介護士が頼れる身近な上司は、やはりリーダー職です。
フロアやユニットなど役職名は様々ですが、現場をまとめ指導する役割を持ちます。
人材不足にある業界の役職者という事で、リーダー職は数々の悩みを抱えています。
そんな中「リーダーになってしまった」「辞めたい」という方もいる事でしょう。
成長や自信に繋がったのは確かですが、やはり当時は辛かったです。
自分が辛かった理由、経験業界の現状を共有し、お役に立てればと形にしてみました。
介護リーダーの現状
現場の介護職員にとって、1番身近な上司や相談相手はリーダー職です。
例えば、下記の様な役職者ですね。
- ユニットリーダー
- フロアリーダー
- 主任、副主任
そしてリーダーは、仕事(ケア)の質や職員の働きやすさに関わる重要な存在。
職員だけでなく、利用者様の生活も左右する立場にあります。
リーダー人材やその育成環境は、さらに不十分なのが現状です。
「人材・育成環境の不足」と「役職者の業務過多」
重要な存在にも関わらず、リーダーをしっかり育成出来てる介護施設は少ないです。
リーダーが辞めてしまうと、しばらく役職に穴が開いている事も珍しくないです。
任命後も引継ぎやフォローがなく、任せきりな職場も多いですね。
「人がいないから」と、突然任命される事も多いです。
とにかく人がいない為、消極的な理由で任命されがち。
加えて職員不足による業務過多となり、業務上の「都合の良い存在」になる事もよくあります。
- 何をして良いか分からない
- リーダーとして上手くやれているか不安
私もリーダーになった当初は、こんな悩みを抱えていました。
そんな現状もありますので、まずはその役割や仕事内容をみていきましょう。
介護職のリーダーの役割とは?
リーダーになって最初の不安は、「リーダーは何をするの?」という事。
当記事では、所謂「リーダー業務」も紹介していきますが…、
職場ごとに決まりはあるものの、必ずしもリーダーだけがやる仕事ではありません。
介護現場で言うと、ケア方法や業務の改善なんかにあたりますね。
チームが抱える問題を提起し、解決へ導いていくのが、リーダーの仕事です。
仕事の負担を一手に受ける便利屋ではありません。
介護チームが良い方向に行くよう、舵取りする存在です。
リーダーなる予定の無い方も、今のうちからその役割や仕事を知っておくと良いですよ。
役職でなく、その日の業務を円滑にする為、日毎にリーダーを設定する職場もあります。
この場合は、申し送りや休憩の指示出しなどを中心に行います。
連絡・業務リーダーといった感じですね。
介護リーダーの仕事内容(特養ユニットリーダー例)
介護士のリーダーは、どんな仕事をするかご紹介しましょう。
私も経験のある、ユニット型特養の「ユニットリーダー」の例で説明します。
- 業務内容やケア方法の改善・決定
- リーダー会議等への出席、ユニット会議の開催
- シフト作成
- 職員指導
職場により異なるものの、おおよそこんな感じですね。
他施設で言う「主任」なども、似たような業務を担当します。
自分の担当部署を率い、決定などに関わる代表的存在ですね。
ユニットリーダーとは、1ユニットごとに配置されるリーダー職です。
シフト作成について
毎月の職員の勤務表(シフト)作成は、リーダーが担当する職場が多いです。
職員の希望休、パート職員などの出勤条件を見つつ、毎月シフトを作成します。
実際の勤務を想定しつつ、早番や夜勤など勤務を割り当てます。
連勤にならないよう休み調整を調整する必要があり、難しい業務ですね。
夜勤中など、作業に集中できる時間も限られています。
人員面で上手く回るかを常に考える必要があり、しんどい業務ですね。
ケア方法や業務の改善
利用者様の変化や業務などの問題点を見直し、改善していくのも仕事の1つ。
後述の「ユニット会議」の様に、定期的な会議の場を設ける事もあります。
自身での気付きや他職員からの問題提起など、発見の機会は様々です。
介護はチームワークの仕事ですので、まずは問題を共有する事が大切ですね。
- 自身の経験をもとに指導をする
- 他職種や職員と相談し、解決を図る
問題の解決方法は様々ですが…、
いずれにしても問題点から解決方法までを共有・統一し、導いていくのが役割です。
実際には、挙がってきた問題に対する「決定」を担う事が多いですね。
会議への参加や開催
リーダーは会議への参加機会も多く、時には司会など主役となる事もあります。
特養(ユニット型)だと、以下の様な会議があると思います。
- ユニット会議
- リーダー会議
ユニット会議とは、自分の担当フロアの事について話す会議です。
先ほどの業務の改善などについて、問題や改善方法などについて話し合われます。
リーダー会議は、施設の役職者が集まる会議です。
