認知症の方へ向けた小規模の介護施設、それがグループホームです。
グループホームに勤めた経験をもとに、理解が深まるようにその特徴を説明します。
入居条件や施設内の様子、日々の暮らしなどをご紹介します。
入居利用・就職の際に参考にしてください。
「グループホーム」とは
グループホームは、認知症の方が入居できる小規模の施設です。
少し難しい言い方をすると、「認知症対応型 共同生活介護事業所」と呼びます。
施設は小規模で家庭的なデザインが特徴で、家の延長の様な、住み慣れた環境で生活できます
- 1ユニット最大9名、2ユニットまでの小規模施設
- 認知症の方が入居できる
- 地域密着型サービスの1つ
グループホームの作りは、認知症の方に配慮し、家のように小規模なのが特徴です。
入居できるのは、認知症と診断を受けた方のみです。
グループホームの作り
グループホーム内の作りはこの様になっています。
食事や団欒の場である「共有スペース」を囲うように、居室が配置されています。
居室は全て個室ですが、トイレや浴室は個室にはなく、共用のものを使用します。
個室にはベッドや洗面台が設けられ、タンスや個人で必要なものも配置出来ます。
ユニットとは?
ユニットというのは、1つの生活グループといった意味合いです。
グループホームでは、1ユニットが9人まで、最大2ユニットまでと決まってます。
1つユニットに所属する入居者・職員は基本的に固定です。
小規模・ユニット型という作りは、認知症の方が安心して過ごす為のものです。無理なく馴染める環境・メンバーで過ごす事で、不安感を感じないようにしています。
この生活システムはユニット型と呼ばれ、特別養護老人ホームでも取り入れられています。
グループホームは「地域密着型サービス」
地域密着型サービスというのは、介護が必要になっても住み慣れた地域で、自分らしい生活が継続できるよう、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスです。
よって、その地域の住民票を持っている方が利用できます。
後述しますが、グループホームはお住まいの地域の施設しか利用できません。
グループホームの入居条件
グループホームの入居条件は、以下になります。
- グループホームの入居条件
- 医師に「認知症」と診断を受けている
- 要支援2以上の介護認定を受けている
- 集団生活を営むのに支障のない方
- 施設がある市区町村の住民票を持っている
グループホームは、要支援2以上で「認知症」と診断を受けた方が入居対象です。
加え介護保険では、地域密着型サービスに分類されます。
サービスの目的上、住民票がある市町村の施設しか利用できませんので注意して下さい。
グループホームでの生活
グループホームでは、食事や入浴など、ある程度の生活リズムは決まってます。
ですが、その他は自由に生活できます。
「誰かとお話するのが好き」「1人での時間が欲しい」など、生活スタイルや好みは人それぞれ。共有スペースで談笑したり、居室でテレビを見て過ごすなど、自由に過ごせる時間は沢山ありますよ。
施設にもよりますが、外出やお祭りといったイベントが企画される事もあります。
私の知る施設では、1泊2日の旅行が企画される事もありました。
提供されるサービス(介護士の仕事)
グループホームでの介助・支援はほぼ介護士が対応します。
食事の提供を始めとした「日常的支援」や、生活に必要な「介護サービス」が提供されます。
- 食事、入浴、排泄介助
- レクリエーションの実施
- 掃除や買い出し、調理など
介護士は、食事や入浴、排泄などの基本的なケアを中心に、掃除や洗濯等もお手伝いします。
ご自分で出来る事を促しつつ、必要に応じ「介助」や「見守り」を実施します。
レクリエーションについては、施設によって異なります。
私の知る施設では、毎日のラジオ体操が日課でしたね。
近くの施設とお祭りを企画されたりする事もあります。
入浴設備や食事について
グループホームは、認知症があっても比較的動ける方を想定した施設です。
設備についても、施設というよりは「一般家庭」のそれに近いものになっています。
入浴設備も、浴槽をまたいで入浴する家庭のお風呂と一緒です。
座ったまま・寝たまま入れるような、所謂「特浴」は備わっていない事がほとんどです。
厨房はなく、献立から調理まで介護職員が対応します。
刻みやペーストなど、個人に合わせた食形態の対応、買い出し等も介護士の仕事です。
重度化した
グループホームは、施設としての設備機能は「一般家庭」と変わりません。
つまり施設設備の面でも、介護度が高くなると住み続ける事が難しくなるのです。
所謂「寝たきり状態」の方が住み続けるには、健康・事故リスクの高い施設です。
利用の際は、十分ご理解ください。
他施設と比べた時の「グループホームの魅力」
グループホームで、介護士として勤務させていただいた経験があります。
他の施設と比べた時の大きな違いは、「家庭的な雰囲気」ですね。
病院めいたような、いかにも「施設」という雰囲気はありません。
介護士が利用者との時間を作りやすい
似たような施設として、「ユニット型の特別養護老人ホーム」があります。
これらと比較すると、利用者様数が少ないため、利用者様との時間を作りやすい印象があります。
本音を言うと、進んで施設に入りたがる方は少ないです。
施設での生活は孤独なモノで、精神的に辛い思いをされている方も沢山います。
そうした時に気付き、支えになれるのは、やはり介護職員になります。
グループホームでは、そういった機会が多いのかもとは感じてます。
料理によるコミュニケーション
介護職員が料理をするというのも、独自の魅力ではないでしょうか。
施設厨房の料理って、同じような物ばかりで入居者様に不評なことが多いんです。
献立も介護士が対応しますので、利用者様の希望が反映されやすいと思いますね。
他にも、食事って会話のきっかけになる事も多いんですよ。
「あんた今日のは美味かった!腕上げたな!」なんて褒めてもらった事は、今でも覚えてます。
施設でもあり家でもある
介護施設は「生活の場」ですから、家の延長であるグループホームはそれにふさわしい環境です。
職員との関係性も考えると、介護施設でありながら家の役割も果たせる場所です。
認知症の方でも穏やかに過ごせる良い施設だと思いますよ。
ただご家族としては、重度化や医療ケアの心配があると思います。
本文中でも触れましたが、その対策として看護師を配置する施設もあります。
また職員との関係が近い分、信頼できる相手を選ぶ必要もあります。
看護師がおり、安心して任せられる職員がいる施設を選びましょう。
施設情報サイトも活用しつつ、良い施設を見つけて下さい。
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