介護職というと、力仕事をイメージする方も多いと思います。
実際のところ、そうでもあり違うとも言えます。
力や体力を使う場面は多いですが、それだけではありません。
力任せの介助はしないし、身体介助の少ない介護現場もあります。
力がない人でも、介護で問題なく働けるので安心して下さいね。
介護職にはどんな力仕事がある?
介護職の中でも、特に力仕事が多いのは介護士です。
介護士の力仕事というと、やはり下記の様な身体介助ですね。
- 入浴介助
- 排泄介助
- 移乗介助
身体介助とは、直接身体に触れての介助の事です。
介護士の業務内容は幅広いですが、力仕事となるとこうしたモノになります。
内容を順にご紹介します。
入浴介助
介護士にとって、入浴介助は体力的にキツイ仕事の1つ。
- 車いすやシャワーチェア、浴槽内への移乗介助
- 着脱や洗身介助も行う
- 処置や事故も多く、気が抜けない
身体を洗ったり、洋服を脱ぎ着したりという仕事ですね。
高齢者とはいえ、大人をお風呂に入れるのはかなりの力仕事。
床が滑って危険ですし、普段より危険な状態での移乗介助も複数回行います。
ただ力任せに入浴を行うのではなく、身体状況に応じた入浴設備を使用します。
危険がある場合、職員2人体制での介助もします。
介護施設には沢山の入浴者がいる
入浴を行う利用者は、毎日複数名います。
介護施設では、入浴は週に2回行います。
毎日時間ギリギリで入浴介助を回してる施設も珍しくありません。
排泄介助
排泄介助も、毎日複数回行う身体介助。
- オムツ交換をする
- トイレ誘導をする
排泄介助もやってみるとなかなかの力仕事。
オムツ交換にしても、パットを変えるだけではありません。
衣服の着脱や姿勢を直すという介助もします。
トイレ誘導でも、ベッドから起こしたり、衣服の着脱介助もします。
意外と人を抱える動作があるワケですね。
ベッド上でのおむつ交換でも、体勢を直したり中腰になる等で負担は大きいです。
つい無理な姿勢で行ってしまい、腰を痛める職員も多いですね。
介護の力仕事は「移乗介助」が多い
ここまで察しがついたかもしれませんが、とにかく移乗介助が多いです。
- 食事やトイレで起こす、寝かせる
- ベッド上で姿勢を直す
- 入浴の為に椅子から移る
移乗介助とは、ここまで述べたように人を抱えて場所を移す介助です。
「利用者をベッドから起こし車椅子に移す」といった介助です。
自分で動けない方や重い方もいますし、これで腰を悪くする職員も少なくありません。
お風呂やトイレ、食事に起きるなど…。
寝たきりに近い状態の方は、特に多くの移乗介助を必要とします。
しかも回数を多く必要とするのが、介護の大変なところですね。
その他体力的にキツイ場面
その他で介護職で働いていて、体力的にキツイと感じる場面がこちら。
- 人手が少なく、仕事量が多い
- 長時間の夜勤がキツイ
- 歩行距離が長い
やはり人手が少なく、一人当たりの仕事量が多いのは辛いですね。
力仕事の量も多くなるし、残業や休日出勤にも繋がります。
精神的な余裕も無くなりますよね。
また夜勤の長さも地味にキツイ。
しかも介護現場の夜勤は、16時間の長時間となる事が多め。
ワンオペ体制の施設もあるし、職場選びは重要です。
介護職は意外と歩く
また地味に仕事での歩行距離も長いです。
特に大型施設は広く入居者数も多いので、かなり歩きます。
介護職は、下記の様に色々な用件で居室を回る必要があります。
- コール対応での訪室
- 定時での排泄介助
- 居室の清掃、ごみ集め
力仕事って程ではないにせよ、体力は使う仕事ですね。
体力や力がない人でも介護職で働ける?
