介護職の入れ替わりは激しく、業界内で転職を繰り返す人は後を絶ちません。
介護で転職を考えてるが、失敗はしたくない。
こうした悩みは、未経験・経験者問わず多いと思います。
今回は、「介護職の転職失敗談と成功のコツ」を語ります。
私も10年近く介護で働き、多くの転職を重ねてきました。
転職では失敗ばかりですが、だからこそ分かった事もあるので共有できればと思います。
失敗しやすい分、それがデメリットとなりにくい業界でもあります。
介護職での転職失敗談
私は介護業界では5社ほど、6~7つの施設で働いてきました。
仕事内容には不満はなく、「疲れた」という理由での転職が大半。
失敗したと思う点を振り返ると、ざっとこんな感じです。
- 無資格で働き始めた
- ブラック介護施設に気付けなかった
- 職場を調べず、仕事内容のミスマッチがあった
- ワンオペ夜勤で体力の限界に
原因は、「情報収集の不足と」「職場を安易に決めた」事です。
介護で長く働ける職場を探すには、情報と慎重さが超重要です。
特に未経験者は、介護資格や職場種類の知識を増やす事から始めましょう。
無資格で働き始めた
介護士は、施設なら無資格でも働き始める事が出来ます。
私も無資格で入職しましたが、正直これは失敗でした。
理由は、働きつつ資格スクールに通う必要があった為。
仕事を覚える大変な時期に、休日は毎回スクール通いです。
身体もメンタルもキツイものがありました。
思わぬ出費もある為、資格や職場知識は事前に調べておきましょう。
初任者研修の取得には、通学だと早くて1ヵ月。
通信コースだと2~3ヶ月はかかります。
あるいは通学中は勤務日数を減らすなど、入職時に相談する事をオススメします。
また介護施設であっても、無資格者には身体介護をさせない施設もあります。
その為、無資格では「仕事も覚えられず給料も低いまま」なケースもあるので注意が必要です。
ブラック施設に気付けなかった
最初に入職した会社で配属になったのは、所謂ブラックに近いグループホームでした。
ざっくり言うと、こんな職場。
- 休憩が無い
- 給料が安い
- 残業が多い
特におかしいのが、「休憩が無い」という点。
「職員と利用者は家族、だから一緒に食事をする」というのが会社の考えで、自分の食事は出されるものの、事実上は食事介助(仕事)の時間でした。
グループホームとは、家庭の雰囲気を大事にした小規模の施設。
もちろん給料は安いです。
「ブラック施設」は内部にいると気付きにくい
自分の中で1番の失敗は、ここがブラックだと気付けなかった事。
社会経験も浅かったし、介護業界含め、社会はこんなものと思ってしまいました。
介護業界や社会人の経験が少ないと、こうした違和感には意外と気付けないです。
ブラック施設って、内部にいるとそれが普通になってしまうんですね。
「何かおかしい」と思ったら、初めての業界だからと思わず疑って下さい。
こういう施設は、転職活動中にある程度は分かります。
遅くとも入職後数日で気付くはず。
気付いたら「避ける」か「逃げる事」です。
転職活動時も、警戒心を持ってのぞみましょう。
「介護業界」や「仕事内容」を調べなかった
同じ介護の仕事でも、職場による仕事のミスマッチはあります。
先の施設の話ですが、グループホームという施設形態を選んだことも失敗でした。
グループホームは介護施設では唯一、介護士の日常業務に料理がある職場です。
※他の施設では、専属の調理員がいる
完全にミスマッチですね。
介護の仕事はどこも基本は一緒です。
ですが、施設によって細かい部分の差はあります。
- 「特養」は身体介護や認知症対応が中心
- 「デイサービス」はレクリエーションや入浴介助
- 「有料老人ホーム」はバランス型
こんな感じで介護施設の種類でも、介護士の仕事に違いがあります。
共通する仕事も多いですが、その比重は異なるといったイメージですね。
事前に施設種類ごとの仕事特徴は、ある程度調べておきましょう。
転勤の多い会社を選んだ
介護業界でも、いくつも施設を運営する法人はあります。
そうした大手企業では、勤務先の施設が変わる「転勤」の可能性もあります。
またヘルプの形で、急に他施設の仕事を任される事も…。
私が過去に勤めた所がそんな会社で、ヘルプや異動・転勤が日常茶飯事でした。
