介護資格の1つに「介護福祉士実務者研修」というモノがあります。
介護福祉士目的で取得する人の多い資格ですが、転職活動や給料アップ効果もあります。
当記事では、実務者研修が持つ転職や待遇でのメリットを解説します。
- 実務者研修を取ると、どれだけ給料(年収)アップする?
- 資格取得で可能になる仕事内容
- 未経験者は取得すべきか
実務者研修による給料アップ効果、資格を活かした転職アドバイスなど…
そのメリットを具体的に解説します。
実務者研修修了者の給料と資格手当
まずは実務者研修修了で、どれぐらい給料が増えるか見てみます。
「時給」や「月給」の額、「資格手当」などから年収の増え方を確認します。
実務者研修の平均月給と賞与
まずは、実務者研修修了者の平均月給や時給をチェックします。
実務者研修取得時の平均月給は、約21万円。
ちなみに無資格者が約17万円、初任者研修で約19万円でした。
月ベースでみると、2~3万円程度は給料が増える見込みですね。
非常勤の平均時給も、無資格者より100円程度高くなります。
初任者研修と比べても、20円程増える形ですね。
実務者研修を取る事で、介護士の平均ちょい上ぐらいまで給料が上がる形です。
実際の時給アップ効果は様々
実務者研修による給料アップ効果は、職場により様々です。
特に時給勤務者に関しては、還元方法が結構異なる印象です。
…というのも、給料内訳は職場により異なる為です。
- 時給を上げる
- 資格手当や処遇改善が増える
単に時給が上がる事もあれば、資格手当のアップで給料に反映される事もあります。
さらには処遇改善などを時給に加算する職場もあります。
その為詳細なデータを出すのは難しいですが、何かしらの給料アップがあるのは間違いないです。
実務者研修の平均賞与(ボーナス)
続いて、賞与(ボーナス)額の平均も見ていきます。
先程の調査によると、実務者研修修了者の賞与額は約48万円。
介護士平均との差が激しいのは、介護福祉士の賞与平均が62万円と高いのが影響してます。
実務者研修修了者の介護士年収は?
ここまでの内容を単純計算すると、実務者研修修了の介護士の平均年収は約300万円。
実際には処遇改善もあるので、もう少し年収は増えるでしょう。
介護職員の平均年収である「360万円」ほどは狙える範囲内。
ただ介護職の年収は、地域や働き方、働く施設種類でも大きく異なります。
年収300~350万、場合によってはそれ以上も狙える範囲内です。
厚生労働省に、こんなデータもあるので紹介します。
下記の図は、介護資格別の月収(賞与込み)です。
参考:厚生労働省(平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果) より
実務者研修修了者の給料は、賞与含む各種手当込みの月給で平均28万円。
年収で言うと、約330万円ぐらいですね。
体感的にも、これが現実的な数字に思います。
年収に影響がある介護資格
ちなみに介護資格で見ると、下記の様な時に給料差が発生します。
- 無資格者と有資格者
- 初任者及び実務者と介護福祉士
給料、処遇改善ともに実務者研修はある方が良いのは間違いありません。
介護士の給料額は、資格手当による影響も大きいので、資格によるスキルアップは大切ですね。
「介護求人での資格手当」を比較
ここまで見た情報は、あくまで給料の平均でした。
実際の介護求人では、保有資格で大きく収入が分かれるケースがあります。
そこで転職サイトを見て、実務者研修の資格手当を実際に調べてみました。
また資格手当という表現にはこだわらず、初任者研修との差に注目してみました。
最終的な給与は各職場で色々な要因が絡むので、初任者との差を見て下さい。
※細かい施設名などは伏せます。
実務者研修 :13,000円
初任者研修 :10,000円
実務者研修 :7,000円
初任者研修 :5,000円
実務者研修 :6,000円
初任者研修 :3,000円
先ほどと同じく、初任者よりちょっと良い程度の結果ですね。
ただ資格による手当差を、夜勤手当等にも適用する職場も少なからずあります。
他にも処遇改善や賞与、細かい給料差を設けるケースもよくあります。
資格手当は求人でもよく表記されてるので、色々と比較してみましょう。
介護求人は、給料内訳までよくチェックしましょう。
実務者研修で「可能になる仕事内容」と「メリット」
介護福祉士に必要だから、という理由で取得されがちな実務者研修。
ただ中には、実務者研修を応募条件とする求人もあります。
今一度、資格取得のメリットを確認してみましょう。
- 介護福祉士受験に必須
- サービス提供責任者になれる
- 実地指導を受ければ医療ケアが可能
「サービス提供責任者」などになれる
実務者研修があれば、サービス提供責任者として転職も可能です。
サービス提供責任者とは、訪問介護事業所における役職者でリーダー的な役割を担います。
訪問介護計画書を作成したり、サービスの管理や多職種との連携など大切な役割を持ちます。
「管理職的な仕事にも就ける仕事」と見れますね。
お給料も良く、色々な業務に関われる仕事ですよ。
研修を受ければ「経管栄養」なども可能
また介護士でも研修を受ける事で「経管栄養」と「喀痰吸引」が可能です。
その為には、喀痰吸引等研修を受ける必要があります。
実務者研修における「医療ケア」は、上記研修の基本研修にあたり免除になります。
後は実地研修を受ければ、現場でこれら医療ケアを行う事が可能になります。
給料アップにも繋がるので、介護職なら持っておいて損はないです。
訪問介護での活躍が増える
