「介護の勉強をしたいけど、何をすべきか分からない」という事はないでしょうか?
「仕事で介護を始めようと思ってる」「親の介護が必要になった」など、事情も様々でしょう。
当記事ではそんな方の為、介護の勉強は何からすべきかを解説していきます。
- 介護を始める時にまず勉強したい事
- 介護士として働くのに最初に取るべき資格
- 介護の勉強に役立つ本や情報
今回は上記について、順番に紹介していきます。
自分の介護職経験を活かし、仕事で必要な資格や覚えるべき知識を解説。
「最初に介護の何を勉強すべきか」を考えるヒントになれば幸いです。
介護の勉強は何から始めれば良い?【必要な知識】
まずは、介護を行ううえ必要な知識を簡単に紹介します。
今回は下記3つに分け、お話ししていきます。
- 身体介助の基本技術・知識
- 福祉用具・介護用品の使い方
- 高齢者コミュニケーション、認知症対応
どんな人と関わってるかでも、必要な介護知識は異なります。
自分が介護をしてる相手をイメージしつつ、何を学習すべきか考えていきましょう。
身体介助の技術・知識
介護を始めるにあたり、多くの方が「難しい」と口にするのが身体介助。
特に下記は「3大介護(3大介助)」と呼ばれ、介護業務の基本となります。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
言い換えると、「食事を食べさせる」「トイレ介助やオムツ交換の仕方」。
「お風呂に入るのを手伝う」といった技術です。
これから「介護の勉強をしたい」のであれば、こうした身体介助から学ぶと良いでしょう。
観察ポイントなど、必要な事も自然と身についてきます。
介護が必要な高齢者には、日常動作にも多くの危険があります。
「きちんと食事を呑み込めたか」「安全に衣服が着脱させられるか」など…。
これらを安全に行う為のモノが介護技術です。
歩行時の付き添いや車椅子の操作など、安全に移動する為の技術・知識も必要ですね。
福祉用具・介護用品の使い方
介護現場では、介護用品や福祉用具の使用も多くあります。
介護を行うのならば、これらの扱い方も覚えておきたいところ。
例えば、下記の様な物ですね。
- リハビリパンツ、オムツカバー
- 介護ベッドや車椅子、手すり
- 食器やエプロン
介護用品は便利ですが、正しく使用しないと危険なモノもあります。
正しい介護用品の使用方法を学ぶのも、介護を行うにあたり必要な事です。
他にも、「尿取りパッドの選び方」や「オムツの正しくあて方」も学んでおくと便利です。
介護初心者が勉強したい知識の1つですね。
⇒「介護用オムツカバーの使い方」と「漏れない為のサイズ選び」
便利な事の例を少し出してみます。
- ポータブルトイレを使い、「ベッドの側でトイレを使う」
- 浴槽用の手すりで「楽に浴槽をまたぐ」
- 介護ベッドの高さ調整で「移乗を楽に行う」
こんな感じで、介助者・要介護者の双方の負担を減らす事ができます。
ただ正しい使い方を理解しないと、かえって危険もあります。
介護用品を活用する為にも、その種類や使い方の理解は大切です。
在宅介護での便利グッズ
介護に関する商品には、在宅介護でこそ役に立つ品もあります。
例えば、高齢者向けの家電ですね。
- 見守り用のカメラ
- 家庭用ナースコール(ワイヤレスチャイム)
- 徘徊対策用のセンサー・GPS
介護保険の対象でない物にも、高齢者介護に役立つグッズがあります。