ここまでで、「介護職は大変そう」と思った方が多いかもしれません。
…ですが、力がない人でも介護で働くのに問題ありません。
安全第一なので力頼りの介護はしないし、力が必要な場面では複数人で介助します。
それに介護職は力仕事ばかりとは限らないです。
- 情報収集や記録業務
- 様々な訴えへの傾聴、対応
- 水分準備や配膳などの雑務
介護記録を書いたり読んだり、報告書作成といった記録業務。
水分準備や配膳、食事量の記録なども毎日行います。
後は「話を聞く」というのも、結構多いですね。
力に自信がない人でも、そうした職場を選べば快適に働けます。
「傾聴」「見守り」が中心の職場も
ここまで紹介した介護の力仕事は、介護度が高い場合の話。
介護施設には、身体介助をあまり必要としない自立した方もいます。
そうした方の場合、危険に備えての見守り。
あるいは、口頭でのやり取りが主となります。
よくあるのが、「エアコンの温度調整をして欲しい」などですね。
総合的にどんな業務が多くなるかは、施設種類で異なります。
介護施設も、種類により対象入居者がある程度決まってます。
自立度の高い方が多いのは、住宅型と呼ばれる施設が主ですね。
介護職が力仕事かは”利用者次第”
結局、介護職がどう大変かは利用者次第です。
介護度が高く寝たきりに近い方が多ければ、力仕事が多め。
自立度が高い方が中心であれば、傾聴や見守り業務が中心ですね。
どちらも経験しましたが、体力的に楽なのは後者。
ただしっかりしてる方が多い分、言葉選びや対応力は求められます。
力を必要としない介護方法
もう1つお伝えしたいのが、楽に身体介助を行う方法もある事。
- ボディメカニクスを活用する
- 声掛けなどで残存能力を活かす
まずボディメカニクスを使った介助方法です。
要するに、楽な姿勢で小さい力での介助方法ですね。
介護ベッドの高さを上げたり、てこの原理を利用する等といった事です。
あまり長く解説すると脱線するので、興味があれば初任者研修で学んでみて下さい。
私も10年近く働いてますが身体に問題ないし、介助も楽になりますよ。
自分を守る大切な技術なので、ぜひ覚えておきましょう。
力仕事を楽にする「福祉用具」「介護機器」
後は、利用者が出来る事を活かしての介助ですね。
掴まり立ちが出来るなら、「L字柵を使いお尻を支えて移乗する」等といった方法です。
自分で動いてもらった方が、安全で負担も少ない事も少なくありません。
こうした時に使える福祉用具も、現在多く開発されています。
- 移乗を楽にする「スライディングボード」「手すり」
- トイレ負担を減らす「ポータブルトイレ」
- その場で状態が分かる「センサーベッド」
福祉用具、介護機器の有無でも仕事の楽さは変わります。
これらを活用し、より良いケア方法を考えるのも介護職の仕事の1つ。
大変な力仕事も、方法次第で楽になります。
力が必要な場面では複数人で対応するし、辛くなる原因は仕事量である事が多いです。
体力的にキツイ介護施設はどこ?
介護度が高く大変な施設を挙げるなら、個人的には下記3種類。
- 特養
- 老健
- グループホーム
特養と老健は、大変な介護施設として代表的ですね。
介護度が高く、身体介助量がかなり多め。
力仕事中心となり、体力的には結構キツイと思います。
グループホームは、利用者数が少ない小型施設です。
認知症があり、自立度が高い方を想定した施設ですね。
ただその分施設設備が乏しく、実際は介護度の高い方がいる事も珍しくないです。
寝たきりの方を対応するには辛い施設ですね。
ただ「日勤のみで家事が得意な方」であれば、最初の施設としてオススメできます。
力仕事が少ない介護施設に転職するには?
