介護士として初めての職場、未経験・経験者も不安がいっぱいです。
本当に一人前になれるのか、心配になりますよね。
そこで今回は、「新人介護士が独り立ちするまでの期間と流れ」を解説します。
- 介護士が独り立ちする流れ
- 新入職員が仕事へよく躓くポイント
- 仕事が覚えられない、放置等、指導トラブル
介護士としての転職・指導経験をもとに、上記内容をお話しします。
新人介護士が独り立ちするまでの流れ
始めに、「新人介護士が仕事で独り立ちするまでの流れ」をお話しします。
- 先輩職員の付き添いのもと、各利用者の対応を覚える
- 利用者対応は基本1人でするが、他職員と一緒にシフトに入る
(完全1人の時間はない、日勤などが中心) - 担当シフトや仕事を1人で出来る、他職員の付き添いを必要としない
職場により人員配置が違いますが、大体こんな感じです。
当記事では独り立ちとは、③の「他職員のサポートを必要としない状態」として説明します。
入職直後などに研修を行う職場もありますが、その限りではありません。
私の経験上、すぐに現場で働きながら指導を受ける事がほとんど。
大手の新卒採用、オープニング施設なんかだと、研修時間が充実してる事が多いです。
入職から独り立ちまでの各プロセス
それでは、独り立ちまでの各プロセスを詳しく確認します。
未経験者も経験者も、基本的には同じ流れで独り立ちします。
入職直後に覚えること
入職直後に覚えるのは、利用者や職場内ルールなどが中心。
先輩職員の完全付き添いのもと、仕事の流れを学びます。
他職員の仕事を見て覚え、自分の動きを見てもらい確認するという段階ですね。
- 利用者の名前と顔、特徴など
- 職場のルール
- 仕事の流れ
これらを覚えつつ、簡単な介助から少しずつ出来るようになるのが目標です。
覚える事が多く、1番しんどい時期ですね。
対応が簡単な方から始め、少しずつ出来る仕事を増やしていく事になります。
職場の雰囲気、同僚の職員にも徐々に慣れていきましょう。
自分で動き覚える段階
少し仕事に慣れてきたら、徐々に1人で任される仕事内容も出てきます。
「全部の仕事は出来ないが、出来る事はいくつかある状態」ですね。
自分で動き覚えるのが中心の段階です。
- 基本的な仕事の流れ、職場ルールは理解してる
- 1人で出来る仕事、利用者対応がある
見てもらいながらや指示を受けつつ、仕事を覚えていきます。
1人で対応できる利用者も、少しずつ増えてくると思います。
まだ他職員の手も必要ですので、誰かと一緒に働けるよう配慮されます。
入居施設だと、日勤が多いかと
利用者の特徴や介助方法を覚えてしまえば、後は苦労も少ないです。
この調子で対応できる利用者・介助を増やしましょう。
他時間帯の勤務も、流れを覚えればすぐ対応できる様になりますよ。
独り立ち開始
必要な利用者対応を覚えてしまえば、後は色んな時間帯の流れを学ぶだけです。
入居施設であれば、最後に夜勤を学び、完全な独り立ちとなります。
※時間指定の非常勤等は、自分の出勤時間の事のみでOK
夜勤の付き添いは、2~4回ぐらいの職場が多いです。
自身が無い時は素直に伝え、付き添い回数を増やして貰いましょう。
夜勤専従の場合、指導機会が夜勤のみなのでもっと回数は多いです。


