高齢になると、車の運転や歩行も昔の様にはいかなくなります。
移動に困った高齢者に使用されるのが、シニアカー(電動カート)。
今回は、そんなシニアカーを詳しく解説します。
- シニアカーの基準
- シニアカーの基本的な使い方と機能
- オススメ車種
シニアカーは歩行者として扱われ、免許不要で使える乗り物です。
大きくは電動車椅子に含まれ、介護保険でのレンタルも可能。
免許返納した高齢者にぜひオススメしたい福祉用品です。
シニアカーとは
シニアカーとは、3~4輪のハンドル付きスクーターの様な乗り物。
電動カートとも呼ばれ、充電式で走行します。
道路交通法では歩行者として扱われ、無免許でも運転できるのが特徴ですね。
バスケットがあるモデルも多く、買い物時などの持ち運びにも重宝します。
まずは「シニアカーとは?」という基礎知識から解説します。
シニアカーの基準
シニアカーは、正式には「ハンドル形電動車いす」等と呼ばれます。
道路交通法では「原動機を用いる身体障害者用の車いす」とされ、下記基準が設けられてます。
車体は次の大きさを超えないこと |
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車体構造は次の内容を満たすこと |
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これらが、シニアカーの大まかな基準ですね。
法律的には、電動車椅子や歩行者などと扱われます。
連続走行距離は、大体30㎞前後が標準です。
実際の商品には「バスケット付き」の物も多く、買い物にも便利ですね。
シニアカーと電動車椅子の違い
シニアカーの正式名称内に、電動車椅子という言葉が出てきました。
どちらも法的な基準等は同じですが、実際の仕様は大きく異なります。
電動車椅子(上記画像)とは、その名の通り「電動で走る車椅子」。
ジョイスティックで操作したり、自走をアシストしたり出来る商品です。
大きさは普通の車椅子より少しだけ大きい物が多いですね。
車椅子と違い、「ハンドル操作」なのも違いですね。
形状が違う以上、利用すべき方も異なります。
これは「車椅子」と「シルバーカー」で例えると、分かりやすいかもしれません。
シニアカーは、歩けるけど長距離の歩行や荷物が辛い方向けの商品です。
シニアカーは、より歩行に関してより自立度してる方向けの商品ですね。
シニアカーは無免許で運転可能
シニアカーの運転には、免許は不要です。
先述したシニアカーの基準を満たすものは、車両から除かれ歩行者として扱われます。
歩行者扱いなので、走れる場所は歩道です。
※電動車椅子も免許不要
※参考「警視庁(原動機を用いる身体障害者用の車椅子に係る確認申請手続)」より
それ以上の速度が出ると、自動車や原付などと同様の扱いになります。
「運転免許の返納」後の移動手段にも
シニアカーは免許不要ですので、運転免許の返納後の移動手段として使用できます。
免許返納後は、やはり車に代わる移動手段が必要になります。
不便さを理由に返納を迷ってるなら、検討してみると良いでしょう。
返納メリットとして、「移動をサポートする特典」を得る事が可能です。
内容は自治体で異なりますが、コミュニティバスや鉄道などの割引が中心。
「シニアカーの購入割引券」を配布する自治体もあるみたいなので、チェックしてみて下さい。
介護保険でのレンタルが可能
シニアカーは介護保険上では車椅子に含まれ、福祉用具貸与に対応してます。
原則として要介護2以上であれば、1割負担でレンタルが可能です。
※収入により、2~3割負担になる事も
介護保険でのレンタルを検討する場合、まずはケアマネジャーへ相談しましょう。
対象外の方への貸与判断は、介護認定の結果等で市町村が要否します。
また購入の際には、消費税はかかりません。
また付属品を一緒に購入する場合も、消費税はかかりません。
「レンタル対象のシニアカー」の調べ方
レンタル対象のシニアカーは、テクノエイド協会のHPで調べられます。
こちらの福祉用具情報システム(TAIS)を使えば、介護保険に対応した商品を調べられます。
さらに電動三輪車(四輪車)と絞り込めば、見つけられると思います。
他の福祉用品も調べられるので、活用してみて下さいね。
シニアカーを運転できる場所【店内・電車】
シニアカーは歩行者扱いなので、乗れる場所は基本的に歩行者と同じ。
車道ではなく、歩道を通行します。
ただし、シニアカーを店内などで運転できるかは、各施設の対応に任されてます。
乗り入れ可能な店舗もあれば、事故や汚れを理由に不可とされる事もあります。
一般的には、シニアカーは自転車やスクーター同様の扱いで、不可とするケースが多いです。
現状は施設内での利用が厳しいですが、近年「鉄道でのシニアカー利用要件」が緩和しました。
「介護保険の利用」などの人的条件が撤廃され、誰でも利用対象となりました。
特急列車等には大きさなどの構造要件があるものの、通勤型車両での構造要件はありません。
※参考「国土交通省(ハンドル形電動車椅子を使用した鉄道利用について)」
鉄道でのシニアカー利用は、かなりしやすくなったと言えますね。
利用の前には、各鉄道会社に確認してください。
シニアカーの機能と選び方
次に実際の商品から、シニアカーの機能や特徴を見てみます。
実物のシニアカーから、種類や選び方を確認してみましょう。
シニアカーの乗り方と機能
まずは代表的なシニアカーの「SUZUKI セニアカー」を見てみます。
シニアカーを指し「セニアカー」と呼んだりするほど、知名度の高い商品です。
※suzuki セニアカーの例
- 電源は鍵を差し込み、ひねると電源ON
- レバーを押し下げると、アクセルがかかる
※離すとブレーキがかかる - ハンドルを切れば、左右に曲がれる
※前後の進路方向は、スイッチで切り替え可能 - 充電は本体のコードで、家庭用コンセントで行う
ここまでは、スクーターと同じ様な使用感覚ですね。
シニアカーならではの配慮として、乗り降りの位置が低めなのも特徴。
充電は家庭用コンセントで可能です。
