介護士が覚えたい服薬介助のマニュアル・注意点|誤薬や落薬事故の対策方法

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介護士が覚えたい服薬介助のマニュアル・注意点|誤薬や落薬事故の対策方法介護職で働く

介護現場で多い事故の1つが、服薬ミスです。

高齢者は薬の錠数も多く、その重要性も高くなりがち。
介護者は、落薬や誤薬などに注意を払う必要があります。

服薬介助を担当する介護士にとっては、緊張の多い業務ですね。

そこで今回は、「服薬介助の注意点」を介護士目線で解説します。
誤薬や落薬などの服薬ミスを減らす為、介助方法やマニュアルを確認してみましょう。
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服薬介助とは

誤薬の確認

服薬介助とは、「要介護者がお薬を飲み忘れないよう、声掛け・介助や確認をする事」。

処方されたお薬の準備・声掛け・確認・片付けなどがこれに該当します。
また特定の条件下においては、軟膏の塗布や点眼、一包化された内服薬の内服介助も可能です。

介護施設でお薬を飲ませる介助をする場合、袋に一包化されているはずです。

※医師や看護職員が容体確認や本人・家族への連絡等をし、その指導や助言にもとづき行う
参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について

薬の調整や服薬指導といった「服薬管理」は、介護職は行えないので注意しましょう。

服薬介助で注意すべき介護事故とは?

困り顔の女性

介護現場では、お薬に関する介護事故が発生しがち。

「薬の飲ませ忘れ」や「誤薬」、「落薬」などですね。
介護事故のなかでも、薬の事故はシビアに扱われるので特に注意が必要です。

実害が無くとも、その可能性があり観察を要する場合は介護事故なので注意しましょう。

服薬関係の事故種類

介護職員のチェックポイント

服薬介助の際は、下記の様な事故に注意を払いましょう。

服薬時はこんな介護事故に注意

  • 誤薬
  • 飲み忘れ
  • 落薬

誤薬飲み忘れは、たとえ身体に異常が無くとも介護事故です。

落薬は職場により考え方が異なる様ですが、基本的には介護事故として考えます。
防止意識を持って業務にあたるべきでしょう。

介護事故報告書の書き方と記入例を紹介!報告が必要なのはどんな時?
介護事故報告書について介護士目線で解説します。報告が必要な時や事故報告の書き方、実際の事故を想定した記入例。事故対策などお話しします。転倒や落薬などで、ケガや異常が無い時も報告は必要なので注意しましょう
また下剤等であっても、介護士が勝手な判断で中止するのもNG。
排便状況等を確認し、看護師と相談して決めるようにして下さい。

服薬事故時は看護師などの「医療従事者に連絡」を

先輩からの指導

薬の事故に気付いたら、速やかに医師や看護師等の医療従事者に連絡し、指示を仰ぎます。

施設看護師やかかりつけ医など、職場により連絡ルールが異なるので確認しておきましょう。
「看護師の配置」や「オンコール体制」のある職場は、介護士としても安心ですね。

有料や特養などの老人ホームなどがこれに該当します。
特別養護老人ホームの介護士の仕事内容とは?

また医療的な行為・判断は出来ずとも、介護士も薬の知識はある程度持っておくべきでしょう。

利用者様がどんな薬を飲んでいるか知れば、本人の理解やケア方法に役立ちます。

「誤薬・落薬」を防ぐ服薬介助方法と対策グッズ

介護ベッドイメージ

誤薬や落薬、飲みこぼし等の介護事故を防ぐには、介助者の注意確認が必須です。

薬の事故を起こさない為に、服薬介助の方法をもう一度確認しましょう。

誤薬や飲み忘れ防止する「服薬介助のマニュアル例」

お薬の介護事故で、最も注意すべきなのが誤薬です。
そして事故件数では、落薬の数が多くなります。

血圧や糖尿など、身体への影響が大きい薬を使用される方も沢山います。
飲ませ間違いには特に注意する必要があります。

チェックポイントを教える介護士

こうした「薬の事故」を防ぐには、下記の様な体制で服薬介助に臨みましょう。

介護施設における「服薬介助のマニュアル」例

  1. 職員同士、あるいは利用者と「名前・日付・時間」を読み上げ確認する
  2. 服薬介助は1人ずつ行う
  3. 服薬後は、口腔内に残ってないか
    呑み込めず喉に引っかかってないかを確認
  4. 衣服や床などに落薬がないかもチェック
    薬の袋も空になっている事を確認する
  5. 終了後は、介助者が服薬の確認印を押す
    薬袋はまとめて保管する

