介護職の仕事は、利用者とのコミュニケーションが大事な仕事です。
利用者が安心し、気分よくサービスを利用できるかは介護職にかかっています。
また利用者との人間関係は、仕事のやりやすさや自らの評価にも影響します。
介護福祉士の経験を活かし、施設高齢者に効果があった具体的な内容を紹介します。
なぜ介護職にコミュニケーション能力は必要?
介護の仕事は、コミュニケーションが大切な仕事です。
しかし、先に言ってしまうと…
介護職には、そこまで高度なコミュニケーション能力は必要ないです。
どちらかというと、観察力も必要になる仕事かと思います。
またコミュニケーションを通し、得たいのは利用者様からの信頼です。
当記事は、下記2点をご説明する内容になります。
- 介護職はなぜ信頼を得る必要があるか
- 信頼される為の具体的なコミュニケーション方法と考え方
利用者の信頼を得るメリット
「なぜ利用者様の信頼が必要か」ですが、利用者と自分の為です。
利用者からの評価を高める事で、「仕事のしやすさ」や「職場での評価」にも繋がります。
- 仕事がやりやすくなる(介護拒否が減る)
- 仕事の質と相手の満足度が高まる
- 自分の評価が高まる
介護職(特に介護士)は、現実として時に相手の望まぬ事もせねばなりません。
例えば、「水分を摂って欲しい」「入浴して欲しい」など
そんな時、返ってくる言葉は「嫌だ」です。
…ところが、利用者との関係によっては、「そうね」と笑顔が返ってきます。
不思議なもので、人が変われば対応が180度変わる事もあるんです。
自分が働きやすくなる為の能力でもある
信頼の積み重ねで、利用者の生活の質が高まり、仕事の質も高まります。
利用者からの評価は、いずれ介護職としての評価にも繋がります。
関わった人が皆、自然と穏やかな表情になる。
こんな人が評価を受けるのは、想像できると思います。
当記事でお話ししたいのは、難しい事ではありません。
「介護職が利用者に気分よく生活してもらう方法」ですね。
もっと言えば、自分がスムーズに気分よく働く為の方法でもあります。
利用者から信頼されるコミュニケーション方法とは
介護職が利用者に信頼されるには、安心・安全な存在であることです。
味方であり共感してくれる人、不安を拭ってくれる存在ですね。
その為には、無害な存在だと認識してもらう事も大切です。
その為の具体的な方法や理想像は、利用者により異なります。
…なので介護職には、観察力が必要になります。
介護職が覚えたい便利な言葉3つ
10年近く介護士として勤務した中で、特によく使うのが下記3つの言葉。
- 大丈夫
- ありがとう(感謝)
- ごめんなさい(謝罪)
高齢者とのコミュニケーションにおいて、かなり便利な言葉達です。
他職員と良好な関係を築くのにも必須です
感謝と謝罪は、言わずもがなですね。
ちょっと多いくらいでちょうど良いです。
これらの言葉は、不快な気持ちを緩和し、承認欲求も満たします。
口にしてみると、自分でもちょっと「まぁいいか」という気持ちになりませんか?
利用者だけでなく、介護職の感情コントロールの為にも口にすべきです。
大丈夫は万能!
上記3つの中で、特に万能なのが「大丈夫」という声掛け。
ちょっと言い方を工夫するだけで、色々な役目を果たせます。
- 相手への気遣い(大丈夫?)
- 安心させる(大丈夫!)
この他にも、「貴方の存在をちゃんと気にしてるよ」というアピールにも使えます。
介護施設の高齢者は、その多くが孤独や不安を抱えています。
多くの時間や言葉は無くとも、ちょっとした一言で救われるのです。
ぜひ仕事の中に取り入れて頂ければと思います。
利用者主体の会話をする
利用者との会話では、下記の事を意識しましょう。
- 一方的な話はしない
- 自分の個人情報は話さない
- 余計な詮索はしない
- 相手のしたい話はちゃんと聞く
これは私が利用者・職員に対し、実践している事です。
家庭の事など個人の深い話は、自分からは聞きませんし言いません。
相手のタブーに触れそうな話題は、なるべく避けます。
その代わり相手が話したそうな話題は、きちんと聞きます。
ただ聞くだけでなく、適度にこちらから尋ねて話を広げたりもしますね。
ふざけるぐらいがお好きな方なら、冗談も言いますよ。
「ご飯が美味しくない」なんて聞けば、「外に食べに行きたいね~」なんて話したり。
基本的には共感し、不快な話をしないという形で良いと思います。
正論が正解とは限らない
利用者の感情の前では、正論はあまり意味を持ちません。
- 清潔の為に入浴が必要
- 水分を摂らないと脱水になる
- あなたは失禁してパンツが汚れている
こんな言葉も、相手が「嫌だ」「必要ない」と思ったならそれが真実です。
そんな時に介護職は、相手が納得して動ける「理由」を見つける事が求められます。
例えば…、「お尻に薬を塗りたい」。
「甘いココアを入れたから味を見て欲しい」などですね。
また失禁があったとしても、それを伝える必要が無い時は言いません。
時には、嘘が正しい事もあるのです。
その為には、色々な声掛けのバリエーションを場面毎に持っておくと便利です。
本や他人の対応などを参考に、言葉の引き出しを増やしておくと良いですよ。