シニアカーの様々な機能
下記の様に、セニアカーならではの機能もあります。
- 最高速度の設定ができる(時速1km~6km)
- ウインカーやランプ
- クラッチハンドルで、手押しと電動走行の切替えOK
- 買い物に便利な大型バスケット
- パンクレスタイヤを使用
バスケットやパンクレスタイヤ、ウインカーランプ等の仕様は、他でもよく見られますね。
セニアカーの他機能としては、「操作や異常時の音声案内」。
「曲がる際の自動減速(速度に応じ時速4.5kmまで)」などもあります。
レビュー動画をあげて下さってる方もいるので、ご紹介します。
また他のシニアカーにも様々な機能があり、折り畳める軽量タイプも存在します。
後ほど様々な商品を紹介しますので、ご参考下さい。
シニアカーの選び方
シニアカーを選ぶ時は、下記点を見ると良いでしょう。
- 連続走行距離
- 高齢者が使いこなせるか
- 段差や坂道に対する性能
まず使用者である高齢者が乗りこなせる事が第一です。
特に「ハンドルやボタン周りの分かりやすさ」は重視した方が良いですね。
パンクレスタイヤ、衝突時の耐久性など、いざという時の安全性も重要です。
また長距離を移動するなら、連続走行距離が長い方が安心です。
実際に走る場所も考え、段差や坂道に対する耐性もチェック。
気になる方は、「実用登降坂角度」や「段差乗り越え高さ」の数値が大きい商品が良いですね。
オススメのシニアカー紹介
実際の商品より、オススメのシニアカーをまとめました。
定番モデルからオシャレな物、折り畳み可能な商品まで紹介。
「高齢者が安心できる物を」という事で、福祉用具情報システムに登録のある商品を扱います。
「セニアカー ET4D」【オーソドックスな高齢者向け】
まずは先ほど紹介したスズキのセニアカー。
定番モデルならではの安定性、さらには高齢者向けの親切な機能が光る商品。
まさにシニアカーの見本ですね。
セニアカー ET4D(SUZUKI)
希望小売価格 | 368,000円 |
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連続走行距離 | 31km |
サイズ | 119.5×65×114.5cm |
総重量 | 100kg |
性能 | 【最高速度】前進6km/h 後退2km/h 【段差乗り越え高さ】7.5cm 【実用登降坂角度】10度 |
機能・特徴 |
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セニアカーには大きく3種類のモデルがあり、こちらは標準的なモデル。
他には、お求めやすい価格の「ET4E」。
小回り重視の「タウンカート」があります。
まずハンドル周りのボタンが高齢者に親切。
表示灯がすごく見やすく、ボタンの役割も見てすぐ分かるようになってます。
先ほど紹介できなかった機能としては、LEDによるヘッド・後方のランプ。
クラッチハンドルによる「電動走行と手押しの切り替え」等があります。
他にもフロアマット、カバー等も多数あり、カスタマイズ性も高い商品ですね。
「シニアカー bestlife」【折り畳み対応】
こちらは、折り畳み可能なシニアカー。
車に積んで運ぶもOK、標準的な性能を持った利便性に優れたタイプ。
シニアカー bestlife
(HAIGE)
希望小売価格 | 139,800円 |
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連続走行距離 | 36km |
サイズ | 112×65×114.5cm |
総重量 | 58kg |
性能 | 【最高速度】6km/h 【段差乗り越え高さ】5cm |
機能・特徴 |
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折り畳みに対応しており、車のトランクへの収納も可能。
軽量でオシャレなシニアカーですね。
しかしながら36kmの連続走行が可能。
家庭用電源で充電でき、バッテリーパックを外しての充電もOK。
※漏電の原因となるため、降雨時は使用不可
「電動シニアカート scooterd07」【安価な短距離向けタイプ】
こちらも折り畳みできるシニアカー。
ハンドルやシート位置の調整も可能で、体型に合わせた柔軟な使用が可能です。
電動シニアカート scooterd07
(インターナショナル・トレーディング)
希望小売価格 | 129,980円 |
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連続走行距離 | 17km |
サイズ | 106×53×87cm 座面高さ49~52cm |
総重量 | 39kg |
性能 | 【最高速度】6km/h 後退3.5km/h 【実用登板角度差】約8度 |
機能・特徴 |
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折り畳みの他、ハンドルやシート位置の調整が可能。
コンパクトで軽量なので、持ち運びもしやすいです。
衝突時の衝撃緩和もあるので、いざという時の備えもあります。
ひじ掛けが跳ね上げ式で、シートも回転可能。
乗り降りがしやすく、様々な配慮が見られるシニアカーですね。
しかし、他の標準機能はきちんと搭載してます。
安価ですし、コスパの良い商品ですね。
さいごに
今回はシニアカーについてご紹介しました。
高齢になると、様々な移動の悩みが出てきます。
シニアカーは長距離の移動、買い物等に便利な商品ですね。
また他にも、高齢者の移動を支える福祉用品はあります。
例えば、「杖」や「歩行器」、「手すり」等ですね。
中でも歩行器は、移動や買い物など、短距離ならシニアカーに近い目的で使えます。
下記記事で解説してるので、良ければご覧ください。
また家庭内でも、ちょっとした工夫で住みやすい環境にする事が出来ます。
関連記事を紹介するので、ぜひご参考下さい。
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