2018年より始まった新しい介護資格、生活援助従事者研修を解説します。
この資格は「介護職員の入門的資格」に位置し、初任者研修より短時間で取得できるのが特徴。
訪問介護で生活援助が可能になるメリットもありますが、新資格という事で受講が進んでいないという現状もあります。
生活援助従事者研修とは?
生活援助従事者研修は、2018年から始まった新しい介護研修です。
生活援助中心型のサービスの従事者とその質を確保する為、必要知識の習得を目的としてます。
実施主体は、初任者研修と同じく「都道府県又は都道府県知事の指定した者」
※「厚生労働省(介護に関する入門的研修の概要)」より引用
介護の資格キャリアパスでは、初任者研修の下に位置する資格ですね。
研修内容も、「初任者研修の簡易版」とも言える構成になっています。
上位研修へのステップアップも可能です。
訪問介護での生活援助が可能になる
生活援助従事者研修を修了すると、訪問介護での「生活援助」が行える様になります。
訪問介護員は無資格では働けず、初任者研修以上の資格が必要です。
当資格の取得により、訪問介護の生活援助業務が行えるようになります。
生活援助とは、家事や買い物などの日常生活のサポートの事です。
オムツ交換などの「身体介護」は行えないので注意しましょう。
初任者研修より短時間取得でき、免除もある
生活援助従事者の研修時間は、合計59時間です。
初任者研修が計130時間なので、半分以下の時間で取得が可能です。
加えて、初任者研修の受講時に内容の免除を受ける事が出来ます。
当資格と同時に始まった「入門的研修」は、計21時間とさらに短い内容になってます。
ただこちらは、業務範囲が無資格者と同じなので注意です。
生活援助従事者研修のカリキュラム内容
生活援助従事者研修は、講義と演習(実習)の形で行われ、一部は通信学習にも対応。
学習科目は初任者研修と同じで、時間数を減らした構成になっています。
下記は、生活援助従事者研修のカリキュラムです。
学習科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 2時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 6時間 |
介護の基本 | 4時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 3時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化と認知症の理解 | 9時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 24時間 |
振り返り | 2時間 |
合計 | 59時間 |
参考:「厚生労働省(介護員養成研修の取扱細則について)」より
これに加え、筆記試験による修了評価(約0.5時間)も行われます。
評価が十分でない場合、必要に応じ補講が行われます
初任者研修と比べると、「こころとからだのしくみ~」の時間が大きく減らされてますね。
※75時間⇒24時間
また通信学習にも対応しており、全59時間のうち29時間の範囲内を通信学習で学べます。
生活援助従事者研修の問題点
生活援助従事者研修は、新しい資格なのもあって問題点も多く抱えています。
調べていて、気になったポイントをお伝えします。
研修講座に対応したスクールが少ない
現状では「生活援助従事者研修」に対応したスクールは非常に少ないです。
資格情報サイト等でも、ほとんど情報が入手できません。
都道府県のHPで「介護員養成研修指定事業者」を見ても、指定事業者数は極わずかでした。
例えば栃木県の研修指定事業者は、初任者が22社に対し生活援助は2社だった
※R2.8/26時点
そのため費用や取得スケジュールなど、詳細も分かりませんでした。
通学も必要な研修で、研修講座の少なさは致命的ですね。
「入門的研修」もありますが、業務範囲は無資格者と変わりません。
仕事の為に入門資格を取るなら、結局「介護職員初任者研修」となってしまいますね。
スクールも多いので、費用やエリアなど選択の幅も広いです。
訪問介護への対応は難しいとの懸念
生活援助従事者研修では、自立支援・重度化防止の視点を持って「適切なサービスを提供できるようになるのか?」と、不安や懸念の声も挙がってます。
参考:「全国ホームヘルパー協議会(令和3年度介護報酬改定への対応に関する意見書)」より
「生活援助は身体介護より難しい」と語る訪問介護員もいます。
例えば家事にしても、「他人の家でその人の方法が求められる」など、身体介護とは違った難しさがあると言われています。
受講者が評価を得るには課題が多い
いくら生活援助が可能になっても、実際の業務では相応能力は求められます。
またこの様な評価がある中では、採用や評価など、仕事に活かす事は難しいと思われます。
もし無資格から、急ぎで介護士を目指すなら「介護施設」から選びましょう。
職場の資格取得サポートを受けたり、スクーリング中は非常勤で働くなど、働きながらでもご自身に合った方法で資格取得も出来ますよ。
まとめ
そんなわけで、生活援助従事者研修の解説でした。
「取得しやすく初任者研修への免除もある」「生活援助が可能」と魅力もあるので資格ですが、受講が進んでいないのが現状、今後に期待ですね。
もし介護士となる為に取得検討されてるならば、繰り返しですが「初任者研修の取得」か「介護施設で働く」という選択になります。
仕事の面で不安があれば、下記で参考になる書籍もご紹介しています。
⇒介護士へお勧めしたい本まとめ【初心者・未経験向け】
転職サポートであれば、マイナビ介護職が未経験者に親切です。
⇒マイナビ介護職の口コミや評判を紹介!
コメント