高齢化社会により、多くの人が不安を抱えている「認知症」。
そうした方々が安心して暮らせる様、知識と対応を理解した存在が認知症介助士です。
こちらは介護の仕事だけでなく、接客業など幅広い方を対象とした検定資格。
認知症の対応や介助方法を学び、認知症の方が安心できる社会づくりに貢献できます。
資格取得の為の情報をまとめました。
認知症介助士とは
認知症介助士とは、認知症を正しく理解し、適切な対応を知る為の検定資格。
資格認定は「公益財団法人 日本ケアフィット共育機構」が行います。
履歴書にも書ける民間資格です。
受験資格はなく、どなたでも取得可能。
認知症の方とのコミュニケーションを学ぶ資格
認知症介助士は、介護現場だけに向けた資格ではありません。
ご家族や接客サービス業の方などが、認知症の方とのコミュニケーションを学ぶものでもあります。
- 認知症への理解
- 認知症の方の介助方法
- おもてなしの心
これらを学び、認知症の方に寄り添える人材になる事を目指します。
街中での認知症によるトラブルを防ぎ、社会で安心して暮らせる様、サポートする存在です。
認知症介助士の受験方法
認知症介助士の受験申込は、認知症介助士公式HPから可能です。
あるいはユーキャンや産業能率大学の講座を受講し、その講座内で受験できます。
試験は定期的に実施されてるので、日程についても公式サイトをご覧ください。
受験方法は「筆記」か「パソコン」
また受験方法は、大きく4通りとなっています。
- 検定試験付きの「認知症介助セミナー」を受講
- 共育センター(東京・大阪)などで受験(マークシート)
- 全国のCBTセンターで受験(CBT)
- 自宅からのインターネット受験(IBT)
①は、セミナーでの学習と検定試験がセットになった方法ですね。
テキストを使いインストラクターが指導してくれます。
②~④は、テストのみ受ける方法。
「紙面での筆記」か「パソコンでの試験」かという違いになります。
後述しますが、認知症介助士のテキストは入手しにくい状況です。
合格を狙うなら、セミナーや講座受講が学習しやすい方法ですね。
認知症介助士の資格取得メリット
認知症介助士は、介護職の為だけの資格ではありません。
介護知識がない方でも、安心して認知症を学び、資格取得を目指せます。
知識や対応力のスキルアップだけでなく、認知症の予防についても学べます。
- 接客中のトラブル防止
- 認知症の方との信頼構築
- 家族の認知症に気付ける
また認知症には種類があり、それぞれ原因や症状等が異なります。
それらを理解する事で、認知症への気付きも可能になります。
検定試験なので、通学の必要が無いのもメリット。
通信講座などの学習方法もあります。
認知症を学ぶ必要性
認知症は、将来「65歳以上の高齢者の約5人に1人」が発症の可能性があると推計されてます。
※内閣府(平成29年版高齢社会白書-高齢者の健康・福祉)より
認知症は決して他人事ではありません。
仕事中や街中、あるいは家族や自分自身など、認知症と接する機会は確実に増えます。
そんな時上手く立ち回ったり、相手の事は理解してあげられるでしょうか?
認知症対応の難しさ
仕事上の経験ですが…、認知症の方の対応は、慣れや知識がないと難しいです。
意思疎通の難しさから、思わぬトラブルに発展する事も。
それらの問題は、双方にとって大きな精神的負担になります。
しっかりと認知症対応を学ぶ事で、自分も相手も穏やかな気持ちで事を運べます。
接客の質や対応力も高め、未然にトラブルを防ぐ事が出来るでしょう。
介護や接客業でも活かせる
認知症の方と関わる機会や可能性のある仕事であれば、取得メリットを活かせます。
介護現場やホテルやスーパー、認知症のご家族など広く活用されています。
- 医療や福祉業界
- 接客業やサービス業
どちらかというと、介護業界以外の方に取得メリットがある資格ですね。
店舗での接客をはじめ、高齢者とコミュニケーションをとる機会の多い方にオススメ。
認知症介助士の検定試験内容
認知症介助士の試験内容を説明します。
試験方法は正しい選択肢を選ぶ、選択式です。
既述の通り、受験方法は「筆記でのマークシート」と「パソコンでの試験」で好きな方を選べます。
試験内容や合格基準
認知症介助士の試験は、30点満点の選択式。
合格基準は、「21点以上の得点があること」です。
認知症介助士 検定試験内容
試験内容 | ・30問 ・マークシート方式筆記試験(CBT対応) ・1問1点の30点満点 |
---|---|
合格基準 | 21点以上の獲得 |
出題範囲 | ・公認テキスト ・試験対策問題集など |
受験資格 | なし(どなたでも受験可能) |
試験時間 | 40分 |
試験会場と日程 | 会場は東京・大阪・福岡・名古屋など、CBTは全国各地 ネット受験や講座受講の場合、在宅受験も可能 ※日程含め、公式サイトでもご確認ください |
受験申込 | ・公式HPよりインターネット申し込み ・受験料金は3,300円(消費税10%) |
合格通知
試験結果は、試験後2週間程度で通知されます。
合格者には認定証が届きます。
検定試験はCBT対応
CBTとは会場にて、パソコンを使用した試験方法です。
マウスで選択肢を選ぶという簡単な操作で可能。
試験会場について
マークシート(筆記)とCBTでは、試験会場が異なります。
前者は東京や大阪などの共有センター、CBTでは全国のテストセンターが会場です。
認知症介助士の「合格率・難易度」
公式サイトで確認したところ、認知症介助士の合格率は「約8割」との事。
勉強が苦手という方も、安心して資格取得を目指せます。
試験に落ちても、受験料の支払いのみで、いつでも再受験可能。
※参考「日本ケアフィット共育機構(認知症介助士に関してよくあるご質問)」より
内容を理解してなければ意味のない資格なので、注意しましょう。
