介護の仕事は、はっきりとした正解のない仕事です。
「仕事が出来ない、分からない」、「入浴介助が遅い事を注意される」。
中堅の介護士でも、こんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は「介護士の仕事が出来ない悩み」に対する解決策を紹介。
仕事での動き方や考え方など、介護士に必要な仕事術を考察します。
仕事量が原因な事もあるので、改善を目指しつつも自信を無くさず行きましょう。
「仕事が出来ない」と考える介護士の悩み
一言に「仕事が出来ない」と言っても、色々あると思います。
まずはその原因を探ってみましょう。
介護士が仕事で困る場面というと、下記の様なモノがあると思います。
介護士の仕事の悩み
- ケア方法が分からない、合ってるか不安
- 介助が多く仕事が終わらない
- 介護拒否で仕事が出来ない、他職員と上手くいかない
1つずつ見ていきます。
ケア方法が分からず常に不安がある
仕事に対する不安がある時は、そもそも「仕事の正しい方法」が分からない事も多いです。
介護士ですと、主に利用者様の介助や対応方法です。
利用者様の事が覚えきれず、仕事についていけない。
「これで良いのか」と自信を持てず、常に漠然とした不安がある。
こんな状況も介護士には多いのではないでしょうか?
こういった不安やストレスにも繋がります。
また独り立ちを急かされ、負担を抱えてる職員もよく目にします。
無理だと感じたら、指導者にペース落として貰えるよう相談して下さい。
転倒などの介護事故に立ち会った時も、最初はかなり気落ちしますよね。
ですが、誰しもが経験する事なので大丈夫ですよ。
「自分の仕事が遅い」「仕事が終わらない」
「仕事が終わらない」というのも介護士に多い悩みです。
食事介助やオムツ交換、記録作業に入浴介助。
時間がいくらあっても足りませんね。
「自分は仕事が出来ず遅い」と悩んでる方も多いと思います。
残業が増えたり、他職員へ迷惑をかけてないか気になったりもしますよね。
しかし、それで焦ると今度はミスを招いたりします。
極端なところだと「スピード命」みたいな施設もありますし…。
仕事の早さを求められる機会も意外とあります。
この辺のバランスとりも難しいところ。
職員や利用者との関係が上手くいかない
自分に自信がない時ほど、他人の目が気になるものです。
ここまで述べた仕事の悩みは、利用者や他職員との関係にも関わってきます。
仕事内容が人間関係に影響する事も…
- 仕事が遅い事を怒られる
- 他人のチェックが気になる
- 介護拒否など、仕事に支障が出る
介護はチームプレーの仕事ですから、他人の動きは目に入ってしまいます。
仕事の能力により、他職員や利用者との人間関係に悪影響が出てしまう。
逆も然りで、人間関係が足かせになり仕事への悪影響・ストレスに繋がる事もあります。
特にストレスなど精神面に与える影響が強い悩みですね。
介護士ならではの特徴かと思います。
介護で「自分の仕事が遅い」と思った時の解決法
介護現場では、いくら時間があって足りません。
もし「自分の仕事が遅い」と思ったら、下記の事を試してみて下さい。
- 時間効率を意識した動き方をする
⇒前倒しで動き、何もしない時間を減らす - やりすぎの介護を無くす
- 仕事量が少ない職場に転職する
介護職は、早さのみではできない仕事です。
時には待つ事も求められるし、そもそも仕事量が多すぎる事もあります。
経験のある中堅介護士でも、仕事が終わらない時はよくあります。
自分なりに努力してみてダメだったら、仕事環境を変えるべきかもしれません。
「時間」「効率」を意識した働き方
余裕を持って業務を進めるなら、時間効率は意識する必要があります。
介護士の仕事は、基本的に利用者様の生活ペースに沿って進められます。
その為、何かが遅れればその後の業務時間も少なくなります。
時間のある時は、自分の仕事ペースから逆算して早めに動き始めましょう。
しかしただ効率だけを意識しては、利用者の事故リスクが高くなります。
事故リスクも考慮したうえで、時間や物事の優先順位を考える必要があります。
「何もしない時間」を減らす