羅列しましたが、こうした服薬マニュアルを用意してる介護施設が大半かと。

チェックポイントと共に見ていきましょう。

職員同士や本人とのWチェック

介護士のプライベートイメージ

服薬介助の際は、「飲ませる人」「服薬時間」は必ず確認して下さい。

2人体制でのWチェックは、利用者様との2人でも可能です。
服薬前に袋を見せ、声と目視で再確認すれば、自分でもミスに気付く可能性が高くなります。

確認時は下記内容をチェック

  • 名前
  • 日にち
  • 時間(朝食後、夕食前など)

特に食前薬は、飲ませ忘れが多く発生します。

食事の配膳前にも、薬の飲ませ忘れが無いか見るクセを付けましょう。

食前薬は飲み忘れ事故が発生しがち。
服薬チェック表に「分かりやすく色づけ」する等し、対策しましょう。

誤薬の確認

服薬介助後も、薬ボックス等を確認し、飲ませ忘れの確認をします。

ご家庭などであれば、「お薬カレンダー」や「ケース」を使った管理方法も有効です。
飲み忘れも防ぎやすくなりますよ。

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服薬介助は必ず1人ずつ行う

高齢者からの相談イメージ

介護施設などでは、薬を飲ませる機会やその相手も多くなります。

その際には、服薬介助は必ず1人ずつ行ってください。
袋をまとめて取り出しての介助はNGです。

全員分が終了したら、お薬ケースをチェックし飲ませ忘れが無いか確認します。

例え忙しくても、時間をかけしっかり確認すべき業務なので注意しましょう。

「落薬リスクの低い」服薬介助の方法を選ぶ

解説イメージ

飲みこぼしを防ぐには、「その人に合ったお薬の渡し方」をする必要があります。

お薬を口の中に入れるだけでも、様々な方法があります。

色々な薬の飲ませ方

  • 手渡し
  • スプーンで介助
  • 粉砕して介助

このうちお薬の「粉砕」の可否は、介護士が判断してはいけません
必ず医師や看護師に確認して下さい。

話を戻しまして、自立度が高い方なら手渡し、それが難しい方ならスプーンで介助。
嚥下が難しいようであれば、粉砕を相談するという具合です。

介護での落薬対策グッズ

食事介助イメージ1

介護現場でよく使われる落薬対策グッズには、下記のようなモノがあります。

  • 服薬カップ
  • 介助スプーン

服薬カップは、下記の様なクリアカップ等を使います。

「錠剤が多く飲みこぼしが心配だけど、自分で口に運べる」といった方にオススメ。

また職員介助で錠剤を飲ませる場合、スプーンを使用し介助します。

スプーンのサイズは、大きすぎても小さすぎても使いにくいです。

現場で試した感じ、上記の介助スプーンが使いやすくオススメです。

その他にも上手い方法があれば、介護記録などで他職員と情報共有しましょう。

量や嚥下機能もチェック

食事介助の事故

錠剤の多い方もいるので、その場合は薬を一気に渡さず、数回に分け飲んでもらいましょう。

ご本人と相談しつつ、少しずつ無理のない量で飲んで貰って下さい。

嚥下機能的に、錠剤が飲めない方もいらっしゃいます。
服薬の様子をよく観察し、必要があれば医師等に相談をして下さい。

どの方法でも落薬は完全には防げない

ショック

ここで注意したいのは、どの方法でも飲みこぼし等の事故は発生するという事。

「手から口に入れる際の落薬」「介助後の吐き出し」。
「飲み込めず口の隅に残る」、という様な形ですね。

服薬開始から飲み込むまで、目を離さずしっかり確認して下さい。
利用者様の様子に合わせ、出来る範囲で床や口腔内まで確認できると安心です。

認知症や服薬拒否への対応

拒否

認知症などがある方は、服薬拒否等で対応が難しい事があります。

「声掛け」や「服薬方法」を工夫する事で、上手く服薬介助できる事があります。

服薬拒否がある場合の対応方法

  • ご本人にとって「薬を飲むに値する理由」を見つける
