介護士の悩み1つであるお給料。
それを不安を解消する為の制度が介護職員処遇改善加算です。
年収アップに関わる大切な仕組みではあるのですが、少々分かりにくいのも事実。
当記事では「介護職員処遇改善手当」を分かりやすく解説していきます。
収入アップを目指す転職活動についても、触れてます。
介護職員処遇改善手当とは
介護職員処遇改善手当とは、介護職員の賃金アップの為に支給されるお金です。
介護職の問題として、離職率の高さや給料の安さがありました。
処遇改善手当は、賃金アップによる人材確保を目的としています。
処遇改善手当は、国や利用者が負担し事業所に支払い、そこから介護職員に支給されます。
手当をもらうには、介護事業所が処遇改善加算を得ている必要があります。
すると、事業所から「処遇改善手当」として介護職員に支給される形ですね
処遇改善の加算要件
処遇改善の加算要件には、3つの「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」があります。
これらをどれだけ満たしているかで、加算額が変わる仕組みです。
まずはその加算要件から説明します。
キャリアパス要件
キャリアパス要件は3つあり、下記の様に定められてます。
加算要件 | 内容 |
---|---|
キャリアパス要件① | 職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と 賃金体系を整備すること |
キャリアパス要件② | 資質向上のための計画を策定し、研修の実施 又は研修の機会を確保すること |
キャリアパス要件③ | 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、 又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する 仕組みを設けること |
分かりやすく言うと、「役職をきちんと定めて給料を決める」。
「資格や能力に応じた昇給の仕組みを作る」。
「スキルアップを目指し、定期的に研修を行いましょう」、という感じですね。
※参考「厚生労働省(福祉・介護職員の処遇改善)」
職場環境等要件
職場環境等要件とは、「賃金以外での職場環境の改善取り組み」を言います。
下記6区分のうち、1つ以上に取り組んでいる必要があります。
- 入職促進に向けた取組
- 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
- 両立支援・多様な働き方の推進
- 腰痛を含む心身の健康管理
- 生産性向上のための業務改善の取組
例えば、「タブレットや介護機器の導入」。
「有給を取りやすくする取り組み」「託児所の設置」などですね。
また特定処遇改善加算の場合、3区分で1つ以上の取り組みが必要です。
処遇改善の加算段階
処遇改善の加算段階は、Ⅰ~Ⅲで下記の様に設定されてます。
※引用「厚生労働省(処遇改善に係る加算全体のイメージ)」より
加算率などの難しい話は省きますが、それだけ要件を満たしたかで加算段階が決まります。
条件の厳しい「加算Ⅰ」が最も加算率が高いです。
また令和4年10月より新加算が創設されます。
特定処遇改善加算とは【介護福祉士に月8万円】
特定処遇改善加算とは、経験や技能のある職員に対し、重点的に処遇改善を図るモノです。
「勤続10年以上の介護福祉士」を基本に、月8万円か年収440万円を超えるよう分配します。
下記はその算定要件です。
- 従来の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定している
- 職場環境要件について、複数の取り組みを行っている
- 賃上げ以外の処遇改善の取り組みの見える化をホームページなどで行っている
勤続10年は同じ事業所である必要は無く、その考え方は職場の裁量で決定されます。
また細かなルールはあるものの、対象者を重点的に分配していれば柔軟な設定が可能です。
派遣やパートも貰える?
処遇改善加算の対象者は、介護職に従事する人です。
雇用形態は関係なく、派遣やパートなどの非常勤、登録ヘルパーも貰う事が出来ます。
資格の保有も関係なく、介護職に従事していれば対象なので安心して下さい。
職員間での金額差がある可能性はあるので、注意ですね。
介護職員処遇改善手当はいつどう貰える?
処遇改善手当の分配方法は、事業所の管理者に任されています。
金額や時期も定められておらず、支給方法も様々です。
- 基本給のアップ
- 賞与と共に
- 特別手当として
特に支給タイミングは、職場で大きく違います。
毎月貰える職場も有れば、賞与と共に支給される事もあります。
「誰にいくら払うのか」も、職場により異なります。
介護福祉士等の資格保有者、正社員や役職者。
勤続年数など…、誰を重点的に分配するかというルールは職場の考え方次第となります。
「退職を告げたら処遇改善が貰えなくなった」なんてトラブルもあるので注意。
処遇改善手当が多い職場に転職するには?
転職するなら、少しでも処遇改善手当が多い職場に行きたいモノ。
処遇改善は、ほとんどの事業所が何らかの届け出をしています。
ただ細かく見ていくと、ちょっとした傾向もある様子。
届け出状況では「特養」などが優れるか?
厚生労働省の調査に、サービス別の職員処遇改善加算の届出状況があります。
処遇改善加算は、どこも概ね90%以上で何らかの届け出があります。
今回は加算率の高い加算Ⅰの届け出状況を紹介します。
加算Ⅰで数字が良いのは、特養の92.9%。
小規模多機能の91.7%、特定施設入居者生活介護90.2%あたり。
参考「厚生労働省(令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果)」より
主に入居介護施設が狙いめ、という感じでしょうか。
特養なんかは、よく給与が高い施設と言われますし納得ですね。
「勤続」や「介護資格」も効果アリ
処遇改善手当を増やすため、個人でできる取り組みもあります。
特に有効なのは、下記ですね。
- 介護資格の取得
- 勤続年数を増やす
- 主任などの役職に就く
初任者研修などの主要な介護資格は、手当アップに有効です。
まず目指したいのは、介護福祉士の取得ですね。
間違いなく介護士の給料アップに繋がる資格です。
また勤続年数を増やす事は、ボーナスアップにも繋がります。
⇒介護職はボーナスをいついくら貰える?
介護転職サービスも活用しよう
実際の給料が良い職場に転職するには、求人をよく見る事も必要です。
多くは無いですが、処遇改善手当の詳細を記載してる求人もあります。
なるべく細かくチェックし、比較しましょう。
また転職活動においては、転職サービスを利用すると効率的です。
給料の確認や交渉も行ってくれるので、上手く活用しましょう。
介護系転職サイトですと、きらケアがマッチング重視でオススメです。
求人掲載数も多く、高給与などでも調べられ、使いやすいですよ。
さいごに
今回は、介護職員の処遇改善手当を解説しました。
処遇改善手当は、介護職員の収入を増やす大事なお金です。
その加算要件もあり、働きやすい労働環境にも一役買っている制度ですね。
介護業界は、職場により収入差も結構あります。
それに加え、人手不足もあり、長く働ける労働環境を見つけるのも難しい状況です。
それでも良い職場は沢山あるので、転職活動の際はじっくり比較するクセを付けたいですね。
コメント