介護施設の夜勤には、「忙しくて大変」「キツイ」というイメージが強いと思います。
職場により差はあるものの、実際もその通りで、仮眠や休憩もなかなか取れません。
夜間は職員も少なく、1人で何人もの利用者をみるワンオペでの夜勤も少なくないです。
今回はこの「介護施設に1人夜勤のキツさ」について、問題点を語ります。
介護士が健全な環境で働く為の職場選びについて、お話しします。
介護施設における1人夜勤の働き方
介護施設の夜勤では、ワンオペ体制が問題となっています。
ワンオペとは「ワンオペレーション」の略で、1人体制での業務を指します。
つまり1人体制での夜勤という意味ですね。
1人夜勤の「勤務シフト」と「人員の様子」
介護職員のシフトから見てみましょう。
老人ホームなど24時間体制の入居介護施設では、主に下記の様に人員が配置されます。
介護施設のシフト例 | |
---|---|
シフト | 勤務時間 ※( )内は8時間夜勤 |
早番 | 7:00 ~ 16:00 |
日勤 | 9:00 ~ 18:00 |
遅番 | 11:00 ~ 20:00 (13:00 ~ 22:00) |
夜勤 | 16:30 ~ 翌9:30 (22:00 ~ 翌7:00) |
ワンオペを採用する施設では、早番や遅番の勤務時間外は夜勤者1人で対応します。
利用者様の生活の流れで言うと、就寝から起床時までです。
16時間でも8時間でも、それは変わりません。
計11時間の間、1人体制という事になります。
ワンオペ夜勤を採用している介護施設
ワンオペ体制での夜勤は、主に小規模やユニット型を採用する施設で行われます。
例えば、下記の様な介護施設です。
ワンオペ夜勤がある施設例
- グループホーム
- 小規模多機能型居宅介護
(看護小規模多機能型居宅介護) - 一部の「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」
「有料老人ホーム」など
日本医労連が行った調査では、「全てのグループホーム、小多機、看多機が1人体制」。
「半数以上の特養でも、1人体制の夜勤を行っている」とありました。
参考:「日本医療労働組合連合会(2019年介護施設夜勤実態調査)」より
ワンオペは「ユニットケア」採用の施設に多い
上記結果にある通り、ワンオペ夜勤は「ユニットケア」を採用する施設に多いです。
ユニットケアとは、少人数制で職員と利用者を固定する方法。
このユニット型施設では、対応利用者が少ない分、職員配置も少なくなります。
また同じワンオペ体制のユニット型施設でも、施設種類で担当利用者数も異なります。
「グループホーム」と「ユニット型特養」を例に比較します。
- グループホーム:1ユニット9人
- 特養:1ユニット10人(夜間は多くが2ユニット20人を対応)
グループホームは、1ユニットにつき夜勤者1人が対応。
特養では、2ユニット20人を1人で対応する施設が多数です。
同じワンオペでも、かなりの差がある事が分かりますね。
どちらにしろ、休憩・仮眠は無しなので、しんどい事には変わりないです。
夜間帯で休憩用の人員を用意してる施設は、ほぼ無いので避けた方が無難かと。
介護施設の1人夜勤は違法?
介護施設における1人夜勤は、違法とは限りません。
介護施設では、施設種類や利用者数に応じ、職員の配置基準が決められてます。
ただ夜間の配置基準は少なく設定され、「職員が最低1名いればよい」とする所も少なくないです。
とはいえ、1人夜勤は忙しさと不安感で心身共にキツイ環境。
職員の負担や利用者の事故リスクなど、休憩が取れないなど、多くの問題を抱えてます。
違法でなくとも、健全な労働環境とはいえないというのが、実際に経験しての思いです。
介護における1人夜勤の「休憩実態と問題点」
介護施設のワンオペ夜勤は、これまでも多くの問題の声が挙げられていました。
下記は、その問題点の一部です。
ワンオペ夜勤の問題点
- 休憩時間が確保できない
- 利用者対応の難しさ
- 介護職員の負担がキツイ
要するに「定められた人員配置基準は実態に合ったものではない」という事です。
1人夜勤で休憩が取れないのも、代表的な問題ですね。
その為、利用者の安全確保や職員の労働負担の面で問題が生じてます。
1人夜勤で休憩や仮眠が取れない
入居施設の利用者は、24時間介護の手を必要とします。
1人体制の夜勤では、仮眠はおろか、休憩時間の確保さえ難しい状態です。
徘徊や起きてる方がいれば、見守りの目も必要とします。
業務が忙しければ休憩を取る事は不可能ですし、トイレにもゆっくり入れません。
例え時間が取れたとしても、この様な状況を休憩と呼ぶべきではないです。
現場に入ると分かりますが、何かあった時の待機時間も仕事です。
残念ながらこの状況でも「休憩は取れている」とされ、理解が進んでないのが現状です。
先の実態調査では、「約5割の施設で仮眠室が無い状態」ともあります。
また日中でさえも休憩が取れない等、労働環境への意識が低い職場も少ないながら存在します。
本来「取るべき休憩時間」は?