施設全体での取り組みについて話し合われ、それを担当フロアの職員に伝えていきます。
介護リーダーが抱える悩み
介護リーダーには、多くの身体・精神的負担がかかります。
…というのも、人手不足ではリーダー業務の時間が作れないんですよね。
一般職員と同じく働きつつ、リーダー業務をこなす必要があります。
私がリーダーを務めていた時は、下記のような事に悩んでいました。
- 職員不足でシフトが組めない
- 何かを決める機会が多い
- 職員の人間関係
1つずつ確認してみましょう。
過酷なシフト勤務がキツイ
毎月のシフトは、主にリーダーが作成します。
職員の不足や制約が厳しいと、「シフトが組めない」という時が出てきます。
シフト作成者であるリーダーの負担が1番大きくなります。
自分が出て力ずくで仕事を回すか、他職員に負担をかけるか…。
あるいはその両方を選ばなくてはならない。
私にとって、これが大きなストレスでしたし、身体の負担も厳しかった。
他リーダーを見ていても、こういった理由で辞めていく方が多いです。
どこも介護士不足ですし、リーダーが率先して休日出勤し、カバーしてる所が多いと思います。
自分の勤務体制を保守しても、それはそれで他職員の不満に繋がるでしょう。
介護業界の問題点が、リーダー職へ大きな負担となっているとも見れますね。
問題に対する決断・責任に疲れてしまう
リーダーの元へは、利用者や他職員の事など…、
とにかく「コレはどうする?」という話が集まります。
- あの利用者はどうケアすべきか
- 他の職員がこうだったから注意して欲しい
- ○○をどうすべきか
とにかく報告や相談が沢山自分の元へ届くのです。
利用者のケア方法や業務など、改善の為の決断を迫られる事が多いんですね。
時には、職員への注意も必要です。
とにかく「リーダーに任せとけば良い」、というスタンスの職員もいます。
負担を押し付けられるだけの存在にならない様、注意が必要です。
一緒になって仕事を考えてくれる職員を、上手く増やしていきたいですね。
リーダーは便利屋にされてしまっている
リーダーになると、どうしても色々な雑務が増えます。
そんな中、仕事は一般職と同じ量をこなさなくてはなりません。
仕事量は据え置きで、「考える事」や「仕事量」が増えるのです。
単純に負担が増え、忙しくなると言って良いでしょう。
職員不足の職場では、他の役職者も同様の悩みが多いのでは?
介護士を長く続けていますが、リーダー職は便利屋にされがちです。
- 職員が不足してるけど、リーダーが上手くシフトを組むだろう
- 仕事の問題があるけど、リーダーが何とかするだろう
- リーダーが決めたから…
人に恵まれない場合、かなりの孤独感を味わう事になります。
各々が主体性を持って働き、自分の役割・能力を発揮できる環境が大切ですね。
介護リーダーを辞めたい、断りたい時の対処法
介護リーダーが辛くて辞めたい、あるいはリーダーとなる辞令を断りたい。
そんな時はどうすれば良いでしょうか。
そのままにしてしまうと、身体・精神的負担でつぶれてしまいます。
役職を降りる、働き方を変えるなど、早めに解決に動きましょう。
リーダーを辞める時は早めに!
介護リーダーを辞める時は、すぐに介護課長など上司に話してください。
役職を降りるのは恥ずかしい事ではないですが、1つ注意点があります。
それは「次のリーダーが決まるまで辞められないケースが多い」こと。
辞められるまで何か月も待つ事もありますし、ひどいとそのまま話が終わってしまいます。
そうした事情もあり、転職や退職の道を選ぶ方も多くいます。
すぐ辞められれば1番ですが、難しければ職場を変える事も考えましょう。

介護での役職事例は断れる?
介護リーダーの話を断る事は、そう珍しい事ではありません。
やりたくないなら、素直に意思表示しましょう。
介護リーダーがキツイ事は周知の事実ですから、変に思われないし居づらくもなりません。
出来る事なら、「嫌だ」以外の理由も話せると断れる可能性も高くなります。
- 家庭の事もせねばならず、これ以上負担は増やせない
- 資格取得の為に勉強をしたい
- この職場で長く続けたい、これ以上負担を増やすとそれが難しくなる
例えば、こんな感じでしょうか。
ただこれも退職引き留めと同じく、理由で勝負しても泥沼化する事があります。
根気強く「無理だ」と伝え続ける事が大切ですね。
また半ば強制的にリーダーにさせられる事も少なくありません。
その時はやるだけやって、無理なら退職を選んでも良いかと思います。
自分は降ろさせてもらえず、転職先を見つけ退職しました。
役職負担を避けるため、現在は非常勤で働いてます。
割に合わないと思ったら、潔く断りましょう。
リーダー負担を減らしながら働く
今リーダーが辛いと感じる原因は何でしょうか?
