今回は「介護士のスキルアップ」についてお話しします。
…と言っても、「何をもってスキルアップとするか」や「その目的」も人により異なるでしょう。
そこで当記事では、下記の様な目標を設定し、その為の方法を語りたいと思います。
スキルアップの目的
- 評価や給料アップしたい
- より良いケアを実践したい
- 仕事が出来るようになりたい
「資格」と「仕事力」から、介護士の評価を高める方法を解説しましょう。
介護士のスキルアップに必要なモノとは?
まず始めに介護士のスキルアップに必要なモノとは何か考えてみましょう。
スキルアップと言っても、色々とあります。
「会社や転職で評価されたい」「実用的な能力が欲しい」「他職種にステップアップ」など、その目的も様々でしょう。
これらについて、下記2つの視点から語っていきます。
介護士のスキルアップに必要なモノ
- 資格
- 仕事力
どちらも「給料評価」や「より良い仕事」に欠かせない要素です。
評価の点で見ると、実務経験年数も入りますね。
ただし「資格があれば仕事ができる」、「仕事ができるから簡単に資格が取れる」とはいきません。
それぞれを並行して高めていく必要があります。
他の仕事とも共通する考えとなりますが…
資格取得して実務能力を磨きつつ、経験を重ねるのが介護士のスキルアップに繋がります。
当記事では、上記2つに注視しスキルアップする方法を解説します。
資格によるスキルアップ
まずは資格取得によるスキルアップから。
資格の取得は、給料や採用率など分かりやすく評価に繋がります。
最もオーソドックスな方法ですね。
取得過程で知識や技術も養え、出来る業務や職種の幅も広がります。
経験や職場に応じ、必要なモノを取得しましょう。
スキルアップにオススメな介護資格
以下は主要な介護資格。
評価や業務の幅を広げるのに、特に有効です。
スキルアップに繋がる介護士資格
- 初任者研修、実務者研修
- 介護福祉士
- 喀痰吸引等研修
介護士としてなら、まずは介護福祉士取得が目標ですね。
まずはその条件となる、「実務経験3年」と「実務者研修の修了」を目指しましょう。
「初任者⇒実務者⇒介護福祉士」と、ステップアップするのがオススメ。
介護福祉士の経験が必要な資格もあり、最速の3年目で取得できると無駄が少ないです。

また資格取得で業務の幅は広がりますが…
「仕事で動けるか」という話になると、実務経験を積む方が有効です。
介護福祉士の勉強内容も、実務に繋がるかは微妙なところ。
主要資格は実技研修も必要ですので、介護を学ぶ上での入り口、確認の場として活用しましょう。
他の介護資格も必要?
他にも介護資格は沢山ありますが…、
上記の主要資格以外は、あまり給料面での評価は得られないでしょう。
知識や実務能力を養うモノと割り切った方が良いですね。
他にオススメを挙げるなら、上記にもある喀痰吸引等研修です。
修了で吸引や経験栄養等、一部の医療ケアを条件付きで可能になります。

