肉体労働のイメージが強い介護職ですが、意外にも会議の機会は多くあります。
その内容は、職場の業務や運営だけでなく、利用者様の事まで様々。
特に利用者様の会議が活発なのは、特別養護老人ホームなどの「ユニット型施設」。
ここでは介助や業務の相談や確認の場として、「ユニット会議」が定期的に開催されます。
ユニット会議で話すべき内容や問題点など、様々な面からユニット会議を解説します。
ユニット会議の内容とは
ユニット会議とは、ユニット型介護施設で行われる会議の事です。
主に「業務連絡+ケアカンファ」の形をとる事が多め。
他施設で言う、フロアミーティングに近い内容ですね。
ユニット会議は「1ユニット(または協力関係にある2ユニット)単位」で開催されます。
所属の職員が参加・開催し、業務や担当利用者の問題改善、情報伝達を目的とした会議です。
開催ペースは、基本的に毎月1回ずつとなります。
ユニット会議の議題と進め方
まずは、ユニット会議で話される議題を確認します。
…とは言っても、職場やユニットにより内容の組み立て方は異なります。
細かな違いはあるでしょうが、下記が基本的な議題ですね。
ユニット会議の議題例
- リーダー会議や上層部からの申し送り事項
- 各委員会からの申し送り
- ユニット内の業務・目標について
- 利用者様のケア方法(ケアカンファ)
進め方が分からなければ、↑の順序で進めていけばOKです。
ユニット会議では、利用者様だけでなく「全体の伝達事項」や「委員会活動」の報告もします。
ユニット会議の場で説明があると、情報伝達が上手くいきますね。
また利用者様の「ヒヤリハット」や「事故報告」の確認も行いましょう。
「安全・事故対策等の委員会」「利用者様のケア方法」等の議題中で話せばOKかと。
そのまま解決方法の話になると思うので、ケア方法と一緒で良いと思います。
ユニット会議を進めやすくする持ち物
個人の持ち物は、基本的に「ペン」と「メモ帳」があればOKです。
また円滑に会議を進めるには、下記の物を用意しておくと便利です。
- 申し送りノート
- 「ヒヤリハット」と「事故報告書」
- 議題を示したレジュメ
詳しくは後述しますが、ユニット会議は業務や利用者様の内容が中心です。
申し送りノートや報告書を持ちながらだと、会議で話すべき議題の漏れを防げます。
開催者の立場であれば、簡単に議題を示したレジュメも配布しましょう。
メモ帳代わりにできるし、皆が会議の流れを理解し、進行もスムーズになります。
利用者様について話すべき内容
ユニット会議は、利用者様についてのケアカンファも兼ねています。
しかし、事前に話すべき内容を整理しないと、スムーズな進行は難しいです。
また固定の利用者と深く関わる為、ついつい話が長くなる事も…。
全ての方について話せれば理想ですが、現実的には時間も限られてます。
主催者としては、限られた時間で有意義な話が出来るよう注意しなくてはなりません。
もし議題のネタに困ったら
もし議題に困ったら、下記に該当する利用者様を議題に出してみると良いでしょう。
ユニット会議で話すべき利用者様の議題
- ヒヤリや事故報告があった方
- 状態や対応方法に変化があった方
- 新規入居になった方
職場によっては、議題にする方の順番を決め、ローテーションが組まれている事もあります。
ただそれと別に上記の様な方がいれば、優先的に問題提起や解決方法を話した方が良いですね。
実際の会議では、なかなか結論や解決策を出せない事も多々あります。
そんな時は、「多職種に相談する」「様子観察や報告を続ける」など、保留に近い結論を出してしまうと良いかもですね。
「仕事の疑問」や「悩み」も話してOK!
ここで書いた事は、主催者目線の内容です。
実際には、「〇さんの対応が難しい」など、疑問や悩みをどんどん話すと良いですよ。
曖昧にしてる事があれば、この場で聞いてしまうと働きやすさにも繋がります。
「変更したケア方法の確認」等も含め、色々な議題が見つかりますよ。
ユニット目標の決め方
ユニット会議では、各ユニットで毎月の目標を決めている施設も多いです。
ユニット目標の内容は、基本的には自由です。
負担になりすぎず、意識すれば達成できる範囲が良いかもですね。
ちょっと例を出しますので、ネタの参考にどうぞ。
「ユニット目標の例」と「作成のポイント」
- 業務内容や問題点など
⇒『チェック表の記入漏れを改善』『ケア方法統一の為24シートを見直す』 - 季節やイベントに関する事
⇒『担当を決め大掃除する』『利用者様の衣替えを行う』 - 報告・評価がしやすい内容
⇒『ヒヤリハットを1人3枚作製』
これらは自分が特養で働いてた時、よく挙がってたユニット目標です。
過去に設定した目標を再度使ってもOKです。
上手く達成できなかった内容、今ある問題点などをそのまま目標にするのも有効ですね。
内容の成否に関わらず、達成度の評価がしやすい目標も便利です。
ユニット会議への参加や役割について
続いて、「参加」や「役割」など、議題以外の内容も見てみましょう。
特養などのユニット型介護施設は、24時間対応の入居施設です。
基本的に仕事の合間に会議を行うので、参加や開催が難しい事があります。
会議の内容を記録に残す「議事録作成」などの役割も必要です。
それぞれ解説します。
ユニット会議は必ず参加すべき?
