介護職として働いてると、利用者との会話に困ってしまう事はないでしょうか。
研修や実習等でも「会話をしてて」と言われるも動けず、時間が長く感じたり。
今回はそんな時に便利な、「介護で使える会話ネタ」を紹介します。
これらを介護施設での経験を元に、実例付きでお伝えします。
介護で使える会話ネタと実例
介護での会話内容は、これを言えばOKという絶対的な正解はありません。
個人を見て、相手が心地良く楽しめる話題作りが最重要です。
ここでの会話ネタを使えば、個人の理解にも役立ちますよ。
出身地や仕事など「ご本人の話」
仕事やご家族など、ご本人の昔話は盛り上がるネタの1つ。
自分に関心を持ってもらうのは、やはり皆さん嬉しいようです。
ただ家族の話など、相手に深く踏み込む話題は不快に感じる方もいます。
こちらからは、出身地等の無難な話から始めてみると良いでしょう。
出身地からご本人の事を聞き出してみる
- ご出身はどちらですか?
- ○○といえば、△が有名ですよね
- この辺は昔と変わりました?
これらの話題の中で、「息子が近くに住んでて世話してくれる」「ここで○の仕事をしてた」なんて話が出てくる事があります。
相手が話したそうな話題があれば、尋ねつつ話を広げてみましょう。
「若い頃の生活」や「苦労話」
若い頃の暮らしや苦労話も、皆さん進んでお話しされます。
驚きや共感をしつつ、関心を以って相槌を打てば、良い雰囲気で話が出来ますよ。
経験も豊富ですので、私達の知らない事も良くご存知です。
世代ギャップを避け手に取り、「教えてもらう」というのもウケが良い会話ネタですね。
高齢者との会話では、「相手のしたい話」を褒めたり共感しつつ、じっくり聞くのが大切です。
根掘り葉掘り尋ねるより、相手から自然と言葉が出てくる話題作りが望ましいですね。
その意味では、「出身地」や「過去の話」はやりやすい会話ネタ。
天気や日常の話
天気や食事など、日常的な話も使いやすい話題です。
天気や日常の会話例
- 今日は良い天気ですね
- お食事は美味しいですか?
- (ぬり絵等の趣味に対し)お上手ですね!
一見無難な話題ですが、ここから話を広げるのは意外と難しいです。
「晴れたって出かけられない」「ご飯は美味しくない」とネガティブな言葉が返答がある事も…。
返答方法も考えておくと、スムーズになります。
日常会話への「返答例」
日常会話は無難な話だけあり、返答の方法も豊富。
工夫次第では、沢山の可能性に分岐します。
日常会話への返答例
- 旅行先で1番良かった所はありますか?
- ○さんが作った食事の方が美味しいでしょうね
- 鉛筆でも削りましょうか?
ネガティブな回答には、共感しつつちょっと明るさを差し込んであげると◎。
本人の同意と自分にその気があれば、行動で返したってOK。
※「気晴らしに施設内でも一緒に散歩しますか?」など
「毎日ご飯何作ろうかと、苦労したわよ」など、上手くいけば話が意外な展開を見せます。
相手の反応をみて、好まれる言葉で繋いでいきましょう。
失礼のないよう注意しつつ、その辺の観察もして合わせてあげると喜ばれます。
テレビの「ニュース」や「芸能ネタ」
介護施設では、1番身近な娯楽はテレビです。
会話の側でテレビ番組が流れてる事も多く、会話ネタに使いやすいですね。
テレビから会話ネタを得よう
- ○さんは、好きな芸能人はいらっしゃいますか?
- あの料理美味しそうですね
- 応援してる力士はいます?
