介護職の代表的な職場の1つに、「有料老人ホーム」があります。
これから転職活動をするうえで、仕事内容や給料気になる方も多いでしょう。
当記事では、有料老人ホームにおける介護士の仕事内容を中心に解説します。
お給料や働くメリットなどを、働いてみての経験と共にお話しします。
他施設と比べて介護度が低く、介助が少なく働きやすいのがメリットな職場ですね。
有料老人ホームにおける「介護士の仕事内容」
有料老人ホームには下記3種類があり、それにより介護士の仕事内容も異なります。
有料老人ホームの種類
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
このうち健康型は、現在ほとんど数がありません。
介護付きは、その名の通り「施設職員が24時間介護サービスを提供」する施設。
住宅型は、「生活援助等を中心」とした施設。
介護サービスを受けるには、外部サービスを必要とする施設ですね。
また有料老人ホームを含め、施設介護士であれば無資格でも働く事が可能です。
当記事では、介護付き有料老人ホームをメインとした内容を解説します。
介護士の基本的な仕事内容
有料老人ホームの基本的な仕事内容は、他の介護施設とほぼ同じです。
有料老人ホームの仕事内容
- 排泄、食事、入浴などの介助
- レクリエーションの提供
- シーツ交換や居室の清掃
- 介護記録の入力
介護施設は、利用者様が生活する家。
介護士の仕事は、食事や入浴など日々の暮らしのサポートが中心です。
出来ない事を介助したり、自分で出来る事が安全に行えるよう付き添ったりですね。
これらの仕事を他職員と協力し合い、1日の流れに沿って進めていきます。
有料老人ホームの1日の流れとシフト
有料老人ホームの1日の流れを、簡単にまとめました。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:00 | 起床介助 |
8:00 | 朝食 |
9:00~ | 朝礼 排泄介助、入浴介助、リネン交換 |
12:00 | 昼食 |
14:00 | レクリエーション |
15:00 | おやつ |
16:00~ | 排泄介助、記録の入力 |
18:00 | 夕食 |
19:00~ | 就寝介助 |
1日3回の食事、トイレなど、利用者様は私達の暮らしと似た流れで生活します。
介護士の仕事も、そのスケジュールに沿って行われます。
午前中に入浴を済ませ、午後はレクや余暇の時間とする施設が多いです。
下記は、各シフトの勤務時間例です。
シフト | 勤務時間 |
---|---|
早番 |
|
日勤 |
|
遅番 |
|
夜勤 |
|
夜勤を除き、実働8時間で休憩は1時間。
拘束時間は1日9時間が一般的です。
業務を円滑にするため、早番や遅番の出勤時間を細かく分ける事もあります。
施設によっては、もっと短時間での勤務も可能です。
有料老人ホームの仕事内容と特徴
ここまでに紹介した仕事内容は、他の介護施設でもほぼ同様です。
有料老人ホームならではの特徴には、下記内容があります。
有料老人ホームの仕事特徴
- 利用者様の介護度が幅広い
- 接遇や物品管理がしっかりしている
- 施設毎の特徴が表れやすい
他の介護施設と比べると、有料老人ホームは利用者様の介護度が幅広いです。
有料老人ホームは、自立度の高い方から寝たきりに近い方まで、幅広い方が入居されます。
認知症の有無も、人それぞれです。
特養などと比べ「介護度」は低めですが、そのぶんレクリエーションが多い印象ですね。
「身体介護やレクばかり」ではなく、色々な介護をバランスよく行えます。
施設により特徴は様々
また「娯楽提供やリハビリを頑張る」「個人の生活スケジュールを重視」など…、
施設により特徴やアピールポイントも異なります。
会社の介護への考え方が、形として表面化しやすい施設ですね。
基本的な仕事内容は同じですが、細かな点は職場により異なります。
詳しくは後述します。
住宅型有料老人ホームの仕事内容
住宅型有料老人ホームでは、介護サービスは訪問等の外部サービスを使用します。
そのため施設職員としての仕事は、相談や支援援助に寄った内容となります。
しかし実際には、施設内に訪問事業所が併設され、職員が兼務する形が多め。
このあたりは、サービス付き高齢者向け住宅と似てると思います。
有料老人ホーム介護士の平均給料とボーナス
有料老人ホームの介護士の収入は、介護職全体と比較しても悪くありません。
- 賞与支給率が高い
- 施設介護士より高めの平均給料
「平均の給料額やボーナス額」を見てみましょう。
有料老人ホームの平均給料
介護付き有料老人ホームの介護士の給料は、下記データが目安になります。
令和元年度の平均給料データ | |
---|---|
施設介護士の平均給料 | 235,302円 |
