介護士を中心とした介護職は、年間休日や有休がどれぐらいあるでしょう?
働きやすい職場に転職するには、毎月の休日数も大切なポイント。
「本当に休めるのか」、「有給は使えるか」、という実態も気になるところです。
10年近く介護士をしてますが、休みの多さは働きやすさに直結します。
改善に成功した優良企業もご紹介します。
主に介護士を中心とした内容ですが、他の介護職にも当てはまると思います。
介護職の休日数はどのぐらい?
介護職の休日数は、職場によりいくらか違いがあります。
色々な施設で介護士として勤務しましたが、月休9日程度が平均的と感じます。
年間休日数は110日程度ですね。
職員数に余裕があれば、これに加えて有給取得する余裕もある。
いない場合は、休日出勤が必要になると思って下さい。
実際の調査データから、介護士の年間休日数を調べてみます。
医療・福祉分野の年間休日数
厚生労働省による調査結果に、「医療・福祉分野」の年間休日データがあります。
医療・福祉分野の年間休日
・1企業 平均年間 休日総数【109.4日】
・労働者1人 平均年間 休日総数【111.5日】
※参考:厚生労働省(平成30年就労条件総合調査の概況)
医療分野も加わってますが、平均年間休日数はおよそ「110日」です。
回答項目別にみると、下記の様になります。
- 「100~ 109日 (40.4%)」
- 「110~ 119日 (24.7%)」
- 「120~ 129日 (19.4%)」
冒頭で述べた「月の公休9日」という職場が多い感じですね。
※9日×12ヵ月=108日
福祉分野の休日数を全体平均と比較
この数字は、他業界と比べるとどうなのか?
同調査内容から、「企業全体の平均年間休日数」と比べてみましょう。
※( )内は、医療・福祉分野
- 1企業平均 107.9日(109.4日)
- 労働者 1 人平均 113.7日(111.5日)
医療・福祉分野は、平均と同じぐらいの年間休日数ですね。
ちなみに介護求人においても年間休日100~110日は、よくみられる数字。
「1企業の平均年間休日」で見ると、休日数が少なかった業種は下記2つ。
- 運輸・郵便業 (100.3日)
- 宿泊・飲食サービス業 (97.1日)
休日数が多かったのは、「情報通信業(118.8日)」という結果でした。
介護士の1週間の労働日数
「介護士」に特化したデータも見てみましょう。
介護労働安定センターの資料に「1週間の労働日数」のデータがあります。
『介護職の1週間の労働日数の平均』
介護職員 【4.8日】
・正規職員 【5.0日】
・非正規職員【4.3日】
訪問介護職員 【4.9日】
・正規職員 【5.1日】
・非正規職員 【4.7日】
サービス提供責任者【5.2日】
・正規職員 【5.2日】
・非正規職員 【5.1日】参考:介護労働安定センター(介護労働者調査の統計表)より
訪問介護と施設介護では大きな差はなく、週に5日程度の勤務。
すなわち週休2日という事で、休日数は平均的ですね。
やはり非正規の方が休日数が多いですね。
介護施設では、より正規職員との開きが大きくなります。
仕事量の多さもあり、勤務日数は多めという結果でした。
介護士は、年間で休日のバラつきも少ない仕事です。
特別休暇もほぼありません。
これだけで年間休日を完全には把握できませんが…、
ここまでの内容で考えると、介護士の年間休日は105日~110日程度が平均とみて良いでしょう。
希望休はどれぐらい取れる?
介護職は、一部施設を除き毎日運営しています。
休みも不定期なシフト制なので、毎月希望休を取る事が出来ます。
希望休に関しては、月に3日程度が一般的です。
シフト作成者や職場ルール次第では、夜勤等の指定が出来る事も。
それとは別に希望を取れる事が多いと思います。
働きながら資格も取れる
介護資格には、初任者研修や実務者研修など、スクーリングが必要な資格もあります。
これらの様な仕事に関する資格を働きながら取る場合、職場の協力を得る事も可能です。
恐らくですが、相談すれば毎週の休日を指定可能できます。
資格取得や研修など、希望を多く出したい時は素直に相談しましょう。
思い切って転職を考えましょう。
ちなみに私が入所介護施設で働いた時は、月の希望休は3日まででした。
年間休日は「107日」、月の公休は9日(2月のみ8日)。
人手不足・人材獲得に苦労している、所謂”並”の施設です。
参考までに。
介護士の休日数の実態は?
