ユニット型の介護施設でよく作成される「24時間シート」。
これは利用者の生活スタイル、必要なサポート等を時間ごとにまとめた資料。
現場の介護士が、個人にあわせたケアを行うのに役立てています。
今回は「24時間シートの書き方」を中心に解説します。
書き方や目的、実際の記入例や介護施設の実態も交え、お話しします。
24時間シートとは
24時間シートは、介護を受ける利用者の情報を記載するツール。
個別(ユニット)ケアを重視するユニット型施設で、主に導入されます。
その名の通り、24時間の生活にそって「好み」「必要な介助」を記入します。
※ケアプラン等とも違う資料です
主に介護職員が記入し、利用者の理解を深める為に使用します。
24時間シートの記入内容
24時間シートは、時間毎にそって本人の意向や必要なサポートを記入します。
- 日課や習慣
- 意向や好み
- 自分で出来ること
- サポートが必要な事
食事やトイレなど、様々な生活場面において上記内容を書いていきます。
例えば、「7時に起床したい、声掛けをして着替えを渡せば後は自分でできる」等ですね。
これを各利用者、24時間ベースで作成します。
24時間シートの内容は、介護職員が記入します。
介護職員が日常を観察し、情報整理した資料という事ですね。
24時間シートの目的と活用方法
24時間シートは、主にユニット型施設で導入される資料です。
これら施設で行われるユニットケアは、一人ひとりを尊重した個別ケアを目標としてます。
完成したシートを見れば、その人の生活習慣や好み、必要な介助などが明確になります。
24時間シートは、個別ケアを実現する為の資料という事ですね。
さらに24時間シートには、職員の業務マニュアルとしての面もあります。
- 誰に何時に何をすべきか
- 介助を行う際の注意点
- 本人の嗜好
この様に、介護士が「いつに誰に何をすべきか」も記載されます。
利用者毎の注意点なども分かり、新入職員も利用者を理解しやすくなります。
ケア方法の統一、改善を行う際にも役立つ資料ですね。
利用者の心身も日々変化していくので、定期的な更新も大切です。
シートの必要性や活用方法
ユニットケアでは、必ずしも24時間シート通りに仕事をするワケではありません。
あくまで利用者を理解する為のツールであり、その時々で必要な対応は異なります。
ただ普段の生活習慣が分かっていれば、「いつもと違う」という変化にも気付く事ができます。
必要な人員や安全性など、業務の問題・改善点を考える際にも役立てる事も可能になります。
24時間シートの書き方・作り方
24時間シートは、介護職員が担当利用者について記入します。
日課や必要サポートまで、全て職員が利用者を観察し書いていきます。
データに直接書き込んだり、印刷して手書きしたりします。
24シートの書き方を実際に見てみましょう。
24時間シートの記入例
朝の起床時から朝食までの内容を、簡単に書いてみました。
24シートの記入例
24時間シート 〇〇様(担当△) 作成日:R2.2.17 | ||||
---|---|---|---|---|
時間 | 日課 | 意向や好み | 自分で出来る事 | サポートが必要な事 |
6:30 | 起床 整容 | 6:30には起こして欲しい 暖かいタオルで顔を拭きたい | 自分で顔を拭ける 職員に掴まれば立てる | 起床の声かけ 車イスへの移乗 タオルをお湯で濡らし渡す |
7:00 | トイレ | 朝食前にトイレに行きたい | 車イスの自走 コールボタンを押す 手すりにつかまれば立てる | ズボンの上げ下ろし 座る時に腰を支える |
7:20 | お茶を飲む | フロアで熱いお茶が飲みたい | 熱いお茶も安全に飲める 自分で席まで動ける | テーブルにお茶を提供する |
8:00 | 朝食 | スプーンとフォークを使う ご飯はお粥が良い 手持ちの梅干しを食べたい | 自分で食事が食べられる 梅干しの種を避けられる | 食事を配膳する 梅干しをお粥の上に乗せる |
こんな感じですね。
施設により異なる可能性はありますが、概ねこうした書式になります。
もし何を書くべきか分からない時は、ケース記録の書き方から勉強してみましょう。
日々の記録の確認にも活用でき、シート作成の役に立ちます。
「全介助」「認知症」の方の記入例
全介助や認知症の人、寝たきりの状態でも、同じく24シートを作成します。
ただ自分出来る事が少なく、意思の疎通が難しい方も多いので、記入に困ると思います。
しかしよく注目すれば、「意向」や「出来る事」に記入できる内容もあります。
例えば、自分で出来る事。
食事にしても、「刻み食なら食べられる」「介助に合わせ口を開けられる」など色々あります。
「食べたくない時は口を開けない」等の拒否も、意思表示の1つですね。
本人の意向に関しては、職員がご本人に代わりその意思を汲み取る必要があります。
ショートステイの人にも必要?
私自身ショートへの関わりは少ないのですが…、
調べたところ、ショートステイ(短期入所)の方にも作成してる施設はあるみたいですね。
ショートステイは、繰り返し利用される方も多くいます。
利用しつつ入居を待っている方もいますので、長期的な目線で見ても役に立つと思います。
24時間シートはいらない?
さて24時間シートですが、有効利用できている施設は少ない印象です。
私も仕事で作成しましたが、ほぼ活用される事はありませんでした。
それにはこんな理由があるからだと思います。
- 24時間シートの使用場面が無い
- 更新・作成には手間がかかる
利用者様の変化もあるので、24シートは定期更新するのが理想ですが…
できている施設は、現状少ないのでは?
仕事だから書くという、業務負担を増やしてるだけの施設が多い気がします。
なぜ活用が難しいのか?
24シートが仕事に必須ではない、というのもあると思います。
ユニットケアでは、職員配置も少数でほぼ固定です。
日々の情報伝達や連携が出来ているユニットは、会議や申し送り等で十分情報共有が出来てます。
人手不足で業務も忙しいですし、更新作業も手間です。
利用者の状態変化も、別の方法で共有した方が楽という事でしょう。
個人的には、職員の能力や意識次第では必須でもないと思います。
日頃から利用者をよく観察し、個人に合わせたケアを作る流れが出来てれば、それで良いかと。
24時間シートの必要性を考えてみる
だからと言って、24シートが不要とも思ってません。
考察し文章化する事で見える生活情報もあるし、業務やケアの統一にも役立ちます。
ユニットケアを理解する為の研修、意識づけの意味で使用するのも良いと思います。
メリットを得るには、作成や更新で得た情報をどう活かすかですね。
利用者のケア方法や業務改善への活かし方が、鍵となるでしょう。
それが出来なかったり、別の方法で上手くやれてるなら、
無理して活用しなくても良いのかな、と思います。
活かすアテがないなら、省いて効率化を目指すのもアリだと思ってます。
24時間シートの書き方を理解しておく事は、大切ですよ。
職員都合で動かねば、仕事が回らない施設も多いのでは?
まとめ
今回は、24時間シートの目的や書き方を紹介しました。
職員によるケアのばらつきを防ぎ、皆で情報共有する事が出来ます。
24時間シートは、簡単に完成するものではありません。
利用者との関りや観察の積み重ねにより、作られていきます。
グループホームや特養など、ユニット型施設にお勤めの方は、記入機会もあると思いますよ。
また「事故報告書の書き方」も解説してますので、良かったらどうぞ。
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