高齢になり介護を意識する年齢になると、お口のケア方法も変わってきます。
入歯の手入れ方法が分からない、歯ブラシの使用が出来ないなど、様々な悩みも出てきますね。
ご本人はもちろん、家族や介護職の方も難しく感じてるかと思います。
当記事では、介護用の歯磨きグッズの種類と使い方を紹介します。
- 「介護用の口腔ケア用品」「入歯用品」の基本的な解説使い方
- 施設入居時に用意すべき歯磨きグッズ
- 介護職向けの口腔ケア学習情報
介護で使う歯磨き用品の情報について、介護施設での使用も交えお伝えします。
介護用歯磨きグッズの種類と使い方
高齢になると、やはり入歯のお手入れが必要な方も多くなります。
また介護を必要とする方には、自分で歯磨きやうがいが出来ない方もいます。
そういった時には、下記の歯磨き(口腔ケア)グッズを使用します。
- 入歯用の洗浄剤や歯ブラシ
- 口腔用スポンジ、ウェッティー
- うがい受け等の自助具
まずは介護用歯磨きグッズの種類と使い方をご説明します。
口腔ケアスポンジ
口腔ケアスポンジとは、口の中の汚れを拭き取るのに使用する商品です。
主に介助での使用が中心で、自分で歯磨きやうがいが出来ない方へ使用します。
介護用歯ブラシの代表的商品とも言えますね。
スポンジが黄色な理由は、口腔内の出血、痰等の白い汚れを確認しやすくする為。
口腔ケアスポンジは、下記方法で使用します。
※ご本人の状態でも異なるので、様子を見て安全に使って下さい
- スポンジ部分を水で軽く濡らし、よく絞る
(誤嚥しないよう、しっかり絞る) - 上下の歯・歯ぐきの内外側の汚れを、奥から手前に向け拭き取る
上あご、舌の清掃も行う
(汚れが溜まってきたら、スポンジを洗い水気を絞る)
より詳しくは、「マウスピュア(口腔ケアについて)」で分かりやすく説明されてます。
口腔ケアスポンジは、使い捨ての商品です。
毎回新しい物を使用するのが理想ですが、長くても1日1本で交換しましょう。
口腔スポンジの選び方
商品によっては、スポンジサイズが分かれてる事があります。
Mは標準的なサイズですね。
また商品により、スポンジ本数も異なります。
日常的に使う方、施設で購入を依頼された時などは、30~50本入りがオススメです。
口腔ケアシート
口腔ケアシートは、口の中を拭けるウェットティッシュです。
介護ではこちらも嚥下障害のある方、うがいが出来ない方などに使用されます。
または水がない時の歯磨き、何となく口の中が気持ち悪い時にも使えます。
主に使われるのは、ノンアルコールタイプですね。
その中でも定番商品は、下記の「口腔ケアウェッティ」です。
拭き取り面や新しい物へ交換しつつ、キレイな面で拭き取るようにしましょう。
口腔用ジェル・ミスト
介護用の口腔ジェルは、お口の中の「保湿・清潔」に使用します。
乾燥してこびりついた汚れ、ネバネバや口臭の解消に使用します。
汚れをふやかし取りやすくし、口の中を保湿してくれます。
先述のスポンジやウェッティーと併用すると尚◎です。
歯磨き粉と違い、ジェルには「発泡剤」「研磨剤」が入ってません。
歯茎や歯に優しい商品ですね。
- スポンジブラシや指にジェルを取り、薄く塗る
ミストの場合は、全体にスプレー - 塗り広げたら、吐き出すか拭き取りをする。
介助で使う場合、拭き取りも忘れず行いましょう。
飲み込んでもOKな商品も多いですが、ふやけた汚れを飲み込み、誤嚥につながる危険もあります。
ガーグルベースン
ガーグルベースンは、簡単に言うとうがい受けです。
介護ベッド等で頭を上げれば、体調不良時でも寝たままのうがいも可能です。