ワンオペの介護夜勤でも、休憩時間は1時間~と設定されます。
8時間以下の場合でも、少なくとも45分以上の休憩が必要。
実際の夜勤では、8時間でも16時間でも1時間とする職場が大半ですね。
ただ休憩が取れない状況でも、勤務上では「休憩を取っている」と扱われます。
つまり忙しく働いていても、1時間分の給料は出ません。
待機時間も仕事ですので、休憩時間が明確な方が色々な意味で健康的です。
利用者の健康・事故リスクに対処できない
ワンオペ夜勤は、利用者様の安全性の面でも問題を抱えてます。
例えば転倒リスクのある方が複数動き出せば、同時に対応する事は不可能です。
リスクに応じた優先順位をつけ、順に対応する他ありません。
事故が起これば相応の対応が必要ですし、体調不良があればより職員の手を必要とします。
利用者様を守る為には、結局は職員が無理をせねばなりません。
介護の1人夜勤は「正直かなりキツイ」
ワンオペ体制での夜勤は、こうした状態で長時間勤務します。
16時間夜勤だと、休憩込みで17時間ですね。
下手すれば休憩なしで動きっぱなしなワケですから、介護職員の心身の負担は相当なモノです。
認知症対応や事故や健康リスクへの配慮など、夜勤者のストレスも無視できない問題です。
うつを発症する方もいますし、虐待等の発生リスクにもなり得ます。
ワンオペに限界を感じたら転職を
介護夜勤において、夜間人員が増える事は極まれです。
「1人夜勤がキツイ」と訴えても、職場に改善を期待する事は難しいです。
もしワンオペ体制に心身の限界を感じたら、転職して逃げるほかありません。
やっぱり夜勤者の負担は、極力減らすべきです。
もし転職活動中で夜勤に不安があるなら、複数人で夜勤が出来る職場を選びましょう。
その際は、必ず夜間人員について尋ねる事をオススメします。
夜勤者不足と独り立ちの難しさ
1人夜勤から脱却するには、夜間の人員配置を増やすしかありません。
…ですが、施設の現状としては夜勤者不足の問題もあります。
介護現場の夜勤は、少ない人数で利用者様を対応し、その安全を守らねばなりません。
勤務時間や責任の重さにより、日勤帯より職員の確保が難しい状態です。
特にワンオペ体制ともなると、独り立ちへの敷居も高くなります。
「任せられる職員がいない」「不安で職員が潰れる」など、指導が上手くいってない現場も散見され、独り立ちを急ぎ、介護の質に問題が生じるケースもあります。

そうして結局は、特定の職員ばかり夜勤に入らざるを得ない状況が出来上がります。
介護士が安心して働ける施設とは?
介護士が安心して夜勤で働くには、ワンオペ夜勤を避ければ良いワケでもありません。
介護夜勤では、職員が増えれば基本的に担当利用者も増えます。
職員がいようと業務実態に合った人員配置でない限り、負担は大きく変わりません。
夜勤をするつもりであれば、下記の様な点を重視し転職活動をすると良いでしょう。
安心して夜勤ができる職場とは?
- 仮眠時間の有無
- 緊急対応のサポート体制
- 職員がバランスよく定着している
夜勤中に仮眠がとれる
介護施設の場合、休憩時間より「仮眠の有無」で見た方がより健全性が分かりやすいです。
介護夜勤でも、仮眠が取れる職場は存在します。
例えば、「3人体制で交換で休む」などですね。
仮眠があるという事は、それを可能にする人員配置があるという事。
実際の「夜勤人数」や「仮眠室の有無」まで、チェックできると安心ですね。

緊急時の連絡やサポート体制
夜間の緊急対応のサポート体制も、いざという時には重要です。
介護士が「夜勤中に困った時にどうすれば良いか」が明確な職場が望ましいですね。
特変があった際に、協力や指示を仰ぎやすいと尚良いです。
宿直者やオンコール体制など、連絡方法が明確かつ、協力体制が充実した職場を選びましょう。
緊急マニュアルがあっても、その流れが浸透してない施設も多くあります。
職員全体に周知され、職場ルールとして落とし込めているかまで確認できると安心ですね。
職員がバランスよく定着している
職員が余裕を持って働くには、結局は職員数が必要になります。
人がいなければ、夜間も「人員が減るか」「回数が増えるか」になります。
またいくら職員がいても、「日勤帯だけ」であれば同じ事です。
必要な職員をバランスよく確保してる職場が望ましいですね。
介護業界は職員の移り変わりが激しく、健全な環境の維持には職員の定着率も必要です。
給料や休日などの待遇、職場内の雰囲気、雇用改善への取り組みなど…。
転職活動の際には、「総合的な魅力が高い職場」が理想的ですね。
情報収集には転職サイトを活用
転職活動の際は、転職サイト等での情報収集が大切です。
介護系転職サイトの中でも、職員の定着率に注目するならマイナビ介護職 が優れています。
求人の質にこだわり、サポート体制が充実したサービスですので活用しましょう。
まとめ
今回は「介護施設の1人夜勤の問題点」をお伝えしました。
介護士には、「夜勤が出来て1人前(正社員に必須)」という風潮、「夜勤手当による収入確保」など、夜勤が出来ないと不自由する場面が多くあります。
介護士が長く健全に働くには、それが出来る労働環境を自ら判断し、選ばねばならないのが現状です。
時には、逃げるという選択も重要になります。
利用者と介護士双方にとって、魅力あふれる施設が1つでも増えて欲しいですね。
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