独り立ちまでの期間は3ヶ月程度
未経験から始め、夜勤を1人でこなせるまでと考えると…
独り立ちまでの期間は、およそ3ヶ月程度が目安です。
ただしその期間は、その人の経験や適性、出勤ペースにより違いが出ます。
その他にも、下記の様な要因も独り立ち期間に関わります。
- 身体介助量や仕事の忙しさ
- 介護拒否など、対応が難しい利用者がいる
上記のような、「仕事の難しさ」「大変さ」も独り立ちを妨げる原因です。
気難しい利用者様もおり、職員に慣れるまで時間のかかる方もいます。
介護の仕事は、現場により内容がかなり違います。
利用者との相性などもありますので、あまり他と比べてはいけません。
自分のペースで、少しずつ確実に成長する事が大切です。
未経験と経験者で期間に違いはある?
未経験者と経験者では、独り立ちまでの期間に違いはあります。
経験者は、基本的な介助方法など、仕事のベースがあり必要な指導も少ないです。
利用者の事や業務の流れに集中できる
どちらにしても個人により、仕事を覚えるペースは違います。
仕事内容や利用者、職員の指導方法など、色々な要因もあります。
新入職員・指導者共に焦りは禁物、出来ない事を1つずつ減らすのが大事です。
仕事を覚えるには、やはり慣れが1番効果があります。
続ける事でちゃんと成長しているので、心配しすぎずとも大丈夫ですよ。
分からない事や不安な事は、素直に指導者へ伝えて下さい。
また新入職員は、「分からない事が分からない」事も多いです。
指導者の方も、よく動きを見て的確なアドバイスを伝えられるよう配慮しましょう。
未経験介護士が独り立ちまでに覚えたい事
未経験者が独り立ちまでに覚えるべき事をまとめます。
- 仕事を覚えるコツ
- 付き添いがあるうちに覚えたい事
- 新人職員が苦労しがちな点
私の経験を元に、これらの情報をお話しします。
まずは利用者の事を覚える
まず介護士として始めに覚えたいのが、利用者様の事。
顔と名前を一致させ、特徴を掴む事から始めましょう。
- 食事や排泄の介助方法
- 食事形態
- 居室や座席の場所
出来れば「なぜその方法なのか?」という理由もセットで覚えましょう。
事故リスクや既往歴、性格など、利用者様の理解が深まります。
可能であれば、事前に初任者研修も取得しておくと理解が捗ります。

完全な付き添い指導はあまり受けられない
介護の仕事はチームワークが大切ですが、実際には1人で動く事も多い仕事です。
移乗やオムツ交換、入浴介助など…
基本的には利用者様とマンツーマンなので、なかなか他職員の仕事を見る機会がありません。
自分でやって、初めて出る疑問もあります。
1度教わった内容でも、分からない時は「ココが不安だから、もう1度見せて欲しい」とお願いすると良いですよ。
指導者としても、意欲がある方は教えがいがあるので悪い気はしません。
基本的な介護技術は自分でも学べますので、独自に勉強してみると良いですね。
新人介護士が苦労しがちなポイント
自分や周りの新人職員さんが、よく苦労しがちなポイントをご紹介。
教える立場で見ても、下記の点が特に覚えにくい様です。
- 利用者の食器(茶碗やコップ、箸)
- 食事形態・配膳
- 記録作業(介護ソフト)
「食事の配膳」が特に難しいという意見が多いですね。
ユニット型施設等では、ご飯やみそ汁の盛り付けもする
配膳ミスは事故報告にも繋がるので、慎重に行う必要があります。
食器に名前が無い事も多いので、指導側の方は気にしてあげて下さい。
教わる方も、「名前を書いて欲しい」とお願いしても良いと思います。
自分なんかは、シールに書いてコップに張ったりしてます。
日誌や介護ソフトも新人泣かせ?
もう1つ新人介護士が苦労するのが、介護ソフトの扱い。
介護ソフトとは、利用者情報をパソコンで記録・入力する為のモノ。
業務効率を良くする為のソフトですが、意外と覚えるのが難しい。
若い方はともかく、PCに馴染みの無い方は特に難しいみたいです。
すぐに出来るようにならずとも問題無いので、焦らなくて良いです。
入力用のマニュアルを用意してる職場も増えてきてます。
介護士の仕事で1番大切なのは、利用者様の対応です。
まずは利用者様の事に集中し、介助方法を学んでいきましょう。
「仕事が覚えられない」「自信がない」時の対処方法
仕事が覚えられない、独り立ちできるか心配。
これらは、新人職員誰しもが抱える不安です。
3ヶ月とは書きましたが、独り立ちまでのペースは人それぞれです。
自分のペースと比べ、周囲の期待が強すぎる時はペースを落として貰いましょう。
勇気が要るとは思いますが、別に恥ずかしい事ではありませんよ。
分からないまま独り立ちし、事故を起こしては元も子もありません。
下記記事で、介護未経験者向けにオススメ書籍を紹介してます。
自分でも色々と勉強してみると良いですよ。

