介護職として働いていると、理想の職場に巡り合うのは難しいもの。
そんな気は無くても、気付いたら転職回数が多くなる事も珍しくありません。
そこで今回は、「介護職は転職回数が多いと採用に不利か?」というテーマでお話しします。
- 介護職の平均転職回数
- 介護業界の採用事情
- 転職回数が多い時の志望動機の伝え方
「平均転職回数」から「転職理由の伝え方」まで、採用を得る為のアドバイスをお伝えします。
介護職の転職回数は他業界より多い傾向なので、あまり心配せずとも大丈夫です。
私も5回程の転職を経験してますが、問題なく採用を得られています。
「介護職の転職回数」は何回からが多い?
まず転職回数は「何回からが多いのか」、これを確認しましょう。
介護業界の転職回数は、他業界より多めです。
労働環境の悪さ、採用の得やすさもあり、入れ替わりが激しい事で知られています。
入社してすぐ辞めていく方も珍しくありません。
一般的に「転職回数3回まで」は2~4割
社会全体の平均転職回数データを見てみましょう、
今回は、株式会社マイナビによる「転職動向調査 2023年版」の内容を紹介。
2022年度実績で、転職者全体に対し「過去の転職回数」を尋ねたデータです。
転職回数 | 割合 |
---|---|
1回 | 27.9% |
2回 | 23.6% |
3回 | 17.2% |
4回 | 7.9% |
5回 | 12.1% |
6~7回 | 4.7% |
それ以上 | 6.6% |
※「株式会社マイナビ(転職動向調査 2023年版(2022年実績))」を参考に作成
23年版の資料では、「転職回数1回の回答が最も多いが、その割合は下がってきてる」との事。
実際に20代でも「1回」との回答は男性で45%、女性だと約52%ほど。
他の方はそれ以上という事になります。
また多くの年齢層では、「転職回数3回以内」の回答が多数を占めてます。
強いてボーダーを決めるなら、「3回以上」が多めという形ですね。
女性の場合、結婚や育児の都合で年齢と共に転職回数も増える傾向が強く見られました。
転職回数を必要以上に気にするよりは、培ったスキルの方が重要ですね
介護職の平均勤続年数は「5年未満が4割」
「介護職」に絞った転職回数は良い資料が見当たらず、勤続年数の資料を紹介します。
令和3年度の調査では、介護職の平均勤続年数は6.8年でした。
下記は介護職種毎の勤続年数です。
介護職種 | 5年未満 | 5年以上10年未満 | それ以上 |
訪問介護員 | 39% | 24.6% | 27% |
介護職員 (施設介護士) | 42.3% | 24.2% | 25.2% |
生活相談員 | 27.7% | 25.6% | 36.1% |
介護支援専門員 | 32.3% | 23.1% | 35.6% |
※参考「介護労働安定センター(令和4年度 介護労働実態調査結果)」
調査結果は無回答含む
見るべきは、「転職して5年未満の人の割合」。
この調査では、全体の約40%が勤続年数5年以内です。
施設介護士では半数近くに及び、2年以内と答えた人も約17%ほどになります。
介護職の半数近くが5年以内に転職
上記は現職についての調査であり、前職で介護職に就いてた方への調査もあります。
5年以上働いた方は約40%であり、2~3年では15%。
1年以内に辞めた方は約20%という結果でした。
さらに訪問や施設介護士に絞ると、勤続年数はより短くなる傾向になります。
介護職は他業界より、「勤続年数が短い=転職回数が多い」と見て良いでしょう。
介護職は「転職回数は5回」でも普通
先の資料を見ても、介護職員は転職回数が多い事が分かると思います。
実際に介護現場にいても、職員の入れ替わりは激しいですよね。
介護職経験者は先の結果をみて、「そんなに少ないワケがない」。
「自分はもっと多い」と思ったんじゃないでしょうか。
年齢の割に多い回数ですが、そんな私も3年経てば「一番の古株」となる事も珍しくないです。
介護職では、転職回数5回でも「普通」。
あるいは「少し多いかも」ぐらいの感覚ですね。
長く介護業界で働いてる方であれば、それ以上の方も結構います。
後述しますが、採用を得られない事も少なく、待遇で不利になる事もないです。
「転職回数が多い介護職」の採用はある?
