介護職の残業時間が多い理由【サービス残業や早出なしで働くには?】

介護職の残業時間介護職の悩み

過酷な労働環境が問題視される介護士。
時間外労働も多く発生しており、サービス残業への悩みや不安を抱える方もいる事でしょう。

そこで今回は、介護士経験を元に「介護職の残業実態」を解説。

平均残業時間やその理由、サービス残業や早出の実態など、細かに紹介します。

介護業界の残業の扱いは、職場により大きく異なります。
残業が当たり前なだけでなく、残業代が出ない残業禁止な施設には要注意です。
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介護職の「残業時間」と「理由」

まずは全労連の調査をもとに、介護士の残業・時間外労働の理由を確認します。

介護職の平均残業時間は「月10時間?」

2019年度の調査では、介護職の時間外労働の平均は月間8.2時間

正社員の場合は、平均10.2時間という結果でした。
やはりパート職員より、正社員の方が多く残業しています。

参考:全労連「介護労働実態調査 2019年版」より

ちなみに令和3年3月は、企業全体で10時間。
パートを除く一般労働者では、13.6時間。

案内をする介護士

介護職の時間外労働は少なく見えますが、この人手不足です。
私含め、「もっと多いはずだ」という声も多いはず。

続いて、その理由も確認します。

「利用者対応」「記録業務」が主な残業理由

介護士が残業・早出といった時間外労働をする理由は何か。

「全労連の介護労働実態調査」では、下記理由が挙げられました。

介護職員の時間外労働発生理由

※全労連「介護労働実態調査 2019年版」より

記録と情報収集」が始業前・後ともに約70%とトップです。
その後は、「利用者のケアに関する理由」が続きます。

10年近く介護士をしてますが、概ね納得の数字です。

先輩からの指導

申し送りなど利用者や業務の確認のため早出をし、記録作業が終わらず残業をする。
あるいは業務に余裕がなく早出をし、ケア対応が終わらず残業。

大体こんなところでしょう。

イレギュラーな事よりも、毎日の業務に時間外労働の理由があるワケですね。

申請しにくい為に「サービス残業・早出」も

先ほどの調査内で、サービス残業(不払い時間外労働)のデータもありました。

「残業代の支払い状況」についても、発生理由と同じような回答が集まっており、記録やケア対応など、毎日の業務でサービス残業が多く発生してます。

時間外労働が不払いとなる理由について、そのトップ3が以下。

介護士のサービス残業理由トップ3

  1. 自分から請求していない(79.3%)
  2. 請求できる雰囲気にない(40.3%)
  3. 支給されない業務や会議がある(25.8%)

