無資格の介護職員向け資格の1つに、認知症介護基礎研修があります。
その名の通り、認知症介護の基本をeラーニングで学びます。
令和3年より義務化の話もあり、注目の集まっている研修ですね。
今回は、認知症介護基礎研修を解説します。
- 認知症介護基礎研修の内容と取得方法
- 受講義務化と免除資格について
- eラーニングの受講方法やカリキュラム
研修の内容や取得方法、同じ入門資格の初任者研修との違い。
受講義務のある人や免除になる資格など、取得方法と義務化の話を詳しく解説します。
認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修とは、介護職員向けに平成28年から始まった研修です。
認知症や介護の知識がない方を対象とした研修であり、誰でも受講が可能です。
厚生労働省が策定した「新オレンジプラン」に基づき、各都道府県で実施されてます。
参考:厚生労働省(認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン))
2021年の介護報酬改定で、無資格の介護職員に義務化されたのが記憶に新しいですね。
それに伴い、原則eラーニングで実施する事とされました。
「認知症介護の基礎」を学習
認知症介護基礎研修では、その名の通り、認知症介護の基礎を学びます。
- 認知症の現状
- 認知症の原因や心情理解
- 認知症ケアの考え方、基礎技術
主に認知症の基本知識から、対応方法などを学ぶ研修です。
認知症の理解に始まり、ケアにおける大事な考え方などを扱います。
研修は動画視聴形式で行います。
各カリキュラムの動画を視聴し、対応した確認テストに全て合格する事で修了となります。
以前は集合研修もありましたが、現在は原則eラーニングのみで修了可能。
コロナの影響もあり、集合研修はほとんど中止となってます。
「認知症介護実践リーダー研修」「認知症介護指導者養成研修」もあります。
「研修カリキュラム内容」と「試験問題(確認テスト)」
認知症介護基礎研修は、序章と4章の全5分野で構成されます。
- 序章.認知症の人を取り巻く現状
- Ⅰ.認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方
- Ⅱ.認知症の定義と原因疾患
- Ⅲ.認知症の中核症状と行動・心理症状の理解
- Ⅳ.認知症ケアの基礎技術
各分野で10~30分の動画が用意され、全部で約150分程度。
研修は、「動画を視聴し、確認テストに合格したら次の分野に進む」という流れで進みます。
各確認テストは、1つにつき「全5問の○×選択式」。
不合格でも再挑戦が可能で、複数ある問題候補からランダムで5問出題されます。
認知症介護基礎研修の義務化と免除
認知症介護基礎研修は、2021年の介護報酬改定で無資格者に受講が義務化されました。
全ての介護サービスにおいて、無資格で働く介護職員が対象です。
研修の受講義務対象者、免除対象者など、詳しく見ていきましょう。
無資格の介護職員に「研修が義務化」
先述の通り、当資格は「無資格の介護職員」に受講が義務化されました。
もっと言うと、「介護サービス事業者に、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づける」という内容です。
この適用範囲は、介護士などの「直接介護に関わる職員」が対象です。
福祉用具貸与などの事業者は対象とはなりません。
詳しくは後述しますので、自分が免除対象かご確認ください。
受講義務化は2024年から
認知症介護基礎研修の受講義務化には、3年の経過措置期間があります。
その為、正しくは「2024年からは完全に義務化」という形ですね。
それまでは、努力義務になります。
「新入職員の受講は1年の猶予期間を設ける」という特例もあります。
※参考「厚生労働省(令和3年度介護報酬改定の主な事項について)」
「その後に採用された無資格者は、1年以内に研修を受けないとダメ」という事ですね。
今までは、介護施設での勤務は無資格者でも可能でした。
現在でも無資格に資格取得を推奨する動きはありますが、今後は一層注意が必要ですね。
研修義務の免除対象となる資格
医療や福祉関係の資格保有者は、基礎研修を受ける必要はありません。
その対象資格は、「各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得してる者」とあります。
具体的には、下記資格の保有者は免除対象です。
- 看護師、准看護師、医師、歯科医師、薬剤師
- 介護福祉士、介護支援専門員
- 実務者研修、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修
- 介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修課程一級課程・二級課程修了者
- 社会福祉士、精神保健福祉士
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
- 管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等
また養成施設や福祉系高校の場合、認知症に関わる科目の受講が証明できればOK。
※卒業証明書及び履修科目証明書で、事業所等が確認できれば対象外となる
福祉系高校の場合、認知症に関する科目が必修となってます。
その為、卒業が証明できれば対象外となります。
未経験者は「初任者研修」を受ける方法も
無資格者が介護士などで働く場合、他にも選択肢に入る介護資格があります。
それが下記資格です。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 生活援助従事者研修
上記はいずれも受講条件が無く、誰でも取得できます。
特にオススメしたいのが、初任者研修。
これは介護の入門資格で、基本知識や技術が習得できます。
資格手当のある職場も多く、業界で最もポピュラーな未経験者向け資格ですね。
未経験者はどの資格から取るべき?