「サービス提供責任者」や「喀痰吸引等研修」の求人を調べてみたところ…
サ責はもちろん、喀痰吸引でも訪問介護の求人が多く見つかりました。
実務者研修修了者の募集としては、サービス提供責任者。
喀痰吸引等研修については、あれば尚可という内容が多く見られます。
介護職員として給料アップになる
冒頭でも述べた通り、介護士の給料アップ効果があります。
介護職としては、無資格より初任者。
初任者より実務者研修の方が、給料を含めた資格評価が高くなります。
今までと同じ仕事で給料アップができオススメ。
採用率のアップにも繋がり、転職活動でも「給料待遇の良い求人」を選びやすくなります。
また3年の実務経験さえあれば、介護福祉士受験も視野に入ります。
介護福祉士は、介護士としては給料評価が最も高い国家資格。
この受験条件を満たせるのも、忘れてはならないメリットですね。
実務者研修を活かす転職アドバイス
実務者研修を活かし転職を行うなら、下記ポイントを意識すると良いでしょう。
- 初回の介護転職より、選べる職場が増えている
- 実務経験から、自分の適性を意識する
- 高収入の職場、働き方も狙える
実務者研修の保有者は、無資格者より選べる職場が多彩です。
給料ベースが高くなることで、高収入も十分狙える範囲ですね。
実務経験のある方も増え、「仕事イメージ」や「自分の適性」をより理解した転職も可能なはず。
経験者として「より自分に合った職場」を選ぶ
実務者研修の保有者となると、介護の仕事に慣れてきた方も多いでしょう。
転職活動でも経験者として優遇され、採用率も高くなります。
また無資格で働き始め、介護資格を取ってきた方も多いと思います。
そのため、初回の転職活動より「選択の幅」が増えてるケースがほとんどでしょう。
- 訪問介護など、未経験の分野に挑戦する
- より自分の適性に合った職場を選ぶ
- 給料の多い職場を選ぶ
実務者研修を取ったタイミングならば、この様に介護業界でのキャリアアップも狙えます。
自分の適性や仕事内容、給料感覚など…
以前より転職活動への理解が増え、「こんな職場が良い」というイメージも描けるはず。
働き方や職場選びで高収入も視野に入る
実務者研修の保有者ならば、介護士の平均かそれ以上の収入も狙えます。
介護職として、高収入も十分狙える段階と言えるでしょう。
- 夜勤専従で稼ぐ
- 高収入の職場で採用を得る
倍率の高給料の職場はもちろん、夜勤専従など高収入に繋がる働き方も可能です。
特に介護派遣は、平均時給も高い事で知られます。
経験者を求められがちな派遣求人にも、応募・採用しやすい事でしょう。
掛け持ち勤務でさらに収入を増やすもOK。
高時給のアドバンテージを活かし、ワークライフバランスの実現も可能です。
職場選びだけでなく、働き方の多様性も出てくる段階と言えますね。
様々な求人に目を向け、細かく比較していきましょう。
転職サイトだと、かいご畑が介護派遣にも対応してます。
派遣社員向けに「資格取得制度」もあり、今回のテーマにピッタリかと。
実務者研修はいつ取るべき?
実務者研修は誰でも受講できるので、「先に取りたい」と思った未経験者もいると思います。
しかし、未経験者は焦って取る必要はないです。
先に言ってしまうと、未経験者は初任者研修を取るべきというのが個人的意見です。
初任者研修から取得でOK
未経験者に初任者研修を勧めるのは、下記理由がある為。
- 初任者研修修了で内容・費用の免除がある
- いきなり実務者研修を受講すると、内容が多く時間がかかる
- 「基本の応用」なので、未経験者向けではない
先に初任者研修を取るデメリットはありません。
「初任者⇒実務者」が想定された流れなので、それに従った方が色々と楽です。
またサービス提供責任者や喀痰吸引なども、未経験者がいきなりやる事ではないです。
転職活動中は実務者取得チャンス
もし初任者研修を終えた経験者ならば、下記タイミングが取得時。
- 実務経験が3年に近い(介護福祉士試験時に実務経験が間に合う)
- 転職活動中
次回介護福祉士試験の実務経験を満たせるなら、間に合う様すぐに受講をオススメします。
恐らく、このタイミングで受講する方が最も多いかと思います。
⇒実務者研修はいつ受けるべき?「受講期間」と「試験に間に合うタイミング」
もう1つオススメしたいタイミングとしては、転職活動中ですね。
理由としては、スクーリングに通いやすい為。
採用となった際に、修了まで非常勤扱いで休みを多く貰う方法も選べるからですね。
これは、会社から受講費用の免除を得られる制度ですね。
まとめ
ここで述べた内容のまとめとしては、以下の通り。
- 給料や時給アップ効果があり、介護職の平均収入を超える事も
- サービス提供責任者等、訪問介護への転職で有用
- 転職活動では、実務経験や適性理解で有利に進めよう
介護福祉士のついで感覚の実務者研修にも、実は結構メリットがあります。
初任者研修より給料アップするのはもちろん、就ける職種や業務も増えます。
医療ケアにまで影響しますし、介護職として活躍の幅が増える資格ですね。
実務者研修は、経験者向けであり内容も多い研修です。
初任者研修からでも、内容や費用の免除もあって無駄にはなりません。
無資格の方は、まずは初任者研修を取って現場で働く事を目標にしていきましょう。
既に実務者研修を持ってる方は、ぜひ介護福祉士の取得も目標に頑張りましょう。
下記記事で、勉強のコツなども解説してます。
⇒介護・福祉の資格一覧
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