介護福祉士からのスキルアップ方法
介護福祉士には、今後の目標に悩む方も多いようです。
そんなワケで、介護福祉士取得後のステップアップもご紹介します。
介護福祉士取得後は、実務経験を積むと下記の様な資格・職種も視野に入ります。
介護福祉士から目指せる資格
- ケアマネージャー
- 介護講師
- 認定介護福祉士
ケアマネと介護講師は、介護福祉士取得後に5年の実務経験が目安ですね。
認定介護福祉士は新しい資格で、まだまだ取得者も少ない状況です。
色々と難しい条件もありますが、目指してみるのも面白いですね。
介護職としての総合力を高めよう
また長く介護の仕事を続けるなら、別の介護職種も経験しておくと勉強になります。
ケアマネ等も目指せるので、介護士以外の働き方も視野に入れましょう。
利用者と現場で関わるだけでなく、施設運営や家族との関わりなど…
介護業界の知識が幅広く身に着きますよ。
介護福祉士であれば、相談員としての採用も得やすくなります。
⇒生活相談員になるのに必要な資格とは?
違う仕事もしてみたいと思ったら、挑戦してみてはいかがでしょうか?
介護・福祉職として学びを増やし、仕事のマネジメント能力等も磨いていきましょう。
仕事能力のスキルアップを図る方法
ここからは、介護技術など仕事で必要な能力・知識を伸ばす方法を話します。
基本的な能力は資格の取得過程でも身に着きますが、それだけでは不十分。
仕事が出来るようになるには、やはり仕事の中で積極的に学びを増やす必要があります。
本項では、仕事力を伸ばす助けとなる内容をご紹介します。
介護士に必要な能力とは
まず介護士に必要な能力について述べます。
介護士に必要なスキルとは
- 介護技術、知識
- 観察力
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
パッと思いつくのは、こんな感じでしょうか。
要するに、「より良いケアを考え、安全・安心な形で実践しよう」という事ですね。
その為の能力が、上記に挙げた内容。
大きく分けると「介護力」と「マネジメント能力」になります。
同時に利用者や職員からの信頼も高まり、人事的な評価にも繋がるでしょう。
体験の積み重ねで介護力を高める
介護士に必要なのは、介護技術や知識だけではありません。
人間相手の仕事なので、どうしても相手の気持ちと向き合わねばなりません。
また高齢者の変化や不調も、いち早く察知する必要があります。
良質なケアとコミュニケーションには、知識や経験に裏付けされた観察力が必要です。
まずは、仕事での体験と学びを増やしましょう。
疑問を残さず考えながら働く事を意識すれば、自ずとスキルアップに繋がります。
介護士にはマネジメント能力も必要
介護士には、一見介護と関係ない能力も必要になります。
マネジメント能力と書きましたが、仕事管理や人材管理と言えば良いでしょうか。
仕事の問題発見や解決、新人育成なんかのイメージですね。
介護士として総合的にスキルアップしたいなら、必須になる能力です。
介護はチームプレーの仕事ですから、時には他職員を動かしチームをまとめねばなりません。
介護士の仕事は介護だけじゃない
- ケア方法や業務を考え、統一する
- チームに問題提起し、改善を提案
- 新人指導や個々の役割分担をする
こんな感じに、仕事を作り管理する能力も必要です。
リーダー職が思い浮かぶとは思いますが、これはリーダーだけの仕事ではありません。
肉体労働のイメージが強い仕事ですが、意外に考える事も多い仕事なのです。
役職に就くと嫌でも考えさせられるので、1度経験するのもアリですね。

色々な職場や利用者を経験する
それでは、具体的な話に移ります。
既述の通り、スキルアップの基本は仕事での経験を増やす事です。
介護士としての経験を積もう
- 様々な利用者と関わる
- 色々な介護施設・事業所で働く
「成功」も「失敗」もOK、とにかく何でも体験を増やす事です。
そうした積み重ねにより、次第に色々な事が見えてくるようになります。
利用者への対応力を高める
利用者への対応力と言っても、一口では語れません。
利用者対応にはどんな内容がある?
- 身体介助
- 自立支援
- コミュニケーション(声掛け)
これらは密な関係にあり、総合的に高める事がスキルアップに繋がります。
またどんなサポートを必要としているかも、利用者により異なりますね。
様々な利用者と積極的に関りを持つことが、成長への近道です。
基本的な介護技術を学んだら、コミュニケーションに重点を置くと良いですね。

ここさえ上手くいけば、じっくり考える気持ちの余裕が出てきます。
これが出来るようになると、対応力が格段にアップします。
ちょっと苦手という方は、場面毎の声掛けバリエーションを増やす事から始めてみましょう。
利用者様とのコミュニケーションは、割と介護士側のメンタル次第な気がします。
介護士にある精神的負担
- 介護拒否や怒られる事への恐怖
- 利用者へのイライラ
これらを上手く克服出来たら、利用者の反応も結構変わってきます。
経験上、自分がイライラしてると利用者の不穏も多くなります。
相手は自分を映す鏡と言いますか、気持ちに余裕が出来ると好転しますね。
介護拒否などは誰でも経験するので大丈夫ですよ。

割と慣れが解決する部分が大きいですね。
ここまできて初めて学びに集中できます。
介護技術の振り返りをするも良し、新たな知識を学ぶも良し。
意識して自分を高める事が可能になります。
スキルアップには特養がオススメ
色々な現場を経験して思ったのが、職場により介護の質が大きく異なること。
基本的なケアも疎かな施設、仕事がら利用者に深く関われない施設。
利用者を深く掘り下げたケアをする施設など、本当に様々です。
スキルアップの観点からだと、オススメはユニット型の特別養護老人ホームです。
私が経験した中では、特養が1番基本に忠実な介護を行ってますね。
看護師等の専門職とも働けるので、医療的な知識も入ってきます。