誰でも取れる介護資格が増えており、未経験者は迷ってしまうかもしれません。
個人的には、先述の通り今後も「初任者研修」を受けるべきと考えます。
…というのも、現状の介護業界では下記を想定したキャリアプランが組まれています。
- 初任者研修を修了
- 実務経験を積む
- 実務者研修を修了
- 介護福祉士を取得
こうした事情の為、採用した無資格者には初任者研修を推奨する職場が多数です。
しかも初任者研修があれば、実務者研修で内容の免除があります。
そして実務者研修は、介護福祉士の受験に必須。
これらを踏まえ、まずは初任者研修を受講する事をオススメします。
実務者研修は無資格からだと、時間もお金もかかります。
生活援助者研修は簡単ですが、そもそも研修の数が少ないです。
ただ初任者研修は、早くても取得に1ヵ月はかかり、費用も5万円以上かかります。
認知症介護基礎研修とは、かかる費用や時間が大きく違いますね。
ただそれだけの価値はあるので、ぜひ取得を検討してみて下さい。
その他の場合は初任者研修を取るべき、という構図になるでしょうね。
認知症介護基礎研修の受講方法
ここからは、認知症介護基礎研修の具体的な受講方法を解説します。
研修はeラーニングで受講
認知症介護基礎研修の受講情報は、各都道府県のホームページで確認できます。
お住いの地域で確認してみて下さい。
調べた感じ、認知症介護研究・研修仙台センターを研修主体と指定してる都道府県が多いです。
原則eラーニングの為、こちらのシステムが主に使用されてます。
受講の際は、都道府県のHPと共に下記ページも参考にしてみて下さい。
主要eラーニングシステムの利用方法
先述の認知症介護研究・研修仙台センターによるeラーニングの流れも解説します。
事業者が必要措置を講じるのもあり、個人目線では職場を通して受講する形となる様です。
- 所属先から「事業所コード」をもらう
- 必要情報を入力(事業所コード、eメールアドレス等)
受講者ID、申込確認通知、受講料支払方法の案内を受ける - 支払いを済ませ、eラーニング開始
- 全ての確認テスト終了後、修了証がWeb上で発行
※PDFファイルをダウンロードし印刷する
受講料は、税込み3,000円。
必要情報の入力登録時には、パスワードもあります。
学習時には、発行されたIDと設定したパスワードを入力し、ログインする形ですね。
実際には、無資格で就職できるけど職場から「研修受けて」と指示される形かと。
さいごに
今回は「認知症介護基礎研修」について、お伝えしました。
義務化の話で焦った方もいるでしょうが、費用も時間もかからない内容でしたね。
繰り返しですが、今後も介護の入門資格は初任者研修になるかと思います。
認知症の知識も扱うので、これから介護で働きたい方は受講を考えてみて下さいね。
また認知症に関する資格は、他にも色々あります。
当研修のステップアップ版にあたる、認知症介護の実践者やリーダー研修などですね。
民間資格にも、経験者向けな認知症ケア専門士。
一般向けの認知症介助士などもありますよ。
おまけとして、認知症介護基礎研修のテキストもあるので紹介。
動画学習の研修なので不要かと思いますが、興味のある方はどうぞ。
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