75歳以上の高齢ドライバーは、運転免許の更新時等に認知機能検査があります。
これはその名の通り、「判断力」や「記憶力」等の認知機能を調べる検査です。
当記事では、認知機能検査の内容を詳しく解説します。
出題問題や採点方法、点数結果により必要な対応などお伝えします。
認知機能検査とは
まず認知機能検査とは、75歳以上の高齢者ドライバーを対象とした検査。
内容は判断力や記憶力の測定するもので、簡単に言うと認知症テストです。
「受検が必要な時」や「結果通知後対応」など、検査の概要や流れからご説明します。
75歳以上からは「免許証の更新」で受検
先述の通り、認知機能検査は75歳以上の高齢者を対象とした検査。
運転免許の更新時、一定の交通違反をした場合などに、検査を受ける必要があります。
- 運転免許証の更新満了日で75歳以上になる方
- 信号無視や一時不停止などの一定の違反をした場合
免許の更新の場合、満了する日の6か月前から受検が可能。
警察から、高齢者講習の内容と共に通知が届きます。
違反の場合は、通知から1ヵ月以内に検査を受ける必要があります。
期限を過ぎた場合、免許証の取り消しや停止処分になるのでご注意ください。
認知機能検査の内容
認知機能検査では、記憶力や判断力を測定します。
検査内容は、下記2項目です。
- 時間の見当識
- 手がかり再生
これらの検査の採点後、記憶力・判断力について評価があります。
評価は下記の3段階。
※記憶・判断力について…
- 心配ない
- 少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)
- 低くなっている(認知症のおそれがある)
検査結果は、後日またはその場で書面で通知されます。
不合格だったら免許証はどうなる?
「記憶・判断力が低い(認知症のおそれがある)」という結果の場合、警察から連絡があります。
その後、下記の対応を求められます。
- 「臨時適性検査(専門医による診断)」
- 「医師の診断書の提出」
この結果、認知症でないと診断された場合、「高齢者講習や免許更新の流れ」になります。
認知症であると診断された場合、「運転免許の停止・取り消し」となります。
認知機能検査の問題内容と採点方法
認知機能検査は、「時間の見当識」「手がかり再生」の2項目。
合計で約30分ほどのテストです。
これらの問題内容と点数配分、採点方法を具体的に解説します。
時間の見当識
検査日の「年月日、曜日、時間」を問う問題です。
合計15点満点で、配点は下記。
- 年(5点)
- 月(4点)
- 日(3点)
- 曜日(2点)
- 時間(1点)
この様に、答えやすい内容ほど点数が高くなってます。
時間は、概ね3分程度。
「年」に関しては、和暦でも西暦でも可能です。
手がかり再生(絵の記憶)
ボードに描かれたイラストを覚える問題です。
ボードには4種類のイラストが描かれ、「ボード4枚(イラスト16種)」について回答します。
イラストを覚えた後は、時間をおく為に介入問題があります。
その後、覚えたイラストを答える流れになります。
回答の際はヒントがありますが、自力で答えた方が点数が高いです。
全問正解で32点満点です。
ヒントとなる手がかりは、「動物」「身体の一部」等といった内容です。
採点と結果判定方法
ここまで述べた3つのテストの総合得点で、認知機能の判定がされます。
総合得点は、単純に2つのテストの合計ではなく、下記式で計算します。
総合点=2.499×A(見当識の点数)+1.336×(手がかり再生の点数)
各検査の得点に、上記倍率をかけて総合点が計算されます。
手がかり再生の配点倍率が高い為、気になるなら対策が必要ですね。
総合点による結果判定基準は、下記。
- 36点未満
⇒認知症のおそれがある者 - 36点以上
⇒認知症のおそれがない者
認知機能検査の合格には、必ずしも満点を取る必要はありません。
総合点36点以上で合格となります。
認知機能検査の問題集・対策本
認知機能検査の問題集も販売されてるので、ご紹介します。
自分で調べて読みやすそうな本、評価が高かった本等を選びました。
自主返納時の「自己検査」、「脳トレ」などに活用してはいかがでしょう?
75歳からの運転免許認知機能検査 テキスト&問題集
認知機能検査の問題集としては、ベストセラー的な位置づけの本です。
問題集だけでなく「テキスト」としても使える本で、丁寧な解説があります。
大型本かつカラーも豊富に使われており、見やすい定番の1冊ですね。
75歳からの運転免許認知機能検査 テキスト&問題集
運転免許認知機能検査模擬テスト
こちらは、価格が安く購入しやすい模擬テスト。
シンプルな内容ではありますが、購入者からは「これで十分」との声が多くありました。
運転免許認知機能検査模擬テスト
2022年に「時計描写廃止」の変更がありましたので、最新版の購入推奨です。
「高齢者ドライバーの疑問へのQ&A」も掲載されてます。
高齢者向けの脳トレ本
皆さん、「検査で不合格になりたくない」という思いはあると思います。
ただ「素の自分に対する安全評価」をきちんと受けるのも大切な事です。
その意味では小手先の対策でなく、脳トレに励むのも有効です。
または、健康のために体操に励んでみるのもタメになるはずです。
活き活きと暮らす為、自分で出来る事からチャレンジしてみましょう!
免許返納や事故対策も考えよう
高齢ドライバーともなると、運転免許の返納を考える方もいるでしょう。
「親の運転が心配」という方もいらっしゃるかと思います。
運転免許返納のメリット
免許の返納にもいくつかメリットがあります。
運転経歴証明書が発行され、身分証明に使えますし、交通機関を中心に割引等があります。
「生活に困る」「運転が出来ないのは嫌だ」、という方もいるでしょうが…
不安を感じたら、自主返納や家族への相談をしてみて下さい。
「親に免許返納を頼むノウハウ本」もあるみたいですね。
また免許返納後には、シニアカーを移動手段とする事も可能。
シニアカーは歩行者扱いであり、無免許でも運転が出来ます。
移動手段のために返納を迷ってるなら、検討の価値アリですね。
「親の運転の見守り」や「事故対策」を考える
車が生活必需品となってる地域も多くあります。
そのため運転免許の返納が難しかったり、家族の理解が得られないケースもあると思います。
そんな時は、「運転する時間のルールを作る」「事故の危険などを話し合う」など…
安全に運転する方法から考えてみましょう。
「高齢者マーク」や「車用のGPS」も
ご家族がまだ「高齢者マーク」を使用してないなら、勧めてみて下さい。
昔と違いオシャレな物など種類も増えてるので、工夫次第で理解を得られると思います。
⇒高齢者マークはいつからどの位置に貼る?可愛くオシャレな物も紹介
どうしても「運転が心配」という時は、GPSロガーという商品があります。
これのリアルタイム追跡型を使うと、車の位置をスマホで確認できます。
お互い運転を不安に思ってる時、緊急時の位置情報のやり取りに便利です。
ちょっとお高いのがネックですね。
また取り付けの際は、本人の了承を得てから使用して下さい。
下記記事で詳しく解説してます。
⇒高齢者の見守りサービスの種類とオススメ
安全運転相談窓口に相談する
都道府県の警察では、安全運転相談窓口が設置されています。
加齢による身体機能の低下や病気など…、
運転に不安のある方、そのご家族からの電話相談を受け付けています。
相談は、看護師など医療や専門知識に強い職員が担当。
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