介護士の平均休日は「年110日」、「月9日」と話しました。
多いとは言えませんが、全体と比べても平均的な数字です。
ただその実態を語るとなると、もう少し少なく見ておくのが無難かと思います。
休日数は「職員数次第」
介護職、特に介護士の休日数は「職員数」次第によるところがあります。
職員が足りなければ、誰かがその分の穴埋めをしなくてはなりません。
それを担うのは、やはり現場の介護職になります。
職員が少ない職場では、こんな勤務が必要になります。
- 休日出勤
- 残業
- 半休
休日出勤や残業が増え、休日が減り、勤務時間が増えます。
休日出勤分は時間外勤務となり、次月に休日が戻る事はほぼありません。
人員がおらず、休日を返還できる見込みが無い為
半休とは、短時間勤務での出勤です。
勤務時間半分での出勤=半分休日ということ
半休の日が2日があれば、公休1日分としてカウントされます。
丸1日の休みじゃないので、疲れも残ります。
上記3つが増えてきたら、相当人員不足に困っている職場と考えて良いです。
職員不足は「働き方」にも悪影響
職員の不足や偏りは、働き方にも影響します。
「連勤」や「夜勤数の増加」が、その主な所です。
また職員が少ないと、急用や体調不良でも休みにくさを感じる事もあります。
周りへの気遣いから、休む事が負担になるケースもあるので注意しましょう。

この様に介護職において職員数は、働きやすさを決める重要な要素です。
ここで紹介した様な職場に出会ってしまったら、早めに逃げるのが賢い選択です
休日出勤が多い施設を見破るには
職員が少ない施設の特徴は、職員の定着率が低いこと。
労働環境が悪いため、職員の入れ替わりが激しく、負のスパイラルに陥っています。
考えられる原因としては、下記の様なモノがあります。
- 労働環境への不満
- 給料が安い
- 人間関係
コレという原因を1つに絞る事は難しいのですが…、
給与や働きやすさなど、職場の魅力が不満に大きく負けてる時でしょうね。
当然働いても満足度が低く、働きやすい職場とは言えないでしょう。
職員数がいると思っても、急に人がいなくなり「休日出勤」や「残業」が増える事も。
そうした時、職場の改善・対応力が明らかになります。
人がいない状況をどう回避し改善するか、職場の信頼性・運営力を見定める機会です。
「労働環境が改善されない」、「もう自分は限界」と感じたら、迷わず逃げて下さい。

介護業界では、転職回数はそんなに問題になりません。
きちんと説明し、ポジティブな理由があれば大丈夫です。
前職場を悪く言いすぎるのはNG
今までと違う種類の事業所を選ぶ事で、解決できる可能性もあります。
介護士の有給休暇取得状況
介護士の有給休暇についても、ご説明しておきます。
結論を言ってしまうと、付与はされるが使用が難しいのが現状かと。
理由はもちろん「職員がいない」から。
他の労働環境に注目しても、優良企業と言って良いでしょう。
「医療・福祉分野」で見る有給取得率
休日と同様に、有給の平均取得率を見てみましょう。
厚生労働省の資料に、「医療・福祉分野」の有給取得状況があります。
『医療・福祉分野の有給取得状況 (労働者1人平均 )』
【有給付与日数】17.0日
【有給取得日数と取得率】8.9日(52.2%)参考:厚生労働省(平成30年就労条件総合調査の概況)
有給の付与は17日、取得日数は約9日。
取得率はおよそ50%です。
上記は介護職に特定するものでなく、あくまで「医療・福祉」のデータです。
同資料より、全体の平均と比べてみます。
【有給付与日数】18.2日
【有給取得日数と取得率】9.3日(51.1%)
医療・福祉分野と大きな差は無い結果ですね。
介護士の有給取得率の実態は
前項の結果を受け、「そんなに有給は取れない」と感じた介護士さんも多いでは?
私もその1人ですし、有給はほとんど取れてないです。
※参考:介護労働安定センター(介護労働者調査の統計表)より
ちなみに1番多く回答を集めたのは「人手が足りない(53.0%)」でした。
この様な現状では「有給休暇は取りにくい」と考えるのが妥当でしょう。
2019年に有給取得が義務化されましたが、体幹では状況に変わりはありません。
有給取得義務化で介護士はどうなった?
