介護士の仕事というと、人間関係が心配という方もいらっしゃると思います。
ネット上でも人間関係に関するネガティブな情報が散見されます。
介護に興味があるけど、不安で踏み出せない方もいるでしょう。
介護は別に人間関係が悪くないので、安心して下さいね。
また「職場の人間関係が面倒くさい」と感じてる現職の方もいるでしょう。
実際に介護士を経験した私が、私見を含めアドバイスを送りたいと思います。
良い関係を築くコツや実際のトラブルを交え、実情をお伝えします。
介護士の人間関係は悪い?
さて、人間関係トラブルが多いとされる介護業界。
本当に介護士の人間関係は悪いのでしょうか?
色々な職場を経験しましたが、一緒に働く職員には恵まれてきました。
職員同士のトラブルもありましたが、それ以上に助けられる事が多かったです。
介護士の人間関係は「普通」
冒頭で話した通り、介護職の人間関係は特別悪くはないです。
優しい人、厳しい人、勝手な人など、色々です。
人間関係が悪い職場もあれば、職員が仲間となり助け合っている職場もあります。
要するに、他の業界と一緒です。
ネットでは悪い評判が目立ちますが、それが全てではありません。
介護士を長く経験し、色々な職場も見てきましたが…
人間関係が特別悪いとは思いません。
介護職の人間関係が悪くなる理由
介護の仕事はチームプレーの仕事です。
人間関係は普通ですが、一方で仕事への影響は大きいです。
例えば介護士目線で見ると、関わる相手はこれだけいます。
- 上司や同僚、部下
- 利用者
- 看護師や相談員等の他職種
- 利用者の家族
単純に関わる相手が多い為、全ての相手と上手く関わるのはやはり難しいです。
また利用者同士や他職員同士など、他人もそれぞれ自分の人間関係を持っています。
どこかでトラブルが発生したり、面倒くさいと感じる事もあるでしょう。
加えて、介護業界には下記特徴があります。
- 女性職員が多い
- 認知症や精神疾患のある方もいる
詳しくは後述しますが、こうした要素によるトラブルも散見されますね。
また採用基準が緩い為、やる気や適性が無い人が採用される事もあり得ます。
他の職員との意識差や態度など、業務上の問題からトラブルに発展するケースもありますね。
退職理由には「人間関係」が多いという事実も
また介護職員に多い退職理由は、「人間関係」が挙がってる調査結果があります。
ただ人間関係による退職理由は、他産業でもランキング上位によく来ている内容。
他と比べやや高めですが、介護業界が突出して悪いワケではありません。
参考:「介護労働安定センター(平成29年度 介護労働実態調査結果)」
「厚生労働省(平成 30 年雇用動向調査結果の概況)」
何はともあれ、介護職が長く働き続けるには良好な人間関係は必須。
介護における人間関係トラブルの特徴
ここでは介護現場の特徴を踏まえ、実際によくある人間関係のトラブルを紹介します。
介護では、様々な立場の人と関わり合いになります。
職員同士や利用者様など、ケース別にトラブル例を紹介します。
事前に理解しておくことで、防止に役立つでしょう。
介護職員同士のトラブル
まず介護職員同士の人間関係について。
介護職に限った事ではないですが、仕事上でよくあるのがこんなトラブル。
介護職同士の揉め事
- 責任の押し付け合い
- キツイ言葉を言われた
- 仕事に対する考え方の違い
仕事をしてると、どうしてもミスは付き物。
転倒などの事故に立ち会う事もあるでしょう。
そうした時、自分を守る為に責任の押し付け合いに発展する事があります。
また悪気は無くとも、仕事に対する意見の違いから衝突する事も。
「仕事への不満」や「キツイ注意」
職員同士はお互いの仕事ぶりが分かるからこそ、不満やトラブルに繋がる可能性があります。
一緒に仕事をしてると、「自分ばかり大変」「やり方が違う」など、細かな不満が見えるものです。
業務量や担当などが平等に統一され、互いのフォローがある職場が理想ですね。
また言葉がキツイ人というのも、トラブルの元になります。
自分でも、無意識に人を傷つけないよう注意しましょう。
適性の無い人が上司になり、働きにくい環境になる事も多々あります。
特にイジメが発生してる職場は致命的。
解決が難しければ、退職や転職理由になり得ます。
女性が多い為の面倒くささも
女性職員が多い事も、介護職の特徴ですね。
加えて、他職種や利用者様も女性が多め。
そのためか、こんな人間関係トラブルも良く見ます。
- 悪口が多い
- 「相性」や「機嫌」が露骨に態度に出る
- 口調がキツイ
特に多いのが40~50代の女性職員となっています。
全ての女性がとは言いませんが、つい口煩くなってしまう方も多いようです。
そのせいで雰囲気が悪くなったり、周囲の職員が面倒に感じてしまう事も…。
相性やグループ意識を隠せない人もいますね。
また女性同士という事で、注意したいのが「家庭」の話題。
家の事情はデリケートな話題で、触れられたくない深い部分。
誰しもが、色々な悩みやストレスを抱えてますが、だからこそ「他の人はどうだろう?」と気になるもの。悪気はなくても、「嫌な事を言われた」と人間関係の悪化を招くケースが後を絶ちません。
家庭の話はしないのがベストですね。
看護師など「他職種とのトラブル」
介護士は、看護師などの他職種、利用者など色々な人と関わる職種です。
人間関係のトラブルは、介護士同士だけとは限りません。
他職種とは、以下の様なトラブルが散見されます。
他職種とのトラブルにも注意
- 看護師に強く注意された
- 指示や報告ミス
介護施設には、看護師が配置されている職場もあります。
そうした施設では、介護士と看護師が協力し、利用者様のケアを行います。
報告や確認トラブルに注意
他職種ともなれば報連相が上手くいかない事も多々あります。
「言った」「言わない」や、「他の介護(看護)職はこう言った」など、
連絡や相談が上手くいかず、トラブルとなる事も。
利用者からの介護拒否やストレス
介護士と利用者様のトラブルもあります。
えば、特定の職員にだけ介護拒否がある等ですね。
介護拒否は解決が難しく、人間同士なので相性があるのは仕方ありません。
ですが、やはり「自分が悪いのだろうか」と悩んでしまう職員も多くいます。

