排泄予測支援機器は、膀胱内の尿を測定できる福祉用具です。
トイレに行けるが尿意が低下してる方等に、失禁防止に役立てられてます。
2022年に介護保険の特定福祉用具にも追加され、新しく登場してきたグッズですね。
当記事では「排泄予測支援機器」について、使い方を中心に解説します。
実際にどんな商品があるのかも交え、お伝えしたいと思います。
排泄予測支援機器とは
排泄予測支援機器とは、超音波センサーで膀胱内の尿を測定する福祉用具です。
排尿タイミングを見える化し、適切なタイミングでトイレに行く為の介護機器ですね。
尿意がない方への声掛けなどへ役立て、失禁防止の為に使われます。
近年新しく登場した福祉用具となります。
まずは使い方も含め、その概要からご説明します。
「膀胱内の尿の溜まり具合」が分かる福祉用具
排泄予測支援機器は、センサーを装着して膀胱内の尿の溜まり具合を超音波で測定。
尿の溜まり具合は「スマホ」や「専用機器」で確認でき、排尿タイミングを伝えます。
これにより自立排尿を促し、介護負担の軽減に繋げる事ができます。
- 排泄タイミングが不明確な方へ、適切なタイミングで声掛け
- 移動の難しい方が、余裕を持ってトイレに動ける
- 失禁、トイレの空振りを防ぐ
排尿タイミングが分かる事で、介助者も適切なタイミングでトイレ誘導が出来ます。
どのぐらい効果がある?
排泄予測支援機器の効果について、介護施設での調査結果もあるので紹介します。
下記は、その調査方法です。
- 「失禁があり、トイレ誘導を行ってる利用者12名」が対象
- 日中(7:00~19:00)で、7日間装着
- 1日あたりの「トイレでの排尿数、失禁数、誤報率」を調査
※参考「厚生労働省(検討を要する福祉用具の種目について)」より
結果を見ると、「12名について、平均失禁率が32.5%改善」。
「トイレ誘導を必要とする対象像について有効性が示された」とあります。
平均誤報も3.8%と低く、実用的ですね。
排泄予測支援機器の使い方
排泄予測支援機器は、下腹部に超音波センサーを装着して使います。
その結果を「パソコン」や「スマホ」の専用アプリで確認できる仕組みです。
※画像は「DFree公式サイト」より
今回は、特定福祉用具に認定もされてる「DFree」を例にご説明します。
排泄予測機器(DFree)の使い方
- 恥骨から1~2cmほど上に「DFreeセンサーシート」を貼る
※センサーは体に直接貼り付ける - DFree本体の電源を入れ、ジェルを塗ってセンサーシートに装着
- 専用お知らせ機の電源を入れ、測定を開始
- 膀胱に尿が溜まり、「そろそろライン」を超えると通知がある
DFreeでは身体に直接センサーを貼って、膀胱の尿を測定します。
お知らせ機には尿量が数字で表示され、数字が大きいほど尿が溜まってます。
※通知するラインは、自分でも設定可能
※画像は施設向けモデルの物
その他にも、「排尿があったこと」「起き上がり」を通知する事も可能です。
歩行時や側臥位では行いにくいので注意。
排泄予測支援機器の使用対象者
排泄予測支援機器は、下記の様な人の使用に適してます。
- 尿意や認知機能の低下、あるいはトイレへの移動が難しい為に
自立排尿が難しい方 - トイレへの誘導が可能であり、座位を保てる
- 排泄機能が残存している
尿意が分からなかったり、移動に時間を要する為に失禁してしまう方ですね。
「自分で動けるが時間がかかる方」が、トイレに行くべきタイミングを把握。
または「認知症で尿意が分からない方」に、介助者が声掛け誘導という使い方が可能。
また下記の様な測定が難しかったり、トイレの使用が難しい方は使用に適してません。
- 常時前傾姿勢で座ったり、側臥位で就寝する
- 下腹部の脂肪が厚かったり、肌のかぶれが強い
- 座位を保ったり、計測が難しい方
既述の通り、前傾や側臥位(横向きで寝る)の姿勢は測定が難しいです。
センサーは軽量で剝がれにくく、違和感を感じにくい仕様ですが…
認知症の方には剥がしてしまう方もいます。
肌状態や体型のほか、こうした人間相性もある点には注意ですね。
介護保険の特定福祉用具販売に対応
排泄予測支援機器は、2022年4月より介護保険の給付対象となりました。
特定福祉用具販売に対応し、要支援・要介護の方が利用可能。
介護保険を適用すれば、1~3割負担で購入が可能です。
厚生労働省によると、下記商品が対象との事。
- 利用者が常時装着した上で、膀胱内の状態を感知し、尿量を推定
一定の量に達した際、排尿機会を要介護者等や介護を行う者に自動通知するもの - 専用ジェル等装着の都度、消費するもの及び専用シート等の関連製品は除かれる
※「厚生労働省(「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」の改正について)」を参考に要約
簡単に言うと、先のDfreeの様な物を言います。
加え、消耗品である「シート」「ジェル」は対象外です。
適用対象の注意点
機器は価格も高く、介護保険なしに利用しにくい面もあります。
しかし排泄予測支援機器の介護保険適用対象には、いくつか注意点があります。
国の通知資料の留意事項を要約すると、下記点が言われてます。
- 排尿機会の予測により失禁を回避、トイレで排尿をすることが見込める者
- 排尿について「介助されてない」「全介助」の者は、利用が想定しにくい
- 介護認定審査における「主治医の意見書」
サービス担当者会議等における「医師の所見」等で、膀胱機能の確認が必要
「トイレに動けるが、尿意がなく失禁してる認知症高齢者」といった利用者像ですかね。
また販売事業者の確認事項として、「トイレでの自立排尿を目指す意志があるか」。
「装着やトイレまでの移動や誘導が可能か」等の項目もあります。
詳しくはケアマネジャーや地域包括支援センターへご相談ください。