- 麻痺があって、上手くうがいが出来ない
- 前傾姿勢になるのが難しい
こういった方も、ガーグルベースンが活用できます。
車椅子だと洗面台が遠くて困る事も多く、そんな時にも便利ですね。
口元に当てやすいよう湾曲してるのも特徴。
持ち手がついたタイプもあります。
個人で買うというより、施設・病院側で用意する事の多いグッズです。
入れ歯(義歯)用品
高齢になると、入れ歯(義歯)を使用する方も多くなります。
入れ歯関係の口腔ケア用品には、下記があります。
- 義歯ケース
- 入れ歯洗浄剤
- 入れ歯用歯ブラシ
- 入れ歯用歯磨き粉
基本的には、ケースと洗浄剤、歯ブラシがあれば大丈夫です。
入れ歯洗浄剤の使い方
入れ歯洗浄剤にも、様々な商品が存在します。
大きくは「通常タイプ」と「部分入れ歯タイプ」ですね。
部分入歯タイプは、部分入れ歯の金属部に優しい作りになってます。
下記は普通のタイプですね。
入歯洗浄剤の使い方も下記の様になってます。
- 義歯ケース入れ歯を入れ、水かぬるま湯で浸ける
(義歯が十分浸かる程度〜満パンにならない程度) - 入れ歯洗浄剤を1つ入れ、5分〜1晩程度浸け置きする
- 入れ歯をよくすすぎ装着、洗浄液は捨てる
入れ歯の浸け置きは専用ケースでなく、自分でカップを用意してもOK。
使う場合は、商品に水量目安が記載されてるので参考にして下さい。
浸け置き時間は商品で異なりますが、大体1晩程度が目安。
必ずしも1晩浸ける必要はなく、対応してれば短時間でもOK。
また上下の入歯でも、使用は1個で大丈夫です。
「入れ歯用歯ブラシ」と「歯磨き粉」
入れ歯用の歯ブラシには、1本に2種類のブラシがあるのが特徴。
歯や平坦な部分は通常のブラシ。
くぼんでたり細かい所には、細いブラシを使用します。
また入れ歯を掃除する時は、通常の歯磨き粉は使ってはいけません。
普通の歯磨き粉は、あくまで自然な歯への利用を想定してます。
研磨剤などで、入れ歯が傷つく恐れがあるの注意して下さい。
もし使いたいのであれば、「入れ歯用の歯磨き粉」か「洗浄剤の液」を使って洗うと良いですね。
入れ歯安定剤
入れ歯安定剤とは、入れ歯をより安定固定させる商品です。
入れ歯と歯茎の隙間を埋めたり、吸着させたりします。
入れ歯安定剤にも、実は色々と種類があります。
- クッションタイプ
- クリームタイプ
- パウダータイプ
- シートタイプ
大きくは、「クッション」「クリーム」の2種類ですね。
ガタツキが少ない時は、クリームタイプ。
隙間やガタツキが大きい時は、クッションタイプの使用が推奨されます。
有名な商品は、ポリグリップですね。
下記はクリームタイプです。
また商品により、使用できる入れ歯の形状や材質は異なります。
金属や部分入れ歯など、自分の物が使用できるか確認して購入しましょう。
- 義歯をよく洗い、水分を拭き取る
- 入れ歯の歯茎が当たる部分に安定剤を、少しずつ塗る
- 指で整えたり、噛み締めたりして、固定する
- 入れ歯安定剤を外す時は、ぬるま湯を使用すると外しやすくなる
※熱湯では、入れ歯が変形してしまうので注意
商品で異なる部分もあるので、正しくはメーカーHP等も参照ください。
※参考「デンチャーナビ(ポリグリップ 製品情報)」
歯磨き用の自助具
高齢になると、上手く身体が動かない悩みも出てきます。
- 片麻痺で上手く歯磨き動作が出来ない
- 握力が弱く、握りにくい
そんな時には、自助具と呼ばれる商品を活用しましょう。
自助具とは、自分でする事を助けるグッズ。
もちろん、歯磨き用の自助具も存在します。
- 麻痺がある方ようの歯磨きコップ
- 歯ブラシを固定できるホルダー