加えて、何度も同じ訴えがある等、認知症対応にイライラしてしまう人もいます。
そうしたストレスから、つい言葉や対応が荒くなってしまう事も。
経験を積むことで、徐々に感情コントロールが出来るようにはなりますが、
どうしてもイライラしてしまう事はあります。

一人で抱え込まない様、他人を巻き込んで解決に動く必要がありますね。
「関係改善」や「面倒なトラブル回避」の方法
繰り返しですが、介護は決して人間関係が悪い仕事ではないです。
しかし他業界と比べ、良好な関係を築く努力はより求められます。
快適な人間関係の中働くため、「自分でできる立ち回り」や「対処方法」も考えてみましょう。
ここでは、人間関係悪化を防ぐためのポイントを紹介します。
助け合いの関係を自分から作る
誰しもが、苦手な人というのは存在します。
そんな人は上手く味方につけられると、苦手意識が軽減します。
困っていれば助けたり、フォローをする。
「ありがとう」の一言でも聞ければ、少しは違うのではないでしょうか?
助け合いの関係を自分から作っていく姿勢が大切です。
しっかり自分の意志を持ちつつも、相手を受容する姿勢もとりましょう。
こちらの主張があっても、まずは相手の意見に耳を傾ける。
利用者様への対応と似ていますね。
仕事負担のバランス取りに動く
また仕事負担の偏りがあると、人間関係がこじれる事も。
その辺りにも注目し、フォローを入れてみるのも有効です。
- 自分の仕事が終わったら、助ける
- 「大丈夫?」「何か手伝えますか?」など気遣う
- 率先して仕事に動く
余計なことを言わず、気遣いがあって良く動く。
こうした職員はどこでも高評価です。
あなたが大変な時にも、きっと助けとなってくれる事でしょう。
仕事力を高め優位に立つ
自分の仕事の質を高めるのも有効です。
「この人は仕事ができる」と一目置かれるだけで、人間関係が楽になります。
貴方を頼りにせざるを得ない状況も増え、関係性で優位を取れます。
助け合いの関係を自分から持ち掛けやすくなるでしょう。
利用者様とのコミュニケーションスキルなど、出来る事から始めてみましょう。