参考:全労連「介護労働実態調査 2019年版」より

「残業申請がしにくく、日常的に残業がある」「だから請求もしてない」という事ですね。

介護士の場合も、残業申請するにはリーダーなど上司の確認をとる必要があります。
また残業の発生理由は、毎日の業務に関わる事がほとんどでした。

落ち込み

毎日定時で業務が終わる事の方が少ない、だから一々残業申請もしにくいワケです。

時間外労働が慢性化してる職場が多い、と読み取る事も出来ますね。

残業早出が多い介護業界の実態

ここまでで、「介護職の残業時間はもっと多い」であろう事。
サービス残業が慢性化してるであろう事が見受けられました。

ここからは私の介護士経験を元に、残業実態をより具体的に語っていきます。

残業・早出しがちな仕事場面

残業が発生理由に、ケア対応や記録業務など問題がある事が分かりました。

それは具体的にどういう事かというと、こんな内容になります。

介護士が時間外労働する仕事場面

  • 就寝介助
  • 入浴介助
  • ケア記録や業務日誌の記入

利用者対応では、起床や就寝、入浴介助がよく原因になります。

夕方は、どこの施設も人員が少ない中での仕事になります。
誘導や排泄介助などが終わらず、定時を過ぎてしまう事は多いですね。

入浴介護のイメージ

また入浴介助は、フロア見守りとは別に人手が必要となります。

そのため、通常は日勤者がいる職員数の多い時間に行われます。
しかし日勤者が上手く確保できない場合、これも残業理由となりがちです。

※介護老人福祉施設は週2回の入浴が義務なので、必須業務

遅番の早出、夜勤者の残業などで、無理して業務を回す事が多いですね。

記録業務をする暇がない

記録業務というのは、主に下記を指します。

  • 日誌や申し送りの確認、記入
  • 食事量やバイタル情報の入力
  • 生活の様子などの文章入力

これら業務は、仕事中に専用の時間を設ける事が難しいのが現状。

食事を急ぐ看護師

隙間時間に行う必要がありますが、それも難しい職場も多くあります。
忙しい日では、定時で仕事を終え、初めてゆっくり作業できるなんて事も。

PC台数が少ない、介護ソフトが使いにくいなど、ハード面での問題も散見されます。

残業代が出ない?細かな申請ルールも

また申請しない為のサービス残業も問題にありました。

介護職にとって、残業申請のしにくい状況は下記ですね。

  • 何となく帰りにくく、残ってしまった
  • 自分の時だけ業務が終わらない
  • 日常的な業務で残業が発生した

残業申請しにくく、こうした状況も多いのが特徴。
サービス残業の原因ですね。

逆に申請しやすいのが、下記状況。

  • シフト上で残業・早出が決まっている
  • 欠員やトラブルなどがあった
  • 上司や周囲に残業を求められた

パソコンを見てショックを受ける女性

厳しい職場になると、シフト上で指示が無い限り、残業代が出ない職場もあります。

職場側も、何でも残業OKというワケにも行きません。
ちゃんと働いた人に残業代を支払いたいと思ってます。

そうしたルールもあり、働く側としては日常的業務で残業申請しにくいのが心情。

毎日の様に申請するのも手間ですし、面倒に思う人も多いと思いますね。

会議や委員会による残業

残業理由に「会議」や「委員会」への出席もありました。

別理由にあった「職場ミーティング」も、会議形式をとる事が多々あります。

これらは割と残業申請しやすい理由ですが、無制限に付けられる事は少ないです。
以前私が勤めていた職場では、会議での残業申請は2時間までと決まってました。

介護リーダーと会議

「そんな長い会議あるの?」と思われそうですが…、意外にあります。

利用者様対応について話し合う「ケアカンファレンス」「ユニット会議」等などですね。