- 柄を握りやすくする「スポンジ」「万能カフ」
詳しくは、下記記事で紹介してますので参考下さい。
介護施設の入居時に必要な口腔ケア用品
続いて、施設入居時に用意する口腔ケア用品を説明します。
介護施設の入居時には、口腔ケア用品は基本的に自分で用意する必要があります。
また消耗品もあるので、定期的に購入が必要な物もあります。
施設における歯磨きの様子をお伝えしつつ、解説しますね。
入居時で必要な口腔ケア用品は「自分で持ち込む」
前述の通り、施設入居時には、日頃使う口腔ケア用品は全て用意する必要があります。
ただ全種類でなく、本人が使うもので十分です。
ご本人の状況を見て、必要な物を揃えて下さい。
下記に大体の目安を作ってみたので、参考に必要な物を考えてみて下さい。
自分の歯がある方 |
|
入れ歯を使用する方 |
|
うがいが難しい方 嚥下状態が悪い方 (経管栄養の方など) |
|
自歯があって部分入れ歯を使用という時等は、上記を上手く組み合わせればOKです。
当記事では説明を省きましたが、「歯間ブラシ」「舌ブラシ」などもあると便利です。
⇒介護施設の生活で必要な持ち物まとめ
入居後も「消耗品は定期購入」が必要
口腔ケア用品には消耗品も多く、入居後も定期的な購入が必要になります。
例えば、下記に該当する商品ですね。
- 歯ブラシ類
- 歯磨き粉
- 入れ歯洗浄剤
- 口腔ケアスポンジ、口腔ウェッティー
歯ブラシなんかは、月1回ぐらいで交換する施設が多め。
入れ歯洗浄剤も、1日1個消費と分かりやすいですね。
他商品は、気持ち多めに買って用意しとくと良いでしょう。
これら物品の購入は、ご家族が購入し持ち込むのか。
施設で購入し請求があるのかなど、事業所により異なります。
施設で対応が違ってきます。
各々の施設で異なるので、詳しくは直接ご確認下さい。
介護職向けの口腔ケア学習情報
「口腔ケアが難しい」と感じてる介護士も多くいます。
私もその1人でして、記事執筆にあたり色々と書籍を読んでみました。
最後にその中で、参考になった本を中心に学習情報を紹介します。
ご家族やご本人にも、役立つ内容かと思います。
介護での口腔ケアを学べる書籍
介護に役立つ口腔ケアの実際 (用具選びからケアのポイントまで)
介護職向けに口腔ケア方法をまとめた書籍です。
高齢者や障がい者に対する口腔ケア方法、注意点、用具の使い方等が解説されてます。
その他にも、下記の様に介護職に嬉しい情報が沢山掲載されてます。
- 自立や認知症など、状態別の対応方法
- 口を開けてくれない時の対応方法
- 口腔内の観察すべきポイント
やや専門的な話も多く、価格もちょっと高め。
しかし約270ページと内容は充実しており、網羅的な情報が載ってます。
口腔ケア〇と× ポケット判(介護の○と×シリーズ)
こちらも介護職を対象に口腔ケアを解説した書籍。
イラストが多く、○×形式で少しずつ色々な情報を細かに解説されてます。
実際の介護現場に即した内容も多く、仕事に活かしやすい内容ですね。
1,000円以下で安く購入できますし、何か読みたい方にはまずこちらがオススメ。
介護口腔ケア推進士(学習資格)
介護資格の1つに、「介護口腔ケア推進士」があります。
こちらは介護士が口腔ケアを学ぶ為の資格です。
口腔ケアを中心に、自分で食べる事など、生活の質の向上を支援する為の情報を学べます。
学びながら資格取得も出来るので、意欲のある方はぜひ挑戦してみて下さい。
通信講座でお家にいながらの取得も可能です。
また学習テキストも販売されてるので、教材として手に取ってみるのもオススメです。
コメント