また出勤間隔が開きすぎると、なかなか仕事も覚えられません。
出勤日数を少なくしたい方もいるとは思いますが…
自信が付くまでは、少し出勤日数を増やしてみる事をオススメします。
メモは必要?
よく「新人はメモを取れ」なんて言いますが…、
個人的には、よく「聞く」「見る」ことが大切では?と思います。
メモを取るべき事が分からない場合も多いですし…
あまりメモに躍起にならず、見聞きや体験を通し学ぶ方が頭に入ると思います。
ただし「仕事への意欲アピール」には有効
振り返りの時間を作り、疑問や分からない事を書きだす方法も有効ですよ。
近年は、教える立場になる方が多いのですが…
1回で覚えるのは無理だと思って、お話しさせてもらってます。
2回や3回、回数を重ねた時に、より頭に入るようになれば良いのです。
メモが必要な内容なんかは、教える側で資料にしておくと良いですね。
経験上、その方がお互い楽です。
異動で解決する事も
介護では、新人職員の異動もよくあります。
…というのも、新入職員は適性が分からず、とりあえず人員不足のフロアに配置されてしまう為。
フロアにより仕事の質や大変さが違うので、ミスマッチがよくおきます。

他にも、「指導力のある職員がいるか」という問題もありますね。
何にせよ新人の異動はよくあるし、恥ずかしい事でもないです。
異動で解決した例もたくさん見てきたので、「辛い」と思ったら相談してみると良いですよ。
教育期間が短すぎる介護現場は危険
ここまででもチラッと話しましたが、独り立ちを急かす職場は危険です。
少しブラック気質な場合もあるので、注意しましょう。
恐らく「人手不足でシフトが組めない」等の事情でしょう。
…ですが、そんなことは、新人職員には関係ありません。
本当はそんな時ほど、職員を大事に育てなくてはならないんです。
それでも頑張って耐える方もいますが…
無理して対応し、介護事故を起こしているケースもあります。
それに知識や技術もないままベテラン扱いになってしまうと、将来苦しむのは自分です。
自分だけでなく、利用者様の為にも無理をしてはいけません。
独り立ちするにしても、人員配置の厚いなかで仕事が出来ないか掛け合ってみましょう。
「放置」「即戦力扱い」など、注意すべき指導トラブル
他にも、新人教育にはこんなトラブルが付き物です。
- 入職して数日で「次からは1人だから」と言われた
- 「こんな事も分からないの?」などの高圧的な指導
- 忙しいからと放置された
これらは経験者もよく遭遇するトラブルです。
即戦力を期待されがちなので余計多いかも
悪気は無くても、こういった態度をしてしまう職員もいます。
まともに教わった経験が無いから、教え方が分からず、結局自分の業務に逃げてしまうワケです。
介護が出来るのと、教育指導が出来るのは別の話。
2つは全く別の仕事です。
そんな時は、「何かやりますか?」と指示を促したり、「○○が分からない」と尋ねてみましょう。
仕事の不安や疑問は、どんどん吐き出してOK。
…改善されず、自分も限界にきているなら、早めに環境を変えるべきかもしれません。
転職サイトでは、新人職員向けの相談も受け付けてます。
指導力のある職場を選び紹介してくれるので、活用してみて下さいね。
マイナビ介護職が、求人の質と職員定着率にこだわっておりオススメ。

まとめ
今回は、「介護士の独り立ち」についてお話ししました。
- 「見る、聞く」「動いて覚える」「独り立ち」の流れで行う
- 3ヶ月が目安だが、期間は気にしすぎない事
自分のペースで、無理せず確実に成長する事が大切 - 指導力のない職場や職員もおり、独り立ちを急かされる事も
「不安」や「危険」を感じたら、異動や転職を検討する
仕事は、慣れるまでが1番辛い期間です。
時には、自分で疑問を聞いたり、調べる等の積極的な姿勢も必要になります。
但し、焦ったり無理をしてはいけません。
少しずつ、出来る事を確実に増やす事が大切です。
残念ながら、待つ余裕や指導力のない職場もあるのも事実。
あまりにおかしい時は、違う環境へ逃げる選択もあるので覚えておきましょう。
また独り立ちしたからと言って、全て出来なくてはダメな事はありません。
「分からない」「出来なかった」と素直に伝えてOKですよ。
介護の仕事は、そんな事の繰り返しです。
素直で正直な姿勢は、信頼やスキルを得るのに大切ですので、持ち続けて頂ければと思います。
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