介護報酬とは事業者へのサービス対価 仕組みを分かりやすく解説

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介護の制度

介護報酬」という言葉をご存知でしょうか?
施設や介護事業所へ介護サービスの対価として支払われるお金です。

これは事業費や人件費に充てられるものであり、介護士のお給料にも関わってきます。
働く側、利用する側共に知っておくべき内容ですね。

今回は「介護報酬」とは何か、わかりやすく解説します。

 

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介護報酬とは事業所への「サービス提供対価」

介護報酬」とは、事業所が利用者に介護保険が適用される介護サービスを提供した際、事業所に支払われる対価です。
つまり”介護事業所の売上・事業費”となる施設運営で大切なお金です。
介護職員の給料もここから支払われます。

 


※「厚生労働省(介護報酬について)」よりキャプチャし掲載

仕組みは厚生労働省によるこの図が分かりやすいでしょう。

 

介護報酬の額は、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞いて定めます。

介護報酬は、利用者(原則1割)介護保険(原則9割)から支払われます。
一定以上の所得者の場合、利用者負担は2割~3割まで増えます。
介護保険の財源は保険料と公費で賄われ、保険者は市町村です。

 

介護報酬は各介護サービス毎に設定され、単価は「単位」で表し1単位約10円。
基本的なサービス提供費用に加え、事業所のサービス提供体制、利用者の状況などに応じ、加算・減算される仕組みです。

要介護度により毎月の支給上限額が決められており、超過分は保険が適用されず全額利用者負担となります。

 

介護報酬の加算・減算の仕組み

介護報酬の加算・減算は、事業所の収入に関係しますし、介護サービスの質の向上の為にあるといっても良い制度です。
「事業所のサービス提供体制」、「利用者の状況」などで加算・減算されるとお話ししましたが、具体的にはどんな要件でしょうか。

詳しくお話しすると情報が多すぎ、趣旨に反し分かりにくい為、簡単にお話しします。
加算・減算の例を挙げますので、雰囲気を感じていただければ。

 

介護報酬の加算例

介護報酬の加算は、以下のような場合発生します。

  • 介護職員処遇改善加算
  • サービス提供体制強化加算
  • 褥瘡マネジメント加算

加算は、より「質の高いケア」やその為の「人員体制」がある事業所が得られます。
事業所にもよりますが、訪問介護なら”早朝や深夜に対応している”という要件もあります。”介護福祉士が多い”という職員の資格に関してもそうです。
そうした数多くの加算条件が設定されており、それを満たす事で適用されるのです。

 

介護職員の賃金アップとなる「処遇改善加算」も介護報酬の加算の1つ。
昇給の仕組みや資格取得サポートなど、介護職員に働きやすい職場を提供する事業所に加算されるお金ですね。

介護職員処遇改善手当はいつ貰える?制度を分かりやすく解説
介護職員処遇改善手当とは、介護職員の賃金アップの為に支給されるお金です。需給の為には、職場が処遇改善加算を得ている必要があり、その為の条件もあります。処遇改善手当がいついくら貰えるかは、事業所の管理者に委ねられています。これらの仕組みを分かりやすく解説し、処遇改善手当を増やす方法、転職アドバイス等を紹介します。

 

サービス提供体制強化加算」というのは、介護福祉士の配置を促す為の加算です。介護福祉士の配置割合が一定以上だと加算があります。

褥瘡マネジメント加算」というのは、介護老人福祉(保険)施設において、褥瘡リスクのある入所者に対し、褥瘡ケア計画をたて管理実施する事で得られる加算です。

地域間の人件費の差を考慮した「地域区分」というものもあります。

介護報酬の減算例

介護報酬の減算は、以下のような場合発生します。

  • 定員超過利用減算
  • 人員基準欠如減算
  • 身体拘束廃止未実施減算

減算の例としては、「基準を上回る利用者を通所させている(定員超過)」や、介護職や看護職と言った職員が厚生労働大臣の定める「人員基準を満たしていない」といった場合。

上記に挙げた「身体拘束の対策委員会を開催していない」等の義務違反も減算対象。
サービス提供責任者やユニットリーダーなどの役職者が適切に配置されてない、という場合も減算の対象です。

この様に健全で機能的な施設運営をしていない、と見なされる場合、減算対象です。

 

介護報酬の改定を振り返る

介護報酬は“原則3年に1度”見直しがされ改定されています。
介護を必要とする人が、より質の高いケアや適切な介護を受けられるよう、定期的に財源の見直しがされるんですね。

「介護報酬の改定」を振り返り、どう政策が進められてきたか見てみましょう。

介護保険制度の基本的考えとは

まずは「介護保険制度の基本的考え方」を確認してみます。

要介護状態となった人びとが
尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」

介護保険給付の内容及び水準は、
「被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。」

※「厚生労働省(平成24年度介護報酬改定について)」を参考

これが基本理念です。

介護保険は「高齢者の介護を社会全体で支える仕組みを作ろう」という所からきており、「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」が基本的な考え方です。

 

厚生労働省の言葉をそのまま借りると、以下の様な内容です。

  1. 自立支援
    単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする。
  2. 利用者本位
    利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度
  3. 社会保険方式
    給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用

※「厚生労働省(介護保険とは)」より引用

これらを基本的とし、ニーズに応え質の高い介護の提供体制の整備が進められています。

 

介護報酬の過去の改定内容

前項の内容を踏まえ、過去には以下の様な改定がされてきました。

介護予防の重視や重度化防止、給付の見直し。
介護が必要になっても、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい生活が送れるよう地域でサポートしようという「地域包括ケアシステム」等の強化が図られてきました。
その過程で「地域支援事業の充実」、「自立支援」や「要介護度、医療ニーズの高い高齢者」への対応強化等もされてきています。

 

改定の中で創設されたサービス

  • 日中・夜間を通じた定期巡回・随時対応サービス
  • 複合型サービス(小規模多機能+訪問看護) 

これらは地域包括ケアシステム強化の過程で生まれたサービスです。

 

“介護士の不足”もあり、人材確保や質の向上を目的とした「介護職員処遇改善加算」も新加算が創設され充実されてきています。「介護福祉士」の配置割合が高い状況も加算対象となり、近年では経験・能力のある介護士を重点的に評価する動きが出てきています。

 

介護報酬は、改定のたび”引き上げ”や”引き下げ”がされています。
理由として、増税や物価、要介護者の増加などの要因がありました。
現状としましては、人口減少の中、高齢化が進んでいる為、介護保険制度をとりまく状況は厳しいものになっています。

介護士が一人ひとりが出来る事は?

介護保険制度を取り巻く環境は決して良いとは言えませんが、我々介護士が出来る事は結局、目の前の利用者様が必要とする「ケアの質」を高め提供する事。
加えて「介護福祉士」取得など地道なスキルアップに取り組む事です。

それが利用者様の求める事ですし、自身の評価・給料アップに繋がる一歩。
より良いケアを目指し、自分の能力を高め、評価を得られるよう頑張りましょう!

 

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