感情表現が豊かな方は、テレビを見てるだけでも「わぁ凄い」「え~!?」など、沢山の反応を見せてくれます。
会話が苦手な方は、そうした言葉に共感し、一緒に楽しむ事から始めましょう。
様子観察をしてるだけでも、趣味や好みも見えてくるはず。
芸能ネタは「昭和歌謡」がウケる
施設で長く勤めてきましたが、利用者様は歌をよく好まれます。
好みはあれど、昭和歌謡は世代共通の知識として詳しく知ってますね。
歌手や曲など軽く知ってると、話題も共有できるし相槌も打ちやすいです。
「この人○○が好きなんだ」と、聞く方としても話を楽しめます。
自分は利用者様とCDを聞きつつ、勉強しました(笑)
思い切って、娯楽を提供してみるのもアリだと思います。
相手の「鉄板ネタ」を探ろう
多くの高齢者は、ご自身の鉄板ネタとも言える話題を持っています。
「この場面ではコレを必ず言う」みたいな、お約束の話ですね。
介護でよく聞く鉄板ネタ
- 出身地や子どもの頃の思い出話
- 家族とのエピソード
- 仕事での苦労や楽しかった事
例えば、「お部屋より、故郷に戻りたいわね」。
「毎晩寝ないでお裁縫して働いた」なんて話ですね。
長く接していると、こうした定番の話に気付く事があります。
「この話よく聞くな」と思ったら、関心を示して尋ねてみて下さい。
これも「相手が好む話題」である事が多く、良い反応が得られます。
上手く言葉を引き出せないと思ったら、試してみて下さい。
介護での基本的な会話テクニック
介護での会話は、話題よりも接し方が重要です。
聞く姿勢を中心に、高齢者との基本的な会話テクニックをご紹介します。
「共感」「褒める」が基本、否定はしない
繰り返しですが、話の主役は相手側です。
「共感」と「褒める」事を意識しつつ、じっくり耳を傾けて下さい。
「あなたをちゃんと見てるよ」と関心を示し、相手の立場で言葉を返す事です。
会話が下手だろうが、これだけで気持ちが満たされるはずですよ。
否定が必要な時も、まずは「共感」する
話によっては、頷く事が難しい内容もあります。
そんな時も、いきなり否定はしない事。
急に「あなたは間違ってる」と言われれば、「そんな事ない!」と反発したくなるものです。
否定が必要な時も、まずは共感から入りましょう。
そのうえで「でも、~かもしれない」と伝えると、相手を穏やかに納得させやすいです。
仕事やプライベートのコミュニケーションにも活かせる内容ですね。
姿勢や目線を合わせる
姿勢や目線を合わせるのも基本ですが、意外と忘れがち。
介護施設は車椅子の方も多く、職員も歩き回って働いてる事が多いです。
相手を見下ろしながら話してしまわない様、注意しましょう。
施設の利用者様は、職員の細かな動きもちゃんと見ていますよ。
「あの人聞いちゃいねぇ」「この人は良く働くし、よく話も聞く」など、意外なところで評価を得られる事もあれば、その逆も然りです。
認知症の方の「心配」「怒り」への対応
認知症の方には、いつも何かに困ってたり、怒ってる方もいます。
そうした方は特に「同じ立場で味方でいる」事が重要です。
- 解決は難しいが、一緒に困ってあげる
- 話をゆっくり聞き、安心できる言葉をかける
- 解決できないかもしれないが、何かをしてあげる
経験則ですが、こうしたスタンスで行くと上手くいく事が多いです。
認知症の方は、私達には解決できないような悩みや困り事も伝えてきます。
そんな時には「無理な理由」を説明するより、「安心できる言葉」の方が響いたりします。
例えば、「事務所に頼んでおくから、お茶でも飲みながら待ちましょう」等ですね。
そうしたスタンスから始め、ご本人が何を考え心配してるか観察していきましょう。
無理に会話はしなくて良い
会話ネタが欲しい方の中には、会話に苦手意識がある方もいると思います。
もし上手く言葉が見つからない場合、無理に話す必要はないです。
必要以上に会話の間を埋める事はありません。
苦手意識が強い場合、介助の声掛けから意識しましょう。
「これから○○をしますね」「大丈夫ですか?」など、仕事の声掛けを丁寧に行えばOK。
丁寧に行えば言葉数も多くなるし、自然と苦手意識は消えていきます。
会話ネタだけでなく、言葉かけのバリエーションも増やす事も大切ですね。
困ったら「オウム返し」で乗り切る
相手の話に上手く受け答えが出来ない時は、オウム返しでもOK。
「○○だったんですか?」と返せば、「うん、それでさ…」と続きますので、相手に会話の流れを委ねる事が出来ます。自然に出来れば、これだけで満足感を与えられます。
求められた話題に答えるだけでも、意外と相手の望むペースで会話が出来てたりします。
地道に信頼関係を築いていこう
初対面から、会話で盛り上がる必要もありません。
まずは、相手をよく知る事です。
ここで紹介した会話ネタは、そのきっかけとして役立てて下さい。
施設の利用者にとっては、話の上手さより「安心して任せられるか」が重要です。
相手の理解を深め、信頼を得る事を目標としましょう。
何を話せばよいか分からないのは、お互い様。
時間をかけて、信頼関係を築きあげていけば良いのです。
その為の実践的な方法、考え方は下記記事で解説してます。
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