面倒くさい相手には関わらない
こちらの対応力だけでは、どうしようもない面倒な相手も存在します。
こうしたトラブルメーカーとは関わらない事です。
連絡などの最低限の会話に留め、自分の仕事に集中しましょう。
特に悪口や無駄話が多い人は、警戒しましょう。
要らぬトラブルに巻き込まれる可能性大です。
プライベートな付き合いは避ける
例え仲の良い職員でも、家庭などプライベートな話はしない方が無難です。
近すぎる距離も、いらぬトラブルを生む原因になり得ます。
相手から話を振られた時も、聞き役に徹した方が無難ですね。
望まないのであれば、プライベートな付き合いはあまり持たない方が良いです。
解決が難しければ「異動」や「退職」を
不人間関係で苦労していても、環境が変わる事で、嘘のように上手くいく事があります。
解決が難しければ、異動を申し出てみると良いでしょう。
その際は、理由は上司など信頼できる人だけに話し、周囲に広まらないようにしましょう。
違う理由を伝えるのもアリですね。
退職時には人間関係の不満を伝えない
もし人間関係で退職するとしても、その理由は周囲に伝わらない様にしましょう。
話が大きくなる事で、相手との関係が余計にこじれてしまいます。
「他にやりたい仕事が出来た」など、前向きな理由を話し、円満退職に繋げましょう。
転職活動時にも、退職理由として伝えない方が良いです。
人間関係が良い職場を見分けるポイント
職場の人間関係は事前に知る事が難しく、転職活動には活かしにくそうですが…。
転職活動時に活かせる内容も存在します。
いくつかポイントをまとめたので、ご参考下さい。
職場見学で雰囲気を見る
介護の場合ですと、面接時に施設内見学がある事が多いので活用しましょう。
もちろん事前に見学を申し出るのもOKです。
職場見学で内部の人間関係を把握する事は難しいですが、雰囲気は何となく分かります。
- 職場の雰囲気が暗い
- 職場が汚い
- 雰囲気が硬すぎる
よく聞かれるのが、職員が暗かったり、挨拶が無い施設はダメという意見。
もう1つ付け加えたいのが、雰囲気が硬すぎる職場はNGという事。
「硬い」という表現は、一部のミスも許されないような、厳しすぎる職場を指します。
明るい挨拶があっても、それが義務付けられている職場は違うかな、と。
穏やかで柔らかく、一生懸命、明るい挨拶が自然と出る。
こんな職場が理想的ですね。
性別や年齢のバランスの良い職場を選ぶ
性別や年齢もある程度ばらけていた方が、関係性の面では働きやすいですね。
悪いグループ意識が生まれにくく、新規職員に開放的になります。
新規職員の年齢や性別を問わず、馴染みやすい環境でしょう。
見学や面接の際には、下記内容について尋ねてみましょう。
- 職員の性別バランス
- 平均年齢層
- 職員の大まかな介護経験
このあたりが適度にバランスが取れてた方が、働きやすいですね。
実際の雰囲気を見つつ、安心できる職場を選びましょう。
例えば、特養や老健などは男性職員が多く、バランスが取れている傾向にあると思います。

またちょっと忙しいぐらいの方が、協力的にならざるを得ないので、良いかもですね。
無駄話をしている暇があると、余計なトラブルを生んでしまう事もあります。
紹介予定派遣やオープニング施設も検討
慎重派の方にオススメしたいのが、「紹介予定派遣」と「オープニング求人」。
紹介予定派遣というのは、直接雇用される事を前提に、一定期間派遣社員として働く方法。
双方の合意があれば、派遣期間終了後に直接雇用となります。
ミスマッチを減らせる有効な転職方法の1つですね。

また新規オープンの施設は、人間関係もまっさらな所から始められます。
経験や勤続年数による力関係もないので、新規職員も働きやすい環境ですね。
意地悪なお局様も少ないので、安心です。

転職エージェントから雰囲気を聞き出す
転職活動において、頼りになるのが転職エージェント。
求人の紹介だけでなく、内部情報の提供もしてくれます。
慎重な転職判断が必要な介護業界では、必須とも言えるサービスですね。
雰囲気重視の場合ですと、きらケアがオススメです。
内部情報に詳しく、マッチング重視の提案を強みとしています。
ネガティブ情報も提供してくれるので、信頼できるサービスです。
また派遣事業も行っており、紹介予定派遣で働く事も出来ます。
まとめ
今回は、「介護士の人間関係」についてお話しさせていただきました。
介護士の人間関係は決して悪くなく、他と変わりません。
ただしその重要性は高く、働きやすさへの影響も大きいです。
心身に影響があるほど悩んでいる時は、異動や転職をして環境を変えましょう。
人間関係が悪い職場は、職員の定着率も低く、無理に留まっても良い結果になる事は少ないです。
出来る事なら、雇用や環境改善への意識が高い職場を選びましょう。
良い人間関係を築く努力は必要だけど、難しければ逃げても良いので安心して下さいね。
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