特定入居者生活介護(介護付き有料)の平均給料 ※他の職種も含む | 256,039円 |
※参考:介護労働安定センター(令和4年度 介護労働実態調査結果)
常勤の場合ですと、手取りで月20万円ちょっとが目安ですね。
施設介護士としては、全体の平均より少し高い額になります。
夜勤回数や保有資格次第では、もうちょっと増えると思います。
有料老人ホームのボーナス
有料老人ホームのボーナス支給状況も、確認してみましょう。
先程の調査から、介護士や有料老人ホームの平均ボーナスを紹介します。
介護職員全体 | 585,209円 |
---|---|
特定施設入居者生活介護 (介護付き有料老人ホーム) | 563,331円 |
介護付き有料老人ホームでは、定期的に78.6%の施設が「定期的に賞与を支給」してます。
介護士全体と比較すると、ボーナス支給率・額共に良い方に入りますね。
有料老人ホームで働くメリット・デメリット
介護士の職場としては、有料老人ホームは働きやすいのがメリットだと思います。
私が実際に働いたところ、下記の魅力を感じました。
介護付き有料老人ホームで働くメリット
- 元気な方が多く、忙しすぎない
- 介護度が幅広く、介護スキルを高めやすい
- 給料や福利厚生が良い傾向にある
総合的には、「誰にでも勧めやすい介護施設」ですね。
介護施設の中では、かなり働きやすい方だと思います。
順を追って、ご説明しますね。
介護スキルが習得しやすく、働きやすい
前述の通り、有料老人ホームの入居者は介護度が幅広いです。
ただ全体的には自立度の高い方が多いですね。
その一方で、多くの介護を必要とする方も入居されます。
その為、余裕を持って介護士業務を学べるのがポイント。
色々な介護業務に関われる
- 食事介助や入浴介助
- オムツ交換やトイレ誘導
- レクリエーション
こういった業務をバランスよく学べるため、未経験者にもオススメしたい職場です。
全体的な介助量も多くないので、程よく仕事があり働きやすい。
長く働ける職場を探したい経験者にも、良い施設だと思います。
接遇もしっかりしてる傾向にあり、利用者様への対応も丁寧です。
そうした丁寧さが、職員同士の人間関係にも良い影響を与え、働きやすい感じですね。
介護士の最初の職場としてオススメ
前述の通り、有料は未経験者の最初の職場として勧めたいです。
例えば、他の働き方には「特養で毎日がっつり身体介助」。
「デイサービスでレクに特化」、なんて方法もあります。
その点、有料老人ホームはあらゆる点でバランスが良いのが特徴。
有料で働いてみて、「介護度の高い人の対応が好きと思ったら特養」。
「レクが好きならデイに転職」、なんて選択も後々可能です。
自分の適性を知る意味でも、介護の入門的職場としてオススメしたいですね。
好みの職場を見つけやすい
有料老人ホームは、施設により雰囲気や介護への考え方も異なります。
また民間企業という事で、給料など待遇もそれぞれ。
よって、自分の好みにあった職場を探しやすい介護施設ですね。
有料は好みの職場を探しやすい
- ホテルの様な雰囲気で働きたい
- 自分のやりたい仕事、介護への考え方で選ぶ
- 高待遇や休日の多い職場を見つけたい
職場の多様性があるので、上手く選べば自分の理想に近い施設も探せます。
求人数も多く、その点もメリットですね。
給料や福利厚生が良い傾向
有料老人ホームは、介護業界内では給料も良く、福利厚生も充実してる傾向があります。
主に民間企業が運営する事もあり、その待遇も会社により様々です。
総合して、介護業界では待遇が良い方という感じですね。
高収入を目指す場合でも、転職活動しやすい施設形態でしょう。
ただそういった施設は、業務が忙しく身体がキツイのがデメリット。
勤務条件と仕事内容など、「総合的には有料老人ホームが働きやすい」というのが個人的意見。
有料老人ホームで働くデメリット
有料老人ホームは、特養などと比べ介護度が低めです。
介護士目線で働くデメリットを語るなら、下記点が挙げられます。
- 意思のはっきりしてる方が多い
- 介助量が少なく、仕事内容に物足りなくなる可能性
- レクリエーションに関わる可能性が高い
平均して入居者の自立度が高い分、意思のはっきりしてる方が多め。
場合により、気疲れしたり、「振り回されてる」と感じる事がありますね。
もちろん認知症の方もおり、そうした対応も求められます。
マルチな仕事を求められ、忙しさを感じる可能性もあります。
またオムツ交換や食事介助など、身体介助をメインにしたい方は物足りない可能性もあります。
既述の通り、利用者の質もあってレクの実施を求められる環境も多め。
「レクは嫌い」という職員も少なくなく、好みが分かれるところかと。
⇒「レクが苦手」でも介護職は務まる!レクが無い施設や働き方は?