また「看取り介護」に対応した施設が多いのも特徴です。
介護士や家族本意のケアになりがちなか、利用者本意のケアを見つめ直すきっかけとなるでしょう。
特に「ユニット型特養」であれば、少ない利用者とじっくり関わる事が出来ます。
考える介護を実践するには、うってつけかと。
ただし、その分仕事は大変です。
忙しい職場ですが、介護士として成長出来るのは確かですよ。

本を読み知識を増やす
「本を読む」と題しましたが…、要は分からない事をそのままにしない。
何となくの介護を減らすという事です。
方法は何だって構いません。
利用者の情報や介護技術、何故そのケア方法をとるのか等…
仕事の1つ1つにおいて、「なぜ?」という疑問に答えられるようなりましょう。
んな事をはっきりさせる
- 利用者の既往歴、薬情報
- 介護中の危険リスクと改善方法
- 職場ルールや業務内容
まずはどんな人を介護してるのか、改めて理解を深めて下さい。
その上で「今のケア方法で良いのかな?」と、考えてみましょう。
とにかく地道に知識を増やし、考える事です。
そうする事でケア方法の改善など、仕事での提案も出来るようになります。
中でも「本を読む」ことを勧めるのは、自分の疑問以外の発見もあるから。
調べたい事の周辺知識を、多く得られます。
ちょっと紹介しましょう。
【内容紹介(商品説明より)】
高齢者ケアに関する医学的な知識・技術を、超基礎的なところから解説しています。
内容紹介(商品説明より)
高齢者のそばでケアをしているからこそ気づく「本当にこれでいいのかな」というモヤモヤに丁寧にお答えする、これまでになかった薬の本。
他にも介護の本は、色々な分野の内容がありますよ。
下記記事でも特集してるので、興味があれば。

介護の仕事は、毎日のルーチンワークをこなすだけではありません。
常に「これで良いか?」と考え働く必要があります。
これに気付き仕事の難さを感じる事が、ステップアップの第一歩ですね。
研修に参加する
介護施設なんかで働いていると、色々な研修に参加する機会があります。
特に外部研修にタメになる内容が多くありましたね。
個人的に受けて良かったのが、下記のモノ。
オススメの介護研修
- ポジショニング(褥瘡予防)
- 拘縮予防
- オムツ研修
私が介護度の高い方を担当してるのもあり、かなり勉強になりました。
機会があれば、ぜひ参加してみて下さい。
関連書籍もご紹介しておきます。
【商品説明(内容紹介より)】
皮膚・筋・骨など生体の解剖生理を基本として、褥瘡予防のためにクッション等をどのように使って体圧分散を図るかについて、写真をもとに解説。
能力が高い職員と働く
経験上、最も効率が良い方法は「仕事ができる職員と働く」です。
狙ってできる方法ではないですが、かなりタメになります。
仕事ができる人とは?
- 介護技術や知識に優れる
- リーダーとして上手く立ち回っている
- 指導力がある
- 業務の改善や組み立て方を理解している
- 声掛け方法や着眼点を多く持ち、気付きが多い
何か1つでも尊敬できる人がいれば、参考にしましょう。
真似たり聞いたりするだけで、飛躍的に成長できます。
また仕事ができる人は、総合力が非常に高いです。
一緒に働いていると、些細な事から考え方まで学びが多くあります。
業務記録を読んでるだけで勉強になります。
もしそんな人が身近にいるなら、だいぶラッキーですよ。
自分の理想に近い職員がいれば、その全てを盗むつもりで吸収しましょう。
必然的に何故かと言葉で伝えねばならず、成長を促すことに繋がります。
まとめ
今回は、「介護士のスキルアップ方法」についてご説明しました。
記事の要点
- スキルアップのカギは「資格」と「仕事力」
- 介護福祉士を目指し、その後は介護職として総合的に学ぼう
- 仕事力を高めるには考えながら体験を増やす事
介護力とマネジメント能力を高めよう - 疑問を残さず、本や出来る人から学ぶ
介護士のスキルアップには、「資格」と「仕事力」が大切とお伝えしました。
実務経験を積みつつ、この2つを並行して高める事がポイントですね。
よく分からない方は、とりあえず介護福祉士を目指せばよいです。
またリーダー職につけば、給料と仕事力のアップにも期待できます。
介護福祉士であれば、オープニング施設を狙えばチャンスも多いですよ。

介護職は、転職回数があまりネックになりません。
頭打ち感が出てきたら、思い切って職場を変えるのも良いと思いますよ。
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