介護士に残業が多い理由と減らす方法【申請せずのサービス残業も】

介護士の残業理由とサービス残業をしない働き方介護職の悩み

過酷な労働環境が問題視される介護士。
時間外労働も多く発生しており、サービス残業への悩みや不安を抱える方もいる事でしょう。

そこで今回は、介護士経験を元に「介護士の残業理由と実態」を解説。

調査と経験を元に「介護士の労働環境」を明らかにし、働き方や転職など、様々なアプローチから残業問題の解決方法を提案します。
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介護士の残業が多い理由とは?

まずは全労連の調査をもとに、介護士の残業・時間外労働の理由を確認します。

「利用者対応」「記録業務」が主な残業理由

介護士が残業・早出といった時間外労働をする理由はなぜでしょうか。

全労連の介護労働実態調査では、下記の理由が挙げられました。

介護職員の時間外労働発生理由

参考:全労連「介護労働実態調査 2019年版」より

記録と情報収集」が始業前・後ともに約70%とトップです。
その後は、「利用者のケアに関する理由」が続きます。

10年近く介護士をしてますが、概ね納得の数字です。

先輩からの指導

申し送りなど利用者や業務の確認のため早出をし、記録作業が終わらず残業をする。
あるいは業務に余裕がなく早出をし、ケア対応が終わらず残業。

大体こんなところでしょう。

会議やイベントなどイレギュラーな事よりも、毎日の業務に時間外労働の理由があるワケですね。

申請しにくい為に「サービス残業」も

先ほどの調査内で、サービス残業(不払い時間外労働)のデータもありました。

「残業代の支払い状況」についても、発生理由と同じような回答が集まっており、記録やケア対応など、毎日の業務でサービス残業が多く発生してます。

時間外労働が不払いとなる理由について、そのトップ3が以下。

介護士のサービス残業理由トップ3

  1. 自分から請求していない(79.3%)
  2. 請求できる雰囲気にない(40.3%)
  3. 支給されない業務や会議がある(25.8%)

参考:全労連「介護労働実態調査 2019年版」より

「残業申請がしにくく、日常的に残業がある」「だから請求もしてない」という事ですね。

介護士の場合も、残業申請するにはリーダーなど上司の確認をとる必要があります。
また残業の発生理由は、毎日の業務に関わる事がほとんどでした。

毎日定時で業務が終わる事の方が少ない、だから一々残業申請もしにくいワケです。
時間外労働が慢性化してる職場が多い、と読み取る事も出来ますね。

介護士経験から語る残業実態

ここからは私の介護士経験を元に、残業実態をより具体的に語っていきます。

先の調査では、ケア対応や記録業務などに残業問題がある事が分かりました。
それは具体的にどういう事かというと、こんな内容になります。

介護士が時間外労働する具体的場面

  • 起床介助や就寝介助
  • 入浴介助
  • ケア記録や業務日誌の記入

早出をする理由は、記録や申し送りの確認。
シフト上の指示であれば、主に入浴介助が中心です。

残業の場合は、「オムツ交換」や「就寝介助」、「記録業務」が終わらない等が主です。

入浴介助後の車イス移動

例えば入浴介助を行うには、フロアに残り見守る職員も必要です。

日勤者が確保できない場合、遅番が早出をしなくては入浴介助を終える事が出来ないのです。
夜勤明けの職員が残業をするケースもあります。

※介護老人福祉施設は週2回の入浴が義務付けられている

些細なことでは残業代が出ない?

