働き方改革により、働き方の多様性に注目が集まる様になりました。
自分に合った働き方の実現において、やはり労働時間も気になる所。
特に介護業界は職員不足もあり、介護職を目指してる方も不安があると思います。
そこで当記事では、介護士の労働時間をテーマにお話しします。
- 介護士の労働時間はどのぐらい?
- 休憩や残業などを含めた実態
- 介護職が労働時間を少なくする方法
所定内労働時間などの基本的な情報。
時間外労働も含めた実態まで、介護職の勤務時間を詳細にお伝えします。
また労働時間削減に向け、個人で取り組めるポイントもご紹介します。
介護士の所定内労働時間はどれぐらい?
介護職は、どのぐらいの時間働いているのか。
まず所定内労働時間から、正社員(フルタイム)の例でご紹介します。
介護士の労働時間は平均より少し長め
介護職の所定内労働時間は、基本的に実働8時間+休憩1時間。
仕事による1日の就労時間は9時間。
また月の公休は9日とする職場が一般的。
1ヵ月30日として、月の出勤日数は21日。
労働時間は1月で168時間、単純計算で年間で2016時間となります。
所定内労働時間は、下記の法定労働時間内で設定されなくてはなりません。
- 1週間で40時間以内
- 1日で8時間以内
ちなみに2019年の平均労働時間は、全体で年間2000時間でした。
※パートタイムを除く一般労働者
「働き方改革以前の非製造業」のそれに近い数字となります。
※参考「経団連(2020年 労働時間等実態調査)」
介護職の多くが「週35時間以上」勤務
介護職の1週間の労働時間は、令和1年度で下記データが出ています。
職種 | 35時間以上 | 20~35時間 | 20時間未満 |
施設介護士 | 61.1% | 17% | 10.8% |
訪問介護職員 | 34.1% | 17.8% | 31.4% |
サービス提供責任者 | 78% | 3.2% | 0.6% |
生活相談員 | 81.1% | 3.6% | 1.3% |
介護支援専門員 | 52.1% | 17.5% | 19.4% |
※参考「介護労働安定センター(令和元年度 介護労働実態調査結果)」より
訪問介護は労働時間が少なめですが、パート職員が多い事が関係してると思われます。
逆に労働時間が多かったのは、「サービス提供責任者」と「生活相談員」。
サービス提供責任者は、訪問介護における役職者。
報酬も高い仕事ですが、それだけに業務量も多くなります。
生活相談員は、施設の窓口業務などを担う相談援助職。
ただ現実は介護士不足で現場に出る事もあり、業務範囲も広くなりがちです。
月間の労働時間は「約160時間」
少し古いですが、雇用形態による月間労働時間を示したデータもあります。
下記は、平成17年時点における介護職の月間労働時間。
- 正社員【161.2時間】
- 非正社員【93.1時間】
※介護労働安定センターの調査より
正社員に関しては約160時間と、冒頭での単純計算に近い数字が出てます。
介護職の労働時間は、現在まで大きく変わってない事が推測できますね。
シフトによる労働時間の違い
介護職の多くはシフト制の仕事です。
特に介護士の場合、様々なシフトで働く必要もあります。
1日8時間労働を基本としつつ、下記の様な働き方をします。
- 早番【7:00~16:00】
- 日勤【9:00~18:00】
- 遅番【11:00~20:00】
相談職や管理者等は、日勤での勤務がメインです。
詳しいシフト内容や勤務時間は、下記をご覧ください。
介護現場の夜勤は長時間
中でも労働時間で注目すべきは、夜勤です。
介護施設では、8時間夜勤と16時間夜勤の2つがあります。
- 8時間【22:00~翌7:00】
- 16時間【16:30~翌9:30】
8時間の場合、日勤帯と同じく「実働8+休憩1」の9時間勤務。
しかし16時間ですと、2日勤務したと見なされます。
その内訳は「実働16+休憩1~2」で、就労時間は計17~18時間となる事が多め。
パートや非常勤の労働時間
それでは、パートタイム等の非常勤の労働時間も見てみましょう。
非常勤の場合、介護職でも様々な働き方が可能です。
フルタイムの他、短時間勤務も認められ、各シフトに囚われない勤務時間も選べます。
出勤日数なども含め、労働時間を自分でコントロールできるのが特徴ですね。
その選択幅の例として、介護士で短時間勤務する例を紹介します。
- 日勤のみの短時間勤務【9:00~13:00(4時間)】
- 出勤日数を減らす【月休15日以上も可】
介護職の需要は高く、パート社員は多様な働き方を選択できます。
上記では、実際によくある短時間勤務の例です。
この程度の条件であれば、需要もあり採用も得やすいですね。
時間外労働も少なめなので、健全性も高いです。
時間外労働を含めた「介護士の長時間労働」の実態
ここまでに紹介したのは、介護職の所定内労働時間が中心でした。
残業を考慮しない会社で決められた労働時間です。
しかし現状大きな問題となってるのは、残業時間でもあります。
介護職の時間外労働は「月8時間」
2019年の全労連の調査では、介護職の時間外労働時間は月平均8.2時間。
正規職員では、10.2時間との事でした。
時間外労働時間がないと答えたのは、全体の32%。
「月に45時間以上」という回答には、1.8%集まってます。
上記記事でもいってますが、申請しにくい為のサービス残業も多くあります。
