高齢者を対象に、介護ボランティアの参加で交付金を付与する制度があります。
老人ホーム等での活動でポイントを貯め、お金に交換できる仕組みです。
これは「介護支援ボランティアポイント制度」などと呼ばれ、多くの自治体で採用されています。
「制度の利用方法」や「ポイントを貯める仕組み」、実態や問題点等をご紹介します。
介護支援ボランティア制度とは
老人ホーム等の高齢者施設でボランティア活動をすると、ポイントが貯まる制度。
これを「介護支援ボランティア制度」と呼びます。
厚生労働省の認可を受けた有償ボランティア制度で、各自治体によって実施されます。
「ポイントを介護保険料の支払いに充てて欲しい」、という意図も見受けられます。
65歳以上は活動で「交付金となるポイント」が貰える
制度を利用し、ボランティア登録の対象は「65歳以上(介護保険の第1号被保険者)」です。
また活動や登録は、お住いの市町村で行うこととなります。
対象の方が登録を済ませ、介護施設等でボランティアをするとポイントが貯まります。
貯まったポイントは、交付金として受け取る事ができます。
ポイントや交付金の受け取り方
介護支援ボランティアとして活動すると、1時間につき1ポイント(スタンプ)が貰えます。
1ポイントにつき、100円の交付金が支給。
年間50ポイント(5,000円)までを上限とし、交付金を受け取る事が出来ます。
1日の上限は200円分ぐらいが目安となります。
ポイントは年度毎にカウントし、市の高齢福祉課などで受け取り手続きが出来ます。
交付金は、指定した金融機関の口座への振り込み等で受け取り出来ます。
※市町村により違いがある可能性があるので、詳しくは問い合わせ下さい。
介護支援ボランティア制度の利用方法
介護支援ボランティア制度は、お住まいの市町村で利用可能です。
制度の利用の流れは、下記になります。
- ボランティア登録し、スタンプ手帳を受け取る
※お住いの地域の社会福祉協議会で登録可能 - 受け入れ施設でボランティア活動、手帳にスタンプを押印
- 市の高齢福祉課で、スタンプに応じた交付金を受け取る
ボランティア登録は、地域の社会福祉協議会で行います。
市町村によって、この時に「ボランティア登録研修」や「ボランティア保険」への加入も必要です。
※保険料は数百円程度
受け入れ施設は、市町村のホームページ等で公開されています。
ボランティア制度の実施自治体数は?
介護支援ボランティア制度の実施自治体は、年々増加傾向にあります。
平成26年度では、206団体。
平成29年度は、348団体もの市町村が制度を導入しています。
※参考:wam-net(平成29年度介護保険事務調査の集計結果について)
まずはお住まいの自治体へ確認してみましょう。
現在では、全国的に制度が広まりつつあります。
介護支援ボランティアの活動内容
介護支援ボランティアは、高齢者施設において下記の様な活動をします。
- 施設内でのレクリエーションなどの運営補助
- お茶出し、食堂内の配膳や下膳等の補助
- 散歩・外出や施設内移動の補助
- 利用者の話し相手
- 施設職員と共に行う軽微で補助的な活動
- 草取り、草花等の手入れ
※参考:取手市社会福祉協議会(介護支援ボランティア)より
利用者とお話ししたり、施設内を一緒に散歩するといった内容ですね。
施設職員と一緒に配膳やお茶出しをしたり、簡単な補助業務も行います。
施設内の草取りなど、簡単な清掃なんかも行います。
※その方の能力や事故リスクを理解してないと、危険なため
介護ボランティアの実態や問題点は?
実際にこのボランティア制度は、どのぐらい活用されているのでしょうか?