介護は利用者も違えば仕事も変わります。
違う職場ではたとえ経験者でも新人職員、頻繁な転勤はぶっちゃけしんどいです。
介護は職員不足ですし、入れ替わりも激しい業界です。
だから人員調整の為、大規模法人ではこういった事もあり得ます。
大手企業を選ぶ時は、転勤の有無を確認しましょう。
「給料」や「休日数」を何となくで決めた
仕事に慣れてきた頃、よく出てくるのが給料や待遇への不満。
例えば、介護士の収入に関わる要素だけでもこんなにあります。
- 基本給や賞与
- 処遇改善
- 資格・夜勤手当
- 交通費
正直、求人情報だけでは細かい給料内訳まで分かりません。
だからといって、面接で給料詳細を全て聞き出すのも難しい。
しかし仕事が大変と思った時、これを支えるのは給料や休日の存在。
私含め、何となくで職場を選んで失敗してる介護職は多いですね。
働き始めてから、「給料が安い」「休みが欲しい」と気付きます。
長く働ける職場を選ぶには、転職にかける時間は惜しんではいけません。
仕事選びを焦らず、慎重に情報収集しましょう。
最低限、下記のような情報は欲しいところ。
- 基本給や賞与
- 処遇改善や夜勤手当
- 休日数や有給休暇
- 福利厚生
また処遇改善を含め、収入に関わる要素が複雑化してるのも失敗の要因かもしれません。
雇用条件を明確に開示・説明する職場を選ぶ事も大切ですね。
頻繁なワンオペ夜勤で体調を崩した
私が1番長く勤めたのが、特別養護老人ホームという施設。
特養には「従来型」と「ユニット型」とあるのですが、私は後者ですね。
ユニット型とは、少数の利用者と職員をグループ化し、固定するタイプの施設。
※他にはグループホームが該当
そこで問題になるのが、1人体制(ワンオペ)の夜勤。
1人なので交代がおらず、休憩が出来ません。
複数の利用者が動けば対応が間に合わず、事故リスクも高いという問題もあります。
ワンオペでの16時間夜勤は、言葉を選ばずに言うとヤバいです。
加え、職員不足での夜勤回数と残業の増加もあり、体調を崩して転職した経験が複数あります。
複数人で夜勤が出来る施設では、仮眠休憩もしっかりあります。
これでコチラの方が給料が高いケースもあるので驚きです。
夜勤に魅力や働きやすさがあり、職員が集まる職場が理想ですね。
「人間関係」「運営方法の不満」での失敗も多い
ここまでは私の話でしたが、他介護職は下記理由でよく退職してます。
- 人間関係が悪い
- 運営方法への不満
- 給料が安い
人間関係や雰囲気が悪くて、仕事に支障がある。
運営者や上司の考えについていけない。
介護職員全体では、こうした転職失敗談が特に多いです。
特に新人社員に対して、偉ぶったり対応が悪い事例も目立ちますね。
私の周囲の声を聞くと、こんな具体的な話もありました。
- 悪口ばかりで嫌気がさした
- 自分ばかり仕事に動いて、他の職員が楽や手抜きをしてる
- 上司や運営者が現場を分かっておらず、仕事がメチャクチャ
「介護職はチームワークが大事」というのが、分かるかと思います。
勤務条件や待遇と違い、雰囲気や人間関係は事前に分かりません。
「大丈夫だろう」でしか選べず、転職での失敗も多くなります。
介護職での転職を成功させるコツ
介護業界での転職で失敗しない為には、情報収集と比較が重要です。
介護の仕事を知り、自分の理想の働き方を明確にする。
そしてそれに近い職場を調べ、選ぶ事ですね。
介護業界で働く身としては、下記内容の意識がポイントかと思います。
- 介護の仕事を知る
- 給料や待遇に納得した職場を選ぶ
- 正社員にこだわらない
順に説明します。
仕事内容のミスマッチをなくす
未経験の方であれば、介護の仕事を知る事から始めると良いです。
施設の種類が違えば、「利用者の特徴」や「サービスの提供方法」も異なります。
身体介護の量、夜勤の有無など、仕事や働き方に大きく関わる要素ですね。
そのうえで、自分がどんな「仕事内容・働き方」を好むのか考えてみましょう。
- 施設種類による違い
- 介護業界の雰囲気
- 希望する働き方、介護イメージ
未経験なら、まず上記内容の理解から始める事をオススメします。
例えば「レクは嫌だ」「身体介護が苦手」、「介護に対するイメージ」など…
仕事内容でピンときた職場種類を選び、そこに絞って転職活動を行いましょう。