特に在宅における親の介護では、施設等に比べ他者から知識を得る機会が少ないです。
介護用品の事も含め、この機会に知識として持っておくと良いと思います。
高齢者とのコミュニケーション
介護は人間相手に行うモノであり、感情労働とも言われる仕事です。
人との関わりは避けられず、コミュニケーションの方法も考えなくてはなりません。
尊厳を守り不快にさせないのはもちろん、良好な関係は介護のしやすさにも関わります。
信頼を得られれば、「あなたが言うなら間違いない」と協力を得られます。
いくら技術や知識があろうと、拒否をされれば何もできません。
お互いに気持ちの好循環を作るためにも、日頃から良好な関係を気付く事が大切ですね。
また高齢になれば「見えない」「聞こえない」など、様々な問題も出てきます。
ジェスチャーや筆談など、相手に応じたコミュニケーション方法を考えてみましょう。
こちらは定型化されてる部分もあるので、介助方法とセットで声掛けも覚えておきましょう。
認知症対応
高齢者介護では、認知症の対応もしなくてはなりません。
加え、様々な要因により気持ちや行動のトラブルが多発します。
そうした時、正しい説明ではかえって混乱を招くことがあります。
認知症対応では、言葉や行動の裏にある原因や感情を読み取る必要があります。
こちらも正解がケースバイケースであり、難しい部分ですね。
そして相手を理解する事から始めると、ヒントが得られると思います。
最初に取る介護資格は「初任者研修」
介護の勉強という事で、「何の資格から取るべき?」悩んでる方も多いでしょう。
初めて介護をするならば、「初任者研修」から取得します。
これは旧ヘルパー2級に相当する資格で、初めて介護職で働く際の入門資格です。
介護に必要な知識が詰め込まれた研修ですので、介護を学ぶならこちらを取得しましょう。
介護を仕事にしたいなら、まず最初に取得する資格ですね。
初任者研修で学べる事
初任者研修は業務や評価に関わるほか、下記の様に勉強する内容も有用です。
- 身体介助
- 高齢者とのコミュニケーション
- 高齢者や認知症理解
前項で紹介したような「身体介助」「コミュニケーション」等も学ぶ事ができます。
身体介助でいえば、車椅子介助やオムツ交換、着替えなどが実技で学べます。
認知症や高齢者の心身、介護に関する制度など、知識も豊富に勉強できます。
介護で何を勉強すべきか分からない方は、こちらで学ぶと良いでしょう。
「将来的な親の介護」に向けた取得者も
初任者研修は介護職を目指す人だけでなく、親の介護に向けた勉強目的で取得する人もいます。
ただ取得には時間もかかり、既に親の介護をされてる方には負担も大きいです。
将来的な介護に備え、勉強したい方にオススメですね。
介護資格はどの順番で取る?
介護資格は、主に下記の順番での取得が想定されています。
- 介護職員初任者研修(入門)
- 介護福祉士実務者研修(応用)
- 介護福祉士(国家資格)
- 介護支援専門員
入門となる「初任者」に始まり、経験者向けの「実務者研修」。
そしてベテラン証となる国家資格の「介護福祉士」という順番です。
上記資格は、介護職としての知識や経験を証明できます。
実務経験を積みこれらを順番に取得する事で、自然にステップアップできる仕組みです。
⇒介護職のキャリアアップ方法を「資格」「役職・職種」で解説
介護資格に取得条件はある?