  • 「苦味や飲みにくさ」を克服できる方法で飲む
  • コミュニケーションで信頼を得ておく

「薬が嫌な理由」や「気分よく飲める方法」を考える

傾聴の図

「ご家族から預かった」「痛い箇所の痛み止め」など…、
ご本人の関心をひきつつ納得できる理由を見つけ、声掛けをしてみるのも有効です。

苦みや飲みにくさから吐き出してしまう場合、甘いモノにトロミを付け提供するのも有効ですね。
ただし、「粉砕の可否」や「飲み合わせ」は確認が必要なので、事前によく確認して下さい。

また日頃のコミュニケーションで信頼を得ておくのも良いですね。
介護職が覚えたい利用者とのコミュニケーション方法

いずれにせよ、介護拒否は無理矢理の解決は不可能です。
介護事故にも繋がるので避けましょう。

ここで説明した方法・考え方は、他場面での拒否にも共通するので覚えておきましょう。

飲めなかった時の対応も確認しておく

勉強する看護学生

日頃から服薬拒否の多い方であれば、事前に飲めなかった時の対応を相談しておきましょう。

もちろん、服薬して頂けるような声掛けや工夫は大事ですが、それでも無理な時は無理です。
医師や看護師に現状を話し、対応を相談しておくと良いですね。

ただし、たとえ「飲めなくてもOK」と指示が出ても、必ず日誌や介護記録には残して下さい。

介護記録の書き方とは

拒否で飲めなくとも「服薬介助を行おうとした」事の証明となり、介護者の身を守ります。
後々にケア方法の変更を考える時の参考にもなります。

服薬ミスは誰でも起こり得る

会議の様子

どんなに注意しても、服薬ミスを起こしてしまう事は誰にでもあります
他の介護事故も同様です。

たとえ他人のミスでも、自分も同様の可能性を考え、再発を防ぐアフターフォローを行いましょう。

服薬ミス後のアフターフォロー方法

  • 原因と対策の究明
  • ミスした職員のメンタルフォロー

「原因分析と改善」を繰り返すこと

他の介護事故も同様ですが、原因と対策をしっかり考える事が再発防止に繋がります。

現場で特に多いのは、「確認ミス」による誤薬・落薬ですね。
よく確認しなかった為に、「間違えて薬を渡した」「薬の吐き出し」に気付けないという内容です。

事故報告書の作成や会議の中で、情報共有し明らかにしていきましょう。
介護事故報告書の書き方と記入例を紹介!

介護リーダーと会議

また確認意識を強く持っても、時間と共に薄くなっていきます。
定期的に啓発や意識づけの機会を作っていく事が大切ですね。

業務の忙しさも確認意識を低下させる原因の1つです。

業務内容や人員配置など、事故を起こさない「仕事の組み立て方」も考えていきましょう。

ミスした職員のメンタルフォロー

ミスをした以上は注意を受けるのは当然ですが、必要以上に責め立てるのもNG。

隠蔽体質な職場になってしまいます。

服薬ミス時に大切なのは、利用者様の健康と安全
まずはミスを明らかにし、医療従事者への報告が先決です。

落ち込み

私も経験がありますが、介護ミスをした時の精神的ダメージはかなり大きいです。

ミスして良いとは言いませんが、「自分も事故をしたかもしれない」と共感し、再発防止の方に尽力すべきです。必要以上に責めたり落ち込まず、失敗を次に活かせる様、頑張りましょう!

まとめ

お辞儀イメージ

今回は「服薬ミスを減らす為の服薬介助の注意点」をお話ししました。

記事中でも話した通り、服薬ミスは誰でも起こし得る事故です。
ただ個々の注意力は別として、服薬ミスをしやすい職場というのも存在します。

腕組み疑問

介護施設においては、ほとんどの場合、服薬介助は食事介助とセットです。
それが終われば、排泄や口腔ケア、臥床等の介助が待ってます。

こうした所で、人員配置を厚くする事が難しい職場が多いのも事実。
忙しさからくる「事故への不安」が負担であれば、環境を変えてみるのも1つの手かなと思います。

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