排泄予測支援機器の種類
排泄予測支援機器には、実際に「どんな商品があるのか」を説明します。
まだ数が少ない現状ですが、今回は2点ご紹介します。
「DFree HomeCare」
こちらは使い方の説明でも紹介した、「Dfree」です。
特定福祉用具にも認定された商品ですね。
「DFree HomeCare 」(トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社)
価格 | 99,000円 |
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サイズ | 【本体】幅51 × 奥行36 × 高さ17mm 【装着シート】幅135 × 奥行82 × 高さ 15mm 【お知らせ機】7インチ |
電池・動作時間 | リチウムイオン二次電池 約40時間(充電は約4時間) |
防水性 | 水洗い可能(充電端子カバーを閉じた状態) |
こちらは「個人・在宅介護向け」のモデル。
専用のお知らせ機もあるので、スマホ等の用意は必要ありません。
下記動画のように、様々なメディアでも特集されてます。
現在のところ、排泄予測支援機器といえばコレという定番モデルです。
介護保険での利用を検討してる方も、コチラになるかと思います。
無料相談も受け付けてるので、ご利用前に利用可能かよく確認する事をオススメします。
「リリアムスポット2」
リリアムスポットも、超音波センサーで膀胱内の尿を測定できる機器です。
常時着用するタイプでなく、測定時のみ身体にセンサーを当てて使います。
「リリアムスポット2」(トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社)
価格 | 99,000円 【短期貸し出し対応】 30日:13,200円(税込) 7日:3,300円 |
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サイズ | 幅34 × 奥行40 × 高さ150mm |
電池・動作時間 | リチウムイオン二次電池 約40時間(充電は約4時間) |
防水性 | 水洗い可能(充電端子カバーを閉じた状態) |
常時測定でなく、測りたい時のみ使うタイプの商品ですね。
本体で尿量表記も出来るので、スマホや別のお知らせ機も必要ありません。
このタイプなら、スマホにトイレタイミングの通知も可能です。
使用説明を確認した限りでは、「非接触の体温計」みたいな感覚で使う印象。
常時装着しないので給付対象ではなさそうですが、これも出来る事は同じですね。
「短期貸し出し」もあるので、公式サイトもご確認ください。
センサーを剥がしてしまう方にも、有効かもですね。
排泄に関する介護用品
ここからは、排泄に関する介護用品の情報を補足していきます。
排泄のセンサー機器情報の他、トイレ介助に役立つ情報を紹介。
機器を検討してる方向けの内容をピックアップしました。
介護用オムツセンサー
オムツセンサーは、オムツが排尿で濡れてくると通知してくれるセンサーです。
スマートフォンやタブレットと連携し、アプリで通知が受け取れます。
オムツの方向けの排泄支援機器といった感じの商品ですね。
オムツの外側にセンサーを装着し、オムツが濡れると検知して知らせます。
排尿記録も管理できるので、排泄パターンの管理にも便利。
排泄予測支援機器と比べると、安価で購入できるのも特徴ですね。
リハビリパンツ・パッド類
高齢者介護で失禁がある時は、失禁対策となる下着・オムツ類も用意しましょう。
トイレに行ける方を想定した場合、下記用品が役に立ちます
- リハビリパンツ
- 介護用布パンツ
- 尿取りパッド
下着には、リハパンか布パンツが利用できます。
使い捨てで吸水機能に優れた「リハパン」。
履き心地がよく、パット装着や多少の吸水機能もある「介護用布パンツ」と使い分け可能。
特に失禁が多い場合、中に尿取りパッドを敷くと下着の汚染を防げます。
尿取りパッドも吸水量やサイズを選べ、必要に応じた種類が選べます。
詳しい使い方は、下記記事で解説してます。
介護しやすい「トイレ環境」
高齢者や介助者が使いやすいよう、トイレ環境を見直すのも有効です。
例えば、下記の様な工夫ができます。
- リハパン類を置くラック、ゴミ箱の設置
- 置き型手すりを設置
- 失禁汚染を防ぐトイレマットを使う
リハパンやお尻ふき、ゴミ箱をトイレに置けば、失禁時の交換もしやすくなります。
本人の理解があれば、自立を促す事にも繋がりますね。
トイレからの立ち上がりには、簡易手すりも有効です。
これもトイレでの自立を助ける介護用品ですね。
また高齢になると、失禁以外でもトイレでの失敗も増えてきます。
そうした尿こぼしには、トイレマットで対策すると清掃管理の助けになります。
ポータブルトイレ
排泄予測支援機器は、トイレへ移動時間がかかる方も対象でした。
そんな方には、ポータブルトイレの使用もオススメです。
これは介護トイレとも呼ばれ、寝室のベッド前等に設置して使います。
中には専用のバケツがあり、用を足した後は中を捨てて清掃すればOKです。
木製イス型と呼ばれるタイプなら、トイレという印象も少なくなります。
座り心地に優れた商品も多いですし、移動がネックなら取り入れてみて下さい。
さいごに
今回は「排泄予測支援機器」について解説しました。
介護現場での導入実績もあるそうで、介護職員としても個人的に注目の福祉用品。
介護において、トイレは悩みや負担が多く発生してる場面。
上手く活かして、解決に繋げたいですね。
最近は様々な介護機器が登場し、実用的なモノも増えてきました。
今後はどのような便利用品が登場するのか、こちらも非常に楽しみですね。
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