効率良く仕事するなら、何もしない時間を極力減らす事です。
例えば、入浴介助で「拒否のある人」をずっと説得していては、次の仕事が出来ません。
声をかけてダメなら、次の人の入浴介助を行う。
そうして時間を置きつつ、小まめに説得を試すなどをします。
いつまでも執着せず、できる仕事を確実に進める意識も大切ですね。
また「記録業務」「食事準備」など、少しは時間関係なく進められる業務もあるはず。
時間が出来たら、そうした作業をするか「次の仕事」を前倒しで進めましょう。
適度な範囲で行うようには注意して下さい。
利用者の世間話から逃げる
介護で仕事が遅くなってしまう人の中には、利用者と長く話し込んでしまう人もいます。
自分が急いでる時に限り、利用者の長話に捕まるのは介護職あるあるですね。
しっかり話を聞くのは正しい姿勢ではありますが、賢く切り上げるのも大切です。
そうした時の逃げ方も知っておきましょう。
- 今〇の途中だから、終わったら話を聞きに来ます
- 分かりました、すぐは無理なので少しお待たせしても良いですか?
- ここで遊んでたいけど、働かないと怒られちゃうから
前者2つは、「お願い事」や「不満」を話された時。
最後は「楽しい世間話」を切り上げたい時、冗談めいて使うと効果的です。
言いにくい場面でも、きちんと事情を話せば分かる人は多いです。
「来ないと思ったら、コール押して良いから」とフォローも入れれば十分でしょう。
事故リスクを考えた「業務の組み立て方」
介護では見守りや付き添いで、自由に動ける場面も少ないです。
そのため、「事故リスクと効率を意識した業務組み立て」をする必要があります。
下記は「起床・就寝介助」を想定した例です。
- 事故リスクが高い方は、「反応が分かる場所」か「落ち着く場所」で過ごしてもらう
- フロアに利用者がいる時は、居室に長くこもらない
- 危険が少ないが動作に時間がかかる人は、優先して先を促す
例えば「就寝時」の口腔ケアはフロアで行い、オムツ交換は最後にまとめて行う。
動作が遅い人は、先に配膳したりトイレ誘導する。
「転倒リスクの高い人」が動き出しそうな時は、時間のかかる介助を避ける。
または見守りながら進められる介助を行う等の工夫が出来ます。
危険を無くしつつ、こうした目線でいかに効率よく動けるかを考えていきましょう。
早めに動いた方が良い時、後でできる事なども見えてくるはずです。
やり過ぎの介護を減らす
時間を無駄にしない為には、やりすぎの介護を減らしましょう。
やりすぎの介護とは?
- 食事の意思がないのに、完食するまで介助する
- 排泄があるまで、ずっとトイレに座らせる
上記等を必要以上に行ってるなら、改めた方がお互い楽になります。
またこれらの間は焦りも生まれるし、他の方への見守りがおろそかになります。
やりすぎを減らす事で、事故リスクの軽減にも繋がりますよ。
介護の仕事は、時にこちらの判断で食事やトイレを中止する必要もあります。
相手の様子やかけた時間を見て、適宜判断しましょう。
この判断が難しくはあるのですが、判断基準は相手の状態により異なります。
経験を積み養ってくしかありません。
仕事量が多すぎる場合もある
実際の現場では、効率の問題より仕事量の多さで終わらない事が多いです。
それに加え、介護業務では「待つ事しかできない場面」もあります。
- 入浴介助中
- 食事中
- トイレ中
例えばこれらの場面では、先を促す事しかできない事もあります。
それに急ぐ事で事故を招く場面も多くあります。
安全を捨ててまで、介護を行う事はできません。
時間を意識しても終える事が出来ない場面もあり、その時は諦める他ありません。
単純に「業務量が多すぎる」という話になります。
入浴介助だって終わらないなら、仕方ないです。
自分のせいだと思わず、慌てず自信をもって仕事して下さい。
仕事量が少ない介護施設に転職
業務量が多すぎるのであれば、楽な施設に転職する方法もあります。
介助量が少なく、職員数が多ければ仕事量は減ります。
自分の場合、コレで解決しました。
必ずしも、有料老人ホームが良いワケではないでしょうが…
特養や老健よりは、仕事量が少ない傾向ですね。
仕事が楽な介護施設はある?