ご本人の精神状態さえ安定してれば、明るく夢を見させてあげる返答も必要かと。
言葉以外のコミュニケーション方法もある
利用者とのコミュニケーションには、言葉以外の方法も有効です。
特に高齢者相手の場合、「伝わったかどうか」にも注意しなくてはなりません。
- ジェスチャー
- アイコンタクト
- 筆談
少し例を出しましたが、特に効果的なのが「ジェスチャー」と「アイコンタクト」。
試して貰うと分かりますが、かなり幅広く使える方法ですよ。
先ほどの「大丈夫」もこれらの方法で伝えられます。
ちょっと目を合わせただけでも、表情やジェスチャーを組み合わせれば、色々なことが伝えれらますよ。
高齢者は耳の遠い方も多く、せっかくの言葉がなかなか伝わりません。
無理して言葉で伝えると、語気が荒くなってしまいます。
自分のストレスや負担も緩和でき、オススメです。
ぜひ有効活用して頂ければと思います。
利用者との距離感を意識し平等に接する
もう1つアドバイスとして、「利用者との人間関係的な距離感」も意識する事です。
要するに、構われ過ぎるのも嫌な人がいるという話です。
基本的には、「構って欲しい」「寂しい」という方が多いのですが…
1人の時間を大切にしたい方もいらっしゃいます。
また介護拒否があった場合、「離れる」事でしか解決が難しいこともあります。

相手が望む距離感を上手く掴む事が大切ですね。
また介護士は、あまり利用者と親密になりすぎるのも良くありません。
あくまで「介護士と利用者」という関係である事を忘れないで下さい。
利用者それぞれに対しても、平等でなくてはなりません。
必要なケアを気分よく受けられる存在を目指しましょう。
利用者と良い人間関係を築くには時間が必要
介護職員が利用者と良い関係を築くには、時間が必要です。
信頼関係は、1日や2日では出来ません。
焦らずじっくりと時間をかけましょう。
何事も小さな積み重ねが大切です。
認知症の方も職員を覚えている
認知症で短期記憶が弱い方も、ちゃんと職員を覚えてくれます。
自己主張が出来ない方も同様です。
数分前の事が分からない様な方も、時間をかければちゃんと職員の顔を覚えてくれますよ。
私が関わってきた方も、2日も休むと「あなたずいぶん見なかったね」と声を掛けてくれました。
この人は個人を覚えてくれないと思わず、1人1人としっかり向き合って下さい。
認知症による介護拒否の緩和にも繋がりますよ。
積極性を持って苦手な利用者を作らない
介護職が働きやすくいる為には、苦手な利用者を作らない事です。
ご家族や同僚との関係も同様ですが、今回は利用者にフォーカスをあてます。
皆様の職場にも、こんな方がいると思います。
- すぐに怒る
- 介護拒否が強い
- 気難しい
こういった方を上手く対応するには、やはり回数をこなし慣れるのが1番かと。
関りを増やす事で、職員・利用者お互いに慣れるしかありません。
快適な仕事環境の為には、苦手を無くす為の積極性も必要です。
上手く対応している職員もいると思うので、良い所を取り入れていきましょう。
ただし注意点として、無理して対応してはいけません。
時間を置いたり、他職員に任せる事が正解の場合もあります。
介護拒否は、解決が難しい問題です。
話が矛盾してる様に聞こえるかもですが…
苦手だからと避けていては、いつまでも仕事に不安を抱えたままになります。
利用者を恐れず、苦手を減らす意識が重要という事ですね。
利用者との関係構築に必要な能力とは
ここまでの内容で、利用者に信頼される介護職の人物像が見えてきたと思います。
最後の総括として、良好な人間関係構築に必要な能力を考えてみましょう。
- 観察力
- 柔軟性や共感性
- 聞く、待つ姿勢
- 積極性
観察力は分かりやすいですね、相手の気持ちや状況を察する力です。
柔軟性や共感性は、「無理でも1度は受け入れる姿勢」と言えばいいでしょうか。
共感し、代替案を出す等の能力ですね。
語彙力もあると、より説得力も増します。
そして相手の話をよく聞き、応じてくれない時も焦らない。
こちらの要望だけを通さず、相手のタイミングを待ってあげる事も大切です。
仕事に飲まれず、気持ちに余裕を持って働く余裕も重要です。

ただこれらをいざ実践すると、結構ストレスも溜まります。
感情コントロールや上手く流す等、ストレスをためない為の技術も必要になります。
最後に
今回は「介護職と利用者のコミュニケーション」についてお話ししました。
- 利用者の信頼は、仕事の評価・やりやすさに影響する
- 良好な関係を築くには、安心・安全な存在であること
- ジェスチャーやアイコンタンクト等、言葉以外のコミュニケーション方法を知る
- 苦手な利用者を作らない様意識し、相手を恐れない
- 関係構築には時間がかかるので焦らない
当記事で述べた振る舞いは、利用者だけでなく自分の仕事も助けます。
これらを意識せずに仕事として自然に出来るようになった時、介護職として自信を持って良いです。
また正しい介護技術・知識も、利用者と自分を守ります。
安心・安全な存在を目指し、併せてスキルアップを図りましょう!
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