時間外労働は、就業後の方が長くなる傾向ですね。
また介護職には、始業前に仕事の情報収集が必要になります。
仕事前に情報確認をすまし、始業後にはすぐ業務に入る事を求められます。
「高介護度」「役職者」は長時間労働の傾向
これは経験則ですが、下記状況に当てはまるほど長時間労働の傾向にあります。
- 平均介護度が高い
- リーダー等の役職に就いている
平均介護度が高いほど、介護職員の仕事量は増えます。
また役職者の専門業務は、ほとんどの場合、通常業務をこなしつつ行います。
専用の時間を設ける事は難しく、単純に仕事量が増える事になりがち。
「夜勤者の休憩確保」ができない問題
介護施設での夜勤では、休憩に関する問題も散見されます。
特によく言われるのが、ワンオペ夜勤に関する問題。
夜勤介護士が1人の為、休憩も取れず利用者にとっても危険リスクが高いという内容。
休憩中も仕事になるので、当然労働時間も増えます。
もちろん仮眠もとれません。
実働16時間の場合、休憩も加えると17時間以上。
これだけの間、働き続ける事になります。
広がる「サービス残業」と「人材格差」
私も介護職として10年近く色々な職場で働いています。
現場にいる感覚としては、所定内労働時間はここまでの内容と概ね同じ。
ただ時間外労働に関しては、調査内容より多く感じますね。
申請分の残業時間は調査内容に近いですが、申請しなかった分はもっと長い。
職員不足の状況下では、休憩時間も満足に取りにくい事もあります。
職場による人材格差も広がっている
またそれ以上に感じているのが、職場による人材状況の格差。
先述の問題は私の職場選びに原因があり、職員不足の職場によく当たった為です。
当時はこんなモノと思ってましたが、近年の入職した職場でそれは違うと分かりました。
待遇が良い為か、沢山の介護職員が毎月入職してきます。
前職では応募すら稀でしたので、やはり「職員が集まる所はあるのだ」と実感してます。
休暇も収入も増え、介護事業所間の格差は認めざるを得ません。
これについては、次項で詳しく触れます。
介護職が長時間労働を避けるには?
介護職が労働時間を減らしたり、所定内時間で健全に働くにはどうすべきか。
求職者としては、下記等の行動が効果的です。
- 雇用形態にこだわらない(パート・派遣)
- 勤務時間への意識を高める
- 「待遇の良い職場」へ転職する
介護職として労働時間にこだわる方は、参考にしてみて下さい。
「正社員(常勤)」にならない
労働時間を少なく働きたいなら、最も有効なのは正社員にならない事です。
パートや派遣として、自分で労働時間を指定する方法ですね。
近年の介護業界では、非常勤の時給相場や福利厚生の良い職場も増えてきました
例えば私は、最近は月の公休を12日にして働いてます。
ボーナス等、正社員より収入は落ちますが、月の手取りは「少し安い正社員」並みに貰えてます。
また介護派遣は、全体的に高時給です。
仕事にも困らず時間コントロールも可能なので、コスパの良い働き方ですね。
収入と労働時間のバランス感覚は人それぞれなので、選択肢の1つとして覚えておきましょう。
パート社員の雇用改善も進んでいる
勤務日数や勤務時間の少ない非常勤でも、正社員と同等の雇用条件を設ける職場もあります。
バリエーションや条件は様々ですが、下記の様な事例をいくつか発見できました。
- 8時間勤務のパートを正社員として雇用
- 非常勤社員の雇用条件改善
- 短時間正職員制度の採用
人材の確保・定着に向け、パート社員のモチベーションアップに取り組む職場も増えてます。
こうした制度が広まり、介護が魅力ある仕事になって欲しいですね。
時間外労働をしない
もう1つは、残業をしない働き方をする事です。
ここで大切なのは、自分だけでなく「人にも残業させない」事。
職場全体で労働時間を守る意識を共有するのが重要。
自分だけ定時を意識しても、人間関係で働きにくい状況を作ってしまいます。
情けは人の為ならずで、相手への気遣いが後に自分を守ります。
これを全体で守る事を意識しましょう。
労働時間削減には「人手」が必須
介護業界の労働問題は、結局は人手不足です。
「労働時間を増やしたくない」「休みが多く欲しい」。
こうした希望を叶えるには、やはり職員数が必要です。
人手があれば、時間外労働も減らせますし、有給消化もしやすくなります。
夜勤に入るのであれば、休憩や仮眠の確保は最重要。
労働時間の削減には、マンパワーの確保は非常に効果的です。
高収入など「魅力ある職場」を選ぶ
では、職員が多い職場とは何なのか?
分かりやすい指標は、待遇や勤務条件の良さでしょう。
- 高収入
- 休日数が多い
- 「資格費用免除」「特別休暇」など魅力的な制度がある
こうした分かりやすい魅力がある求人には、自然と応募が集まります。
職員同士の雰囲気が良ければ、なお良いですね。
経験則ですが、新しめの施設は人間関係が固まっておらず働きやすい印象。
ただ運も絡みますし、運営方針もあるので一概には言えません。
転職成功には、情報や慎重な判断が求められます。
私から何か勧めるのであれば、オープンから日が浅く収入の良い施設でしょうか。
転職エージェントも活用し、詳細な情報の収集にも励みましょう。
慎重派には、マッチング重視のきらケアをオススメします。
最後に、当記事の内容に関連する記事を紹介しておきます。
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