辞めるのも手ですが、自分の負担を減らす方法も考えてみましょう。
もしあなたが仕事の負担を一身に受けるだけの存在になってるなら、改善が必要です。
- ルールを決め仕事を振る
- 業務やケア方法の問題を共有し、皆で考え解決する雰囲気を作る
自分だけが現場を動かすのでなく、皆が現場を動かせるように指導していきましょう。
全て自分がやる必要はない
リーダーだからと、全部1人で抱え込むこともありません。
「こういう問題があるけどどう思う?」と皆をどんどん巻き込みましょう。
知識と経験で引っ張っていく人もいれば、皆に問題提起してまとめるリーダーもいます。
要は、より良い方向に向かうよう上手く舵取り出来れば良いのです。
あなたが全て解決する事はありません。
自分が率先して方向を示す人もいますし、巧みに部下を解決に動かすのも1つの在り方です。
自分なりのリーダーになっていけば良いです。
自分の成長が解決する事も
「リーダーになって」と言われ、すぐに出来る人はいません。
何も分からないのは当然ですし、焦って完璧を目指す事もありません。
ここまでお話しした通り、リーダーの元へは色々な問題や相談が舞い込んできます。
これらをどうにかしなきゃと動いていくうちに、自然とリーダーになっていきます。
この過程で仕事への主体性が生まれ、問題処理能力も育ちます。
あなたなら出来ると思われたから役職に就けたのですし、自信を持って大丈夫ですよ。
挫折して辞めても問題ありません。
リーダーから離れて、初めて分かる反省点もあります。
次にまたリーダーをする時は、もっと良い動きが出来るようになります。
介護リーダーを経験するメリット
ネガティブな話が続きましたので、リーダー職を経験するメリットもお話しします。
リーダー経験は転職時の評価も高いですし、役職手当もあります。
- 自身の成長につながる
- 役職手当がある
- 転職の際のアピールポイントになる
ありきたりな言葉ですが、経験は決して無駄にはなりません。
リーダーになって初めて考える事、悩む問題など様々あります。
これらに真面目に向き合った経験により、人間的な成長が実感できるはずです。
それらは自分への自信に繋がり、仕事への評価などで形になります。
役職手当や処遇改善など、給料アップにも繋がります。
現職のリーダーや経験者として、上手く立ち回れば人事評価も見込めるでしょう。
リーダー経験は、転職時にも大いに評価されます。
人材不足になるなか、役職経験者という事だけで得られる信頼は大きいです。
役職を降りると共に転職を考えている方は、きちんと経験を評価してくれる職場を探しましょう。
【失敗談】ユニットリーダーをなぜ辞めたか
私は過去に特養でユニットリーダーを経験しました。
どちらかというと、そういった事は避けてきたタイプですが…
声をかけられたのは嬉しかったし、経験と思いリーダーを2年ほどやらせてもらいました。
結局私の心が折れてしまい、それをきっかけに転職する事になるのですが…
今だから思う失敗したと思うポイントは以下。
- 気負いすぎて気持ちが疲れた
- 仕事の振り方やルール作りが下手だった
- 失敗を恐れすぎた
とにかくユニット内の問題は自分が全て解決しなくてはならない、と気負い過ぎましたね。
利用者はもちろん、職員同士の人間関係など、今ある問題は全て解決したい気持ちが強すぎました。
悪い事ではないのでしょうが、もうちょっと「しょうがない」という余裕も必要でした。
不満への恐怖で便利屋になってしまった
リーダーを務めていた当時は、職員の不足もありシフトの組み方も色々と試行錯誤でした。
そうしたなか挙がってくる、不満や新たな問題が恐怖でした。
他職員の仕事への不満なども、全て私の責任のように感じてしまったのです。
なので「人に仕事を振る」、という事も下手でした。
こうした気持ちが強すぎて、見事に便利屋になっていたと思います。
他職員同士のいざこざも、気がかりでした。
人間同士色々あるのが普通ですが、クリーンな環境へのこだわりが強すぎたんですね。
そうするうちに疲れて潰れてしまった、という経緯になります。
それでも経験して良かった
当記事は、介護リーダーの悩みがテーマの1つですので、
ここまでを読んで「リーダーはやりたくない」と思った人が多いかもしれません。
…ですが、リーダーを経験したからこそ見えてくるものもあります。
私も上記の様な失敗で潰れてはいますが、リーダーを経験して良かったと心から思ってますよ。
下手ではありましたが、役職をこなせたという自信もつきました。
楽とは言いませんが、もし機会があれば挑戦してみてはいかがでしょう?
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