2019年に働き方改革により、有給取得が義務化されました。
※年10日以上有給休暇の権利がある職員従業員は、最低5日以上は取得
これにより介護士が休めるようになったかと言うと、否です。
私の経験上、介護士の有給取得実態は下記。
- 有休を取得すると、他の誰かが休日出勤をする
- 退職前に一気に取得する
これは実際に私の職場で起きてる現状です。
交代で有給取得しつつ、不足分を他職員が休日を削り働いてます。
取得できるだけマシかもしれませんが、休暇の役割は果たせていません。
とても気軽に使用できる状況ではないですね。
「関係ない」と、取ってしまうのもアリだと思いますが…
その後の仕事のやりやすさを考えると、理由なしに取るのは勧めにくいです。
シフト作成者の「有給への配慮」も取得率に関わるポイントですね。
職員がいるうちにガンガン取った方が良いですよ。
良い職場を見分けるポイントとして使えますね。
「休日数」「有給の確保」には職員数が必須
ここまでの内容をまとめると、休日数も有休取得も「職員数が必要」という事。
職員数が影響するのは、それらだけではありません。
- 忙しさが減る
- 仕事の質を上げる余裕ができ、スキルアップに繋がる
- 残業が減る
良い労働環境を求めると、結局「職員の数が必要」という結論になってしまうのです。
それほどまでに、マンパワーは正義です。
人不足は悪だと思って良いです。
「同業他社との人材獲得競争が厳しい」というのは、多くの事業所が抱える悩みです。
ですが、その競争に勝っている、介護士が魅力を感じ集まる職場もあるワケです。
人材が多いという事は、有給や休日に関しても安定しますから定着率も良いですね。
好循環にある職場です。
転職活動の際は、「休日の多い職場」を選びつつ、働きやすさにも注目です。
介護職が休みの多い職場に転職するには?
介護士を中心とした介護職が休日(有給消化)を増やすには、下記の方法があります。
- 転職(職場・雇用形態を変える)
- 職場環境・働き方を変える
「転職」するか「今の職場環境を改善する」か、という事ですね。
後者はそれが出来る立場も限られるし、労力も掛かります。
上手くいく保証もありません。
多くの人にとって、休日を増やす方法は転職になるでしょう。
休日数だけで判断しない
介護職が転職で休日を増やすには、求人の年間休日数だけで判断してはいけません。
既述の通り、毎月の公休が多くとも、職員がいなくては休日出勤で休日が減ります。
それが慢性的になれば、そもそもの休日が減るという変更もあり得ます。
なので、「年間休日数が多く、職員定着率が高い」職場を選ぶ必要があります。
もっと言えば、「休日数・職員数・定着率」の3つが高い事ですね。
定期的な有休消化も可能になるので、休みも相当増えると思います。
ではそれはどんな職場かというと、職場改善への意識が高い職場です。
- 給与の評価基準が明確、魅力ある内容である
(職員の不満を無くし、中途採用者にもアピール) - 良い意味で残業への意識が高い
- 職員が悩みを相談でき、改善に動いている
色々と例を出しましたが、良い職場は労働環境への意識が高いです。
その把握能力にも優れています。
過去に休日出勤や残業、夜勤が多く、面談で「辛い」と伝えた事があります。
返ってきた答えは「何が辛いの?」でした。
業務が大変なのが当たり前になり、感覚がマヒしてる職場は危険です。
「あそこの部署はもっと大変だから」と、他がおざなりになっている状況も良くないですね。
職員定着率が高い職場を選ぶには?