未経験者向けの職場は、下記記事で解説してます。
給料や待遇に納得した職場を選ぶ
「新しい職場で上手くいくか」「採用を得られるか」。
転職活動中は、ついこんな事ばかり気になりがち。
長く続けるには、待遇条件も重要です。
給料や休日もしっかり確認し、納得できる職場を選びましょう。
下記は、正社員介護士の平均的な勤務条件です。
- 総支給で月給21万円
- 月の公休9日
- 年間ボーナス約50万円
自分の希望はもちろん、正社員でこれを大きく下回る条件は避けた方が無難です。
待遇の違いは、色々な求人を見ないと認識できません。
転職活動で失敗しない為には、集めた情報の比較も重要ですね。
- 介護業界の仕事を知る
- 働きたい施設、条件を絞る
- 求人を比較する
このステップで進めていきましょう。
「オープニングや新しいの介護施設」で働く
介護転職での失敗談では、人間関係での退職も多く見受けられました。
また何となく雰囲気が悪い、風通しが悪いなど…、
言葉にできない居心地の悪さを感じる事もあるでしょう。
権力の強すぎるベテラン職員がいたり、仕事の悪習慣が根付いてたりなどですね。
その意味では、転職活動では新しめの介護事業所がオススメです。
オープニング求人や開設5年以内ぐらいが目安でしょうか。
もちろん多くの人間が集まる以上、人間関係は避けられません。
ただ新人職員の馴染みやすさでいえば、開設新しい職場の方が失敗しにくいでしょう。
求人検索や情報収集には「転職サイト」を活用
求人の情報収集や比較には、介護専門の転職サイトが便利です。
こんな感じで、転職活動におけるメリットが多いので活用すべき。
- 求人量が多い
- 転職相談やマッチング
- 職場見学や面接の日程調整
求人情報が多いだけでなく、アドバイザーから詳細な情報も聞き出せます。
無料で利用できるし、待遇の良い「非公開求人」もあります。
面接や履歴書の書き方指導もあるので、採用率の面でも失敗が減らせますよ。
正社員にこだわらない
介護士に多い転職理由が、「忙しい」「休みが無い」という理由。
経験者の方で、こんな理由で転職を繰り返してる方は多いと思います。
転職失敗や限界を感じる原因の多くは、休みが無く忙しい事。
10年近く働いての結論は、「正社員にこだわる必要はない」です。
- 休みが多い
- 仕事にも余裕がある
こんな状態は、ずっとは続きません。
それならば、非常勤で自らワークライフバランスを作るのも1つの回避策です。
また非常勤だからと、収入が低いとは限りません。
介護パートや介護派遣の時給相場は、結構高めです。
特に介護派遣は高時給で知られ、正社員より給料が多い事も珍しくありません。
⇒介護職が転職で高収入を得るには?【月30万円以上を稼ぐ転職アドバイス】
介護での転職に「失敗した」と思ったら
慎重に転職活動を行ったつもりでも、上手くいかなかったと思う事は出てきます。
最後に転職で失敗した時の動き方を見ておきます。
もし辞めたいと思ったら、本当に辞めるべきか冷静に整理しましょう。
個人的には、人間関係の良さや休日数の確保があれば続けるべき。
心身に悪影響があれば転職すべきと思います。
辞める際には、その原因と次のアクションは考えておきたいですね。
特に「介護以外の仕事をしたい」か、「他の職場で介護をしたい」かは重要。
忙しさや給料の問題だけで、介護職を辞めるのはもったいないかもです。
環境を変える事で、快適に介護で働けてる人もいます。
失敗の原因を考え、経験を糧に焦らずより良い職場を目指しましょう。
まとめ
今回は、介護での転職失敗談をお伝えしました。
職場や業界を良く調べ、比較したうえで納得できる条件で働く事が重要ですね。
働き始めて分かる事も多いので、失敗したと思ったら逃げましょう。
失敗しやすいかもですが、それを気にせず良いのが利点。
また本文中で触れませんでしたが、面接に落ちたというのも失敗談の1つですね。
私も経験がありますし、運や相性もあるので気に病む必要はないです。
ただ面接で失敗しない為のマナーもあるので、覚えておくに損はありません。
また職場見学も同時に行える事が多く、職場を見極める最大の機会ですね。
採用を意識しすぎず、こちらも見定める気持ちで臨みましょう。
コメント