仕事の情報共有の為にも、ユニット会議にはなるべく出た方が良いです。
毎回で無くとも、定期的には参加しましょう。
職場によりますが、参加は強制ではないです。
個人的な考えを語ると、下記の様な時は無理して参加しなくてもOKです。
こんな時は参加しなくて良い
- 夜勤明けや体調が悪い時
- 休日や用事がある時
- 利用者の見守り対応が必要な時
その時々でシフトや用事もあるので、無理する必要はないと思います。
本来なら、参加職員が偏らないよう日程や会議時間を決めるべきではあります。
しかし現状では、なかなかそういった融通も利かせにくい職場がほとんどかと思います。
会議日程はどう決めるの?
ユニット会議の日程は、シフト作成時に主にユニットリーダーが決定します。
現実的には、シフト作成もリーダーが行ってる職場がほとんどでしょう。
会議開催の時間帯は、意外とユニットにより違いますね。
日中の午後~夕方位が多い気がします。
参加メンバーの固定化や時間の確保など、様々な問題も抱えてます。
会議の「司会」や「議事録作成」は誰がする?
ユニット会議では、「司会進行」や「議事録作成」の役割も必要です。
恐らくですが、全てユニットリーダーが担当してる職場も多いと思います。
議事録は、今はエクセル等でPC作成する事が多いです。
職場ルール次第ですが、難しければ手書きでもOKだと思いますよ。
会議の内容が濃くなると、書く事も多いのでちょっと大変ですね。
「重要情報」「問題」「結論」あたりを、箇条書きすると見やすくまとまりますよ。
「司会」と「議事録」はなるべく持ち回りで担当する
もしご覧の方でリーダーさんがいたら、議事録だけでも役割を振った方が良いですよ。
全て自分でやると、たぶんキャパオーバーで潰れます。
司会も結構難しくて、会議がグダらないないよう注意しなくてはなりません。
基本的に時間に余裕はないので、ちょくちょく意見や進行を促す必要がありますね。
ユニット会議が抱える問題点
ユニット会議を毎月スムーズに行うとなると、結構苦労が多いです。
主催者となるユニットリーダーさんは、毎月頭が痛いんじゃないでしょうか?
ここでユニット会議の開催における問題点を述べていきます。
突き詰めると、「介護現場の会議」や「ユニット型施設」の問題になる事も多いですが、より良い会議を考える機会やヒントになれば幸いです。
会議時間の確保が難しい
介護現場の会議全般に言えることですが、会議時間の確保が難しいです。
特に24時間対応の入居施設では、必ず仕事があるなか会議を行う必要があります。
人手不足の現状もあり、「会議にあわせ人員体制を厚くする」という事も難しいです。
会議の開催自体や出席も難しい場面も多いのではないでしょうか?
業務多忙の中、「いつどのように会議を行うのか」は悩ましい部分です。
見ている感じ、下記の様なパターンが多いですね。
どれも一長一短です。
ユニット会議の開催パターン
- 午後の隙間時間に職員総出で行う、終了後は全員で業務をフォロー
- 夕方から開催、休みや早番終わりの職員を中心にじっくり行う
会議中の見守り職員も必要ですし、各々のシフトや事情などもあります。
「出席者が少ない」「参加メンバーの固定化」などの問題も発生しがちですね。
会議の長時間化
これもまた同じような話題ですが、会議の長時間化ですね。
個別ケアを進めるユニット型施設では、利用者様の抱える問題により深く対面します。
チームケアやユニットケアを追求すると、会議も長時間化する傾向にありますね。
介護は、なかなか明確な正解のない仕事です。
出席者が多く、沢山の意見が出る良い会議は、自然と時間が長くなります。
逆のパターンになると、ワンマン的なケアになったり会議の質が問われる事になります。
ユニット毎の「会議の質」の差
ユニット型施設は、ユニット毎に雰囲気が大きく異なります。
またリーダーや所属職員により、ケアの質や仕事への考え方にも違いが出てきます。
個性で済むうちは良いですが、ズルや手抜きが通ってしまうユニットも出てきます。「利用者の大変さ」や「仕事への考え方」も異なるので、職員としては不公平さを感じる場面も出てきますね。
施設全体として、仕事の質やルールを統一するのに苦労してる職場も多いと思います。
「会議への参加強制」や「サービス残業」
また会議でつけられる時間外労働(残業)の時間も、決められてる事が多いです。
無駄に長い会議をしても、職員負担やサービス残業が増えてしまいます。
これは「長時間会議」に付いてくる問題です。残業が無制限に付けられても別の問題が発生するので、会議の内容で改善するしかないですね。
また職場やユニットによっては、会議への参加を強制される事もあります。
夜勤明けで再出勤など、職員への配慮が無い職場は考え物です。
個人的には、「しょうがない」というスタンスは、介護では重要だと思います。
あんまりルールがガチガチだと、正直色々な面で働きにくいです。
こういった仲間への気遣いは、体調不良時なども同様ですね。違和感を感じたら、異動や転職などで逃げてもOKだと思います。
あとがき
今回は、「ユニット会議の議題や内容」についてお届けしました。
最後までご覧頂き、ありがとうございます。
ユニット会議は、日々の業務や介護方法の確認ができる大事な機会です。
難しく考えず、仕事の悩みや疑問を解決する場として活用しましょう。
定期的な「情報確認」や「意見交換」の場として、ユニット会議は必要ですね。
ただ現状では、時間や人員の問題も多く抱えています。
上手い会議の作り方を考えていきたいものですね。
コメント