ここからが本題、「転職回数が多くても採用は得られるか」という話。
結論から言うと、介護職は転職回数が多くても問題ありません。
高い確率で採用も得られるのでご安心下さい。
転職回数だけで不採用になる事は少ないですが、判断材料となり得る事は覚えてきましょう。
「売り手市場」なので転職回数で不利にならない
介護職の転職回数が多くてもOKな理由として、職員不足があります。
令和1年度の調査でも、「従業員の不足」を訴える事業所は65.3%でした。
半数以上の介護事業所で、人手不足に悩んでます。
採用が困難な理由には、下記があります。
- 同業他社との人材獲得競争が厳しい
- 他産業に比べて、労働条件等が良くない
- 介護業界へ人材が集まらない
※参考「介護労働安定センター(令和元年度 介護労働実態調査結果)」より
要は、採用したくても応募が無い状態だという事。
介護業界は、まだまだ売り手市場です。
他業界より採用基準は緩いので、深く思い悩む必要はありません。
転職回数が多い時の「面接における志望動機の伝え方」
「転職回数の多さ」や「勤続年数の短さ」、これを面接でどう伝えるかは悩む所。
私も転職回数は5回近くと多い方ですが、あまり突っ込まれた事はありません。
それよりも、面接官は「実務経験の内容」を尋ねてきます。
例えば…
- 働いてきた施設
- どんな利用者の対応経験があるか
- 保有資格
基本的に面接官が気にするのは、転職回数でなく「介護職としての経験」です。
こうした経験を聞き出し、評価対象としてくれる事がほとんど。
コンプレックスがある人も、職務経験から上手くアピール材料を考えてみましょう。
また面接官含め、現場の職員が気になるのは下記の事です。
- 身体介護や利用者対応はちゃんとできそうか
- 仕事を覚え、戦力になってくれそうか?
- どのぐらい出勤してくれるか?
転職回数をネガティブに捉えすぎず、自分の強みを謙虚に伝える方法を考えましょう。
「転職回数の多さ」を指摘された時の対応
採用を得やすいとはいえ、面接官は長く働いてくれる人材を求めてます。
経験をアピールしつつ、職場に定着する意思を伝える事も意識しましょう。
仕方ないですが、転職回数や退職理由について具体的に聞かれる事もあります。
そんな時、私の場合はこんな事も伝えるようにしてます。
- 「転職回数の多さ」を自覚してる
- 退職理由は、職場だけでなく自分にも非があった
- ここで長く働きたい
- 前職でも続けたかったが、体力的に限界があった
転職回数は自覚してるし、長く働く意思はある。
そして「仕方ない」と思ってもらえるような退職理由ですね。
介護業界の場合、「人手不足で体力限界があった」と言えば理解は得られます。
後は「職場と協力する姿勢」、「働き続ける意思」。
「辞めグセを付けたくない気持ち」。
これらを伝える事で、採用側に安心感を与えられます。
あとはアピールポイントが残るので、プラス評価という作戦ですね。
ポジティブな志望動機を伝える
具体的な転職理由は、なるべくポジティブな内容を中心に伝えましょう。
難しく考える事はなく、下記の様な内容でも十分です。
- 未経験の施設でゼロから勉強したい
- 介護の仕事は好き、新しい環境で頑張りたい
簡潔に言えば「色々転職してるけど、介護がやりたい」。
「ちゃんとここを選んだ理由がある」といった内容が伝えられればOK。
また離職理由について、面接官は意外に寛容です。
「人手不足で体力的に難しかった」程度の話なら、理解を得られるので大丈夫です。
心配し過ぎず、「何故ここか」をポジティブに伝えましょう。
あまりに短い期間なら書かないのもアリ
在職期間があまりにも短い場合、履歴書に書かないのも賢い方法かと。
こんな時は履歴書に書かないのもアリ
- 職場がどうしても合わず、1週間で辞めた
- 試用期間中に辞めた
こんな時は、履歴書に書かない方が無難かもしれません。
仮に書いても、口頭でフォローは効くと思います。
但し嘘の経歴を書く事はNGです。
履歴書の内容や書き方に不安があるなら、転職サイトで履歴書の相談も受け付けてます。
不安や迷いがあれば、その道のプロに相談しましょう。
未経験者は「資格」でアピールできる
実務経験のある介護職は、採用があるとお話ししましたが…
介護未経験で転職回数が多い時は、どうでしょうか。
経験者の武器が実務経験なら、未経験者は資格と意欲でアピールできます。
まぁ実際には、そう構えなくても転職には苦労しません。
初任者研修を取り仕事意欲をアピールすれば、採用は手堅いかと思います。
履歴書よりも「人柄」で勝負できる
繰り返しですが、介護業界は売り手市場です。
介護事業所は人手不足ですので、良い人材がいれば基本的採用したい考えです。
その「良い人材」とは、下記の様な人です。
介護職はこんな人材が欲しい!