先に述べた入浴介助なんかは、かなり残業申請しやすい内容だと思います。

…というのも、時間外労働なしで業務を回す事が難しいからですね。
シフト上でも、あらかじめ残業や早出の指示が出ている事が多いです。

特に問題なのは、下記のような残業申請しにくい理由。

介護士がサービス残業する理由

  • 食事や排泄介助が終わらない
  • 利用者が不穏で、対応に時間がかかった
  • 記録業務が終わらない

シフトや業務上問題ないとされていても、些細な事で毎日のように残業は発生します。

24時間の入居施設では、引継ぎ職員が大変だからと残る事も多いはず。

腕組み疑問

シフト上の指示があれば残業申請できるが、それ以外は申請しにくい現状ですね。

それは職場ルールであるとか、心情的にという理由があります。

上司の確認や理由説明など、許可されたとしても、言い出しにくい場面も多いのでは?
毎日の様にあれば、尚更ですよね。

残業が慢性化してる介護施設は多い

残業も少しの時間だったり、時々であれば問題ありません。

しかし介護業界では、人手不足により残業が慢性化してる施設も少なくないです。
日常的すぎて、職員の残業への意識が低下してる問題もあると思います。

皆当たり前のようにしているから、残業申請を言い出せない。
次第に自分にとっても当たり前になってしまうのです。

落ち込み

サービス残業が慢性化すると、無言の同調圧力も発生します。
また職員心理とは別に、残業申請を受け付けてくれない職場も少ないながら存在します。

避けるべきブラック施設の判断基準として覚えておきましょう。

職員都合を出せない葛藤も

仕事を早く終わらせるには、時に職員都合を優先する必要があります。

排泄や食事の介助にかける時間を減らす…、などですね。

その是非はケースにより異なるので、置いとくとして…
それら職員都合を出す事に抵抗を感じる職員も多くいます。

利用者の事を思えばすべき事は山ほど見えるが、それが出来ない。
そういった葛藤を抱える介護士も多くいます。

会議や委員会による残業

残業理由に「会議」や「委員会」への出席もありました。

別理由にあった「職場ミーティング」も、会議形式をとる事が多々あります。

これらは割と残業申請しやすい理由ですが、無制限に付けられる事は少ないです。
以前私が勤めていた職場では、会議での残業申請は2時間までと決まってました。

介護リーダーと会議

「そんな長い会議あるの?」と思われそうですが…、意外にあります。

利用者様対応について話し合う「ケアカンファレンス」「ユニット会議」等などですね。
職員が積極的に意見を出し、熱い会議になるとかなり時間がかかります。

リーダー等の進行役の手腕が問われる場面です。

会議自体は残業申請しやすいが…

入居施設を例に出すと、入浴と同じく会議中も見守り職員が必要になります。

つまり職員がいない程、会議の開催や出席が困難になるという事。
当然業務も滞るので、遅れた仕事をする為の残業も発生します。

会議中の見守りの為、残業を指示される事もあります。

パソコン疲れ

また会議用の書類議事録の作成なども行わなくてはなりません。
さらに問題なのが、これら専用に時間を割く事が難しいこと。

※シフト作成などのリーダー業務の同様ですね。

会議そのものは残業理由と認められても、それに関わる労力はサービス残業となりがちです。

真の原因は「介護士不足」

介護士の残業原因を辿っていくと、結局は職員不足ですね。

介護の労働環境を語ると、大抵の場合「職員が足りない」という結論に行きつきます。

パソコンを見てショックを受ける女性

色々述べましたが、介護士の残業はほとんどが日常的業務によるもの。

急なトラブルが原因となる事もありますが、多くは無いです。

また職場側も、「出来れば職員に残業させたくない」と思ってます。
人員配置に対する業務の多さが問題なので、結局は人手があれば解決します。

介護士は正社員が足りない

もっと言えば、正社員の介護士不足でしょうね。

日中は職員が沢山いるのに、朝や夜になると職員が全くいないなんて事もザラ。

介護の仕事は、その多くが24時間のシフト制の仕事です。
職員不足はもちろん、正社員不足により時間や雇用形態で負担の偏りが生じるケースもあります。

介護士がサービス残業をなくす為に出来る事

ここまでを踏まえ、介護士が時間外労働・サービス残業をなくす為の働き方を考えます。

「仕事での動き方」から「転職方法」まで、具体的にアドバイスします。

残業は必ず申請をする

シンプルですが、まずは「残業申請する」ことです。

既述の通り、「自分から申請してない」理由でのサービス残業が多く発生してます。
そうした空気も問題ですが、申請しなければ貰えるモノも貰えません。

残業の発生が知れ渡れば、改善策がでるなど事態が動く可能性もあります。

パソコンで仕事をするスーツ女性

また残業を好き放題つけられる職場は少なく、どこも申請時のルールはあります。

このルールに過剰に反応してしまい、「申請しても無駄」と諦める人もいます。
きちんと仕事をしてれば残業代が出る会社は多いので、あきらめずに申請しましょう。

申請書の「残業理由」の書き方

残業申請の理由をどう書いたら分からない方の為、記入例を用意しました。

残業申請に使える理由例

  • 利用者様対応の為(業務多忙の為)
  • ○○委員会(会議)出席の為
  • 欠員発生(日勤不在)の為

書くべき文が分からない時は、上記をそのまま使ってOKです。

厳しい職場では、「書くべき文言」や「受付可能な理由」が限られてる事もあります。

職員定着率の高いホワイト企業で働く

時間外労働が発生するそもそもの理由は、職員不足です。

職員定着率の高いホワイトな職場であれば、この問題を解決できます。

ただ現状は職員が足りてる施設の方が少なく、実現ハードルは高め。
転職サイトなどを活用し、情報収集や慎重な判断が求められます。

定着率にこだわるなら「マイナビ介護職 」がオススメ。
『定着率が著しく低い職場は紹介しない』と公言してます。

マイナビ介護職の口コミや評判を紹介!