もし介護職で力仕事は避けたいなら、下記点を意識して転職活動をしましょう。
- 介護度の低い介護施設を選ぶ
- 職員数が多い職場を選ぶ
- 介護助手も視野に入れる
働きたい施設種類を絞り、求人をよく比較するのが大切ですね。
ポイントを順にお伝えします。
力に自信がない時は「介護度の低い施設」
先に体力的にキツイ介護施設を紹介しましたが、その逆を選ぶという事ですね。
入居条件を参考に、なるべく平均介護度の低い施設を選びましょう。
求人数が多い介護施設で選ぶなら、下記が該当します。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 有料老人ホーム【介護付き or 住宅型】
先述の通り、介護施設には「住宅型」と呼ばれる施設もあります。
これらは介護サービスというより、見守りや住宅・食事の提供が主な施設です。
力が弱かったり自信のない時は、住宅型施設。
あるいは介護付き有料など、要支援や自立度の高い方も受け入れてる施設がオススメ。
同じ施設種類でも「仕事内容」は異なる
同じ施設種類でも仕事が違うと述べましたが、身体介助がある住宅型施設もあります。
例えば先述の「サ高住」は、介護サービスは訪問等の外部サービスを使います。
しかし施設内に訪問事業所を併設し、職員が訪問介護員を兼務する事もあります。
私が昔働いてたサ高住がそれで、身体介助も沢山ありました。
それに加え、足浴のために思いバケツを持って回ったりもしました。
先述した中で言うと、経験した限りでは介護付き有料が楽に感じました。
入居条件が幅広いので、要支援ぐらいの方も多くバランスが良かったですね。
体力負担を避けたい方にもオススメできます。
職員数が多い介護施設で働く
これも介護職転職では毎回話す事なのですが、働くなら職員数が多い施設。
力仕事だけでなく、仕事量の少なさも重要です。
ただ職員数を事前に把握するのは、困難です。
その為、求人に魅力がある職場を選びたいですね。
多くの介護施設では、応募者が少なく採用できない為に職員不足に陥ってます。
介護は入れ替わりの激しい業界ですので、職員不足になった時の補充スピードは重要。
転職活動では求人を細かくチェック
いくら職員不足とはいえ、介護で働きたい人は大勢いて、皆求人は選んでます。
同じように見える介護求人でも、よくみると細かな違いがありますよ。
給料やボーナス、特別休暇や休日数など、少しでも魅力ある求人を選びましょう。
介護系転職サイトを使えば、施設種類を絞って求人検索できます。
コンサルタントからの紹介やアドバイスも受けられるので、ぜひ活用して下さい。
特に「きらケア介護求人」は、マッチング重視で使いやすくオススメです。
介護助手も視野に入れる
介護助手とは、介護士が専門業務に徹するためのサポーターです。
下記の様な仕事を担当します。
- シーツ交換(居室清掃)
- 水分の準備や配膳
- その他雑務
ご覧の様に、直接の利用者対応以外を担当します。
身体介助を行わないので、不安が大きい人は介護助手から始めるのもアリ。
ただ正社員になりにくく、介護士に比べ収入も低くなります。
加え、「介護助手」という形での求人募集も少ないのがデメリット。
需要は高いので、雇用側としても嬉しい人材です。
さいごに
今回は、「力仕事」をテーマに介護職の仕事を紹介しました。
介護士は、利用者の状態次第で大きく仕事が変わります。
力仕事=悪い事ではなくて、身体介助の方が気楽という職員も沢山います。
それに身体介助の負担から自分を守る方法もあります。
長く介護で働き思うのが、「何事も程よく、忙しすぎないのが1番働きやすい」という事。
力仕事ばかりでも大変ですし、そうでなくともキツイ事はあり得ります。
ここで紹介した内容を参考にしつつ、自分にとって理想の職場を見つけて下さい。
またここで紹介したのは、介護職の仕事の一部に過ぎません。
興味がある方は、下記記事も参考にしてみて下さい。
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