- 真面目で責任感がある
- 優しく穏やか
- 利用者を安心して任せられる
介護職で採用を得るには、履歴書の内容より面接での印象の方が重要。
相手にこう思わせる事が出来たら勝ちです。
真面目で誠実、清潔感があって柔らかい。
こんなイメージを目指してみると良いですね。
介護職が転職回数を増やさない為に出来る事
たとえ同じ職種でも、職場を変えた時には苦労があります。
仕事を探す・慣れる、どちらにしてもエネルギーを消費しますよね。
転職回数があまり問題にならないとはいえ、無駄な転職を重ねるのは避けたいもの。
その為にも、下記内容についても考えてみて下さい。
介護職が転職回数を駄な転職をしない為に考えたい事
- 自分の適性、介護事業所ごとの傾向を知る
- 退職・転職時の判断基準を作る
- 資格や職種など、具体的な目標を作る
「自分の適性」と「職場の傾向」を知る
介護士目線だけで見ても、色んな職場があります。
自分の適性や職場の特徴を理解していないと、仕事が辛くなってしまいます。
分かりやすい例を出すと、こちら。
転職の失敗例
- レクが苦手なのに「デイサービス」
- 夜勤や身体介護が辛いけど「特養」
意外と適性に気付く事は難しくて、自覚できない事もあります。
つい慣れた環境の職場を選んでしまいがちですが…、
毎回同じ理由で辛くなるなら、思い切って違う施設やサービスで働く事も考えてみましょう。
失敗しても、「一度経験して勉強したかった」ぐらいに話せば、理解を得る事は可能です。
私は特養が長かったですが、思い切って選んで3年以上続ける事が出来てます。
「正社員以外の働き方」も考えてみる
体力的な理由で辛くなる人は、正社員以外の働き方も考えてみて下さい。
介護業界は、非常勤の時給相場が高め。
福利厚生もありますし、ボーナス以外に大きな差もありません。
介護では雇用形態より、夜勤の有無の方が収入に繋がる事が多いです。
人手不足な環境でも、正社員より休日も確保しやすいはずです。
長く続けられる働き方も考えてみましょう。
退職と転職時の判断基準を作る
「仕事を辞める時の基準」や「自分が職場に求めるもの」。
これらを考えておくと、ミスマッチや何となく辞めるという事も減らせます。
辛くなって退職した後、焦りから何となくで職場を選んでませんか?
「何となくの転職・退職」を無くすだけでも、失敗を減らせます。
個人的に「基本的に辞めたい時は、無理しなくてOK」というスタンスですが…、
こだわりやマイルールの様なものは持ってます。
転職に関するマイルール例
- 人間関係が第一、恵まれてるなら多少の事は気にしない
- 出来れば休日は多い方が良い
- 心身に過度な負担がある時は、迷わず辞める
自分にとって優先順位が高いのは、休日と人間関係。
給料は高い方が良いですが、身体の余裕と気持ちよく働けるかが大切です。
転職で失敗するのは仕方ありません。
「なぜ失敗したか」を考えないと、また転職を繰り返す事になってしまいます。
「自分が続けられる条件」も考えてみましょう。
心身の限界を感じたら逃げる
「無理をしすぎない」という考えも大切。
仕事をするうえで、何よりも大事なのが心身の健康です。
「転職が多いし…」という焦りもあるでしょうが、限界だと思ったら逃げて下さい。
上記記事でも書いてますが、限界を感じた時は逃げてOK。
この時ばかりは、転職回数は気にせず逃げましょう。
資格や目標となる職種を決める
給料最優先などのシンプルな考えでも、良い職場があるたび転職してはキリがないです。
資格や実務経験など、自分のスキルでのベースアップも同時に考えましょう。
介護関係の資格は、実務経験が必要なモノがいくつかあります。
加えて、特定の職種に就くために必要な資格もあります。
それらの取得、あるいは受験条件を満たすまでは頑張る、とゴールを決めるのも有効です。
目標資格例
- 介護福祉士
- ケアマネ
- 福祉用具専門相談員
例えば、上記の様な資格ですね。
資格取得や経験など、キリの良いタイミングまで粘ってみるのもアリ。
選べる職種も増えますし、転職理由としても伝えやすいネタになるかと思います。
介護経験を評価してくれる職場を選ぶ
特に経験者の場合、実務と勤務年数の給与評価がきちんと定めている職場を選びましょう。
コレが出来てないと、社員が不公平感を感じ、定着率が低くなります。
上記記事でも言ってますが…
転職時には、中途採用者をはじめ、社内での給与基準がしっかりした職場が望ましいです。
給料評価が分かりやすく、待遇が良い職場には職員が集まります。
給料も良く働きやすいと、良い事づくめなので狙い目です。
ホワイト企業さえ見極めれば、介護なら採用を得やすいです。
転職サービスを使えば、希望に応じた求人紹介も得られるので上手く活用しましょう。
まとめ
今回は、「介護職は転職回数が多いと不利か」というテーマでお話ししました。
結論としては、大丈夫という事ですね。
今回の要点
- 不利ではないので、上手く強みとしてアピールする
- 転職理由は前向きな内容を伝える
- 未経験者の場合でも問題ない
介護業界の転職活動においては、採用があるかより、職場選びの方が重要です。
自分を卑下して妥協するより、「自分が会社を選んでやる」ぐらいの気概で臨みましょう。
それが無駄な転職の回避にも繋がります。
自信を持って、前向きに臨んでくださいね。
また介護職は採用を得るより、退職時の方が苦労が多い面もあります。
良かったら下記記事もどうぞ。
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