どの仕事も大変ですが、やはり仕事に余裕のある施設はあります。
転職活動においては、下記ポイントを意識すると良いです。
- 職員が多い(求人の内容が良く、応募者も多い)
- 平均介護度が低い
まずは、要支援なども受け入れてる「平均介護度の低い施設」。
全員が「要介護」なのと、要支援の方もいるのでは全く違います。
介護度の面でバランスが取れた施設の方が、仕事量は少ないです。
もう1つは、求人に魅力があり「入職希望者が多い職場」ですね。
仕事量が多く遅くなるのは、大体は人手不足が原因です。
介護業界は売り手市場で、どこも求人の応募者がいません。
人員の補充スピードが違います。
実際の求人情報は、転職コンサルタントに相談みて下さい。
無料で利用できますし、希望条件で求人紹介してもらえます。
「仕事が出来ない」「難しい」時に試したい事
終わらないとは別に、「分からない」「難しい」と思った時の解決策に話を移します。
ベテラン介護士でも、判断に迷ったり悩む事はあります。
そんな時は素直に聞いたり、情報を積極的に取りに行くのが大切です。
- 自分の動き方で改善する事
- 職場環境に原因がある時
効率や動き方を考え、自分で改善出来る事。
そもそも仕事量が多すぎて、自分での解決が難しいケースですね。
介護業界では後者も多く、このあたりの見極めも大切になります。
ここで紹介した内容を試し、難しいと思ったら転職も検討すべきかもしれません。
「相談」と「情報共有」で分からない事をなくす
仕事で分からない事やミスがあった時は、隠してはいけません。
必ず誰かに相談・確認するクセをつけましょう。
正しかった対応も、利用者に変化があれば間違いに変化する事もあります。
これが正解と断言できる事は少なく、介護の仕事は結構手探りの部分が大きいです。
なので職員同士で情報を共有し、ケアや対応方法などの仕事ルールを作っていく事になります。
分からない・失敗した時は、堂々としていて大丈夫です。
こまめな報告が身を守る
転倒などの事故や些細なケガに気付いたも、必ず報告しましょう。
介護士としては気落ちしてしまいますが、誰しもが通る道なので大丈夫ですよ。
⇒介護事故報告書の書き方と記入例を紹介!報告が必要なのはどんな時?
きちんと報告がある事で、皆で解決策を考える事が出来ます。
自分の身を守る事にも繋がります。
改善案などがある場合も、職員やリーダーに提案し、情報共有してから行いましょう。
自分でも介護知識や技術を学ぶ
とっさの判断を求められる事も多いので、自分でも基本的な知識をつけておきましょう。
必要技術や知識については、参考書籍も紹介してます。
緊急対応方法など、職場ルールの確認もお忘れなく。
職員や利用者を味方につける
介護士は、他職員や利用者と無縁でいる事は出来ません。
両者と上手く関係を築けるかが、仕事のやりやすさや評価にも繋がります。
どうせ無縁でいられないなら、自分の味方にしてしまいましょう。
上記記事でも言ってますが、「情けは人の為ならず」ですね。
人への親切は自分の為になる、相手の気持ちになって行動しようという事です。
介護拒否には無理に対応しない
介護士の大きな悩みに「介護拒否」もありますね。
先に話しましたが、拒否が強い時は無理に対応しなくて良いです。
相手や自分のケガに繋がる危険もあるので、注意しましょう。
⇒介護拒否にはどう対応すれば良い?原因や対策を事例と共に解説
しかし、これは放置して良いという事ではありません。
声掛けや時間をおくなど、色々なアプローチを試してみましょう。
これも職員同士で情報共有し、ケア方法を考えていく形になります。
速さより、まずは「安全性を重視」
先に速さや効率の話もしましたが、1番重要なのは安全性です。