職員が積極的に意見を出し、熱い会議になるとかなり時間がかかります。

また会議の開催にも、見守り役や議事録の作成など、沢山の労力が必要です。

特に書類準備や議事録作成など、準備にかかる労力はサービス残業となりがち。

真の原因は「介護職員の不足」

介護士の残業原因を辿っていくと、結局は職員不足ですね。

介護の労働環境を語ると、大抵の場合「職員が足りない」という結論に行きつきます。

チェックポイントを教える介護士

色々述べましたが、介護士の残業はほとんどが日常的業務によるもの。

急なトラブルが原因となる事もありますが、多くは無いです。

  • 利用者対応が終わらない
  • 会議や書類作成の時間が作れない
  • 休みや休憩が取れない

これらは人員に対する業務量の多さが原因。

業務効率や仕事の組み立てだけで、解決できる事は少ないです。
また職場側も、「出来れば職員に残業させたくない」と思ってます。

今介護現場に必要なのは、マンパワーですね。

「残業」でみる要注意な職場

同じ介護業界でも、働きやすさは様々。
残業時間も大きく異なります。

ここから紹介する内容があると、危険な職場のサインかもしれません。

残業禁止や残業代が出ない

正当な理由があるのに残業代が出ない職場には要注意。

「残業を無くそう」という取り組みは大切ですが、それを悪用するズルい職場もあります。

  • 真面目に業務に取り組んだのに、残業申請が通らない
  • 残業の指示を受けたのに、残業代がでない
  • 残業が一切禁止

こうした事実があれば、疑問に思って下さい。

介護士のプライベートイメージ

仕事をしていれば、どうしても残業が必要になる場面もあります。

基本的に定時で帰る」「残業をした時はきちんと残業代が支払われる」。
これが健全な姿です。

  • 必要があっても残業代は出さない
  • どんな理由があっても残業は一切禁止

こうしたルールを公にしている職場は、ブラック寄りと思って良いです。

夜勤者に残業をさせている

各シフトの中でも、特に疲れが出るのが夜勤明け
介護現場で最も避けるべきは、夜勤者の残業です。

下記の様な状況があれば、危険な職場のサインです。

  • 夜勤明けで入浴介助させられる
  • 夜勤明けで会議などの再出勤を求められる
  • 夜勤者の早出残業が多い

夜勤者の時間外労働が多い職場は、人手不足が深刻化してます。

そうでない場合、労働者への配慮が足りてません。

何にせよ、心身的に長く働き続けるのは難しい職場です。
消耗するだけなので、長居するべきではないですね。

睡眠不足の中での仕事・通勤は、事故の元です。
深刻に考えた方が良いですよ。

残業が当たり前になっている

残業が慢性化している職場も要注意。

残業が当たり前になっているのは、職員不足のサイン。
業務負担も多く、不満が募りやすい環境です。

  • 毎日の残業が当たり前
  • 定時で帰ると怒られる
  • 必要以上に早出を求められる

こうした状況があるなら、特に危険です。

NGサイン

残業が当たり前すぎて、労働時間への意識が低下してます。
人手不足とモラル低下のダブルパンチですね。

たとえ残業代が出たとしても、体が持ちません。

休憩もまともに取れないなど、総合的に労働環境は非常に悪い状態。
早々に逃げた方が賢明ですね。

 

介護業界では、働きやすさの職場格差が激しいです。

要するに、職員が集まる職場とそうでない職場ですね。
この現状でも、沢山の介護職が集まる職場も存在します。

求人広告イメージ

良い職場には、給料や休暇など多くの魅力があります。

「休みも給料も少ない」、なのに別の施設は「待遇も良いし残業も無い」。
こんな事がザラにあります。

転職活動の際は、しっかりと情報収集をし、よく考えて職場を選びましょう。

介護職がサービス残業なしで働くには?