認知症介助士のテキストと勉強情報
認知症介助士のテキストや問題集など、試験勉強に関する情報をお届けします。
認知症介助士の勉強方法は、主に3つ
- 公式サイトでテキストと問題集を購入する
- セミナーに参加する
- 認知症介助士講座を受講する
セミナーにせよ、独学にせよ、まずは学習教材を手に入れる事から始めましょう。
公式テキスト「公式サイトでの購入」か「講座受講で入手」するしかありません。
またセミナーでは、公式テキストの購入は必須です。
順を追ってご説明しましょう。
テキストと問題集について
認知症介助士試験の出題範囲は、公式テキストや問題集からとなっています。
公式のテキストと問題集は公式サイトから入手出来ますが、一般にはほぼ出回っていません。
Amazon等でも見つける事は難しいでしょう。
参考までに、「テキストの目次」を掲載します。
出題される問題、試験勉強などの参考になれば。
- 認知症介助士の基本理念
- 高齢社会の理解
- 認知症の基礎知識
- 認知症の人への介助
- 認知症の予防
- 体験談・事例集
- 関連法規および制度
認知症介助士の「試験対策セミナー」
認知症介助士は、試験対策セミナーも定期的に開催されてます。
※参加にはテキストの購入は必須。
セミナーは、「会場」「オンライン」の2種。
会場は、「東京」「大阪「静岡」「名古屋」等に対応。
セミナーの後、検定試験を受ける事が出来ます。
テキストをお持ちの方は、16,500円(税込)。
オンラインセミナーの場合、検定試験はありません。
その代わり、料金がテキスト込みで16,500円(税込)となっています。
詳しい日程は、認知症介助士の公式HPを確認ください。
ユーキャンの認知症介助士講座
最後に、認知症介助士講座を受講する方法です。
学習教材が手に入る他、学習ペースも分かりやすい方法ですね。
講座内で試験があるので、学習も受験もご自宅で可能です。
ユーキャンの認知症介助士講座
受講費用 | ・一括払い 29,000円(税込み) ・分割払い 2,980円 × 10回(10ヵ月) 計29,800円(税込み) ・送料無料 |
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提出課題 | 添削課題1回+検定試験 |
支払い方法 | ・郵便局 ゆうちょ銀行 ・クレジットカード ・コンビニエンスストア |
教材 | ・メインテキスト(2冊) ・副教材(認知症予防4冊) |
受講、学習期間 | 平均学習期間3ヵ月(受講サポート期間6ヵ月) |
返品 | 教材到着後8日以内であれば可能 |
取得までの学習期間は、3ヶ月が目安です。
ユーキャンの通信講座では、検定試験が添削課題の1つとなってます。
受講期間(6か月)以内であれば、いつでも受験可能。
インターネットやパソコンに自信がない場合も、安心ですね。
メインテキストは、「知識編(認知症の基本知識)」と「実践編(介助方法)」の2冊。
副教材は、認知症予防の為のアイデアやレシピなど、便利グッズとなっています。
関連資格や他の認知症学習方法
認知症介助士に関心がある方に向け、関連情報をお届けします。
他の関連資格、認知症に関する書籍等の情報をピックアップ。
なるべく誰でも取得でき、学習しやすい内容を選びました。
介護関係の資格
まずは、一般の方が取得しやすい介護資格を紹介。
「もっと介護を学びたい」という方は、介護職員初任者研修もお勧め。
費用や時間こそ必要ですが、より実践的・総合的な内容を学べます。
他の認知症資格
介護関係の資格には、他にも認知症関係の資格があります。
認知症ケア専門士や認知症ケア指導管理士といったモノですね。
実務経験や更新も必要であり、他業界の方が取得するには向きません。
認知症介助士は、普段介護に関わりの無い方へ向けた資格です。
ご家族や接客などの仕事で活かすのであれば、こちらを取得しましょう。
逆に介護士であれば、上記の様な専門的な資格を目指すと良いですね。
認知症を学べる本
認知症の学習に使える本をご紹介します。
独学で試験合格を目指す、もっと気軽に認知症を知りたい方はどうぞ。
「認知症の人を理解したいと思ったとき読む本」
こちらは「認知症の知識と対応方法」を、図解を交え分かりやすく解説した本。
内容(商品説明より)
訪問診療で患者の暮らしを熟知している専門医が、
周囲の「あり方」「支え方」を図解でわかりやすく説く“家族必携”の1冊。
認知症予防─読めば納得! 脳を守るライフスタイルの秘訣
こちらは、認知症予防に焦点をあてつつ、その種類や原因等も解説した書籍。
内容(商品説明より)
アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の成り立ちをわかりやすく解説するとともに、
初版刊行以来の研究の進歩を盛り込んだ、科学的な根拠にもとづく食事や運動に関するアドバイス。
そして睡眠や歯磨きに関することまで、読んだらすぐに実践したくなる予防法を紹介しています。
まとめ
今回は認知症介助士について、情報をお届けしました。
最後に、資格の要点をまとめます。
- 認知症の特徴や対応を理解し、受け入れる資格
- 街中での接客や家族など、介護に関わりの少ない方向け
- 検定試験に合格する事で取得できる
資格説明で何度か言葉がありましたが、「受け入れる」というのがポイントです。
認知症の対応は、「本人にとっての現実を受け入れ、共感する」という姿勢が非常に重要です。
高齢化社会になり、今後ますます認知症の方と関わる機会が増えていきます。
そうした方への理解や対応力の必要性は、介護業界だけの話ではありません。
資格取得を通して得た知識は、きっと役に立つと思いますよ。
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