安全や相手の気持ちを無視して、速さのみ追求する事は間違いです。
分かりやすい例を挙げます。
ダメな介護例
- 食事の意思があるのに下膳する
- 眠っている利用者を早すぎる時間に起床させる
- 手抜きやズルをする
仕事の目的や本質を無視し、職員都合のみを考えた動き方ですね。
こういったやり方は、たとえ早くてもNGです。
利用者様や他職員にも、こういった動きはすぐ分かります。
信頼関係が崩れますし、結局自分にも仇となり返ってきます。
仕事が早ければ、より多くの人にサービス提供ができ、待ち時間も減らせます。
介護で効率を重視するのは、決して悪い事ではありません。
ただ「きちんとしたサービス提供」が前提なのは、忘れない様にしましょう。
まずは分からない事を無くし、1つ1つを安全に自信を持ってこなせるようしたいですね。
時には妥協や諦めも肝心です。
最初は「ゆっくり考えながら動く」
介護の仕事では、コミュニケーションも重要です。
初任者研修等でも、「声掛けしながらゆっくり」と言われますが、これは本当に大切です。
声掛けによって相手が安心し、介助もスムーズになります。
指示を出して協力を仰げば、お互い楽に動けますし、効率的です。
また時間や効率は意識しつつも、必要な所は安全にじっくりと行う必要があります。
余裕が無い時も、「妥協して良い点」と「抑えるべき点」を上手く見極められるようにしましょう。
失敗しても良いので、ここまでの内容を意識しつつ考えながら動く事。
何だかんだ言いましたが、結局は慣れや経験が解決します。
毎日の積み重ねで、少しずつでも必ず成長しているので、焦らずに行きましょう。
また能力のある職員がいれば、その動きをよく見てみましょう。
他人の動きから学べば、自分のスキルアップも早くなります。
表裏なく堂々と働いていれば、意外と皆ミスには寛容です。
「環境の変化」でしか解決できない事もある
介護業界では、業務過多や人員不足にある職場も多くあります。
人間関係や仕事への考え方など、自分が働きにくくなる環境要因も無視できません。
- そもそもの仕事量が多すぎる
- 安全性や相手の意思を無視したスピードを求められる
- 「仕事が出来ない人」のレッテルを貼られている
こうした職場の場合、自力での解決は難しいです。
どうしても辛いなら転職を考えるべき時かもしれません。
特に「ダメな人」のレッテルを貼られると、人間関係に上下関係が発生してしまいます。
覆すのはなかなか難しいですので、環境を変えてみる事をオススメします。
じっくり仕事を覚えられる介護施設は?
最初はだれも仕事は出来ませんし、環境が変われば意外と上手くいくものです。
自信がないうちは、「介護付き有料」や「住宅型施設」、「サ高住」などが楽かと。
加えるなら、オープニング施設もオススメです。
最初のうちは入居者も少ないですし、初心者もじっくり仕事のペースを掴むことが出来ます。
転職サイトのアドバイザーに相談すれば、希望に合った職場の紹介もあります。
「きらケア介護求人」はマッチング重視ですし、職場解説も多く受けられると思いますよ。
あとがき
そんなワケで「介護士が仕事が出来ないと思った時の解決策」をお伝えしました。
私がこんな事を書くのも恐れ多く、抽象的な内容もあったと思いますが…。
昔の悩みを思い出し、誰かの助けになれればと執筆した次第です。
仕事が上手くいかず、不安な時は本当に辛いものです。そんな時は包み隠さず「出来ないけど頑張ってる」、「馬鹿と思われてもいいや」ぐらいに開き直ってしまうと、気持ちも楽になりますよ。
疑問も人に聞きやすくなりますし、共感してくれる味方もいるはずです。
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