット環境により遅延(ラグ)が発生する事もあります。
体動が激しい方の場合、より降り口に近いベッドサイドや床マットのセンサーが良いです。
離床センサーの個人的な使用感
実際に使って思ったのは、「より離床前の動作を検知すると、誤報が多くなる」。
しかし「足をついた時など、より確実なタイミングでは間に合わない事もある」事。
歩き出しまでの時間、間に合わなかった時の対策まで考え、センサーを使用しましょう。
- 「靴を履いてる時間に」など、駆け付けられるタイミングを確認する
- 車椅子や歩行器を安全に使用できる位置に置く
- 手すりの設置や危険物の撤去など、「安全な動線」を考える
個人的なオススメを挙げるなら、フットセンサーが誤報が少なく使いやすいです。
シンプルな赤外線の人感センサーも、必要時に反応を拾いやすくオススメ。
「誤報の少なさ」「検知の確実性」を考えると、上記2種が使い勝手が良い印象。
先に述べた対策や工夫を取り入れつつ、使用すると良いでしょう。
「家庭用の介護離床センサー」はある?
介護用の離床センサーは、主に介護施設や病院での使用を想定しています。
というのも、これらはナースコールと連動した商品が多い為。
センサー部が送信機となり、ナースコールが受信機を兼ねる形ですね。
家庭用に離床センサーを使用するなら、受信機と送信機がセットの商品がオススメ。
例えば、人感センサー式のワイヤレスチャイムが同じ役割を果たせます。
こちらの様な商品ですね。
これはセンサー範囲内で動きを検知すると、受信機に知らせてくれる商品。
他にもスマホ連動した商品もありますし、手頃な価格で購入可能です。
レンタルを使用しない場合や、すぐにセンサーが必要な時など…
離床センサーの代替手段として役立つちます。
その他には、ドアセンサーや見守りカメラ等も介護での見守りに役立ちます。
センサー搭載の見守りカメラもあるので、色々調べてみるのも良いでしょう。
どれも専用の福祉用具より手頃に入手できますので、必要に応じ手に取ってみて下さい。
自宅環境で使えそうな離床センサーには、テクノスジャパンの家族コールもあります。
こちらは受信機付きのセンサーマットですね。
話のタネに紹介しておきますが、高価格ですので勧めにくいです。
「レンタル使用前提の自宅用センサー」という感じですね。
介護サービスによる介入を頼る等、他アプローチでの問題解決も考えていきましょう。
センサーマットの使用は身体拘束に該当するか?
離床センサーの使用にあたり、「身体拘束にあたるのではないか?」という話があります。
離床センサーの使用は、必ずしも身体拘束になるとは限りません。
しかし、拘束に該当する使い方もできる商品であり、注意が必要です。
離床センサーを利用し、「離床の度に無理矢理ベッドに戻す」など。
本人の行動制限を目的とした使い方は、身体拘束に該当する可能性が高く注意が必要です。
※参考「福島県HP(身体拘束廃止に係るQ&A)」
センサー類を使う際は、身体拘束の可能性を考える事。
本人の尊厳を保持し、気持ちに向き合ったケア・使い方を考えていく事が大切ですね。
厚生労働省の「身体拘束廃止・防止への手引き」では、実例を交えた具体的説明もあります。
介護に携わる方は、1度目を通しておく事をオススメします。
さいごに
今回は「介護用離床センサーの種類と選び方」の解説でした。
離床センサーは種類が豊富であり、意外と選び方・使い方共に難しい商品です。
頻回なセンサー反応に疲れる介助者、センサーが気になる高齢者もいるなど…
その付き合い方も、ちょっと考えさせられますね。
当サイトでは、他にも様々な介護用品を解説してます。
さいごに、転倒防止に関連する記事をピックアップ。
気になる内容があれば、ご覧ください。
コメント