平成27年度の資料ですが、稲城市の状況報告資料より、内容を少しご紹介します。
※参考:稲城市介護支援ボランティア制度実施報告書 27年度の運用状況について
H27年、稲城市のボランティア登録人数は682人。
ボランティアの受け入れをした団体は、24団体との事です。
ボランティアとして長く活動されてる方も多い様です。
「レク」や「業務補助」の活動が好評
介護ボランティアは、参加者と施設双方で概ね好評です。
資料では、こんな言葉が見られました。
- 生活に張り合いが出てきた
- 趣味や活動の成果を出す機会があり、嬉しい
- 活動機会ができたので、意欲が出てきた
- 業務を手伝っていただき非常に助かっている
- 特技を持った方が熱心に指導してくれ、利用者も喜んでいる
- 傾聴ボランティアが好評、継続を希望したい
余暇活動や業務補助は需要がある
レクリエーションの提供活動が、双方で好評みたいですね。
長年の趣味や活動を一緒に行う事で、本人も利用者も張り合いが出てくるようです。
余暇活動に関わる趣味・特技を持つ方は、特に需要があるようですね。
あと介護施設って、細かな家事仕事も多いんですよ。
- 洗濯物やゴミ捨て
- トイレや床の掃除
- お茶入れ
利用者の事以外にも、こんな仕事が沢山あります。
傾聴ボランティアも好評
また利用者との関わり方の1つに、傾聴があります。
これは相手の気持ちに寄り添い、共感的な姿勢で話を聞くこと。
難しい言葉を使いましたが、構える事はありません。
丁寧に対話し、相手の言葉に耳を傾けてあげて下さい。
「誰かと話したい」と、寂しさを感じている利用者様もいらっしゃいます。
傾聴ボランティアも施設では求めてますので、気軽な気持ちで赴いてみて下さいね。
介護支援ボランティアの問題点や課題
一方では、こんな希望や問題を指摘する声も。
- 自分のしている事が迷惑になってないか不安
- だんだん責任が重くなってきた、楽しめる範囲で活動したい
- 交付金の上限をなくしたり、保険金の負担をお願いしたい
- ボランティア本人の希望と、施設側のニーズがマッチングしないことがある
- 広く一般の方に認知されていない
施設側がボランティアを受け入れ慣れてない
ボランティアの声には、「自分の活動内容が不安」「仕事範囲が増え辛い」との内容があります。
これは施設側が解決すべき課題ですね。
施設がボランティアを受け入れ慣れなれてないのでしょう。
受け入れる以上は、ボランティアが行う範囲や指示、サポート等が形になってる必要があります。
これらを職員全体で周知し、言葉として伝えられている施設はまだ少ないものと思われます。
私は受け入れる側の人間ですが、介護施設の事情として職員不足があります。
そこで補助業務をお願いできる人を採用し、業務負担を軽くしようという動きもあります。
これは本来「介護補助者」や「シルバー人材」等に求める役割です。
しかし、ボランティアに「仕事の戦力」を求めてしまう施設があってもおかしくはありません。
自分が楽しく活き活きとやれないなら、無理する事はないですよ。
遠慮なく相談して下さいね。
交付金額や上限への不満も
交付金を支給する以上、それを目当てに活動される方もいます。
その額に不満があったり、交付金を目当てとする事で周囲との温度差が生まれる事も。
有償ボランティアという、矛盾した仕組みが生み出した問題点ですね。
業務負担の件もありますし、労働としての面が強くなってしまう事もあるでしょう。
「これならもっとお金が欲しい」と、思う人がいても不思議ではありません。
もし働く意欲が出てきたなら、シルバー人材としてお仕事をされてはいかがでしょう?
介護施設でも補助業務で、シルバー人材を採用している施設もあります。
制度が認知されていない?
ボランティアに関心のある方はともかく、一般の方にはあまり制度が認知されていません。
ボランティア登録者も、経験の長い方が中心でした。
個人的には、ボランティア参加の敷居が高いのもあると思います。
一般の方がいきなり施設に行くのは、なかなか勇気が要るかと…。
- 介護ボランティアって何をするの?
- 自分の行動が迷惑か不安
こんな疑問や不安が出るのは、当然です。
地域交流を理念に挙げる施設は多いですが、特に何もしてない事もよくあります。
イベントでボランティアをお願いする事はあっても、普段は閉鎖的な施設が多いのでは?
※追記(2021.2)
現在はコロナの影響もあり、参加しにくさが増してしまいました。
ご家族の面会も「ビデオが中心」というのが現状です。
実施状況を軽く調べてみたところ、「受け入れ継続」と「休止」で分かれている様子です。
まとめ
今回は、介護支援ボランティア制度についてご説明しました。
最後に要点をまとめておきます。
- 65歳以上の方が利用できる
- 高齢者施設でのボランティア活動で、年間最大5,000円分のポイントが貯まる
- お住まいの地域の「社会福祉協議会」で参加登録可能
高齢者の社会参加を促し、介護予防や活性化を目的とする制度ですね。
もし介護予防に関心がありましたら、そちらの知識を学んでみるのも面白いですよ。
介護予防の学習資格があるので、ご紹介しておきますね。
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