ここまでを踏まえ、介護士が時間外労働・サービス残業をなくす為の働き方を考えます。

「仕事での動き方」から「転職方法」まで、具体的にアドバイスします。

残業は必ず申請をする

シンプルですが、まずは「残業申請する」ことです。

既述の通り、「自分から申請してない」理由でのサービス残業が多く発生してます。
そうした空気も問題ですが、申請しなければ貰えるモノも貰えません。

残業の発生が知れ渡れば、改善策がでるなど事態が動く可能性もあります。

パソコンで仕事をするスーツ女性

また残業を好き放題つけられる職場は少なく、どこも申請時のルールはあります。

このルールに過剰に反応してしまい、「申請しても無駄」と諦める人もいます。
きちんと仕事をしてれば残業代が出る会社は多いので、あきらめずに申請しましょう。

申請書の「残業理由」の書き方

残業申請の理由をどう書いたら分からない方の為、記入例を用意しました。

残業申請に使える理由例

  • 利用者様対応の為(業務多忙の為)
  • ○○委員会(会議)出席の為
  • 欠員発生(日勤不在)の為

書くべき文が分からない時は、上記をそのまま使ってOKです。

厳しい職場では、「書くべき文言」や「受付可能な理由」が限られてる事もあります。

職員定着率の高いホワイト企業で働く

時間外労働が発生するそもそもの理由は、職員不足です。

先に述べた通り、「魅力ある職場」を選ぶ事が重要ですね。
もしくは、「業務量の少ない施設種類」を選ぶ事です。

「残業なし」を鵜呑みにするのは危険。
それが出来る環境があるか、しっかり見極めましょう。

転職の面談

いずれにしても、必ず上手くいく方法はありません。
そのためには、情報収集と比較を繰り返し、慎重な判断が求められます。

転職エージェントなどを活用し、上手く内部情報を入手しましょう。

定着率にこだわりを見せる「マイナビ介護職」。
ネガティブ情報も提供し、マッチング重視の「きらケア」等がオススメ。

また、雇用改善に取り組む施設も多く見受けられます。

多くは無いですが、介護にもホワイト企業は確実に存在します

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残業が少ない「施設種類」「雇用形態」で働く

職場の種類、雇用形態にこだわる手もあります。

  • パートや派遣で働く
  • なるべく介護度の低い施設を選ぶ
  • 利用者数に対し、職員数の多い施設を選ぶ

残業時間は、正社員より非常勤の方が少ないです。

パートに正社員並みの待遇を用意する施設もありますし、介護派遣の時給相場も高め。
あえて非常勤で働くのも、賢い方法の1つですね。

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会議の様子

また職場により、仕事が楽・キツイという差も確実にあります。

ただこれも利用者様の状態に左右されるので、判断の難しいところ。

個人的な経験としては、特養は介助量も残業も多め。
有料老人ホームは、比較的楽なイメージがあります。

有料老人ホームの仕事内容

ただしあくまで傾向ですので、あまり鵜呑みにしすぎないように注意です。

大変でも自分と相性が良い職場なら苦になりませんし、その逆もまた然りです。
広い視野を持って転職活動に臨もうという事ですね。

スキルアップや業務効率の改善をする

「丁寧で仕事も早い人」というのは、存在します。
時間内に仕事を終えるには、効率も考えて動かなくてはなりません。

例えば、下記の様な内容も意外に仕事の速さに影響します。

スキルアップで業務効率を改善しよう

  • 声掛けやコミュニケーション能力
  • やりすぎの介護を控える
  • オムツ交換など、介助の手際を良くする
  • 業務内容の改善提案をする

やりすぎ介護を減らす

まず考えてみて欲しいのが、利用者様の負担になる「やりすぎの介護」をしてないかという事。

「完食するまで食事介助」「長時間トイレに座らせる」等を必要以上にする事です。

介助は時間を掛ければ良いワケではありません。
オムツ交換であれば寒い思いをするし、だらだらと食事介助をしても負担になります。

ベッドで休むお婆さん

ですが仕事をしてないと思われない為に、相手の意思や負担を無視してしまう職員もいます。

相手に不快な思いをさせ、自分も残業まみれ…と、誰も得をしません。
もし心当たりがあるのなら、自分のケア方法を見直してみましょう。

この辺の考え方は、下記記事も参考になると思います。

施設の看取り介護とは?ケア方法や対応施設を実態と共に解説
介護施設における看取り内容について解説してます。流れやケア方法、考え方などを実態を交えご紹介します。
職員と利用者、双方が幸せでいられるケア方法を考えるのも、介護士の仕事ですね。

介護士としての総合力が仕事の早さに繋がる

介護では「早さ=手抜き」のイメージが強いですが、早さを求める事自体は悪い事じゃないです。

先の例はもちろん、貴方の対応を待ってる利用者様も多数いるのです。

介護士として総合力を高め、効率アップを図るのも大切な事ですよ。

介護士のスキルアップになる資格と能力は?評価と仕事力を高める方法

車イスの介助

コミュニケーション能力など、関係なさそうな能力も仕事効率に影響します。
介護拒否が減って仕事がスムーズになり、利用者様から信頼も人事評価にも繋がるでしょう。

介護職が覚えたい利用者とのコミュニケーション方法

また何もしない無駄な時間も極力減らす事です。

どうしたら無駄なく効率的に動けるか、日々考えながら働きましょう

これらを事故リスクに配慮しつつ、臨機応変にこなさねばならないのが介護の難しいところ。
会議やミーティングで、業務ルールの見直しや改善の提案も積極的に行いましょう。

ユニットやフロア単位でなく、施設全体で問題を把握し、臨機応変に人員配置を動かせるのが良い施設だと思いますね。

残業をしない雰囲気作り

無駄に残業をしない意識も重要です。

「引継ぎの職員が大変だから」「何となく帰りにくい」、こんな理由で残ってないでしょうか?

介護はチームプレーの仕事ですから、人間関係も気になる事でしょう。
事実、相手を助ける事が良好な関係を築くきっかけにもなります。

介護士の人間関係は悪い?良い関係を築くコツや実際のトラブル紹介

介護士の人間関係

しかし、過剰な気遣いは身を滅ぼします。

自分の担当業務が終わったなら、さっさと帰る勇気も必要ですよ。

  • 無駄に残業はしない
  • 残業したら、申請をする

基本的な事を徹底する事で、健全に働ける雰囲気作りにも繋がります。
他職員とも声を掛け合うと、残業をしない意識を職場で共有しましょう。

最後に

今回は「介護士の残業理由と実態」をテーマにお話ししました。

介護現場では、職員不足により残業が多く発生しています。
…とはいっても、実際の環境には職場により大きな差があるのも事実です。

過酷な労働環境から身を守るには、「ブラックな職場を選ばない」「ブラックな働き方をしない」よう注意する必要があります。

利用者様にとっても職員にとっても、必要なのはマンパワーです。
残業だけでなく、有給消化や仕事への満足度など、ホワイトな職場の条件とも言えますね。

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