職場の職員数・定着率は、転職活動をしながら知る事は難しいです
そこで活用したいのが、転職エージェント。
内部情報も私達よりは詳しく、適切なサービスを使用すればブラックな職場を回避できます。
介護関係でいうと、マイナビ介護職ですね。
- 職員定着率があまりに低い職場は掲載しない
- 「職業紹介優良事業者」認定取得
介護職向け転職サイトとして、かなり信頼のおけるサービスです。
エージェントの対応力も高い評価を受けています。
こちらの希望も「休日が多く、有給が使いやすい職場」と明確なので、求人紹介やアドバイスも受けやすい事でしょう。

また自分での職場判断も、ある程度は可能です。
あまりにヒドイ職場は、面接時の職場案内で察する事が出来ます。
内定に固執するあまり、見落とさないよう注意しましょう。
派遣やパートで働き、休日を増やす
介護職が休日を増やしたい時、最も確実な方法が派遣やパートで働く方法。
自分でも希望条件を出せるので、休日数を会社に依存させなくて済みます。
勤務可能な時間帯も指定できるのもポイント。
実務経験や資格、入職後の働きで評価を上げる事だって可能です。
その場合、マイナビ介護職だと派遣求人がほとんどないです。
派遣も視野に入れたい人は、きらケアを使用するのがオススメ。
「きらケア」もサービスの質が高く、高待遇求人に強いサービス。
収入を落とさず雇用形態を変えたい時に有効です。

私も「休日が多い方が良い」という考えですが、正社員での転職で何度も失敗してます。
何とか今の職場に食いついてますが、次は派遣かパート職員で働く予定です。
介護職の休日数、働き方に関しては思う所があり、下記記事も執筆してます。
ワークライフバランスに関心があれば、ご覧頂けると嬉しいです。
【実例】年間休日と有給への取り組む介護施設
最後に、働きやすい介護施設もある事をお伝えしたいと思います。
介護の職場にも、働きやすさの改善に取り組むところがあります。
その施策1つとして「年間休日を増やした」例を紹介しましょう。
「職員を大事に」で雇用改善に成功した特養
紹介する事例モデルは、茨城県石岡市の特別養護老人ホーム。
「利用者を第一に」「職員を大事に」を理念とし運営する施設です。
そこでは、下記の様な取り組みが行われています。
・年間休日は123日(年末年始休暇6日、夏季休暇3日含)
・「年次有給休暇」は時間単位で取得可能、
・年2回の面談で、離職防止や人事面に活用
・EPA(経済連携協定)に基づく外国人受け入れ
・併設病院内に託児所を用意し、労働時間にも配慮
・外部研修、資格取得もその費用を施設負担でバックアップ
※介護労働安定センター 茨城支部
「介護事業所の「魅力ある職場づくり」のための雇用管理改善への取り組み」より
年間休日123日は、介護施設ではトップクラスではないでしょうか?
結果として、過去3年の離職率は全国平均の半分以下。
残業も月平均0.4時間 、有給取得率も74%になりました。
若年層もバランスよく採用でき、定着しているとの事。
面談による「離職防止」効果
この特養では、面談を離職防止や人事に活用しています。
配置の希望を聞いたり、労働時間を考慮するなど…、
職員が「働くうえでの希望・悩み」を伝えられる場として、機能しているのが伺えます。
上司からの話や評価を受けるだけという、一方的な面談ではありません。
名ばかり面談ではなく、きちんと離職防止効果が出せてるのがポイント高いですね。
意外なことに、「ワークライフバランスを意識した施策はしてない」という話。
とにかく職員を大事にし、コミュニケーションを意識してるのが特徴。
職員を大事にしようと考え動いた結果、成功した好例ですね。
外国人実習生も活用
注目したいのが、他よりだいぶ早い段階で外国人実習生を受け入れている事。
介護の仕事を学ぶ為に、日本に実習に来た方達ですね。
これが人員確保に一役買ってると思います。
一緒に働いたことがあるので分かりますが、下手な日本人より働きますよ。
仕事を覚えるのも凄く早い。
コミュニケーションも問題ないし、礼儀正しいです。
介護にも良い職場は沢山ある!
介護の職場と言うとネガティブな話が多いですが、良い職場もちゃんとありますよ。
ポジティブな転職活動の原動力になればと思い、ちょっと長くなってしまいました。
また良い事例が見つかったら、別の機会にご紹介できればと思います。
他の実例も、下記記事で紹介してますので良かったら。

こんな職場を見つけるには、「転職サイト」のエージェントに相談するのも手です。
色んな職場を知っているので、意外な情報が見つかるかもしれません。
諦めずに、理想の職場に出会えるよう動いてみましょう!
まとめ
今回は、「介護職の休日数と有給の実態」をテーマにお話ししました。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
- 介護職は平均年間休日110日、有給取得率52%ぐらい
- 職員不足の職場では、もっと数字が低くなる
- 休日を増やすには、「職場改善意識の高い職場への転職」
「派遣やパート等の雇用形態で働く」方法等がある。
要点をまとめると、こんなところでしょうか。
色々な記事で言ってますが、介護業界は職場による環境差が大きいです。
休日だけでなく、給料等も該当します
どうしても辛い時は、身体や精神に支障が出る前に逃げて下さい。

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