初任者と実務者は、どちらも受講条件はありません。
ただ実務者研修は応用知識の他、初任者研修の内容も含まれます。
免除もあるので、初任者研修から取得してもデメリットはありません。
介護福祉士の受験には、実務経験3年と実務者研修が必要です。
その為実務経験3年を満たすまでに、「初任者⇒実務者」の順で資格取得するのが一般的です。
介護支援専門員とは、利用者のケアプランを考える人ですね。
介護の勉強に役立つ本
仕事でも親の介護でも、既に介護を始めてるなら本での学習も有効です。
悩みや疑問がはっきりしてるケースが多く、得るべき介護知識も分かりやすいと思います。
介護の参考書籍を紹介しますので、必要知識に合わせ手に取ってみて下さい。
目で見てわかる最新介護術【身体介護】
身体介助の技術であれば、下記書籍がオススメ。
移乗や着替え、入浴や排泄など、各場面での介護技術が丁寧に解説されてます。
目で見てわかる最新介護術
写真を多く使って解説してるので、初心者にも分かりやすいです。
細かな手順や注意点など、理解が捗る内容となってます。
イラスト図解 いちばんわかりやすい介護術
こちらは図解で介護技術を解説した書籍です。
イラストによる分かりやすさはもちろん、文章での説明もしっかりしてるのが特徴。
イラスト図解 いちばんわかりやすい介護術
介助時の注意点や手順、高齢者の体の事など、基本知識を丁寧に解説してます。
各介助方法について、その理由説明もしっかりしており好印象。
こちらも初心者介護士が身体介助を覚える際、オススメしたい1冊ですね。
介護の現場と業界のしくみ【介護施設の解説】
これから介護職で働きたいけど、「施設や職場が良く分からない」。
そんな方には、コチラの書籍がオススメ。
介護の現場と業界のしくみ
こちらは介護職を目指す方向けの書籍。
各介護施設の特徴、転職アドバイスなど丁寧に書かれています。
施設種類によりどんな特徴があるかなど、仕事のイメージを掴むのに役立ちます。
⇒初心者介護士へオススメしたい本まとめ
親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること
こちらは「在宅での親の介護」に向けた書籍です。
親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること
タイトルの通り、親の見守りや介護について書かれています。
- 介護を意識した家環境や便利な道具
- 介護保険や介護サービスの知識
- 親が心配な時、見守りや自立を助ける便利グッズ
「親の介護を意識しているが、何もわからない」。
そんな方は本書籍を見れば、得られるモノがあるはずです。
親の衰えが心配な方、将来的な介護に不安を抱えている方などにオススメです。
介護で使える言葉がけ シーン別実例250【コミュニケーション】
コミュニケーションや声掛けを勉強したい場合、こちらがオススメです。
介護で使える言葉かけについて、細かく紹介されてます。
介護で使える言葉がけ シーン別実例250
各種身体介助や認知症対応など、シーン別に実践的な声掛けを学べます。
「高齢者へ声かけが分からない」「介護における言葉の引き出しを増やしたい」。
そんな時は、こちらの書籍が勉強になります。
またより心理的な内容であれば、下記書籍が為になります。
対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖
実際の介護現場でも、当てはまる場面が数多く取り上げられてます。
「高齢者の対応や声掛けが上手くいかない」「どう声をかければ良かったのか?」など…
コミュニケーションに悩み、行き詰ってしまった方は、本書からヒントが得られると思います。
自治体による「介護研修」「勉強会」
各種自治体でも、介護に関する研修や勉強会を実施しています。
専門職の他、在宅介護者に向けた内容もあります。
1人で悩んでる不安や疑問があれば、こうしたコミュニティに参加してみるのも有効です。
もし興味があれば、下記等の内容を調べてみると良いでしょう。
- 市区町村の「家族介護者支援事業」
- 各都道府県の「介護実習普及センター」
- 自治体による「専門職向け介護研修」
また地域包括支援センターでも、家族介護の様々な相談を受け付けてます。
お住まいの地域で受け付けてるので、調べてみて下さい。
勉強だけで介護を覚える事は難しい
ここまで「介護の勉強方法」について解説してきました。
何を学ぶべきかは、「どんな人が相手か?」で内容は変わってきます。
元気に動ける人であれば、安全に過ごせる環境づくりや見守り。
介助が中心なら身体介助など…、私達のサポート内容も異なります。
これから介護を始めるなら初任者研修を受けるのが、一応の結論となりますね。
途中でも言いましたが、介護をする相手は人間です。
その人の持病や心身の事情など、何が正しいかもケースバイケースです。
マニュアル化できるものではなく、実際の介護を通し相手への理解を深めねばなりません。
最初のうちは、実際の介護で分からない事を解決しながらの勉強が有効です。
迷った時は、ここで紹介した資格や本での学習が役に立ちます。
下記で、今回解説しきれなかった内容も紹介してます。
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