個人的には、これらを差し引いても働きやすいと思います。
有料老人ホームで働く時の転職アドバイス
介護職として、有料老人ホームに転職する時に知っておきたい情報を紹介します。
志望動機の考え方や求人など、具体的な転職情報をお伝えします。
有料老人ホームに強い求人サイト
介護系の転職サイトでは、レバウェル介護求人が有料老人ホームに強めです。
求人数だけでなく、内部情報も充実してます。
前述の通り、多様性のある施設ですので、内部情報に強いのはメリットですね。
自分の好みに合った施設を探しやすいと思います。
ネガティブ情報も提供してくれるので、マッチ度の高い転職結果に期待できます。
有料老人ホームで使える「介護職の志望動機」
志望動機の考え方のヒントを、実務経験別に紹介します。
まず介護未経験者の場合は、「なぜ介護なのか」から考えると良いですね。
介護職に就こうと思ったきっかけにフォーカスし、志望動機を考えてみましょう。
詳しくは、下記記事でも解説してます。
経験者の場合は、「なぜ有料老人ホームなのか」から志望動機を考えてみましょう。
いくら実務経験があっても、施設が違えば必要能力も得られる経験も違います。
経験者ならば、それに加え「能力と経験」からアピールするのが王道かと。
時々ですが、「短い作文テスト」が課せられる事もあります。
「自分の介護への考え方」など、事前に整理しておくといざという時もスムーズですよ。
その際は、利用者本意や自立支援を意識して考えておくと好印象です。
可能なら施設見学もしておく
また有料老人ホームは、各施設で個性や特徴が強く出やすい職場です。
施設HPの確認や職場見学で、強みやアピールポイントも理解しておくと良いですね。
有料の中でも「なぜこの施設なのか」が見え、説得力のある志望動機に繋がります。
また介護施設の面接では、「職場見学⇒面接」という流れも多々あります。
志望動機は見学を受けての言葉も一緒に伝えられると、より説得力が増すと思いますよ。
自分でも採用だけににこだわらず、「働きたい施設か」を見定める気持ちで臨みましょう。
先の介護系転職サイトでは、「職場見学の予約代行」「履歴書や志望動機の添削」等のサポートも行ってます。ぜひ有効活用して下さいね。
まとめ
今回は「有料老人ホームで介護士として働く」というテーマでお話ししました。
要点をまとめると、こんな感じですね
記事の要点
- バランスよく介護の仕事に関われる
- 業務過多になりにくく、未経験者にもオススメ
- 施設の多様性があり、好みの職場を見つけやすい
クセが少なく、働きやすい介護施設ですね。
仕事も覚えられるし給料も悪くない、良い施設だと思いますよ。
もし未経験の方であれば、初任者研修の取得と有料への転職を目標にしてはどうでしょうか?
私の職歴としては、他にグループホームや特養も経験してます。
記事中では良い話が出来なかったですが、特別養護老人ホームも悪くない職場ですよ。
基本的な介護技術は特養で学びましたし、おかげで少しは仕事の自信にも繋がってます。
特養の仕事解説もしてるので、良かったらご覧ください。
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