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また、雇用改善に取り組む施設も多く見受けられます。
多くは無いですが、介護にもホワイト企業は確実に存在します

介護にもホワイト企業は存在する!転職したくなる優良介護施設を紹介
忙しいイメージの介護業界にもホワイト企業は存在します。職員不足解決に向け、給料や休日など様々な取り組みが行われているのです。思わず介護に転職したくなるような、職場改善の成功例を紹介します。

仕事量の少ない職場を選ぶのも有効

また職場により、仕事が楽・キツイという差も確実にあります。

介助や仕事量の少ない職場で働くのも、残業対策の1つの手です。

ただこれも利用者様の状態に左右されるので、判断の難しいところですね。

施設形態で言うと、「特別養護老人ホームは介助量が多い」。
「小規模多機能は身体に優しい」、なんて事がよく言われます。

※特養経験はありますが、あながち間違いじゃないですね

ただしあくまで傾向ですので、あまり鵜呑みにしすぎないようにしましょう。

大変でも自分と相性が良い職場なら苦になりませんし、その逆もまた然りです。

転職の面談

同じ施設形態で毎回仕事が辛くなるなら、違う種類の職場で働く。
広い視野を持って転職活動に臨もうという事ですね。

ですが、違う種類の介護サービスで働くのも勇気が要るモノ。

この辺の具体的な知識も、転職サイトのコンサルタントが詳しいです。
悩みや希望を伝えれば、それに合った職場の提案が受けられますよ。

おすすめ介護職向け転職サイト5つを比較紹介!

スキルアップや業務効率の改善をする

「丁寧で仕事も早い人」というのは、存在します。
時間内に仕事を終えるには、効率も考えて動かなくてはなりません。

例えば、下記の様な内容も意外に仕事の速さに影響します。

スキルアップで業務効率を改善しよう

  • 声掛けやコミュニケーション能力
  • やりすぎの介護を控える
  • オムツ交換など、介助の手際を良くする
  • 業務内容の改善提案をする

やりすぎ介護を減らす

まず考えてみて欲しいのが、利用者様の負担になる「やりすぎの介護」をしてないかという事。

「完食するまで食事介助」「長時間トイレに座らせる」等を必要以上にする事です。

介助は時間を掛ければ良いワケではありません。
オムツ交換であれば寒い思いをするし、だらだらと食事介助をしても負担になります。

NGサイン

ですが仕事をしてないと思われない為に、相手の意思や負担を無視してしまう職員もいます。

相手に不快な思いをさせ、自分も残業まみれ…と、誰も得をしません。
もし心当たりがあるのなら、自分のケア方法を見直してみましょう。

この辺の考え方は、下記記事も参考になると思います。

施設の看取り介護とは?ケア方法や対応施設を実態と共に解説
介護施設における看取り内容について解説してます。流れやケア方法、考え方などを実態を交えご紹介します。
職員と利用者、双方が幸せでいられるケア方法を考えるのも、介護士の仕事ですね。

介護士としての総合力が仕事の早さに繋がる

介護では「早さ=手抜き」のイメージが強いですが、早さを求める事自体は悪い事じゃないです。

先の例はもちろん、貴方の対応を待ってる利用者様も多数いるのです。

介護士として総合力を高め、効率アップを図るのも大切な事ですよ。

介護士のスキルアップになる資格と能力は?評価と仕事力を高める方法

車イスの介助

コミュニケーション能力など、関係なさそうな能力も仕事効率に影響します。
介護拒否が減って仕事がスムーズになり、利用者様から信頼も人事評価にも繋がるでしょう。

介護職が覚えたい利用者とのコミュニケーション方法

また何もしない無駄な時間も極力減らす事です。

どうしたら無駄なく効率的に動けるか、日々考えながら働きましょう

これらを事故リスクに配慮しつつ、臨機応変にこなさねばならないのが介護の難しいところ。
会議やミーティングで、業務ルールの見直しや改善の提案も積極的に行いましょう。

ユニットやフロア単位でなく、施設全体で問題を把握し、臨機応変に人員配置を動かせるのが良い施設だと思いますね。

残業をしない雰囲気作り

無駄に残業をしない意識も重要です。

「引継ぎの職員が大変だから」「何となく帰りにくい」、こんな理由で残ってないでしょうか?

介護はチームプレーの仕事ですから、人間関係も気になる事でしょう。
事実、相手を助ける事が良好な関係を築くきっかけにもなります。

介護士の人間関係は悪い?良い関係を築くコツや実際のトラブル紹介

介護士の人間関係

しかし、過剰な気遣いは身を滅ぼします。

自分の担当業務が終わったなら、さっさと帰る勇気も必要ですよ。

  • 無駄に残業はしない
  • 残業したら、申請をする

基本的な事を徹底する事で、健全に働ける雰囲気作りにも繋がります。
他職員とも声を掛け合うと、残業をしない意識を職場で共有しましょう。

最後に

今回は「介護士の残業理由と実態」をテーマにお話ししました。

介護現場では、職員不足により残業が多く発生しています。
…とはいっても、実際の環境には職場により大きな差があるのも事実です。

過酷な労働環境から身を守るには、「ブラックな職場を選ばない」「ブラックな働き方をしない」よう注意する必要があります。

利用者様にとっても職員にとっても、必要なのはマンパワーです。
残業だけでなく、有給消化や仕事への満足度など、ホワイトな職場の条件とも言えますね。

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